Electronic / Experimental
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全チルアウト・アンビエント/ニューエイジ・ファン要注目の素晴らしいタイトル!今も現役のニューエイジ巨匠LaraajiやPeaking lightsとの仕事も知られる、サイケ〜バレアリック~ニューエイジ〜AOR〜ディスコを繋ぐダンス・ユニットにして、英国のチルアウト・ミュージック界隈の代表格Seahawks。今年度最新アルバムとなる『Time Enough For Love』が名門〈Cascine〉より到着。60年代後半から70年代にかけて数々のヒット曲を残したアメリカのSSW、Harry Nilssonのデモ作品である"groove and mood"や、ローズ・ピアノ、ウーリッツァーといった、70年代固有の音楽的波長から得られた独特のインスピレーションを土台に、暖かく恍惚とするような、ポスト・レイヴと言うべき、幻想的で優美なアンビエント・エキゾチカを描いた至福の一枚。

限定199部。版元完売、お見逃しなく。1981年、秋田昌美がMerzbow名義で活動を始めたばかりの時期に制作された『Yantra Material Action』。もともとこの作品は『Merz』というタイトルでMerzbowのファースト・アルバムとしてリリースされる予定だったが、当時は実現に至らなかった。結果的に、長らくアーカイブの中に眠っていたこの音源が、約44年の歳月を経てようやく日の目を見ることになった。この時期のMerzbowのは、のちに確立される暴力的なハーシュノイズとはやや趣を異にし、インダストリアル、ミュージック・コンクレート、偶然性、非音楽的要素といった幅広い実験的アプローチを駆使しており、そのため、『Yantra Material Action』も単なる未発表作品というだけではなく、Merzbowというプロジェクトの原点を垣間見ることのできる貴重な記録であり、秋田本人の音楽的探求の出発点としても非常に示唆的な一枚となっている。
坂本龍一がニューヨークの前衛的な振付師であるMolissa Fenleyのパフォーマンスへと捧げた85年の傑作アルバムであり、ニューエイジ・リバイバル方面からも再評価される日本のパーカッショニストのYas-KazやArto Lindsayも参加した6枚目のソロ・アルバムである『Esperanto』がアナログ・リイシュー!オリジナルは〈Midi Inc.〉傘下の〈School〉レーベルからリリースされた、教授のキャリア中でも最大級にアヴァンギャルドな傑作ながら、未だに海外リリースのなされていなかった一枚!1984年にデヴィッド・ボウイと共演した映画『戦場のメリークリスマス』のサウンドトラックで世界的な成功を収めた後、坂本龍一は自身のルーツと言える領域であるレフトフィールドな音楽へと回帰。初期エレクトロニカからアンビエント、シンセポップまでもがミックスされた、「架空の民族音楽」というのもとで生み出された傑作アルバム!

ロンドン出身のラッパー、詩人、プロデューサーのJohn Glacierが、待望のデビューアルバム『Like A Ribbon』を〈Young〉からリリース。アルバムは、首都ロンドンの中心部北東寄りにあるHackneyで育ったシンプルな日常から、驚異的な速さで成長した彼女の人生を描いた作品で、リードシングルとなる「Found」は、日々の苦悩を乗り越える力強いメッセージが込められた、浮遊感のあるサウンドになっている。参加アーティストには、本作品のプロデューサーであるKwes Darkoをはじめ、Flume、Andrew Aged、Eartheater、Samphaなど名を連ね、John Glacierのユニークな音楽性を引き立てている。
現代的でありながらどこか夢幻的とも取れるエレクトロニックな音色と繊細なビートが融合したJohn Glacierのサウンドは、聴き手の感情の深層を引き出し、リスナーを引き込む力を持っている。

限定299部、32Pブックレット付属の10枚組豪華木製ボックス仕様。昨今は伝説的傑作『Merzbeat』カセット再発など注目リリース満載だった中でまた特大盤が到来。徹底したアヒンサーを提唱実践、「ノイズ」の枠を超越したオルタナティヴな表現を試み続けるジャパノイズ伝説、Merzbow。Mad Tea PartyやPerfect Mother、『沫 Foam』といった〈Vanity〉周辺作品でも知られる日本のアート・コレクティヴ/レーベル〈YLEM〉から当初10本組のカセット・ボックスとして発表される予定だった一作が奇跡の10枚組LPでボックス化復刻。版元はやはりイタリアのノイズ/インダストリアル大名門〈Urashima〉。81年6月に秋田氏と水谷清氏は〈YLEM〉スタジオに入り『Collection』の録音とミキシングを開始。『Collection 003』は、1981年6月13日には清水一登氏の〈ガラパゴス・スタジオ〉でも録音・ミックス。5本目のカセット『Collection 005』を制作した後、なぜか再び〈YLEM〉スタジオでシリーズの続きが録音されることはないもののその詳細は不明。残り5作品は秋田氏の自宅で録音され、当初制作した音源が気に入らず新たな音源へと差し替えた『006』を待ち、1982年に完成したものとなっています。本作は、二度と聞くことのできないMerzbowのルーツであり、秋田昌巳の40年以上に渡るノイズの壁の下に常に眠っていた複雑さと内省的な側面を明らかにするものであり、まさに日本のノイズ・ムーブメントの爆心地とも言える内容。ここ数年のMerzbowの初期復刻音源の中でも最も重要なものの一つであると断言できる超重要物件!
ベルリンのクィア・アンダーグラウンドで活躍してきたDJとして知られるCEMのデビューアルバム『FORMA』が〈Danse Noire〉より登場!本作はポルトガルのアーティストMauro Venturaのパフォーマンスアートにインスパイアされて作られたサウンドトラックで、ベルの音(牛の鈴やドアベル、神道の鈴、シンギングボウルなど)を使って、パフォーマンスのテーマである「労働」や「繰り返し」を表現している。アルバムの各トラックは、2022年にVolksbühneで展示されたVenturaのパフォーマンスに基づいており、CEMは様々なベルの音を取り入れた広がりのある音景を作り上げている。

イギリス出身ドイツ在住の鬼才CarrierことGuy Brewerによるソロシリーズ第3弾『Tender Spirits』が登場!本作はこれまで以上にロマンティックでスロウなベース&ドラムを追求した作品で、90年代以降の先鋭的なサウンドへのオマージュをにじませつつ、空間の扱いや繊細なリズム配置に独自の手腕を発揮している。3曲とも、パッドの霞んだレイヤーや、軽やかで芯のあるドラムが絶妙なバランスで絡み合い、ダブやアンビエントの精神とも深くつながる内容。特に「Light Candles, to Mark the Way」の静謐な美しさ、「Slow Punctures」の木魚のような音とガムラン的チャイムが複雑なずれを伴って響き、「Carpathian」ではブラシ・シンバルがジャズの幽霊のように揺れる。ディープ・ダブ、ミニマル・テクノ、ドラムンベースの抽象化と解体といった趣きだが、完全に自身の言語として再構築しているのが見て取れる。クラブでの機能も果たしながら、内省的な音楽としても傾聴に値する傑作!

リスボンのミュータント・クドゥロ〜バチーダ・シーンを凝縮したようなDJ Narcisoのソロ作『Diferenciado』が〈Príncipe〉から登場!NarcisoはRS Produções(Nuno Beats、DJ Lima、Farucoxらが所属)のメンバーとしても知られるが、ここではそこから一歩抜け出し、ドリルやデンボウの要素を独自に解体・再構築。ズレたポリリズムや奇妙なテクスチャを駆使して、「ずれた美しさ」の中毒性を引き出している。全体として、ただ奇をてらったのではない、きちんと踊れて、かつ脳内もかき乱されるような逸品で、現行のリスボン地下クラブサウンドの核心を突く、濃厚で刺激的な一作。
ポルトガルの実験音楽家ジョナサン・ウリエル・サルダーニャが、ウガンダ拠点のコンゴ人合唱団 Kingdom Ulfame Choir と手を組み、声とスピリチュアリティの関係に深く迫った『Kembo』が、ウガンダの首都カンパラを拠点とする〈nyege nyege tapes〉より登場!言語以前のコミュニケーションやグロソラリア、宗教音楽の伝統を踏まえつつ、リンガラ語やスワヒリ語、フランス語などを混ぜた“想像上の言語”で自由に歌われる即興のコーラスは、サルダーニャのさりげない電子処理によって神秘的なトランスへと昇華されていく。荘厳で浮遊感あるオープニング「Boya Kotala」から始まり、緊張感あるパルスと複雑なリズムが絡む「Tokumisa Nzambe」、ゴスペル的な高揚が炸裂する「Hosana」など、楽曲ごとに表情ががらりと変わるが、全体を通して浮かび上がるのは、“声”というプリミティブな表現が持つ霊的な力。言語、宗教、歴史、音楽、それぞれの境界を溶かしながら、「声とは何か」を探究する作品。

東アフリカ最大の都市ダルエスサラームを拠点に活躍する若きプロデューサーで、10歳からビート制作を始め、タンザニア発の超高速ダンス・ミュージック「シンゲリ」にEDMやR&Bの要素を大胆に融合させながら進化を続けるDJ Travellaによる、デビュー作『Mr Mixondo』以降に生まれた、フロアを沸かせてきた未発表トラックを中心にまとめた4曲入りEP『Twende』が、ウガンダの首都カンパラを拠点とする、東アフリカの伝統的な音楽と現代の電子音楽を融合させたアンダーグラウンドで革新的なサウンドを世界に紹介するレーベル〈nyege nyege tapes〉より登場。Boiler Roomでも話題を呼んだ代表曲たちが収録されており、170BPMの強烈なビートにヨレたシンセが絡む「Trust」や、ブラスとビリビリしたリズムが疾走する「Believe」、スークース調のギターが鮮やかに浮かぶ「Mchakamchaka」、そしてややテンポを落としつつも足元に効く「Vumbi Vumbi」まで、すべてがダンスフロア仕様。シンゲリの未来を切り拓くDJ Travellaの、スピードと遊び心が詰まった快作!!

ペルーのアーティストAle Hop(Alejandra Cárdenas)とコンゴのギタリストTiti Bakortaによるコラボ作で、アフロ・ラテンとスークースが交差する、幻惑的でポジティブなアルバム『Mapambazuko』が、ウガンダの首都カンパラを拠点とする、東アフリカの伝統的な音楽と現代の電子音楽を融合させたアンダーグラウンドで革新的なサウンドを世界に紹介するレーベル〈nyege nyege tapes〉より登場!カンパラで録音されたこの作品では、Bakortaの自在なギターと、Cárdenasの鋭利なリズム、歪んだシンセが絡み合い、祝祭的かつ実験的なサウンドを展開する。南米クンビアとコンゴ音楽の接点をあぶり出すようなトラックや、電子音と土着リズムが溶け合う強烈な楽曲が並び、KMRUや Flora Yin-Wongらによるリミックスも含めて、聴くたびに異なる表情を見せる濃密な一枚。

アフリカを代表する重要人物、アンゴラ出身のSebastião LopesことDJ Znobiaの軌跡を深く掘り下げる『Inventor Vol.2』が、ウガンダの首都カンパラを拠点とする〈nyege nyege tapes〉より登場。90年代末から2000年代半ばにかけて制作された700以上のトラックの中から厳選されたもので、単なるクラブ仕様のヒット曲だけでなく、彼の創造力と自由な実験精神を余すことなく捉えた内容になっている。ネットミーム「Baby T-Pain」をサンプリングし、オートチューンを駆使した奇妙な泣き声を、独自の遅めのクドゥロビートに重ねる『Choro do Corno』、Windowsのエラー音や通知音をサンプリングし、それらを打楽器代わりに使うなど、遊び心あふれる手法が光る『Beat Cursor』、ロボットのような歌声がねっとりと絡む『Sofre』、エレクトロにTalkbox的なボーカルを乗せた『Dance Da Ma Ju』、ロマンティックな囁きに変貌する『Monandengue』など、ジャンルを超えたアイデアが縦横無尽に飛び交う。クドゥロやタラシーニャの枠を押し広げたZnobiaの革新性は、グライムや初期テクノ、ブラジリアン・ファンクといった他地域の前衛的動きとも響き合っている。伝統音楽セムバをルーツに持ち、限られた環境の中で独自のサウンドを築き上げたDJ Znobiaのビジョンと狂気が詰まった一枚!

ウガンダの首都カンパラを拠点とする、東アフリカの伝統的な音楽と現代の電子音楽を融合させたアンダーグラウンドで革新的なサウンドを世界に紹介するレーベル〈nyege nyege tapes〉より、アーセナル・マイクベの『DRUM MACHINE』が登場!アーセナル・マイクベはウガンダの画期的なバンドで、アコースティックと電子音楽の境界を自由に行き来し、ポリリズムに歪んだ声と幽玄なシンセドローンを融合させている。バンドはパーカッショニストのセントンゴ・モーゼス、ドラテレ・エピファニー、ルヤンビ・ヴィンセント・デ・ポールで構成され、ポルトガルの音響アルケミスト、ジョナタン・ウリエル・サルダーニャが共同創設者。彼らはローランドの象徴的なビートボックスTR-808をリバース・エンジニアリングすることで、鋼鉄で鋳造された「パーカッション・マシン」を考案し、アーセナル・マイクベの熱狂的なパフォーマンスに重低音の電子音をシームレスに統合している。本作は、ジャンルに収まりきらないリズムのマスタークラスで、メンバーのビートが時間の流れを超えて交錯し、オーガニックかつデジタルな、エクスペリメンタル・アフリカン・エレクトロニカとでも言うべき音楽性!

オランダのアフロ・ディアスポリックなバブリングサウンドの先駆者であり、DJおよびプロデューサーGuillermo Schuurmanの新作『Bubbling Forever』がウガンダの首都カンパラを拠点とする、東アフリカの伝統的な音楽と現代の電子音楽を融合させたアンダーグラウンドで革新的なサウンドを世界に紹介するレーベル〈Nyege Nyege Tapes〉より登場!バブリングサウンドの魅力を最大限に引き出した作品で、鋭いレーザーシンセ、アントイリアンのタンブー・パーカッション、スワーリングボーカルの断片が特徴的。音楽はダンスホールの揺れるリズムを軸に展開し、エネルギッシュなビートとそれに反してどこか軽やかな感触があり、彼の音楽は激しく迫るのではなく、むしろ官能的に体を動かすように仕向ける力を持っている。伝統的なスリナムのメロディやパーカッションやカリブ風のステップまで取り込んだ、約40年近い歴史を持つバブリングを、さらに遠くへ押し広げる、エネルギッシュで開放感あふれる一枚。
ウガンダ・カンパラを拠点とする〈Hakuna Kulala〉から、同郷のアーティスト、Masaka Masaka(Ian Nnyanzi)によるデビュー作『Barely Making Much』が登場。本作は、ジャングル、実験的ヒップホップ、テクノ、ダブ、アンビエントなどが入り混じる、粒立ちのいいコラージュのような作品で、〈Nyege Nyege〉のスタジオで2年間にわたり断続的に制作されたもの。ヒップホップのビートメイクからキャリアをスタートさせたMasaka Masakaは、Dean BluntやJpegmafia、Slauson Maloneといった現代の先鋭アーティストたちに刺激を受けながら、南の世界から独自の言語を発信しようとしている。ジャンルを柔らかく解体・再構築しながら、街の夜のざわめきや、自分の中にある違和感、都市の片隅で感じる孤独といった、言葉にしにくい感覚を音にしようとするような作風で、その音楽は、カンパラのアンダーグラウンドが持つ静かな熱や、影のような雰囲気を映し出していて、繊細さに満ちている!

NET GALAの〈Hakuna Kulala〉からのデビューアルバム『Galapaggot』は、ノイズとクラブミュージックの境界を曖昧にしながら、ダンスフロアにも通じるエネルギーを秘めた奇妙な傑作。本作は韓国のプロデューサーであるNET GALAがShade SeoulというLGBTQコレクティブや、ソウルの有名クラブCakeshopなどでキャリアを磨きながら培った、型破りなダンスサウンドの集大成で、2019年の初EP『[re:FLEX*ion]』や、2021年に〈SVBKVLT〉からリリースされた『신파 SHINPA』で磨いたドラマティックなアプローチをさらに押し広げ、今回はより自由で無秩序な実験を展開している。フットワークやボールルーム、グラインドコア、ハードトランスといった音楽の要素をチラリと覗かせながら、韓国語のゲイ・スラングを叫ぶ曲や、ベトナムのアーティストとコラボしたトラックもあり、アルバム全体がカオスでパワフル。笑いや皮肉も交えながら、「普通」に収まらない自分たちの居場所を音で表現するような一枚。

カナダ人プロデューサー、Khotinの待望のニュー・リリース。
自身のレーベルKhotin Industriesから放つ6曲入りEP『Peace Portal』。彼ならではの、きらめくダウンテンポ〜エレクトロニカの融合が再び輝きを放つ。
2014年から活動を続けるKhotinは、長年にわたり、ドリーミーなダウンビートなエレクトロニカとアンビエントなテクスチャーの達人としての地位を長い間確立してきた。彼のアルバムは一貫して、心に響く没入感のあるサウンドデザインによって感情を喚起させるが、この最新作では、彼の広がり続ける音世界への深い旅が楽しめる。

パリ生まれのエレクトロニック・ミュージックのパイオニアであり、1970年代のGRMの卒業生でもあるAriel KalmaとMelati Malay、Tristan Arp、Kaazi による多国籍ミュージック・プロジェクトAsa Toneが第四世界の幻覚的アンビエントとも言うべきまさかの邂逅!コロナ・パンデミックの最中、オーストラリアの熱帯雨林にあるアリエルのスタジオで偶然彼に出会ったAsa ToneのMelatiとKaaziは、Kalmaと長時間のライヴ・テイクを録音し始め、遠隔地にいるTristan Arpのシンセの即興演奏を遠隔操作で織り交ぜていき、数年後、Asa Toneのメンバーのニューヨークとインドネシアのそれぞれの家でエディットし完成させたものが、極めてユニークなカタログで知られるフランスのカルト・カセット・レーベル〈Good Morning Tapes〉よりリリース!ひらひらと舞うアルペジオ、ドリーミーなパッド、木管、静謐なループなど、繊細な風の中を羽のように浮遊し、滑空する地球上の痛みを和らげるような素晴らしいサウンド!

Cocteau Twins、Arthur Russell、更にはFrank Oceanが〈Hyperdub〉からコラボ作を出したことを夢想させる問題作!
BurialとKode9による『Fabriclive 100』でフックアップされ、アフリカン・ダンスの最深部ともいえるクドゥロをベースとしたサウンドを探求するアンゴラの鬼才Nazarが〈Hyperdub〉より2ndアルバムをリリース!
前作『Guerrilla』の後、深刻な病気を経て、今作『Demilitarize』は死と向き合うこと、そして新たな愛の芽生えから生まれたものだという。また、Nazar本人は本作のインスピレーションとして『攻殻機動隊』の世界観が核になっていると語っている。多層的に蠢くサブベース、旋回するSFシンセ、そして前作同様、クドゥーロのリズムは聴こえてくるが、ダンス・ミュージックの機能性は控えめな、ヴォーカルが引き立つよう解体された形で取り入れられている。タイトルが示す通り最もソフトなサウンドを展開するM9「Heal」は必聴!
Cocteau Twins、Arthur Russell、更にはFrank Oceanといったアーティストにも通ずるドリーミーでメランコリックなムードが作品全体を通して漂う問題作が完成!

ジャズ、即興、クラシック、ノイズなど、領域横断的な活動で知られるChris Ryan Williams(トランペット、エレクトロニクス)とLester St. Louis(チェロ、エレクトロニクス)によるデュオ、HxHのデビューアルバム『Stark Phenomena』が、KMRUが運営するレーベル〈OFNOT〉からリリース!アコースティック楽器とエレクトロニクスをリアルタイムで融合させることで、音楽に複雑さとアクセスしやすさを兼ね備えたサウンドを作り出しており、AutechreやRobert Hoodの影響を感じさせる一方で、独自の音空間を展開している。アルバムは彼らのライブセットや即興演奏から得た音源を多く使用しており、ジャイミー・ブランチからスタジオセッションを提供してもらった「BEACH」など、緻密な編集が行われており、KMRUもその音楽の流れについて「シンプルさの中に深い感情を呼び起こす美しいトラック」と絶賛している。自由で複雑なサウンドのモザイクを展開し、聴く者の記憶を呼び起こすような作品!!

イギリス・ヨークシャーを拠点に活動する音楽家、Kirk Barleyの新作『Lux』が〈Odda Recordings〉より登場!本作は霧がかかるヨークシャーの風景とともに紡がれた、静かで瞑想的なサウンドスケープで、前作『Marionette』の延長線上にありながらも、より抽象的で夢のような響きを持っている。『Marionette』ではフィールド録音のリアルな音が空間を彩っていたが、『Lux』ではBarleyの楽器演奏とサウンドデザインが前面に出ており、短いサンプルや特殊な調律法を用いたトラック群が、どこか異世界的な調和感を生み出している。特に「Vita」「Sprite」「Descendent」といった楽曲では、聴き慣れない音階が浮かび上がり、不思議な感覚に包まれる。構造としてはミニマルだが、音の配置やタイミングのズレが微細に仕組まれていて、ゆるやかにうねるメロディと解決しないリズムが、時間と空間の感覚をじわりと歪めていく。音の粒子ひとつひとつが、光と影の間を漂いながら、聴き手の感覚をそっと撹乱するような作風。クラシカルな静けさと現代的な音響実験が交錯する、音のランドスケープ作品として、深く繊細な魅力を放っている。静かな雨の降る朝にどうぞ。

かつてスウェーデンのアンダーグラウンド・シーンで注目を集め、インダストリアル・テクノから実験的なサウンドへと歩みを進め、2020年にはEditions Megoから『On Feather and Wire』をリリースして話題を呼んだRivet(Mika Hallbäck)によるニューアルバム『Peck Glamour』が〈Editions Mego〉より登場!Rivetは『On Feather and Wire』をリリース後、レーベル主宰者Peter Rehbergと最愛の愛犬Liloを相次いで失い、喪失感を色濃く反映させた前作『L+P-2』を2023年に発表。そして今作『Peck Glamour』では、再びEditions Megoに戻り、喪失と向き合いながらも前を向こうとするポジティブなエネルギーに満ちた音楽へと昇華されている。ジャンルや機材にとらわれない自由な制作スタイルのなかでも、彼はサンプリングに強いこだわりを持っており、そのざらつきや偶然性が本作にも色濃く表れている。YouTubeの語学レッスンやフィールド録音、マリンバのカバー、インターネットの音源などを縦横無尽に取り込み、テクノ、インダストリアル、ポップ、パンク、そしてスンゲリのようなリズムまでをも織り交ぜた音世界を展開。いい意味で“こじらせた”音作りといえ、聴くたびに新たな要素を感じさせるセンスは見事。痛みと再生、混沌と希望が同居する、人間的でどこか美しい音の旅という趣きがあり、クロージング・タイトル「We left before we came」では、ダブルベースと環境音が重なり合い、まるで映画のラストシーンのような余韻を残す充実の一枚!

Monolakeの名盤『Gravity』が、オリジナルリリースから24年を経て初めてアナログ盤として登場!!ダブ・テクノ、ミニマル、エレクトロニカの交差点に立ち、今やエレクトロニック・ミュージック史に刻まれる重要作のひとつとして再評価されている一枚が、今回は、主要メンバーであるRobert Henke自身によるリマスターでリリース。2000年初頭、Erhard Behlesの脱退後、Henkeがほぼ単独で制作にあたり、音の空間性やダブの原理に一層深く踏み込んでいった本作は、ミニマルな構造と静寂を活かした音作り、ディレイで揺らめくパーカッションや潜行するベースラインなど、瞑想的なテクノとしての側面が際立っている。ベルリンのスタジオから見える夜の景色がインスピレーション源だったというが、『Gravity』が描く空間は、都市の中でもどこでもない、抽象的で自由な広がりを感じさせる。温もりと質感に満ちた、時代やジャンルを超えた普遍的な一枚!!
