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60年代からハモンドオルガンの名手としてUKのジャズ・ロックシーンを牽引し、70年代には自身のバンドOblivion Expressでファンクやフュージョンの領域を完全に切り開いた巨匠、Brian Auger。そのOblivion Expressによるの2作目『A Better Land』は、前作のハードなジャズ・ロック路線から一転、アコースティックで牧歌的、温かい空気感に満ちた作品。本作の鍵を握るのは、ギタリストJim Mullenで、英国的フォーク、カントリーの香りを持つメロディを導入。そこにAugerのオルガン、エレピが色彩を添え、ソウル・ジャズのグルーヴとメロディアスな歌心が共存する独自のサウンドが生まれている。「Dawn Of Another Day」「Women Of The Seasons」など、穏やかな曲調の中にサイケデリックな陰影が差し込むのも魅力。彼のディスコグラフィー全体を見渡しても極めて異質で、同時に時間が経っても色褪せない美しい輝きを放ち続ける名盤。

英国ジャズ・ファンクの名手Brian Augerが率いるOblivion Expressの中期を代表する一枚『Reinforcements』。Auger自身がプロデュースを担当、オルガン、エレピ、Moog、Freeman String Machineを自在に操り、ジャズ・ロックからソウル、ファンクへと大きく舵を切った転換点として知られる作品。本作では、後にSantanaでも活躍するAlex Ligertwoodのソウルフルなヴォーカルが前面に出ており、従来のジャズ・ロック色に加えて、ブルー・アイド・ソウル的なキャッチーさとファンクの推進力が強化。タイトなリズム隊が70年代半ばのファンク、フュージョン的グルーヴを生み出し、その上にAugerのオルガンとシンセが縦横無尽に重なる、肉体的で肉厚なレア・グルーヴ。
Brian Auger's Oblivion Expressによる1974年発表のジャズ・ファンク/フュージョン作品『Straight Ahead』。エレクトリック・ピアノとグルーヴィーなリズムが際立ち、洗練されたアンサンブルと即興性が融合しており、ヴォーカルとインストゥルメンタルがバランスよく配置され、都会的でスピード感のあるサウンドが展開。ジャズ・ロックからファンクへの移行期を象徴する、彼らの代表的アルバムのひとつ。
説明不要、ブライアン・イーノが1979年に発表したアンビエント音楽の金字塔『Ambient 1: Music for Airports』。注意深く聴いても、聴き流しても成立する音楽というイーノ自身の理念を明確に提示した最初の作品であり、アンビエントというジャンル名を定着させた歴史的アルバム。1978年にロンドンとケルンで録音され、ピアノ、女性声、シンセサイザーなどの素材を異なる長さのテープループで重ね合わせるという革新的手法で構築。空港の緊張感を和らげるために設計され、実際にニューヨークのラガーディア空港で短期間使用された記録も残る。イーノが1975年の事故療養中に体験した雨音と静かな音楽が溶け合う感覚や、エリック・サティの家具の音楽の思想が背景にあり、空間の質を変える音楽というコンセプトが本作で結晶した。ドラマ性を排した静謐な響きがゆっくりと漂い、ピアノの単音、声の断片、柔らかなシンセが空気のように浮遊する音響空間を形成。アンビエントの原点にして永遠の基準点。空間を静かに変える音楽の本質。

10月16日発売予定(通常ブラックヴァイナル/初回生産分のみイーノ本人による最新エッセイ翻訳封入)2005年の『Another Day on Earth』は、当時、『Nerve Net』(1992年)以来となるブライアン・イーノの本格的なソング・アルバムであり、現在も彼の代表的なソロ作品の一つとして高く評価されている。若きジョン・ホプキンスをはじめ、長年のコラボレーターであるネル・キャッチポール、J・ペーター・シュヴァルム、レオ・アブラハムズらが参加。歌詞は、オランダの小説家ミッシェル・フェイバーと、アメリカの発明家ダニー・ヒリスとの共作である。「And Then So Clear」「Caught Between」「Bottomliners」「Bonebomb」などの楽曲は、イーノが滅多に行っていないライブでも演奏するほどファンに人気の高い楽曲であり、そのうちのいくつかは、2021年のロジャー・イーノとのアテネのユネスコ世界遺産アクロポリス公演、2010年のブライトンフェスティバルで行われたアイスブレーカーとの共演、2023年のイーノ史上初のソロライブ・コンサート・シリーズ『Ships』でも披露された。
壮大で広がりのあるコーラス……記憶の奥深くへと忍び込みながら、一方で囁くような親密さの瞬間もある。★★★★★
- The Observer (2005)
イーノの宇宙をぐっと広げる傑作。
数十年ぶりとなる、歌を軸にしたソロ・アルバムは、絶えず動き続ける"Another Green World”のような別世界から生まれたものだ。彼が自分の故郷と呼ぶ惑星地球へ帰ってしまうまで、私たちはただ彼が生み出すアンビエント・ポップの珠玉を聴こう。
- SPIN (2005)
息を呑むようなメロディと、パッセンジャーズ時代を思わせる完璧なプロダクションによって、イーノの最高傑作群に自然と並び立つ。『Another Green World』にも通じる、幽玄なサウンドスケープを生み出している。
- Filter (2005)

10月16日発売予定(数量限定/日本限定トランスルーセント・グレー・ヴァイナル/日本語帯付き/解説書・歌詞対訳/初回生産分のみイーノ本人による最新エッセイ翻訳封入)2005年の『Another Day on Earth』は、当時、『Nerve Net』(1992年)以来となるブライアン・イーノの本格的なソング・アルバムであり、現在も彼の代表的なソロ作品の一つとして高く評価されている。若きジョン・ホプキンスをはじめ、長年のコラボレーターであるネル・キャッチポール、J・ペーター・シュヴァルム、レオ・アブラハムズらが参加。歌詞は、オランダの小説家ミッシェル・フェイバーと、アメリカの発明家ダニー・ヒリスとの共作である。「And Then So Clear」「Caught Between」「Bottomliners」「Bonebomb」などの楽曲は、イーノが滅多に行っていないライブでも演奏するほどファンに人気の高い楽曲であり、そのうちのいくつかは、2021年のロジャー・イーノとのアテネのユネスコ世界遺産アクロポリス公演、2010年のブライトンフェスティバルで行われたアイスブレーカーとの共演、2023年のイーノ史上初のソロライブ・コンサート・シリーズ『Ships』でも披露された。
壮大で広がりのあるコーラス……記憶の奥深くへと忍び込みながら、一方で囁くような親密さの瞬間もある。★★★★★
- The Observer (2005)
イーノの宇宙をぐっと広げる傑作。
数十年ぶりとなる、歌を軸にしたソロ・アルバムは、絶えず動き続ける"Another Green World”のような別世界から生まれたものだ。彼が自分の故郷と呼ぶ惑星地球へ帰ってしまうまで、私たちはただ彼が生み出すアンビエント・ポップの珠玉を聴こう。
- SPIN (2005)
息を呑むようなメロディと、パッセンジャーズ時代を思わせる完璧なプロダクションによって、イーノの最高傑作群に自然と並び立つ。『Another Green World』にも通じる、幽玄なサウンドスケープを生み出している。
- Filter (2005)
2012年にリリースされた本作は、イーノがアンビエント・ミュージックを追求し始めた『Music for Films』『Music for Airports』『Apollo : Atmospheres and Soundtracks』にも見られるテーマと音のテクスチャーの中で、さらなる可能性を追求しているのがわかる。また、イーノ自身も今作を、『Discreet Music』(75年)『Neroli』(93年)を含む《Music for Thinking》シリーズの最新プロジェクトとして位置づけている。
『LUX』は、イーノ史上最も意欲的な作品の一つだ。75分の作品は12のパートで構成され、もともとは現在イタリアのトリノで行われているサウンド・インスタレーション展【Music for the Great Gallery of the Palace of Venaria】用に制作された音楽から発展したものである。

2023年9月7日に最終シーズンの配信がスタートするのに合わせ、ブライアン・イーノが手がけた全5シーズンのサウンドトラックから、選りすぐった楽曲をまとめたアルバム『Top Boy (Score From the Original Series)』がリリースされることが決定しCDとLPが発売される。CDは高音質UHQCD仕様 (全てのCDプレーヤーで再生可能)となっており、解説書が封入される。本作に収録された音源は、2020年にリリースされた『Film Music 1976 - 2020』に収録された2曲以外、すべて初リリース音源となる。
イーノは同シリーズの緊張感漂うテーマ曲を提供し、2011年の放送開始以来、『トップボーイ』のオリジナル・サウンドトラックを手がけている。シーズン1〜3で追加楽曲を提供したマイキー・Jことマイケル・アサンテと共に、作品の重要な要素となるムードと雰囲気を作り出してきた。なお現在『Summerhouse』というタイトルで配信されているシーズン1のサウンドトラックは、2012年に英国アカデミー賞 (BAFTA)にてオリジナル・テレビ音楽賞を受賞している。
イーノは、長年にわたって映画やテレビシリーズのサウンドトラックや楽曲提供を行っており、アンビエント・ミュージックとの深い関わりから、キャリアの初期には実際には存在しない想像上の映画のために音楽を書く手法もとってきた。彼の作曲に対するアプローチは、ニーノ・ロータがフェデリコ・フェリーニ映画のサウンドトラックを手掛けたことにインスパイアされたもので、作曲家がすべてのシーンに合わせて音を作るのではなく、音楽はそれ自体がまず作品として作られ、音楽の上に映像が配置された。
『トップボーイ』では、最初から私は自分の好きなように仕事をする自由を与えられていた。 音楽と雰囲気を作り、映像作家に思うように使ってもらう。私は作品のアイデアをできるだけ吸収し、そこから多くの音楽を作り「ほらどうぞ、好きなように使ってくれ」と伝える。従来のハリウッド的手法でスコアを書いていたら、興奮や危機感を煽ろうとする誘惑に駆られるだろう。でも『トップボーイ』は、劣悪な状況に置かれた子供たちの話なんだ。だから私は、外的世界で彼らに起こっていることだけでなく、子供たちの内的世界も探求した。多くの音楽は意図的に素朴で、ある意味単純なものになっている。メロディーはシンプルで、洗練されていないし、大人っぽくもない。- ブライアン・イーノ
ブライアンが2011年の『トップ・ボーイ』シーズン1に向けて選曲を始めた瞬間から、彼のスコアが番組にとって稀有な贈り物であることを理解していた。ブライアンによるアプローチは、特定のシーンに支配されるのではなく、彼自身がこの作品をどう捉えているかという感覚によって音楽を提供する。したがって、彼の音楽はスクリーンに映し出されるイメージの背景に存在する場所、感情、ムードを支配することができる。ブライアンは、作品への理解と、作品の舞台となっている世界に住む人々への感覚に基づき、5シーズンにわたって選りすぐりの音楽を提供し続け、常に視聴者を筋書きのはるか彼方へと導いてきた。ドゥシェーンやサリー、そしてロンドンの街並みと同様、ブライアンの音楽は『トップボーイ』という作品の核となっている。
- チャールズ・スティール&アラスデア・フリンド (Cowboy Films)
【ブライアン・イーノとサウンドトラック】
ブライアン・イーノは、デヴィッド・リンチ監督『デューン/砂の惑星』の「Prophecy Theme」、ダリオ・アルジェント監督『オペラ座/血の喝采』の「From The Beginning」、マイケル・マン監督『ヒート』の「Late Evening In Jersey」など、映画やテレビ作品の音楽を数多く手がけてきた。実弟のロジャーとダニエル・ラノワとともに、イーノは『Apollo: Atmosphere & Soundtracks』を制作しているが、これは元々、月面着陸を主題にしたアル・レイナートによるドキュメンタリー映画『For All Mankind』用に書かれた作品である。その中でも収録曲「An Ending (Ascent)」はスティーヴン・ソダーバーグ監督の『トラフィック』やダニー・ボイル監督の『28日後…』、そして2012年のロンドン・オリンピック開会式にも登場した曲として記憶されている。また「Deep Blue Day」は映画『トレインスポッティング』でユアン・マクレガー演じる主人公がトイレの中にダイブする伝説的シーンの曲として永遠に語り継がれるだろう。
『グリッターバグ/デレク・ジャーマン 1970 - 1986』と『For All Mankind』以外にも、ピーター・ジャクソン監督の『ラブリーボーン』や、エンリケ・ゴールドマン監督によるブラジルの連続殺人鬼の伝記映画『O Nome da Morte』、スラヴォイ・ジジェク監督によるドキュメンタリー映画『The Pervert's Guide to Cinema』、ゲイリー・ハストウィット監督が手がけたインダストリアル・デザインの巨匠、ディーター・ラムスのドキュメンタリー映画『Rams』のサウンドトラックを手がけている。
TV作品としては、実弟であるロジャーと共にダニー・ボイル監督の『Mr. Wroe’s Virgins』の音楽で英国アカデミー賞 (BAFTA) で最優秀オリジナル・テレビ音楽賞にノミネートされている他、BBC Natural Worldシリーズの『Hammerhead』、フランシス・ベーコンのドキュメンタリー『Arena』、ニール・ゲイマンによるテレビ・シリーズ『Neverwhere』、BBCで放送されたスチュアート・ブランドによる『How Buildings Learn』に楽曲提供を行っている。

10月16日発売予定(通常ブラックヴァイナル/初回生産分のみイーノ本人による最新エッセイ翻訳封入)2001年にリリースされた『Drawn From Life』は、ブライアン・イーノとJ・ペーター・シュヴァルムによるレアなアンビエント・インストゥルメンタル・プロジェクトである。2人はイーノの長年の友人ロルフ・エンゲルを通じて知り合い、1998年にホルガー・シューカイと一緒にドイツのボンで伝説的な即興ライヴを披露した。また、2000年にイーノとシュヴァルムは、夢枕獏の小説を原作とした岡野玲子の漫画作品『陰陽師』を音楽的に解釈したアルバム『Music for Onmyoji』を日本のみでリリースした。『Drawn From Life』にはホルガー・シューカイ、ローリー・アンダーソン、ネル・キャッチポール、レオ・アブラハムズらが参加し、2001年にポルト、ランサローテ、そしてフジロック・フェスティバルでのヘッドライナー出演を含むツアーも行われた。本作以来、イーノとシュヴァルムは、ジョン・タトゥーロとデボラ・カーラ・アンガーが出演したニコラス・ウィンディング・レフン監督(『ドライヴ』『ブロンソン』)の初期作品『Fear X』(2003年)のサウンドトラックも作曲した。
マイルス・デイヴィスの“大聖堂のような音響空間”を思わせる質感……濃密な香煙のような空気感の中に、音の光点がきらめく。
- The Wire (2001)
日々の暮らしのリズムを讃える、豊かで、驚くほど情景を喚起する音のタペストリー 。
4.5/5
- Rolling Stone (2004)
感覚をやさしく癒やす、まさに極上の“ヘッド・ミュージック”。横になって、くつろいで−−あなたは今、“イーノ・ゴールド”にチューニングしている。
- Uncut (2001)

10月16日発売予定(数量限定/日本限定イエロー・ヴァイナル/日本語帯付き/解説書/初回生産分のみイーノ本人による最新エッセイ翻訳封入)2001年にリリースされた『Drawn From Life』は、ブライアン・イーノとJ・ペーター・シュヴァルムによるレアなアンビエント・インストゥルメンタル・プロジェクトである。2人はイーノの長年の友人ロルフ・エンゲルを通じて知り合い、1998年にホルガー・シューカイと一緒にドイツのボンで伝説的な即興ライヴを披露した。また、2000年にイーノとシュヴァルムは、夢枕獏の小説を原作とした岡野玲子の漫画作品『陰陽師』を音楽的に解釈したアルバム『Music for Onmyoji』を日本のみでリリースした。『Drawn From Life』にはホルガー・シューカイ、ローリー・アンダーソン、ネル・キャッチポール、レオ・アブラハムズらが参加し、2001年にポルト、ランサローテ、そしてフジロック・フェスティバルでのヘッドライナー出演を含むツアーも行われた。本作以来、イーノとシュヴァルムは、ジョン・タトゥーロとデボラ・カーラ・アンガーが出演したニコラス・ウィンディング・レフン監督(『ドライヴ』『ブロンソン』)の初期作品『Fear X』(2003年)のサウンドトラックも作曲した。
マイルス・デイヴィスの“大聖堂のような音響空間”を思わせる質感……濃密な香煙のような空気感の中に、音の光点がきらめく。
- The Wire (2001)
日々の暮らしのリズムを讃える、豊かで、驚くほど情景を喚起する音のタペストリー 。
4.5/5
- Rolling Stone (2004)
感覚をやさしく癒やす、まさに極上の“ヘッド・ミュージック”。横になって、くつろいで−−あなたは今、“イーノ・ゴールド”にチューニングしている。
- Uncut (2001)

知られざる奇跡的邂逅が蘇る−−今から遡ること四半世紀前の1998年8月27日、ブライアン・イーノ、CANのホルガー・シューカイ、J・ペーター・シュヴァルムが繰り広げたインプロヴィゼーション・ライヴがこのたび、発掘音源『Sushi. Roti. Reibekuchen』としてリリースされる運びとなった。
1990年代といえばブライアン・イーノが「歓迎されないジャズ(Unwelcome Jazz)」と呼んだ「新種の音楽」としての独自のジャズにアプローチしていた時期でもある。その成果は名称を変えて1997年のアルバム『The Drop』にまとめられることになるのだが、翌1998年に彼はまさに自身がアプローチしていたジャズに近しい音楽と運命的な出会いを果たすことになる。それがJ・ペーター・シュヴァルムによるバンド・プロジェクト、スロップ・ショップのデビュー・アルバム『Makrodelia』(1998年)だった。意気投合した両者はコラボレーションを開始し、2000年に伶楽舎とディスクを分担した2枚組『music for 陰陽師』を、2001年にはCANのホルガー・シューカイを含む多数のミュージシャンを交えた『Drawn from Life』を完成させる−−のだが実はそこには前日譚があった。
イーノがシュヴァルムと知り合って間もない頃、3回目に会ったのがこのたびの発掘音源のリハーサルだそうである。そしてそこにはスロップ・ショップのベーシストであるラウル・ウォルトンおよびドラマーであるイェルン・アタイのほか、シュヴァルムが初めて対面する、カンの創設メンバーでありベーシストとしても知られるホルガー・シューカイがいた。イーノとシューカイはすでに『Cluster and Eno』(1977年)および『After The Heat』(1978年)で共同作業していたが、いずれもシューカイが参加したのは1曲のみ、かつベーシストとしての客演だった。しかし発掘音源に収められたイーノおよびシュヴァルムとのセッションでは、シューカイが「ラジオ・ペインティング」と呼ぶような、短波ラジオとテープを用いたサンプリング/コラージュを行っている。ともかく、三者が揃ってライヴを披露するのは初めてのことだった。しかもウォルトン、アタイを含む5人のメンバーが揃って演奏を行う機会はその後ついに訪れなかった。奇跡的な邂逅と言っていいだろう。
ブライアン・イーノが当時ライヴを行うこと自体も珍しかった。だがこの発掘音源の元となった「Sushi! Roti! Reibekuchen!」なるイベントはやや特殊なものだった。食べ物をタイトルに掲げているように、主役は料理人なのである。というのも、ドイツ・ボンの美術展示館で開催されたイーノによるインスタレーション展のオープニング・パーティーとして野外で行われたイベントだったのだが、字義通りパーティーであり、会場では大勢の来場者に料理人たちが食べ物を振る舞っていた。そうした中、用意されたステージでドローンが鳴り始め、そして5人のミュージシャンが即興で演奏を行った。イーノによればこのイベントにおけるパフォーマーは料理人たちであり、自分たちが作っているのはバックグラウンド・ミュージック。つまり音楽のパフォーマンスではなく、バックグラウンド・ミュージック付きの料理のパフォーマンスなのだという。イーノらしいコンセプトだと思うが、しかし、ステージで魅せる音楽は少なくない観衆の耳を釘付けにした。イーノとシュヴァルムが作り出すミニマルでアンビエント/ドローンなサウンドに、ホルガー・シューカイのサンプリング/コラージュが色を添え、そしてラウル・ウォルトンとイェルン・アタイは時に人力ドラムンベースのごとく怒涛のグルーヴを生み出していく。演奏は2セット、計3時間にもおよび、最後は警察に電源を切られて強制終了させられたという逸話さえ残っている。
発掘音源『Sushi. Roti. Reibekuchen』に収められているのは、そのような計3時間のライヴから抜粋された5つのトラックである。「料理のパフォーマンス」に付随するバックグラウンド・ミュージックとして構想されたライヴは、こうして音源化されることで新たに主役の座に躍り出る。そこから聴こえてくるサウンドは、ブライアン・イーノ、ホルガー・シューカイ、J・ペーター・シュヴァルムという三者の一期一会の本格的なインプロヴィゼーションであるとともに、ただ貴重な記録というだけに留まらず、アンビエント経由の「歓迎されないジャズ」に類する音楽が生演奏で収められた作品として、四半世紀経った2024年現在も実に興味深く思えるのである。
Text by 細田成嗣
1920年代、ハワイアンミュージシャンのタウ・モーによってもたらされたギター。それがインドで予測不能な変化をとげ、奏者は床に座してギターを水平に構え、フィンガーピックスタイルで、スライドバーを用いてラーガを演奏することになってしまいました。さすがインドといったところですが、その第一人者であるブリジ・ブーシャン・カブラの1967年にHis Master’s Voiceより発表されたソロ・デビュー作がめでたくリイシューされました!
内容は、ジャケット写真で見られる演奏風景からは想像もつかない本格的な北インド古典音楽で、師アリ・アクバル直系とはっきり分かる、時空が歪むディープでトラディショナルな濃密な演奏。ギターのよく伸びる音色と、楽器としての性能の高さ故かの立体的な音像がたまりません。全曲リマスター済みです、お見逃しなく!
サントゥールの生ける伝説シブクマール・シャルマ、インド古典音楽の世界にギターを持ち込んだブリジ・ブーシャン・カブラ、バンスリーの名手ハリプラサド・チャウラシアらが1967年に録音したCall of the Valleyがリイシュー!カシミール地方の羊飼いの1日を、さまざまな時間帯にちなんだラーガで物語るもので、ガチガチの古典というよりはライトクラシックに分類されるものです。しかし、そのライトさはミューザック的なものでは全くなくて、親しみやすくて無邪気な透明さは聴くものを気付かぬうちにより遠くへ、より内なる場所へと連れていく力があるように思えます。サントゥール、ギター、バンスリーそれぞれの音色や音楽的な特性の違いも非常の面白く、聴き飽きることがありません。カブラが最も愛した録音と言われており、インド古典音楽が好きな方だけでなく、全ての音楽好きに届いてほしい内容です。
全曲新たにリマスター済みで、限定プレスになります。
20世紀カウンターカルチャーの最重要人物のひとり、Brion Gysin が、Ramuntcho Matta のプロデュースによって1980〜90年代に残したカルト音源が、初めてアナログ盤として蘇る。Gysin が1961年に発明した光のアート装置「Dreamachine」がもたらす幻視的効果を、ミニマリズム、アンビエント、アフロビートの要素を織り交ぜながら音響へと翻訳した、唯一無二のサイケデリック・サウンド・ジャーニー。アルバムの中心となる32分の大作「Dreamachine」は、反復が少しずつズレながらゆっくりと進行するミニマルかつポリリズミックなグルーヴの上に、Fela Kuti のアフロビートや King Sunny Adé のジュジュ音楽に通じる循環構造が、Gysin の語りとともに浮かんでは消える。Gysin のカットアップ技法、パーミュテーション詩、光のアート、そして William Burroughs との長年の交流、そのすべてが息づいており、さらにはSteve Lacyも参加したアヴァンジャズ的な要素や、Ramuntcho Matta のローファイで実験音楽とポップの境界を行き来する感覚も反映され、非常に多層的なサウンドになっている。今回のリリースでは、新たなリマスター音源に加え、Gysin と Burroughs がドリームマシンの前に立つ印象的な写真、そして研究者 Jason Weiss によるライナーノーツも収録。David BowieやLaurie Anderson、Genesis P. Orridge、Burroughsらに影響を与えた偉大な作品の重要な再発。

ステレオラヴの運営するレーベル〈Duophonic〉等、いくつかのレーベルからリリースされたシングルによって注目を集め、99年に多数レーベルからアルバム・リリースのオファーが殺到する中、〈WARP RECORDS〉と契約。当初ステレオラヴやマイ・ブラッディ・バレンタイン等と比較されていた彼等だが、オリジナル・アルバムのリリースを重ねることでその評価を高め、ヨーロッパ、アメリカを中心に確固たる地位を築いた。そんなブロードキャストが、最後のリリースとなる2作品『Spell Blanket - Collected Demos 2006-2009』『Distant Call - Collected Demos 2000-2006』を発売。
惜しまれながらも2011年に他界したボーカルのトリッシュ・キーナンによる4トラック・テープとミニディスクの膨大なアーカイブから集められた曲とスケッチで構成されている『Spell Blanket - Collected Demos 2006-2009』は、ブロードキャストの5枚目のアルバムになるはずだった楽曲群が下地となっており、2005年リリースの『Tender Buttons』後、2006年から2009年にかけて、トリッシュとジェイムズ・カーギルが取り組んだ創作過程を知ることができる作品。
『Distant Call - Collected Demos 2000-2006』は『Spell Blanket - Collected Demos 2006-2009』とは対照的に、『Haha Sound』、『Tender Buttons』、『The Future Crayon』に収録された楽曲の初期のデモ音源を集めたものである。また、トリッシュの死後にジェイムズが発見した2曲「Come Back to Me」「Please Call to Book」も収録されている。この曲は2006年にバンドによって実施された『Let’s Write A Song』プロジェクトーーファンからポストカードに綴った歌詞を募集し、それをもとに楽曲を作ったーーに対するトリッシュのファンへの返答が散りばめられている。

ステレオラヴの運営するレーベル〈Duophonic〉等、いくつかのレーベルからリリースされたシングルによって注目を集め、99年に多数レーベルからアルバム・リリースのオファーが殺到する中、〈WARP RECORDS〉と契約。当初ステレオラヴやマイ・ブラッディ・バレンタイン等と比較されていた彼等だが、オリジナル・アルバムのリリースを重ねることでその評価を高め、ヨーロッパ、アメリカを中心に確固たる地位を築いた。そんなブロードキャストが、最後のリリースとなる2作品『Spell Blanket - Collected Demos 2006-2009』『Distant Call - Collected Demos 2000-2006』を発売。
惜しまれながらも2011年に他界したボーカルのトリッシュ・キーナンによる4トラック・テープとミニディスクの膨大なアーカイブから集められた曲とスケッチで構成されている『Spell Blanket - Collected Demos 2006-2009』は、ブロードキャストの5枚目のアルバムになるはずだった楽曲群が下地となっており、2005年リリースの『Tender Buttons』後、2006年から2009年にかけて、トリッシュとジェイムズ・カーギルが取り組んだ創作過程を知ることができる作品。
『Distant Call - Collected Demos 2000-2006』は『Spell Blanket - Collected Demos 2006-2009』とは対照的に、『Haha Sound』、『Tender Buttons』、『The Future Crayon』に収録された楽曲の初期のデモ音源を集めたものである。また、トリッシュの死後にジェイムズが発見した2曲「Come Back to Me」「Please Call to Book」も収録されている。この曲は2006年にバンドによって実施された『Let’s Write A Song』プロジェクトーーファンからポストカードに綴った歌詞を募集し、それをもとに楽曲を作ったーーに対するトリッシュのファンへの返答が散りばめられている。

Suzanne Kraftらが関わる新レーベル〈Soft Rock For Hard Times〉より、軽やかでメロウ、そして少しサイケなバレアリック・ロックをおさめたBrochureの7インチ『Joking』が登場。A面「Joking」は、柔らかいギターと淡いシンセが揺れる、心地よく軽いバレアリック・グルーヴ。ケベックのポップ、ディスコ・シンガーであるCeline Lomezが1970年代に発表した哀愁あるミディアム・ナンバーのカバーで、70〜80年代の甘さを、現代的なローファイ質感で包んだような、ゆるくトランスするソフトロックといったムード。B面にはUniversal CaveのコアメンバーOsprey2によるリミックスを収録。ディレイやエフェクトを深く効かせながらも、ファンキーで推進力のあるクラウトロック的な魅力も感じさせる、奇妙でサイケデリックな仕上がり。

現代アート・レコードの歴史的指南書『Broken Music』、1989年ドイツDAADより出版以来プレミアム状態だった一冊が待望の増版。
Vito Acconci, albrecht d., Joseph Beuys, Laurie Anderson, Guillaume Apollinaire, Karel Appel, Antonin Artaud, John Baldessari, Hugo Ball, Harry Bertoia, William S. Burroughs, John Cage, Henri Chopin, Henning Christiansen, William Copley, Philip Corner, Merce Cunningham, Hanne Darboven, Jim Dine, Jean Dubuffet, Marcel Duchamp, Fischli/Weiss, R. Buckminster Fuller, Allen Ginsberg, Philip Glass, Jack Goldstein, Hans Haacke, Richard Hamilton, Bernard Heidsieck, Isidore Isou, Marcel Janco, Allan Kaprow, Martin Kippenberger, Milan Knízák, Christina Kubisch, Laibach, John Lennon, Hermann Nitsch, Claes Oldenburg, Yoko Ono, Dennis Oppenheim, Nam June Paik, Tom Philips, Robert Rauschenberg, The Red Crayola, Jim Rosenquist, Dieter Roth, Gerhard Rühm, Conrad Schnitzler, Kurt Schwitters, selten gehörte Musik, Richard Serra, Robert Smithson, Michael Snow, Jean Tinguely, Yoshi Wada, William Wegman and Lawrence Weiner, 他掲載。200mm × 260mm / 280P

リトアニアの実験ロック、電子音楽作家Brokenchordによる、クラウトロックのモータリックなグルーヴと、電子音楽出身らしい緻密な音響処理が交差するハイブリッドなロック作品 『Lima Echo Crack!』が〈South of North〉から登場。直進的な反復ビート、ざらついたギター、重心の低いドラムが推進力を生み、長尺トラックではサイケデリックな気配もじわりと広がる。ノイズや残響の質感と結びつく、少し不気味でダークなイメージと、電子音楽の精度を保ちながら、ロックの粗さや生々しさを前面に押し出した、クラウトロック、スペースロック、アンビエント、ポストロックの境界を横断しながら、独自への世界へと誘う充実の一枚。

アフリカとアジアの影響をしっかりと取り入れ、よりワールドワイドなサウンドへと踏み出したこの8曲の多彩なトラックには、Dara、Aiisha、Kwesi Gilbert Northern、AyidaTengemanaのヴォーカルに加え、カホン等のような南米のパーカッション、アフリカのコラ、シタール、日本の琴やフルート等を用い、Alice Coltraneにも通じるスピリチュアルな内容となっています。
