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ナポリ拠点のプロデューサーNPLGNNによる、ローカルなストリート感覚と実験的ベース・ミュージックの文脈が自然に交差する、最新作『BABYLON INNA ’A CAPA MI』。ロウ・テクノ、ステッパーズ、ダンスホール、ポスト・インダストリアルが混ざり合い、荒く削れた低域とざらついた質感が全編を貫く。反復の中で細かな変化が続くことで、都市の圧力、夜のざわめき、サイレンの残響といったナポリの音風景が抽象化されて立ち上がるかのよう。ビートは直線的ではなく、圧力と質感で前へ進むタイプ。金属的なノイズや壊れかけたスピーカーのような歪みが、むしろ作品の美学として機能している。身体性の強いステッパーズ的な重心と、ブレイクスの跳ねる感覚が同居し、クラブの強度を持ちながら、リスニングでも音響的な細部を楽しめる構造になっている。ナポリの地下ダンスの現在形を示すと同時に、UK、ベルリン周辺の実験的ベース・ミュージックとも共振する一枚。

ブラジル・マセイオ出身のシンガーソングライター、Bruno Berleがロンドン、サンパウロ、ミナスジェライス、ドイツ、マセイオを巡りながら制作した、柔らかい歌声と透明な音像で描いた現代ブラジル音楽の重要作『Sem Fronteiras』。アコースティック・ギター、控えめなシンセ、軽いパーカッションが水彩画のように薄いレイヤーで重なり、どの曲も朝の窓を開けた瞬間のようにすがすがしい。ギターのアルペジオが静かに煌めき、朝の光をそのまま音にしたような柔らかいトラックに、低いテンションのビートと淡いメロディが穏やかに揺れる。MPB、インディ・フォーク、ソフト・ポップが透明な質感で自然に溶け合い、Bruno Berleの詩的な世界観が静かに広がる、現行ブラジル音楽の中でも特に繊細で美しい作品。

10月9日発売。Mats ErlandssonとGus Loxboによる初の正式コラボレーション作『Minnets Långa Kedjor』がスウェーデンの電子音響レーベル〈Xkatedral〉から登場。25年以上の友人関係と共演歴を持つ二人が、故郷Bergslagenの風景や記憶を起点に、即興演奏の衝動とスタジオでの電子処理を重ね合わせて構築した長尺音響作品。ダブルベースがつくる地層のような重さと、テープ処理された電子音の霧を中心に、即興で生まれた一瞬の響きが引き延ばされ、逆に長い残響が切り取られることで、時間の感覚がゆっくりと歪んでいく。倍音の細い線が揺れ続けるドローン、擦過音のざらざらした感触、暗い重心を持つドゥーム的な質感が交差し、北欧の風景の影が音に染み込む。電子音響の精密さと、生演奏のフィジカルな振動が自然に重なる、〈Xkatedral〉の美学を体現するかのような、静かで深い音の連なり。

10月9日発売。Mountainsの片翼として知られるKoen Holtkampによる、ブルックリンからハドソン・バレーの自然環境へ移住したことを契機に生まれた、静けさと観察のための実験室内楽作品『Nightlife』。深夜のセッションを中心に制作され、モジュラー・シンセの実験から派生した電子的撥弦楽器のような物理モデリング音を核にしながら、Greg Fox(ドラム)、Matt Bauder(サックス/フルート)、Ben Vida(シンセ・ベース)らの生演奏がしっかりとした身体性とリズムを与えている。電子音の質感は繊細だが、演奏の呼吸が作品の中心にあり、ドラムの推進力、サックスやフルートの柔らかな揺らぎ、電子的撥弦音の微細なニュアンスが同じ空間で交差し、アンサンブルのようでありながら、各音が独立したレイヤーとして配置される多層的な音場が広がる。レイヤーは薄いのに奥行きが深く、静けさの中で音がゆっくりと動き続ける、夜の時間特有の集中と観察の感覚がそのまま音楽として立ち上がる。実験音響の精度と生楽器の演奏感が自然に溶け合う、空間と質感への意識が研ぎ澄まされた作品。
10月9日発売。メルボルンのインスト・ファンク集団Karate Boogalooによる、20年近く磨き続けてきたミニマル・ファンクの美学を純度高く結晶させた最新作『Access All Areas』。俳句のように簡潔をテーマに、ひとつのアイデアを極限まで研ぎ澄ませた楽曲が並び、録音方法も余計な装飾を徹底的に排除し、シンプル。ギター、オルガン、ベース、ドラムの輪郭が驚くほどくっきりと浮かび上がる。乾いたドラムの間、粘りのあるベースライン、構造そのものを形づくるギターのリフ、控えめながらグルーヴに柔らかい層を与えるオルガン。どの曲もひとつのフレーズを完璧に仕上げるという姿勢が貫かれている。短く、強く、覚えやすい曲が連続し、アルバム全体が軽やかでありながら深い。The MetersやBooker T & The MG’sの伝統を継承しつつ、現代的なミニマル感覚で再構築した引き算のファンクの到達点。

10月2日発売。カナダのオールドタイム・バンジョー奏者Allison de Grootと、〈Third Man Records〉等からのリリースで知られるナッシュビルの実験的プロデューサーRich Ruthによるコラボレーション。当初のソロ制作から約1年におよぶセッションを経て共同作へと昇華、ディレイやルーパーを施したバンジョーが刻む繰り返しのミニマルなフレーズは、クラウトロック的な力強い推進力を獲得。そこに重厚なシンセサイザーやシネマティックなバイオリン、空間を押し広げるペダル・スティールが重なり合う。無機質な電子音やヴィブラフォンと、野鳥の鳴き声やラジオの断片といった有機的な素朴さが混ざり合い、大地に根ざした温かみと広大な宇宙感覚が同居するサイケデリックな音響世界を構築している。アメリカン・トラッドの伝統的な手触りと、スピリチュアル・ジャズやアンビエントの実験精神が見事に溶け込んだ、新しい共有空間。

音響作家の内田輝と世界的写真家である山本昌男が、フランスの美術・音楽レーベル〈IIKKI〉を舞台に手掛けてきたコラボレーション三部作の完結編『Nusa』。光を描いた第1作『Sasanami』、闇を探求した第2作『Kurayami』を経て辿り着いた本作は、対立する二つの要素が互いを引き立て合い補完し合う光と闇の双極性をテーマとしており、2026年初頭に両者が共に赴いた北海道にて、流氷や極寒の自然現象から捉えられた透明なフィールド・レコーディングを組み込み構築。凛とした気品を漂わせる繊細な演奏と、厳しい冬の空気や氷の響きが交錯し、山本のモノクロームな写真世界と呼応するように静謐で詩的なグラデーションを描き出している。光と闇の狭間で静かに息づく、人間の気配と自然の静けさを捉えた音響作品。

アンビエント、エレクトロニカ界の重鎮、Arovaneと名門〈12k〉の主宰者Taylor Deupreeによるコラボレーション第2弾『Enth』。2022年の名作『Skal_Ghost』に続き、長年の親交と音楽テクノロジーへの飽くなき探求心によって結実した、現代電子音響作品で、ギターの柔らかな残響や電子音、フィールド・レコーディングの素材が、エフェクトやDSP処理を通じて幾重にも加工・再加工され、有機的なループと精緻なレイヤーとして静かに重ね合わせられていく。Deupreeの真骨頂である温かみあふれるアコースティックのテクスチャーと、Arovaneの細密なミクロ・グリッチ、電子音響手法が見事に溶け合い、刻一刻と表情を変える静謐で美しい音像を描き出している。年輪を感じるディープで細やかな音響美学が凝縮された一枚。
OpitopeやILLUHAのメンバーであり東洋医学の領域でも活動するTomoyoshi Dateと、ベルギーの音響作家Stijn Hüwelsによるコラボレーション第3弾『Tatemono (建物)』。Dateが紡ぐ温かみあるアコースティック音響とわずかなデジタル処理の微細な響きに、Hüwelsのトレードマークである幾層にも重なるギターの残響と透明度の高いフィールド・レコーディングが優しく調和。アルバム名『建物』が示すように、建造物の中を巡る光のうつろいや静かな空気の揺らぎそのものを音として捉えたかのような、透き通ったミニマル・ドローン空間を作り上げている。東洋的な間の美学と洗練された欧州ミニマリズムが見事に融合した、凛とした抒情性を湛えるアコースティック・アンビエント。二人の親密な音響対話が結実した、静寂美。

神奈川出身、東京を拠点に活動する音響作家iu takahashiによる、フランスの〈LAAPS〉からの2作目となるフルアルバム『Ipsum』。吉村弘や芦川聡らに代表される1980年代日本の環境音楽の精神を受け継ぎ、聴き手の無意識や日常の景色にそっと寄り添うサウンドを探求したもので、シンガーとしての背景を感じさせる繊細で澄んだ声の断片、アナログ/デジタル・シンセサイザーの静かな持続音、そして微細な環境音が優しく融和。余計な装飾を削ぎ落とした透明感あふれる音響テクスチャーが、澄み渡る空間の空気のように、柔らかくグラデーションを描いていく。空間の気配と美しく調和する余白の美学が惜しみなく注ぎ込まれたジャパニーズ・アンビエント。
ニューヨーク、ブルックリンを拠点とする、最前線の実験音楽・現代音楽・パフォーマンスアートを支援する非営利のアートスペースISSUE Project Roomのオンライン・コラボレーション委嘱シリーズ「Distant Pairs」の、先端電子音響家Max Eilbacherと現代チェロの第一人者Lucy Railtonによる、アコースティックとデジタルの境界を探求した先端音響ドキュメント『Indifferent Rocks Are Rearranged into a Dam』。Lucy Railtonが奏でるチェロの倍音スペクトルや急激なピッチ変動を微細なレベルまで解析・デジタル分解し、Max Eilbacherの精密な合成技術によって再構築。重厚な低域から鼓膜に刺さる高域までが交錯するスペクトラルなドローン空間の中で、擦弦のリアルな感触とコンピュータによる極小のシミュレーションが判別不可能なほどに交じり合う。GRMの初期電子音響実験が提示した生音と電子音の間の哲学を現代にアップデートしたかのようなスリリングな現代音響。

10月中旬再入荷。ウィリアム・バシンスキの金字塔的作品『The Disintegration Loops』が、ローリー・アンダーソンのライナーノーツとジョシュ・ボナティによる最新リマスタリング、オリジナル・アートワークの修復版を収録した豪華仕様で再発。本作は、テープの物理的な劣化をそのまま録音したループ素材によって、音が徐々に崩れゆく過程を追った全4作構成の作品。もともとは1970年代から続けていたミニマル/テープ実験のアーカイブを再生中、磁性体が剥がれ落ちていくことに気づいたバシンスキーが、それをそのまま録音しながらリバーブを加えて仕上げたもの。偶然とはいえ、9.11の朝に完成し、その日バシンスキの自宅屋上で友人と一緒に最初の曲を再生しながら事件を目撃したという経緯もあり、リリース当時から喪失と記憶の音の碑として多くの人に深く受け止められた。2000年代以降のアンビエント/サウンドアートを語る上で避けて通れない傑作であり、時間が音になったかのような体験をもたらしてくれる作品。

10月中旬再入荷。INA-GRMのディレクターとしても知られる電子音響作家Kassel Jaeger が、〈Shelter Press〉からリリースする最新作。タイトルの『Sub Re』はラテン語で「物質の下」を意味し、音の素材そのものの下層に潜む力学や気配を探るというコンセプトが貫かれている。ヴェネツィア・ビエンナーレやシオン・サウンド・ビエンナーレで発表された作品を発展させた楽曲も収録し、近年の活動を総括するような内容だ。フィールド録音、電子音、アコースティック楽器の断片が出自を失ったまま重なり合い、濃密な音塊とほとんど無音に近い空間が波のように交互に押し寄せる。低域のうねりや微細な粒子のざわめきが、海底の圧や巨大な構造物の影を思わせるスケール感を生み出し、聴き手を物質の下へと引きずり込むような深い没入を誘う。GRMの系譜を継ぎながら、静謐な〈Shelter Press〉の美学とも響き合う、現代電子音響の最前線。

90年代後半のエモ・リバイバルの重要バンドのひとつとして知られ、後のインディー/ポストロック系バンドにも影響を与えたJejuneが1998年に発表したセカンド・アルバム『This Afternoons Malady』が〈Numero〉より再発。美しいメロディーと緻密なアレンジが際立ち、エモ的な激情だけでなく、インディー・ロックやポストロック的要素も取り込み、幅広い音楽性を展開。その完成度の高さからJejuneのキャリアを決定づけた本作は、90年代エモの美学を完成させた作品であり、エモとインディー・ロック双方の文脈で語り継がれる名盤。

USスロウコアの象徴DusterのClay PartonとCanaan Dove Amber、そしてノースカロライナのサンプリング作家Dirty Art ClubによるユニットSoojのデビュー作が〈Numero Group〉から登場。Dusterらしい沈み込むようなスロウコアの質感に、Dirty Art Clubのテープヒスやコラージュ処理が重なり、音は輪郭を失いながらもどこか温かい。ギターのフレーズは霧の中でゆっくりと漂い、サンプルは記憶の断片のように浮かんでは消える。深夜の部屋で灯りを落として聴くと、空気そのものが変質していくような没入感がある。Dusterのリイシューを全面的に手がけ、彼らの再評価を決定づけた 〈Numero Group〉からのリリースであることも相まって、90年代のスロウコアという遺産が、現代のサンプリング・アートと出会うことで、いかに新しいサイケデリアへと変容したかを示す一枚。Dusterの静かな憂鬱が、サンプルの波に溶けて消えていく様は、時間が経って、一番底に静かに溜まった、純度の高い残り香のよう。
1900年代初頭からミンストレル、ヴォードヴィルを巡業し、Mother of the Bluesと呼ばれるブルース黎明期の最重要人物Ma Raineyが〈Paramount〉に残した1923〜1928年の録音を、最良の78回転盤から丁寧に修復し、未発表テイクやテスト盤まで含めてまとめた決定版ボックス『Mother of the Blues: The Complete Paramount Recordings 1923–1928』。Louis Armstrong、Thomas A. Dorsey、Blind Blake、Lovie Austinら初期ジャズ、ブルースの重要人物が参加した歴史的セッションが、忠実性重視のリマスターによって鮮やかに蘇る。Ma Raineyの歌は、語りと叫びと笑いがひとつの流れとして立ち上がる力強い表現で、都市の喧騒と南部の土臭さが同居する独特のブルース世界を形づくる。録音技術がまだ粗い時代ならではの距離感や空気感が逆に生々しい。100年の時を超えて、聴く者の魂を揺さぶり続ける不滅の歌声。100ページ超のハードカバー本には未公開写真や詳細な伝記、広告、契約書、完全ディスコグラフィが収録され、資料性も圧倒的。ブルース、ジャズを深く辿る至高の文化遺産。

メルボルンを拠点とする音楽家Dylan Youngによるソロ・プロジェクトWay Dynamicの最新作『Massive Shoe』が〈Jagjaguwar〉より登場。ほぼ全パートを自ら演奏し、ミニマル・フォークポップと室内楽的アレンジを融合させた 独自のサウンド。アコースティックな質感を軸にしながら、ストリングス、クラリネット、ペダルスティールなどが柔らかいレイヤーとして重なっていく繊細な音作り。ミニマルな構造なのに、細部の音がきらめき、軽やかさと緻密さが同居する。Youngのファルセットは風に乗るように軽く、透明な空気をつくり出し、メロディは親しみやすいが、アレンジはバロック・ポップ的な室内楽の影を感じさせ、60年代のソフトロックや現代インディーの感覚が自然に溶け合っている。
オランダ・テクノのオリジネイターSteve Rachmadが、キャリア45周年の節目に提示する、クラブ・トラックから大きく離れ、シンフォニックな広がりとアンビエントの静けさを中心に据えた新しい電子音楽作品『Light And Time』。パンデミック期に映画音楽の研究へのめり込み、オーケストラ編成のレイヤー構築を独学で習得したことが、本作の音響的な基盤となっている。録音された演奏者の揺らぎや、人間的な誤差をそのまま取り込むことで、これまでの機械的な精度とは異なる質感が生まれている。ストリングスのレイヤーとシンセの柔らかな揺らぎが自然に交差し、調和的なパッセージがゆっくりと展開。低域のパルスやざらついたリズムが影として存在し、Rachmad のテクノ的ルーツを抽象的に示す。長年のキャリアを再定義するような、静かで深い到達点を感じさせる音楽性で、空間の広がりや質感の変化をじっくり味わうためのシンフォニック電子音楽。

10月中旬再入荷。Jack DeJohnette、John Medeski、Karl Berger、Lenny White、Ben Perowskyなど、ジャズ界の重鎮が多数参加。ハードコア史に名を刻むBad Brainsの共同創設者で、ベーシスト、Darryl Jeniferによる最新インストゥルメンタル作品 『The Weather Channel』。2010年のソロ作『In Search of Black Judas』以来となる、十数年ぶりのソロ名義アルバム。ジャズの即興性と、Darryl Jeniferが持つパンク、ダブの精神性を軸にした深いグルーヴと多層的な音像がアルバム全体を貫いている。Bad Brainsのエネルギーをそのまま持ち込むのではなく、スピリットを抽出し、ジャズの言語で再翻訳したようなアプローチで、空間処理の効いたダブ、鍵盤が描くサイケデリックな感覚、デジョネットらが生み出すしなやかなリズム、それらが重なり合い、ジャズ、フュージョン、ダブ、サイケ、パンクが交差する探求的なサウンド。Bad Brainsの名曲『Sacred Love』『Re-Ignition』の再構築版を含む意欲作。

Funkadelicが1971年に残したサイケデリック・ファンクの金字塔『Maggot Brain』。A面を飾るタイトル曲「Maggot Brain」は、LSDに浸りきっていたジョージ・クリントンがギタリストのエディ・ヘイズルに、前半は「母親が死んだと聞かされた時のように弾け」、そして「その後、母親が生きていたと知った時のように弾け」と指示したという逸話で知られる10分超のソロ・パフォーマンス。圧倒的な存在感を放つ、ロック史に残る名演。アルバム後半では、フォーキーなコーラスが心地よい「Can You Get To That」、ハードロック的なギターが炸裂する「Super Stupid」、ノイズとジャムが渦巻く「Wars of Armageddon」など、サイケ、ファンク、ロックが混ざり合うP-Funkの原点が展開。一発録りで収録された絶望と悲壮感漂う表題曲をはじめ、ファンカデリック史上最高傑作と名高い1971年発表のアルバム。

10月中旬再入荷。90年代後半のエモ・リバイバルの重要バンドのひとつとして知られ、後のインディー/ポストロック系バンドにも影響を与えたJejuneが1997年に発表したデビュー・アルバム『Junk』が〈Numero〉より再発。デュアル・ヴォーカルとメロディックなギターリフが織りなす生々しいサウンドは当時のアンダーグラウンド・シーンを象徴する一枚!

90年代エモ/インディーの隠れた名バンドJejuneの全スタジオ録音を網羅した、〈Numero Group〉渾身の3CDボックス『Wait A Lifetime』。1st『Junk』、2nd『This Afternoon's Malady』、未発表に終わった3枚目のアルバムからの素材で拡張された『R.I.P.』、さらに7インチやスプリット、コンピ提供曲まで、バンドの全キャリアを一望できる決定版アーカイヴ。サウンドは、透明感のあるギターと胸に刺さる叙情性が同居する、90年代エモの青さそのもの。初期のストレートなエモ・パンクから、2ndでの洗練されたオルタナ的アプローチ、そして未完成3rdで垣間見える新たな方向性まで、バンドの変遷と成長がそのままパッケージされている。Sunny Day Real EstateやMineralに通じる叙情性を持ちながら、よりポップで開けたメロディが魅力。エモ再評価の流れの中で、バンドの全貌を知るうえで欠かせない一箱。Opaque Red Vinylの豪華仕様に加え、当時の写真や詳細なエッセイを収めたブックレットも付属し、資料性も抜群。
LAのシンガーソングライターDanny Garciaのソロ名義Reverend Baronによるアコースティック・インストゥルメンタル作品。父から祖父へと受け継がれ、自身の手に渡った一本のメキシコ製ナイロン弦ギターを携え、LA、メキシコシティ、ネブラスカを旅しながら紡いだ11曲を収録。録音にはほぼこの一本のギターのみが使用されており、その枯れた温かみのあるトーンが作品のアイデンティティとなっており、メキシコの伝統的ギターワークとアメリカーナの静けさが自然に混ざり合う。どの曲も短いスケッチのように風景が立ち上がり、歌がないことでかえって旅の記憶や土地の空気がそのまま音に染み込んでいるような親密さがある。山火事でスタジオを失った後に生まれた作品という背景もあり、音には語らない物語のような深い陰影が漂う。ニックドレイクにも通じるような、一本の古いギターが繋ぐ、一冊の旅日記のようなアルバム。

ブラジル音楽のレジェンドJoyce Morenoと、長年その音楽を支えてきた名ドラマーTutty Morenoに、アナログ・ソウルの革新者Adrian Youngeが合流し、Jazz Is Deadシリーズの枠で実現したコラボレーション作。本作は、ブラジルの巨匠João Donatoへの深い敬意から始まったセッションを基点に、彼の死後は、追悼の意を込めた作品として制作。JoyceとYoungeが共同で作曲を手がけ、Joyceの代表曲「Mandala」「Uaná Eté」「Is This Love?」の再演に加え、Youngeのインスト曲も収録。Joyceの柔らかくも芯のある歌声と、Tutty Morenoの呼吸のあるドラムが中心にあり、そこへYoungeのアレンジが重なることで、MPB、ジャズ、ソウルが有機的に溶け合う独自の世界が生まれている。アナログ録音ならではの温度感、生楽器の質感、そして即興性と詩情が同居する、豊かな音の対話。
