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Pan Sonicの一員としてフィンランドの実験音楽シーンを牽引しつつ、尖端的なエレクトロニクスの旗手として一時代を作り上げた、今は亡き鋼鉄の漢Mika Vainio。20年代の今も尚カルト的な人気を誇る変名のØとして94年にリリースしたCD作品が、30年越しにアナログ・リイシュー。その牙城であった同国地下音楽の一大名門〈Sähkö Recordings〉に残された異端のミニマル・テクノ傑作!白と黒しか存在しないモノトーンの世界観やディレイを巧みに使用したサイケデリックなエレクトロニクス等、テクノでも実験音楽でもない独自の音楽性を十二分に発現させた内容で、A4には盟友Ilpo Vaisanenとの共作も収録されています。マスタリング&カッティングを手掛けるのは名匠Rashad Becker。
Baby In VainのAndrea Thuesenと、LissのVilhelm StrangeによるデンマークのデュオSnuggleによるデビュー作『Goodbyehouse』。退廃的でダウナーなムードと、メロウなアシッド・フォークやドリーム・ポップ的質感が交錯。アンビエントなボイス・サンプルとダウナーなギターリフが重なり、夜明けの倦怠感を描くような「Sun Tan」、Lana Del Rey的なメランコリックな歌心を感じさせる「Woman Lake」や「Marigold」など、失恋や居場所の喪失といったパーソナルな経験が作品全体のトーンに反映されている。
5月8日発売。ダンス・パンクというジャンルを作り上げたThe Raptureによるオリジナルは2011年リリースのバンド後期の代表作であり、コアラインナップによる最後のアルバム『In the Grace of Your Love』。メジャー契約での浮き沈みを経て、彼らは再び原点の〈DFA〉へ戻り、傷を抱えながらも期待や枠組みを超えて進む自由を得て制作。ダンス・パンクの躍動感とシンセ・ポップの高揚感が融合し、ハウス的反復とゴスペル的な熱量が交差する「How Deep Is Your Love?」など、ダンス・フロアを熱狂させる要素も十分にあるもの、速度を落とし、現状を見つめ、過ちよりも正しい場所で意味と愛を探し求めるというムードが全体に通底する味わい深い一枚。
5月8日発売。テキサスが生んだスロウ・クラウトの旗手The American Analog Setの第2章にあたる時期のスタジオ録音を完全収録した〈Numero Group〉渾身の6枚組ボックスセット。『Know By Heart』『Promise Of Love』『Set Free』の名作3タイトルに加え、EP『Everything Ends In Spring』、さらにシングル、B面曲、別テイク、アウトテイクを収めた2枚の追加ディスクを含む完全版。付属の36ページ・ブックレットには、ポストY2K期の写真や手書きメモがあふれんばかりに掲載され、当時の空気感をそのまま封じ込めている。淡いギターのアルペジオ、囁くようなボーカル、ミニマルな反復が生む静謐なサウンドは、スロウコア/ドリームポップの美学を凝縮したThe American Analog Setの真骨頂。

5月1日発売。Funkadelicの2ndアルバムで、デビュー作からわずか数か月後に発表された、ロック、ファンク、サイケデリアを融合し始めた初期の重要作。10分超の表題曲を筆頭に、フィードバック・ギター、エフェクトまみれのヴォーカル、空間を歪ませるオルガンが渦巻く、サイケデリック・ファンクの極北と呼べる内。LSDを用いたマラソン・セッションで制作されたという逸話が有名で、混沌と恍惚が同居するそのサウンドは、Eddie Hazelのロック的なギターと、ファンクのグルーヴがせめぎ合う、初期P-Funkならではの衝撃的なもの。サイケデリック・ロック、ファンク、P-Funkのルーツを辿るうえで欠かせない、歴史的マスターピース。45回転盤高音質仕様。

5月1日発売。Funkadelicの2ndアルバムで、デビュー作からわずか数か月後に発表された、ロック、ファンク、サイケデリアを融合し始めた初期の重要作。10分超の表題曲を筆頭に、フィードバック・ギター、エフェクトまみれのヴォーカル、空間を歪ませるオルガンが渦巻く、サイケデリック・ファンクの極北と呼べる内。LSDを用いたマラソン・セッションで制作されたという逸話が有名で、混沌と恍惚が同居するそのサウンドは、Eddie Hazelのロック的なギターと、ファンクのグルーヴがせめぎ合う、初期P-Funkならではの衝撃的なもの。サイケデリック・ロック、ファンク、P-Funkのルーツを辿るうえで欠かせない、歴史的マスターピース。

5月1日発売。「言葉が意味から解放され、音として漂い始める」というコンセプトで、話し言葉の抑揚や呼吸をそのまま音響素材として扱う独自の手法を中心に据えた、ニューヨーク拠点の作曲家Ben Vidaによる『Oblivion Seekers』。Nina Dante、Christina Vantzou、John Also Bennett、Félicia Atkinsonらが声の出演で参加。複数の声が重なり合い、ジェンダーやアクセントが流動的に混ざり合うことで、誰の声でもあり、誰の声でもない集合的な語りが立ち上がる。電子音は控えめに配置され、低いドローンや微細なノイズが声の動きを支えることで、静謐でありながら幻覚的な空間が広がる。静けさの奥で声が多層に漂い、言葉と音の境界がほどけていくその繊細な瞬間をとらえた、声のための実験音響作品。

1979〜80年に英国系ケニア人ミュージシャンJohn Lowが憧れのギタリストたちからフィンガースタイルを学ぶため、東アフリカから中部アフリカを旅しながら録音した、アフリカン・アコースティック・ギター音楽をまとめたコンピレーション。John Lowは、Jean-Bosco Mwenda、Losta Abelo、Emmanuel Mulemenaといった名手の家を訪ね、時には滞在しながら、各地に根付く伝統を丁寧に記録していった。録音は家庭の居間、村の広場、酒場など、生活の場そのもので行われ、ギターの音色に混じって、笑い声や会話、周囲の環境音が自然に入り込む。スタジオ録音では決して得られないその場の空気が刻まれており、磨き上げられた作品というより、音楽が日常の中でどのように響き、共有されていたのかをそのまま伝える、かけがえのない記録。また、Francis KitimeやMtonga Wangananguなど、当時ほとんど録音が残っていなかった奏者の演奏も収められており、文化的資料としての価値も非常に高い。多くの音源は今回が初出で、Lowが残したオリジナルテープから、Andrew Walterが丁寧に修復・リマスターを施し、当時の温度感を損なうことなく鮮やかに蘇らせている。さらに、John Low本人による解説と歌詞、タンザニアの研究者John Kitimeのコメントも収録され、地域のギター文化を深く理解できる内容になっている。〈Mississippi Records〉が愛情を込めて続けてきたアフリカン・ギター音楽の記録の系譜を受け継ぐ一枚であり、『African Guitar Box』をさらに発展させた作品。

5月上旬再入荷。Meditationsでも本当に長い間に渡って愛され続ける驚異の大名盤『Romantic Piano』でお馴染みの Gia Margaret の新作『Singing』がリリース!病によって声を失った経験から2020年リリースの『Mia Gargaret』、前作『Romantic Piano』でアンビエント寄りの作風へ踏み出した彼女が本作では声を取り戻しつつあり、一方で、その静けさと優しさはさらに深まっている。数年間声を出せなかった彼女は、代わりに音で語る方法を磨き、響きの細部と感情の精度を研ぎ澄ませてきた。その感覚は今作にも受け継がれ、ピアノの小さなフレーズや静かなアレンジが驚くほど繊細に響く。楽器、機材、アレンジ、声、ひとつひとつに深い情緒を見出し、信じること。その積み重ねが、音と音のあいだの空気までも音楽として息づかせているよう。透明なピアノの響きと、ささやくような歌声、余白が大きく、全てが控えめでありながら、静けさの中に確かな生命が灯る。Gia Margaret が沈黙の先で見つけた新しい声のかたちが、静かにしかし力強く、聴く者の心に触れてくる。

カリフォルニアを拠点に活動するマルチ奏者、プロデューサー Mitchum Yacoub による生演奏の温かさと、ダブ的な空間処理が共存する心地よいインスト・アルバム『A Way In』。レゲエ、ダブ、アフロビート、エチオジャズ、ラテン、ソウルなど多様なルーツ音楽を独自にブレンドするスタイルで知られ、本作でも、ルーツレゲエの深いベースやダブを軸にしたオーガニック・グルーヴに、ホーンセクションのアフロ的アプローチ、エチオピア音楽に通じるメロディの哀愁、ウォームかつメロウな鍵盤やギター、70年代ソウルの柔らかい質感と多様な要素が自然に溶け合っている。地球規模のルーツ・ミュージックのような、気持ちよさとプロダクションの洗練が両立した上質なアルバム。
PC Musicの中心人物にしてハイパーポップの父、A. G. Cook による、Charli XCX主演のモキュメンタリー作品映画のオリジナル・スコア『The Moment』。全10曲は、Cookが得意とする 硬質なエレクトロニックと、緊張感のあるシンセのうねりを軸に、クラブ・トラックの推進力と映画音楽としての陰影が同居する仕上がりになっている。Cookの作品らしく、メロディの断片や質感の変化がシーンの切り替わりのように立ち上がり、ポップと実験性を知的に融合させる独自の美学が研ぎ澄まされている。
1982年、オランダのカセット・レーベル〈Trumpett〉が残した、当時のアンダーグラウンドで録音されたミニマル・ウェイヴ、DIYシンセ、実験電子音楽の核心を収録した伝説的コンピレーション『Colonial Vipers』がついにLP化。収録されているのは、Van Kaye & Ignit、Ende Shneafliet、Nine Circles、Doxa Sinistraなど、オランダのホームテーピング文化を象徴するアーティストたち。安価なシンセやドラムマシンを駆使し、自宅録音ならではの生成りの荒さと創造性がそのまま刻まれている。Jos Smoldersによるリマスタリングで、当時のテープ特有の質感を残しつつも音像がクリアに蘇っているのもポイント。冷たく反復するシンセ、乾いたビート、無機質な声やノイズ。ポストパンクの緊張感と、80年代初頭の手探りの未来感が同居し、今聴いても驚くほどフレッシュ。ミニマルウェイヴ、コールドウェイヴ、DIY電子音楽の源流を知るうえで欠かせない資料性と、純粋な音の魅力が共存した一枚。
ハワイの名門〈Aloha Got Soul〉のサブレーベル〈Roots Run Deep〉から登場した、Small AxeとJahtomicによる最新7インチ『Love Attack』。2024年にデジタル公開され、ミュージックビデオが 800万回再生を突破した話題曲がついにアナログ化。マウイ島出身のシンガーSmall Axeの柔らかくソウルフルな歌声と、プロデューサーJahtomicの温かくメロウなレゲエ・プロダクションが溶け合い、ハワイ特有のトロピカルな空気感をまとった現代ラヴァーズロックの決定版といえる仕上がり。A面のオリジナルは、海風のように軽やかなグルーヴと切ないメロディが心地よく、B面のVersionはダブ処理が効いたインスト。ローカルの温度感と洗練されたモダンレゲエがしっかり息づいた幅広い方におすすめできる一曲。

アムステルダムの実験的フォーク集団From 2による、インディロックのフォーマットを借りながら、その内側で静かに構造をねじ曲げていく、フェイクのようで本物、本物のようでフェイクな独特の魅力を持つアルバム『Indie Stock』。柔らかなフォークの質感で始まったかと思えば、ノイジーなギターや奇妙にズレたリズムが突然入り込み、曲が進むほどに別の姿を見せる仕掛けが随所に潜む。ユーモラスで謎めいた楽曲が並び、フォーク、インディロック、実験音楽がゆるやかに混ざり合う。静けさと混沌、親しみやすさと奇妙さが同居するサウンドは、インディロックの枠を愛しつつ、その枠の中で遊び、裏切り、変形させていく。インディロックの新しいかたちを感じさせる注目作。
アイルランドのシンガーソングライターDavid Kittが、2001年の名盤『The Big Romance』を 全曲セルフ再録音し、さらに新曲を加えて再構築した“Kittser’s Version”が2LPで登場。オリジナルの権利問題により再発が難しかった作品を、本人が完全にコントロールできる形で再生させた25周年記念盤。プロデュースは当時と同じKen McHugh。ベッドルーム・フォークとエレクトロニカが溶け合う独特の質感はそのままに、2026年版はよりクリアで空間的なサウンドへアップデート。アコースティックの温度感と、繊細な電子音の粒立ちが共存する、成熟したBig Romanceと言える仕上がりになっている。収録曲はオリジナルの再録10曲に加え、ファン人気の高い「Saturdays」、そして新曲5曲を追加した全14曲構成。青春のきらめきを湛えたメロディに、25年の時間がもたらした深みと静けさが重なり、懐かしさと新しさが同時に立ち上がる特別な音盤。

(数量限定/ブラック・ヴァイナル/日本語帯付き/解説書封入)現代音楽シーンにおいて、静かに、しかし圧倒的な影響力を持つワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(以下OPN)が、アルバム『Tranquilizer』を〈Warp〉よりリリース。OPNならではの幻想的で超現実的なサウンド世界が姿を現す。
精神安定剤を意味する『Tranquilizer』の出発点は偶然の光景だった。歯医者の椅子に横たわり、歯に響く振動を受けながら、ふと見上げた蛍光灯のカバー。灰色のタイル天井に貼られた、青空とヤシの木のプリント−−安っぽい人工の楽園。その瞬間、OPNは問いかける。この世界の音とは何か。日常と非日常がかろうじて均衡を保ちながら共存する、この薄っぺらな現実の音とは。
さらに、数年前、インターネット・アーカイブから、巨大なサンプル・ライブラリがインターネットから忽然と消えた事件も創作の引き金となった。90年代から2000年代にかけての何百枚ものクラシックなサンプルCD−−シーケンス、ビート、パッド、バーチャル楽器。『サイレントヒル』から『X-ファイル』まで、数え切れない作品に陰影を与えてきた音源たちが、一瞬にして闇に呑み込まれたという出来事。それは文化の断絶、時代の記憶を繋ぐ回線が無慈悲に断ち切られるような体験だった。幸いにも、失われかけた音の断片は再び救出され、文化的アーカイブとして息を吹き返す。本作は、過去への逃避とは何を意味するのか、そしてその先に何が待っているのかを問いかけ、超現実的でディープなテクスチャーで聴く者を包み込む。
失われた音の断片をもとに、『Tranquilizer』は音の幻覚を描き出す。静謐なアンビエンスがデジタルの混沌へとねじれ、日常の質感は感情の奔流へと変容する。忘却と廃退に形づくられたレコード。現実と非現実の境界はぼやけ、サンプルはノイズへと溶け込み、夢の中で扉がきしむ音を立てる。今作のOPNは、これまで以上に没入的だ。ノスタルジーではなく、失われた音を新しい感情の器として再構築している。
アートワークは、インディアナ州を拠点とするアーティスト、アブナー・ハーシュバーガーによって描かれた絵画で、アブナーが育ったノースダコタの平原を抽象的かつ有機的に再構築している。忘れ去られた素材や農村風景に根ざしたそのビジュアルは、『Tranquilizer』のテーマである崩壊、記憶、クラフト感と呼応する。
過去20年にわたり、OPNは世界有数の実験的エレクトロニック・ミュージックのプロデューサー/作曲家としてその名を確立し、21世紀の音楽表現を刷新し続けている。初期の『Eccojams』はヴェイパーウェイヴを生み出し、『R Plus Seven』や『Garden of Delete』といった作品はデジタル時代のアンビエント/実験音楽を再定義した。さらに、サフディ兄弟の『グッド・タイム (原題:Good Time)』と『アンカット・ダイヤモンド (原題:Uncut Gems)』やソフィア・コッポラの『ブリングリング (原題:The Bling Ring)』の映画音楽を手がけ、今年最も注目を集める映画のひとつであるジョシュ・サフディ監督作『Marty Supreme』の音楽も担当。またザ・ウィークエンド、チャーリーXCX、イギー・ポップ、デヴィッド・バーン、アノーニとのコラボレーションでも知られている。

(数量限定/日本語帯付/解説書封入)デジタル音響と静謐な美しさが共存する、OPNの評価を決定づけた名作!実験音楽から現代音楽までを自在に横断し、電子音楽の表現領域を拡張し続けるワンオートリックス・ポイント・ネヴァーことダニエル・ロパティン。ドローンから現代音楽的な構築美までを往還するその手腕は、同時代において他の追随を許さない。本作『R Plus Seven』には、これまでの歩みを知るリスナーにとって馴染み深い要素が随所に息づきながらも、過去作を大きく飛躍する新たな表現が刻み込まれている。抽象的な音の断片が幾重にも重なり合い、やがて絵画的なイメージとして立ち上がるその音楽は、破壊性と催眠性を同時に内包する。聴き手はただ身を委ねることで音の奥行きへと静かに沈み込み、やがて言葉の届かない場所へと導かれていく。

(数量限定/日本語帯付き/解説書封入)1990年から1994年の間に制作され楽曲をまとめ、1995年にリリースされた移籍後2枚目となるアルバム。初期のアンビエントやIDM、ハードコア・テクノを踏襲しながら、アシッドやノイズ、“ドリルンベース”とも形容される破綻したビートを搭載するなどエイフェックス・ツイン二面性や多様性を網羅する一枚。強烈なインダストリアル・ダウンテンポが炸裂したシングル「Ventolin」や、「Xtal」と並べて語られる名曲「Alberto Balsalm」を含む全12曲を収録。180g重量盤。
ジャマイカ音楽の深層に眠っていたスピリチュアル・レゲエ/アフロ・ジャズの名演が、〈TOTAL SOUNDS〉により、特に評価の高い音源をまとめたオリジナルLP構成に近い編集盤として復活。Cedric “Im” Brooks が率いたThe Light Of Sabaは、ルーツ・レゲエ、ナイヤビンギ、アフロ、ジャズを独自に融合した先鋭的なグループで、スピリチュアルなパーカッションとジャズ的アプローチが交差する、ジャマイカ音楽のもうひとつの可能性を示す内容になっている。収録曲には、アフロ・カリビアンの躍動が炸裂する「Sabasi」、Horace Silverの名曲をジャマイカ流に再構築した「Song For My Father」、祈りのムードが漂う「Words Of Wisdom」など、ジャンルを越境する名演が並ぶ。ナイヤビンギの霊性とジャズの自由度が溶け合い、ルーツ・レゲエの枠を超えた深い音楽性が際立つ一枚。

(数量限定/日本語帯付き/解説書封入)アンビエント・ジャズの傑作『Space 1.8』から3年振りとなる、ナラ・シネフロによるニュー・アルバム『Endlessness』完成。
ジャズの感性、ハープとモジュラー・シンセが奏でる瞑想的なサウンド、そしてフォーク音楽やフィールドレコーディングを融合させた独特の世界観で、広く賞賛を集めるナラ・シネフロが、3年振りとなる待望のニュー・アルバム『Endlessness』を完成させた。
カリブ系ベルギー人の作曲家でミュージシャンのナラ・シネフロ。話題を呼んだ2021年のデビュー・アルバム『Space 1.8』は、サックス奏者のヌバイア・ガルシアやジェームス・ モリソン (エズラ・コレクティヴ) をはじめ、新世代UKジャズ・シーンの最前線の面々の参加を得つつ、当時22歳のナラが作曲、プロデュース、演奏、エンジニアリング、録音、ミキシングを行い創り上げた。その静かな狂気と温かな歓喜に満ちたサウンドは、主要音楽メディアがこぞって大絶賛、ここ日本でも異例のロングヒットを記録している。
そんなナラ・シネフロが3年の時を経て完成させたニュー・アルバム『Endlessness』は、輪廻の概念を深く掘り下げた作品となっている。45分に及ぶアルバム全編を通してシンセサイザーが奏でるアルペジオが鳴り響く、精巧に練られた10曲で構成され、生命のサイクルと再生を祝福する壮大かつ魅惑的な祝祭を作り出している。ジャズ、オーケストラ、エレクトロニック・ミュージックを見事に溶け合わせるナラの超越的かつ多次元的な作曲家としての才能は、本作において、さらなる進化を遂げている。
本作に参加しているのはココロコのシーラ・モーリスグレイ、ブラック・ミディのモーガン・シンプソン、エズラ・コレクティヴのジェームス・ モリソンの他、ライル・バートン、ヌバイア・ガルシア、ナシェット・ワキリ、ドウェイン・キルヴィントンといった新世代UKジャズ・シーンきってのミュージシャン、さらに若手音楽家からなるオーケストレートに所属する21人の弦楽器奏者が参加。ナラの巧みなバランス感覚を活かしたプロダクション、アレンジメント、エンジニアリングは、これらのミュージシャンたちを最小限のエフェクトだけで輝かせ、直接的かつ表面的な美しさと、その奥に存在する深みをシームレスに繋いでみせている。

シカゴ・ハウスの創始者のひとりにして、ディープ・ハウスの精神そのものと言えるLarry Heard=Mr. Fingers。その最新アルバム『Leev Ur Mynd』が、自身のレーベル〈Alleviated Records〉からリリース。低く沈むキックと柔らかなパッドが重なり、深海のような静けさを持つグルーヴ、夜の都会を思わせる洗練されたムードを形成するジャズ/R&Bのニュアンスを含むコードワーク、宇宙的でアンビエントなサウンドデザインが溶け合う、成熟したMr. Fingersの現在地を示す2LPで、収録曲には、浮遊感のあるシンセが広がる「Enceladus 5」、タイトル曲「Leev Ur Mynd」のミスティックなグルーヴ、シンガーBriannaを迎えた温度感のあるボーカル曲など、深い没入感とソウルフルな質感が共存。ディープ・ハウスの歴史を更新し続けるレジェンドだからこそ提示できる、普遍的かつ新しい到達点。深淵なる平穏に満ちた、自室と宇宙を繋ぐマスターピース。
1970年代エチオピア音楽の黄金期を象徴する名コンピレーション『Ethiopian Hit Parade Vol.1』が、〈Amha Records〉のアーカイブから蘇る。本作は、レーベル創設者Amha Esheteが手がけたレーベル公式コンピレーション・シリーズの第一弾で、1972年当時、アディスのクラブやラジオで人気を集めたシングル音源を中心に構成され、エチオジャズ/エチオソウルの核心をそのまま閉じ込めた内容となっている。エチオピアのエルヴィス、Alemayehu Esheteのソウルフルな歌唱、ピアニスト/作編曲家Girma Beyeneの洗練されたアレンジ、Mulatu Astatkeの代表曲「Yekermo Sew」など、黄金期を象徴する名曲がずらり。五音音階を基調にした独特の旋律、ブルージーなホーン、重心の低いグルーヴが絡み合い、70年代アディスの夜の空気がそのまま立ち上がるようなムードを生み出している。

ベニン音楽史の中でもひときわ謎に包まれた人物Antoine Dougbéが、ベナン最強バンドOrchestre Poly‑Rythmo de Cotonouと共に残した1977〜82年の音源をまとめた〈Analog Africa〉の発掘盤。Dougbéはベニン南部アボメイ出身の作曲家で、自身も ヴォドゥン信仰のイニシエート。悪魔の宰相と自称したことでも知られ、精霊信仰の儀礼音楽をポップへ落とし込む独自の作風を築いた。興味深いのは、彼が歌手でも演奏者でもなく、作曲家としてPoly‑Rythmoに楽曲を提供する形で作品を残した点で、歌唱はLohento EskillやAmsou Williamが担当し、バンドの圧倒的な演奏力がドゥーベの楽曲を鮮やかなアフロ・グルーヴへと昇華させている。収録曲では、コンゴ風ダンス・リズム、ルンバの軽快さ、重層的に絡むギター、熱気あふれるホーンが炸裂。アフロ・ラテン、ファンク、そしてヴォドゥン儀礼のリズムが交差するサウンドは、1970年代西アフリカ音楽の最も創造的な瞬間を捉えたものと言える。ヴォドゥンの精神文化とアフロ・ラテンの躍動が溶け合う、ベニン音楽の知られざる傑作。
