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ドイツ系スペイン人アーティスト、ウォルフガング・ペレスがリオ・デ・ジャネイロでの18か月におよぶ滞在と交流を経て完成させた、ブラジル音楽への深い愛情にあふれたアルバム『Só Ouço』。ジルベルト・ジルやトン・ゼー、ジョアン・ジルベルトといったブラジル音楽のレジェンドたちのエッセンスを、現代的でアートポップな感覚に落とし込んだ作品になっていて、ボサノヴァの柔らかさやサンバの律動に加えて、電子音の軽やかな介入や構造的にひねりのあるアレンジが加えられており、決して懐古的にはならず、むしろ、ジャンルにとらわれない柔軟な耳でブラジル音楽を解釈し直したような印象がある。シンプルで親しみやすいメロディに、リズムの遊びや曖昧にゆらぐハーモニーが折り重なり、どの曲も小さな旅のような印象。アルバムは、地元の若手プレイヤーたちとのジャムやセッションから生まれた楽曲で構成されており、まるでリオの空気をそのまま閉じ込めたような、軽やかで温かなグルーヴが心地いい。異国から来たペレスの視点が、逆にブラジル音楽の魅力を一層引き立てており、異文化的な距離感がむしろ音楽に瑞々しさを与えている。
ブラジル音楽とジャズが美しく溶け合う、ミルトン・ナシメントの国際デビュー作『Courage』。アレンジと指揮はエウミール・デオダート、鍵盤にハービー・ハンコック、ドラムにアイアート・モレイラなど、当時のジャズ・シーンの名手たちが揃って参加。ナシメントのヴォーカルは、土の匂いを感じさせるフォルクローレのようでありながらも、空を漂うように浮遊感に満ち、そこに重なる繊細なオーケストレーションと相まって、ソウルフルで夢見心地な音世界が広がる。ボサノヴァ以降のブラジル音楽の扉を開いた、静かな革新の名盤。
ボサノヴァの代名詞と言えるブラジルの歌手、詩人、ギタリストことジョアン・ジルベルトが1959年に発表した大傑作1stアルバムのUS盤The Warm World Of João Gilberto』がクリア・ヴァイナル仕様でアナログ・リイシュー。新たな時代の到来を告げた、ボサノヴァの最初期の作品として広く認知されている世紀のマスターピース。同ジャンルの入門にも是非。
ブラジルを代表する歌姫であるジョイスが、当時の夫であったネルソン・アンジェロと共に残した72年録音作『Nelson Angelo E Joyce』がアナログ・リイシュー!シンプルかつ洗練された仕上がりとなったこのアルバムでは、ジョイスの優しい声とアンジェロのメランコリックなマントラ風の旋律を探求していくような、親密で暖かな雰囲気に満ちた素晴らしい世界観を表現。特に2人の情熱的な掛け合いのようなヴォーカルと反復されるサンバのリズム、ブリージンなアコースティックギターの響きの三位一体が心地好いバレアリック・サンバ"Tiro cruzado"が大変キラーな仕上がりです。
カエターノ・ヴェローゾをトロピカリアの代表的存在とした画期的なアルバム!自由を訴える讃歌として人気を集めた大ヒット曲であり、コカコーラとゲリラ集団、爆弾、ブリジット・バルドーのイメージを日常の一部として並列した"Alegria, Algeria"も収録。運動全体のアンセムとなった偉大なナンバー"Tropicalia"も勿論収録。
Seu Jorge、Arthur Verocai、Arlindo Cruzといった伝説的な音楽家たちにインスパイアされ、自も仕事を共にしている、ラテン・グラミー賞にノミネートされたブラジルの現代の最高峰のアーティストのRogê。ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ(MPB)の復興において重要な人物であり、20年以上にわたる豊かなキャリアを持ち、7枚のソロアルバムをリリースしている彼が昨年〈Diamond West Records〉からリリースした、米国デビューアルバム『Curyman』の続編『Curyman II』が登場。メランコリックでどこか覚めた、しかし、サウダージに満ちた美しい楽曲が、透き通りつつもエロスを漂わせるRogêのヴォーカルと、鮮やかにかき鳴らされるギターに彩られています。彼の作品には単なる陽気さやユーフォリアでは片付けられない悲しみの気配が常に流れていますが、その美しさが存分に発揮された名作です。
Antoino Carlos Jobimが1972年12月にニューヨークで録音した8枚目のスタジオアルバム。ジョビンのアルバムの中では比較的知られていない作品ながら、彼の最高傑作ともいわれる催眠的でキラーな"Aguas de Março"を収録。微睡みとサウダージ、パッションと美しさの音楽としてこれ以上の作品を見つけるのは中々困難でしょう。緩やかに進行する安息と鎮静が、ブラジル音楽特有の鮮やかで美しい旋律と和声に沿って進行する、この音楽をぜひ浴びて頂きたいです。

Caetano VelosoやAlabaster DePlumeのファンにもレコメンド!1970年代のトロピカリアやOs Mutantes、Milton Nascimentoなどのブラジルの豊穣な音楽シーンにインスパイアされた、ロンドン拠点のブラジル人若手アーティストMOMO.による7枚目のアルバム『Gira』が、〈Batov Records〉から登場。ロンドンの活気あふれるジャズ コミュニティから集まった特別なミュージシャンやゲスト、そしてブラジルのアーティスト仲間が参加し、イースト・ロンドンの〈Total Refreshment Center〉で録音、カッティングされた、プログレッシヴかつ熱気溢れる仕上がりのラテン・ジャズ・アルバム!
ブラジルのボサノヴァ歌手、ギタリスト、作曲家であり、ボサノヴァムーブメントの一員として名声を上げたEdu Loboが、アレンジャー及びフルート、ピアノ演奏を担当した偉才・Hermeto Pascoalのもとで作り上げたインスト・ソロ寄りのアルバムであり、〈Elenco〉レーベルから1970年に発表したアルバム『Cantiga De Longe』がアナログ・リイシュー。パーカッショニストのAirto MoreiraやドラマーのCláudio Slomなど、様々なスターが参加した美しいメロディーと歌詞に彩られたMPBの名盤!
2022年に惜しくもこの世を去ったGal CostaとCaetano Velosoという、二人のブラジリアン・レジェンドがコラボレーションした67年〈Philips〉からのアルバム『Domingo』が〈Audio Clarity〉から2023年度アナログ・リイシュー!チームの作品として紹介されますが、実際には殆どがヴェローゾの作品で、彼がほとんどの曲を作曲、演奏、アレンジを担当し、ガルは数曲でソロ・ヴォーカリストとして参加しており、デュエットも数曲収録。かつてなく優しく瑞々しく歌い、演奏された本作は、当時のポップ・ソングの常識を覆すような、トロピカルなラッピングが施されたアート・ソングに仕上げられています。


