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アルメニア系レバノン人音楽家で、60〜70年代のアルメニア・ポップシーンの中心人物 Ara Kekedjian の70年代音源を集めた『Bourj Hammoud Groove』。ファンキーなギター、力強いドラム、キャッチーなメロディが織りなすアルメニア伝統旋律×ディスコ/シンセポップなサウンドは、当時のベイルートのアルメニア人街ブルジュ・ハンムードの文化的熱気を鮮やかに映し出す。今回の再発では詳細なライナーノーツと貴重な写真も付属し、彼の人生と音楽活動を記録するとともに、アルメニア・ポップ「Estradayin」の歴史を現代に蘇らせている。

ギタリスト羽野誠司率いるジャズ・グループ OM が1983年に発表した唯一のアルバムで、収録曲が『Midnight in Tokyo Vol.2』にも収録された、日本のエスニック・ジャズ史に残る傑作『Solar Wind』が〈Studio Mule〉から初めてのリイシュー!本作ではタブラやシタールなど民族楽器を取り入れながら、〈ECM〉のOregon, Codonaにも通じる透明感とスピリチュアルな響きが印象的。日本的な「侘び寂び」も感じさせる日本ジャズの秘宝的作品を現代に蘇らせる重要な再発。

フランコ、グラン・カレ、ドクター・ニコと、数多の伝説的な偉人たちに彩られたコンゴ音楽。彼の地の音楽への深い愛情と確かな審美眼で、超高内容の作品を復刻する〈Planet Ilunga〉より、伝説的なギタリスト、Docteur NicoことNico Kasandaと彼が率いたオーケストラAfrican Fiesta Sukisaの黄金期を包括的に集めた3枚組LP。Nico Kasandaが自身のバンド「African Fiesta Sukisa」を結成した1966年から、彼の音楽的絶頂期である1974年までの重要かつ希少な音源を年代順に収録。彼の死後40年を讃えて、長い期間をかけた準備のもと、ニコの長女であるリリアンヌ・カサンダとの緊密なパートナーシップのもと実現したという偉大なアンソロジー。アフロ・キューバン、ルンバ、チャチャ、アフロビートなどの要素が融合した、華やかで洗練されたルンバ・コンゴレーズは、キューバ音楽の影響を受けつつも、アフリカ独自の甘美なメロディと複雑なリズムが融合。心地よさの中に黒人音楽の奥深い本質を見ることができる、永遠のクラシック。楽曲解説、著名ミュージシャン、ジャーナリスト、ファン、そしてニコの取り巻きによるインタビュー、そして彼の私生活と音楽生活に関する未発表写真を掲載した大型ブックレットも付属。

コンゴ音楽への深い愛情と確かな審美眼で、超高内容の作品を復刻する〈Planet Ilunga〉より、グランド・カレことJoseph Kabasele率いるAfrican Jazzと、フランコことFranco Luambo率いるO.K. Jazzという、1960年代のコンゴ音楽を牽引した二大巨頭の共演を収めた音源を初めて一つのコンピレーションに集めた2枚組LP。収録されているのは主に1960年代初頭にAfrican Jazzのレーベル〈Surboum African Jazz〉のために録音された楽曲群で、ルンバ、ボレロ、チャチャといったラテン由来のリズムがコンゴ独自のルンバ・コンゴレーズへと昇華させていく過程を捉えている。African Jazzの華やかで洗練された雰囲気と、O.K. Jazzの野太く土着的なムードの両方が共存しており、コンゴ音楽の多様性を深く知ることができる。心地よさの中に黒人音楽の奥深い本質を見ることができる、永遠のクラシック。この作品は、両楽団の遺族公認のもとリリースされており、コンゴ音楽の源流と、その後のスークースへと繋がる発展を理解するための歴史的にも文化的にも価値の高い決定版。

フランコ、グラン・カレ、ドクター・ニコと、数多の伝説的な偉人たちに彩られたコンゴ音楽。彼の地の音楽への深い愛情と確かな審美眼で、超高内容の作品を復刻する〈Planet Ilunga〉より、コンゴ音楽の「神」と称されるギタリスト、Franco Luambo Makiadiと彼が率いたO.K. Jazzによる、キャリアの重要な移行期を捉えた貴重な2枚組LP。フランコが1968年に設立した自身のレーベル〈Les Editions Populaires〉のために録音された、1968年から1970年にかけての音源をコンパイル。フランコの特徴であるグルーヴ感あふれるギター・ソロと、複数のギターが絡み合う複雑で催眠的なアンサンブルがすでに確立されており、ルンバの持つ切ないメロディと洗練されたダンス・リズムが際立っている。後の全盛期と比べて簡潔だが、クリティカルな極めて質の高い音源となっている。心地よさの中に黒人音楽の奥深い本質を見ることができる、永遠のクラシック。

フランコ、グラン・カレ、ドクター・ニコと、数多の伝説的な偉人たちに彩られたコンゴ音楽。彼の地の音楽への深い愛情と確かな審美眼で、コンゴ音楽の黎明期を記録した歴史的に極めて重要な3枚組LPアンソロジー。1940年代後半から1960年代初頭にかけて、当時のベルギー領コンゴで活動していた最も重要なレーベルの一つ、〈Ngoma〉の膨大なカタログから厳選。ルンバ・コンゴレーズがキューバ音楽の影響を受けながら、いかにして独自のアイデンティティを確立していったか、その発展の初期段階を包括的に示している。アコースティックなギターの繊細なイントロと、優雅でメランコリックな歌唱が特徴で、後に続くエレキギター主導の激しいスークースへと繋がる、古典的で洗練されたルンバの魅力が詰まったコレクション。Grand Kallé、Docteur Nico、そしてその師であるJimmy El Wéberといった、コンゴ音楽のレジェンドたちがまだ若き日に録音した貴重なトラックも収録。LP版はCD版から抜粋したLP2枚分とレオン・ブカサの音源を中心とした別の音源をLP1枚分収録。

フランコ、グラン・カレ、ドクター・ニコと、数多の伝説的な偉人たちに彩られたコンゴ音楽。彼の地の音楽への深い愛情と確かな審美眼で、超高内容の作品を復刻する〈Planet Ilunga〉より、Grand Kalléと彼のバンド African Jazz、若き日の Manu Dibango による歴史的録音を集めた2枚組LP『Joseph Kabasele And The Creation Of Surboum African Jazz (1960–1963)』。Grand Kalléが設立したコンゴ初のコンゴ人による自主レーベル〈Surboum African Jazz〉から1960〜1963年に録音された未発表・稀少音源を多数収録。Grand Kalléの芸術性とManu Dibangoの若き才能が交差する、コンゴ音楽の黎明期とその国際的広がりを体感できる珠玉のコレクション。
フランコ、グラン・カレ、ドクター・ニコと、数多の伝説的な偉人たちに彩られたコンゴ音楽。彼の地の音楽への深い愛情と確かな審美眼で、超高内容の作品を復刻する〈Planet Ilunga〉より、1960年代初頭のAfrican Fiestaによる未発表・稀少音源を多数収録した2枚組アンソロジー『Roger Izeidi Presents Vita Matata with African Fiesta』。ギターにはDocteur Nico、ヴォーカルにはTabu Ley Rochereauなど、コンゴ音楽の巨星たちが参加しており、コンゴ音楽の黄金期を記録した珠玉のアーカイブ作品。16ページのブックレットには、Roger Izeidiによる解説、当時の写真、レーベル資料、ツアー記録などを掲載。
限定330部、ナンバリング入り。フランコ、グラン・カレ、ドクター・ニコと、数多の伝説的な偉人たちに彩られたコンゴ音楽。彼の地の音楽への深い愛情と確かな審美眼で、超高内容の作品を復刻する〈Planet Ilunga〉より、コンゴの伝説的バンドAfrican Fiestaのアンソロジー『Vita Matata with African Fiesta』から極上のアフロラテン2曲が先行シングルとして登場。A面は、African Fiestaによるリズミカルなパーカッションとギターが印象的なアフロラテン・スタイルのオリジナル曲。B面は、キューバ音楽の名曲「En Guantánamo」のカバーで、Lingala語とスペイン語が交錯する、コンゴとカリブの融合を感じさせる仕上がり。コンゴ音楽とラテン音楽の交差点を体感できる貴重な音源。

Mark FellとPat Thomasによる初のコラボレーションで、電子音楽とジャズ即興が交錯する、知的かつ感覚的な音響による対話『Reality Is Not A Theory』。シェフィールドの電子音楽シーン出身で、構造的抽象性を追求するMark Fellとジャズと現代音楽に精通した即興ピアニスト/電子音楽家Pat Thomasの両者のアプローチは対照的でありながら、音楽をただ流れるものではなく、構造化されたものとして捉える姿勢が共通しており、長尺のライブ即興が中心とした各楽章は、計算された構造と予測不能な展開が同時に存在する揺らぎの空間を形成している。音楽を通じて「時間とは何か」「主体とは誰か」を問い直す哲学的な実験であり、聴く者にもその問いを投げかける知覚の冒険ともいえる一枚。

日本のギタリスト本多信介が1991年にCDで発表したアンビエント・ジャズの名盤『晩夏』が〈Studio Mule〉より2LP仕様で再発。本多信介は伝説的バンド、はちみつぱいのギタリストとして知られ、その後ソロでアンビエント・ジャズを探求。繊細なギターのアルペジオに、クラシカルな響きやジャズ的即興が交錯する、タイトル通り「晩夏」の情緒を感じさせる、叙情的で瞑想的なサウンド。日本のアンビエント・ジャズ史における隠れた傑作でありながら、坂本龍一や細野晴臣らの流れと並ぶ独自の美学を提示した作品として再評価の進む一枚。

これまでに100枚以上の作品を発表してきた多作な実験音楽家Richard Youngsによるアンビエント最新作『Hidden』。本作ではMoog Grandmotherシンセサイザーによるランダム化されたアルペジオが核となっており、反復的で催眠的なパターンは、クラウス・シュルツェやタンジェリン・ドリームなどのクラシック作品を思わせる電子的質感。Richard Youngs特有の「アイデアを徹底的に追求する」スタイルが貫かれ、シンプルながら深い表現となっている。ベルリン・スクール的な電子音楽の伝統を継承しつつ、現代的で瞑想的な一枚。
札幌の音楽家Kuniyuki Takahashiによる、モダン・クラシカルとエスニック・ジャズが融合した静謐な音響作品『Open Window』。本作は、札幌のスタジオに差し込む光と風からインスピレーションを得て制作された作品で、Kuniyukiが長年追求してきたジャンルを越えた音楽的表現の集大成とも言える内容。A面「Open Window」は、ECM的な静けさと透明感を湛えたモダン・クラシカル。ピアノやストリングスが繊細に重なり、空間と時間が溶け合うような音響。B面「Tobira」は、エスニックな打楽器とニューエイジ的なジャズの要素が融合し、異世界への扉を開くような幻想的なサウンドスケープ。Kuniyukiらしい有機的かつ瞑想的なアプローチが全編にわたり貫かれており、クラブ・ミュージックと深いリスニング体験の境界を自在に行き来する充実作。
井上陽水が1990年に発表した名盤『ハンサムボーイ』のプロモーション用に制作された長らく入手困難だった7インチ・シングルが〈Studio Mule〉より和製バレアリック再発シリーズの一環として待望の正規リイシュー!A面「夢寝見」は、京都の伝説的ニューウェーブ・バンドep-4の川島裕二がアレンジを手がけた、夢幻的でシュールなバレアリック・ポップ。B面「紅すべり」は、アラビックな旋律とコールド・ファンクの要素が融合した隠れた名曲で、ベスト盤にも未収録の貴重な音源。井上陽水の実験的かつポップな側面を再発見できる貴重な機会であり、日本の1990年代ポップスとバレアリック感覚が交差する稀有な音源。Kuniyuki Takahashiによるオリジナル・マスターテープからのリマスタリング、オリジナル・アートワークを再現したスリーヴ仕様で万全の再発。

イタリアのダブ・テクノ・デュオBabe RootsによるセルフタイトルLP収録の楽曲を、気鋭のプロデューサーたちが再構築したモダン・ダブテクノの傑作リミックス集『Babe Roots – Remixes EP (12")』。ミニマルで深いベースが印象的なステッパーズ・ダブ「Work Hard (DB1 Remix)」、スモーキーで幽玄なダブ・テクノ「Jah Nuh Dead (Forest Drive West Remix)」、DeepChord直系のディープ・ダブ・グルーヴ「Bless Me (Mike Schommer Remix)」、原曲の精神性を保ちつつ、より瞑想的に再構築した「Sufferation Time (Babe Roots Remix)」など、DB1、Felix K、Forest Drive West、Mike Schommerたちによるリワークに加え、Babe Roots自身によるセルフ・リミックスも収録。Rhythm & SoundやDeepChordの系譜に連なる現代的なダブ・テクノを象徴するアルバム。

1970年代末から交流を持ち、ポストパンク/アヴァン・ポップの文脈で活動してきた音楽家同士であるPeter Gordon(Love of Life Orchestra)とDavid Cunningham(Flying Lizards)による、ポストモダンな実験精神とポップの遊び心が交錯する、ユニークな音響作品『The Yellow Box』。本作は、サックス、フィールドレコーディング、電子音、語りなどが交錯する多層的な音響構造とともに彼らの過去の断片的なアイデアや未発表素材を再構成したコラージュ的アルバムであり、脱構築的なリズム、再配置されたメロディ、そしてユーモアを帯びた音響実験が展開される。各トラックは1〜5分程度の短編で構成されており、断片的ながらも全体としてひとつの箱庭的世界を形成している。タイトル『The Yellow Box』が示すように、本作は“箱”というメタファーを通じて、音の収集・分類・提示という行為そのものを問い直す作品でもあり、この箱を開けることで、ポップと実験、過去と現在、構造と偶然が交錯する音響の迷宮へと誘われるような一枚。

イタリアのエレクトロアコースティック作家Giuseppe Ielasiと、マンチェスター拠点の作曲家Jack Sheenによる初めての共作『The Vestige』が〈Black Truffle〉より登場。本作は、二人に共通する「輪郭の曖昧な音」「どこにも属さない響き」への関心を出発点として、Sheenのアコースティック音源とIelasiのギターの断片を素材に、13曲の無題トラックを構築。素材は徹底的に加工され、音の質感そのものが主役となっている。音の解像度を下げ、どこまでも曖昧にすることで、聴き手は音の意味ではなく、存在感に耳を澄ませる。電子ともアコースティックとも言い切れない、感覚の中間地帯を漂う作風は、音が音であることの深みを追求すると同時に、曖昧さの美を描くような一枚。

デンマークのミニマル・アンサンブル、Copenhagen Clarinet Choirと作曲家Anders Lauge Meldgaard のコラボレーション・アルバム《Jeux d’eau》をリリース
《Jeux d’eau(ジュ・ドー)》は、実験的アンサンブル Copenhagen Clarinet Choir と、デンマークの作曲家・演奏家 Anders Lauge Meldgaard による探究的なコラボレーションから生まれた作品です。中心となるのは Meldgaard による作曲と、日本発の電子楽器 New Ondomo の演奏。この楽器は1920年代後半にフランスで生まれた最も古い電子楽器のひとつ オンド・マルトノ に着想を得て開発されたもので、Copenhagen Clarinet Choir の鮮やかなエネルギーと冒険心が、Meldgaard の音楽的ヴィジョンに生命を吹き込んでいます。
プロジェクトの着想源となったのは、イタリア・ティヴォリにある Villa d’Este の庭園を Meldgaard が訪れたことに始まります。この場所はかつて Franz Liszt や Maurice Ravel にインスピレーションを与え、彼らは同名のピアノ曲《Jeux d’eau(水の戯れ)》を作曲しました。本作もその系譜を受け継ぎながら、新たな音の旅へと聴く者を誘います。従来の作曲家たちが厳格な構造に重きを置いていたのに対し、Meldgaard はより開かれた形式を採用し、演奏者が即興的に関与できる余地を残しています。
こうした柔軟性が、ミニマル・ミュージック特有の反復の性質に、よりしなやかで心地よい響きを与えています。
コペンハーゲンの The Village で録音されたこのアルバムでは、クラリネット・クワイアの有機的な共鳴と、New Ondomo および電子音の予測不能なテクスチャが交錯する音響体験が展開されます。
《Jeux d’eau》は、構造と自由、前進と反復を絶妙に行き来する音楽です。Terry Riley や Steve Reich といったアメリカの古典的ミニマル・ミュージックに影響を受けながらも、単なる模倣にとどまらず、後期ロマン派的な抒情性を帯びたメロディと豊かなハーモニーにより、反復の厳格さがやわらげられています。加えて、Jo Kondo や Sueko Nagayo のような日本の作曲家に通じる繊細さと明快さも感じられます。作品全体は、躍動と静寂が交差する、遊び心と深みを兼ね備えた音世界を生み出しています。
この作品は、水への賛歌であると同時に、人間と自然の繊細なつながりに対する静かな問いかけでもあります。流れるような形とオープンな記譜法により、音楽は自然のダイナミクスを映し出す鏡のような存在となり、演奏者には即時の気づきと、協調、バランスへの配慮が求められます。水のように、音楽もまた変化し続けるものであり、私たちの環境が常に移ろいゆく存在であること、そしてそれを守る責任があることを、優しくも力強く伝えています。
2025年リプレス!1984年に結成され、現在も京都を拠点に第一線で活動するマルチメディア・パフォーマンス・アート・グループ、ダムタイプ (DUMB TYPE)。最初期ダムタイプシアター時代の公演のために、音楽家・山中透とグループの中心人物であった故・古橋悌二が製作したカセットブック作品「庭園の黄昏 - Every Dog Has His Day(1985年録音)」と「睡眠の計画 - Plan For Sleep (1986年録音)」の2タイトルが、初めてレコードとして同時リリースされます。
ダムタイプ創立当初、山中は主に音楽制作を担当し、古橋はその楽曲を舞台演出に落とし込む役割を果たしていました。2人の共同制作は、ダムタイプ以前に組んでいたORGやR-STILLに始まり、その時期に志向していたNEW WAVEやプログレッシヴ・ロックに加えて、ミニマル・ミュージックや前衛パフォーマンスを融合させたローリー・アンダーソン、メレディス・モンク、ロバート・ウィルソンらからの影響を受けています。さらに、当時の先鋭的なサンプリング・ミュージックやハウス・ミュージックを大胆に取り入れた独創的なアプローチは、ダムタイプのサウンドの礎となり、日本のミニマル〜アンビエント・ミュージックとパフォーマンス・アートの重要な接点として歴史に刻まれるべきものです。
「庭園の黄昏(1985年)」と同時に制作されていた本作「睡眠の計画(1986年)」の公演では、山中がサウンド・オペレーションを担当することになりました。電子オルガンの音色と印象的なピアノやサックスのフレーズがシンコペーションしながら疾走するミニマル・ナンバーで始まり、次に、機械の駆動音のようなけたたましいインダストリアル・ビートの上を様々なサウンドソースの断片が漂います。また、タイプライターのタイピング音をリズムに変えたナンバーもあり、当時はまだ新しかったサンプリング・ミュージックからインスピレーションを受けた様々な試みを展開し、パフォーマンスの身体性と見事に結びついています。
加えて映画音楽からも多大な影響を受けている山中らしい、メランコリックな旋律から世俗的なジャズなどの様々な情景を喚起させる色彩豊かなメロディが加わり、ポストモダン時代の世界中のパフォーマンス・アートのなかでも他に類を見ない、完全に独創的で洗練された世界観を構築しています。
2025年リプレス!1984年に結成され、現在も京都を拠点に第一線で活動するマルチメディア・パフォーマンス・アート・グループ、ダムタイプ (DUMB TYPE)。最初期ダムタイプシアター時代の公演のために、音楽家・山中透とグループの中心人物であった故・古橋悌二が製作したカセットブック作品「庭園の黄昏 - Every Dog Has His Day(1985年録音)」と「睡眠の計画 - Plan For Sleep (1986年録音)」の2タイトルが、初めてレコードとして同時リリースされます。
ダムタイプ創立当初、山中は主に音楽制作を担当し、古橋はその楽曲を舞台演出に落とし込む役割を果たしていました。2人の共同制作は、ダムタイプ以前に組んでいたORGやR-STILLに始まり、その時期に志向していたNEW WAVEやプログレッシヴ・ロックに加えて、ミニマル・ミュージックや前衛パフォーマンスを融合させたローリー・アンダーソン、メレディス・モンク、ロバート・ウィルソンらからの影響を受けています。さらに、当時の先鋭的なサンプリング・ミュージックやハウス・ミュージックを大胆に取り入れた独創的なアプローチは、ダムタイプのサウンドの礎となり、日本のミニマル〜アンビエント・ミュージックとパフォーマンス・アートの重要な接点として歴史に刻まれるべきものです。
本作「庭園の黄昏(1985年)」は、山中と古橋の共同制作によるダムタイプのサウンド・アイデンティティを決定づけた音楽作品となります。ピアノやシンセサイザーの反復される印象的なフレーズが重なり合うミニマルな楽曲や、さまざまな具体音のサンプリングをビートに変換した急進的なアプローチ、緻密に施されたエフェクトによって全体を霧のように覆う心地よいアンビエンス、さらにワルツやシャッフルのリズムなど、過去の音楽への敬愛とテクノロジーが融合した初期ダムタイプの象徴的なサウンドが、ここで見事に確立されています。多彩な表情を持つ楽曲たちは、駆動するノイズ、電子音、電話の話中音などの四方に飛び交うシグナルをトリガーに、浮かんでは消え、また立ち昇り、移り変わる景色を描き出しています。
NWW list!! DEBRIS’の1976年唯一作がヴァイナル再発!1976年にオクラホマ州チカシャから現れたDebrisは、アメリカ地下音楽史の中でも特異な存在で、土地柄もあって周囲から冷遇されながらも、トリオ編成でストゥージズやヴェルヴェット・アンダーグラウンド、キャプテン・ビーフハート、さらに英国グラムの影響を消化し、極めてラディカルな音を生み出した。地元スタジオの「10時間録音+1000枚プレス+ジャケット印刷」の格安パッケージに飛びついた彼らは、すべての曲をワンテイクで収録。偶然にもラモーンズの1stと同月に出たこの一枚は、ノイズ混じりのガレージ・パンクの衝動と、シンセや電子処理を導入した前衛性を併せ持つ作品となった。リリース直後にはCBGBやMax’s Kansas Cityから出演依頼も届いたが、バンドは結局地元を出ることなく解散。残された1枚のLPは、失われたカルト盤としてコレクターの垂涎の的となり、Nurse With Woundリストに名を連ねたことで伝説的地位を固めた。その影響はSonic YouthやThe Melvinsといった後続にまで及び、今ではアメリカ地下音楽の最重要記録のひとつとされている。
2020年にレースカットLPで限定50部のみ流通したCindy Leeによる秘蔵アルバム『Cat O' Nine Tails』が、〈W.25TH〉より待望の再発。『What’s Tonight to Eternity』録音直後に制作され、後の『Diamond Jubilee』に繋がる、クラシックなソングライティングとクラシカルな構成美が共存した傑作としてコアなファンの間で語り継がれてきた。アルバムは、ゴシック調の「Our Lady Of Sorrows」から幕を開け、タイトル曲の躁的なエクスペリメンタル、そしてウェスタン映画のような「Faith Restored」へと展開。映画のサントラのような構成で、特に「Love Remains」は、フリーゲルの繊細で痛々しいヴォーカルが映える感傷的なバラードで、アルバムの感情的なハイライトになっている。後半ではライヴの定番エンディング「Cat O’ Nine Tails III」、そこから名曲「I Don’t Want To Fall In Love Again」へ。親密さと異質さが絶妙に同居した一曲。ラストの「Bondage Of The Mind」まで、Cindy Leeの重要な進化の過程を刻んだような全9曲が並んでいる。ゴシック、ウェスタン、ソウル、実験音楽が溶けあう、心の奥を揺らす、「もうひとつの」60年代映画サントラ!
1万越えの高値を付けたこともある激レアなオリジナルは、2018年に自主レーベル〈CCQSK Records〉より限定100部のカセット作としてリリース。ゼロ年代後半に圧倒的人気を誇ったものの、ギタリストのChristopher Reimerの突然の死によって解散することとなってしまった現代カルガリーの伝説的ノイズ・ロック・バンド、”Women”(当時私も大好きでした...!!)のリード・シンガー、Patrick Flegelが展開してきたソロ・プロジェクト、Cindy Leeの傑作が初のアナログ・リリース!
まさにカタルシス。今は去りし全盛期のローファイ・インディ/ドリーム・ポップへの憧憬、陰鬱と寂寞と不可解・・・不気味に歪むギターと霊能的なヴォーカル・ワーク、インダストリアルなコラージュ音塊が混ざり合い、極めてオブスキュアな音像へと収束したヘヴィ・ドローン“A Cold Fog Is Still Descending (KCP Sound Collage)”、一筋縄ではいかない脱臼的センスを披露したエクスペリメンタル・ノイズ・ロック”Model Express”、Trey GruberやCharlie Megira辺りのアウトサイダーなサウンドがよぎる”Diamond Ring”といった傑出した楽曲揃い。個人的にもテン年代ベストの一角に挙げたいマスターピース!
オリジナルは15年に〈CCQSK Records〉よりプライベート・エディションのLPとしてリリースしていた傑作が〈Superior Viaduct〉傘下の〈W.25TH〉よりアナログ復刻!ゼロ年代後半に圧倒的人気を誇ったものの、ギタリストのChristopher Reimerの突然の死によって解散することとなってしまった現代カルガリーの伝説的ノイズ・ロック・バンド、”Women”(当時私も大好きでした...!!)のリード・シンガー、Patrick
Flegelが展開してきたソロ・プロジェクト、Cindy Leeの初期作『Act Of Tenderness』!まさにカタルシス。今は去りし全盛期のローファイ・インディ/ドリーム・ポップへの憧憬、陰鬱と寂寞と不可解・・・在りし日のWomenを思い出すローファイ/ドリーム・ポップ"What I Need"を始め、This Mortal Coil~Cocteau Twinsといった〈4AD〉直系のイーサリアルな世界観とインダストリアル・グラインドが溶け合っていく異形の音像"New Romance"、フィードバックする金切り声、エクストリームなノイズの衝動へとどこまでも駆られる"Bonsai Dream"など、マスターピース満載の傑作ファーストLP!ぜひご体感ください。
