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実験ギター界の重鎮Loren ConnorsとElliott Sharp、そして新世代の音響探求者Michael Valleraによる、共同即興を実践し、ギターという楽器の輪郭を溶かし合いながら、ひとつの巨大な音響体を形成していく初共演ライブを収めた『When The Moon Is New』。Connorsのブルース由来の揺らぎ、Sharpの複雑なプラック、Valleraのテクスチャー的な音の層が、判別できないほど自然に絡み合い、音は個々の演奏ではなく集合体としての振る舞いを見せる。微細なノイズ、倍音の尾、擦過音が空間の奥行きを描き、広がりのある音響がゆっくりと立ち上がる。緊張と静けさが同時に存在し、3人が互いの動きを聴きながら音を置いていく慎重な姿勢が、演奏の密度を高めている。ギターの可能性を拡張してきた3人が、世代を越えて作り上げた抽象音響の記録。個々の声部が溶け合い、新しい第四の思考が生まれる瞬間を捉えた、現代即興ギターの重要作。
タンペレのDIYアングラ・シーンから突如出現し、デビュー作が即完売となった実験ジャズ・ユニットFysiikka ja Kemia(=物理と化学)による、ライヴ音源を収めた待望の2nd『Haulitorni』。自然科学や農村生活の無骨な単語を題名に冠し、両面各1曲の長大即興で構成された本作は、70年代スウェーデンのArbete & Fritidを彷彿とさせるフリー・インプロヴィゼーション、北欧フォークの記憶、ルーズなサイケデリック・ロックの脈動が融解し合う音像。会場となった歴史的建造物の響きと空気を吸い込み、音のテクスチャーが自然に変容していくまでじっくりと空間に身を委ねる静けさと忍耐強い展開が素晴らしい。タンペレ周辺で育まれてきたアンダーグラウンドな音楽の現在を伝える一枚。

フィンランドのパーカッショニスト Antti Vauhkonen を中心とするジャズ・コレクティヴ Oiro Pena が、北欧のフォークローレとスピリチュアル・ジャズを静かに融合させた作品『Béke』。スタジオでライヴ録音された本作には、その場で生まれる呼吸や生々しい空気感が刻まれており、フィンランド民謡の素朴な旋律と、霊性を帯びた即興演奏が自然に溶け合っている。「Béke(平和)」というタイトルが示すように、サックスやフルート、ヴィオラ、声が柔らかく重なり合い、音楽は派手さを排しながらも深い祈りのような静けさを湛え、北欧の冷たい空気と温かみを帯びた精神性が同時に漂う独特の世界を描き出す。ミニマルな反復と儀式的な高揚感が共存する北欧スピリチュアル・フォークジャズ。

フィンランドのパーカッショニスト Antti Vauhkonen を中心とするジャズ・コレクティヴ Oiro Pena が、北欧のフォークローレとスピリチュアル・ジャズを静かに融合させた作品『Béke』。スタジオでライヴ録音された本作には、その場で生まれる呼吸や生々しい空気感が刻まれており、フィンランド民謡の素朴な旋律と、霊性を帯びた即興演奏が自然に溶け合っている。「Béke(平和)」というタイトルが示すように、サックスやフルート、ヴィオラ、声が柔らかく重なり合い、音楽は派手さを排しながらも深い祈りのような静けさを湛え、北欧の冷たい空気と温かみを帯びた精神性が同時に漂う独特の世界を描き出す。ミニマルな反復と儀式的な高揚感が共存する北欧スピリチュアル・フォークジャズ。

NYC出身で現在はEUを拠点に活動するアーティストVictoria Mingotが、クラシカル・ギターの即興とノイズ、ドローンを重ねて作り上げた、壊れたフォークの美学を体現する最新作『God Spill』。粗く録られたギターの響き、不安定に揺れるペダルループ、薄いヒスノイズが折り重なる、構造よりも瞬間の感触が中心の音楽。指が弦をこする音、ループ、ドローンの濁りが日記の走り書きのように連なり、即興の断片が積み重なる私的な記録のような質感を生む。時折にじむ声は歌というより気配として現れ、内省的で神秘的なアコースティック・エクスペリメンタルとなっている。曖昧さと壊れた美しさを静かに結晶させた一枚。


Mats ErlandssonとGus Loxboによる初の正式コラボレーション作『Minnets Långa Kedjor』がスウェーデンの電子音響レーベル〈Xkatedral〉から登場。25年以上の友人関係と共演歴を持つ二人が、故郷Bergslagenの風景や記憶を起点に、即興演奏の衝動とスタジオでの電子処理を重ね合わせて構築した長尺音響作品。ダブルベースがつくる地層のような重さと、テープ処理された電子音の霧を中心に、即興で生まれた一瞬の響きが引き延ばされ、逆に長い残響が切り取られることで、時間の感覚がゆっくりと歪んでいく。倍音の細い線が揺れ続けるドローン、擦過音のざらざらした感触、暗い重心を持つドゥーム的な質感が交差し、北欧の風景の影が音に染み込む。電子音響の精密さと、生演奏のフィジカルな振動が自然に重なる、〈Xkatedral〉の美学を体現するかのような、静かで深い音の連なり。

シカゴを拠点に活動するWhitney Johnson、Lia Kohl、Macie Stewartの三人が、長年の即興実践と深い聴取の感覚をもとに紡ぎ上げた『BODY SOUND』。音が生まれる瞬間の親密さと、空間が持つ固有の気配をそのまま封じ込めたような作品で、ヴィオラ、チェロ、ヴァイオリン、声は、ただ重なるのではなく、録音された場所の空気、光、温度と結びつきながら、ゆっくりと形を変えていく。スタジオ、教会、フェス会場のパブ。異なる空間で生まれた即興の断片は、アナログテープの物理的な操作によって再び編み直され、時間の層が折り重なるような独特の深みを帯びる。テープは単に質感を与えるためではなく、もうひとつの即興として機能し、音の流れを揺らし、歪め、再配置していく。そこに立ち上がるのは、フォークの素朴さ、ドローンの持続、実験音楽の自由さが自然に溶け合った、どこかの土地に伝わる古い音楽のような気配。深く、静かで、時にざらつき、時に広がり、言葉よりも先に、音と空間と身体がひとつの呼吸で動くような、内側にある静かな場所へとそっと触れる作品になっている。
10月下旬再入荷。前作『All Is Sound』は弊店でも大ヒット!ポートランドの「偉大なブラックミュージック」の最高の実践者、The Cosmic Tones Research Trioによる2作目のアルバムが登場!前作で打ち出された静けさ、空間性、ロングトーンの美学を引き継ぎつつ、さらにリズム的な力強さと肉体性が加わっており、表面的には癒しやメディテーショナルな穏やかな音楽に聴こえるが、じっくり耳を澄ませると、ルーツ音楽やスピリチュアル・ジャズの語法が下地にしっかり息づいているのがわかる。編成は、チェロ、サックス、ピアノ、フルートというアコースティックな楽器群で、即興を中心に据えながらも、それぞれの音は丁寧に間を取り、余白や沈黙までも音楽として活かすようなアンサンブルになっている。祈りや対話の気配がありつつ、ときにはゴスペル的な魂のこもったメロディが立ち現れ、またある瞬間にはブルースの深みを思わせるしみじみとしたトーンも顔を出す。精神性と有機的なグルーヴやうねりを両立する、心の静寂を求める人にも、深い音楽的な探究を求める人にも響く傑作。
Jim O’Rourke と Loren Connors による即興ギター・デュオ作『Two Nice Catholic Boys』。1997年の欧州ツアーで録音された演奏を O’Rourke が後年編集し、〈Family Vineyard〉から2009年に発表したもので、静寂と残響を活かしたブルースから、ノイズを孕んだフィードバックまで、ふたりの音がぶつかり合うのではなく、緊張と余白のバランスで空間を描く即興演奏。実験的ギターの対話と呼べる内容は、ギターの音色そのものを探求するかのよう。
チリ出身の詩人であり芸術家のCecilia VicuñaとコロンビアのピアニストRicardo Gallo、そして同国の先住民音楽を探求するトリオHombre de Barroによるコラボレーション作品『Tejiendo nubes contra la muerte』。気候変動や環境への意識を先住民の知恵と繋げたVicuñaの詩集『Cloud Net』を軸に、2022年7月にコロンビアの山あいで録音、2023年に他界した参加ミュージシャンErnesto "Teto" Ocampoの遺作としても深い意味を持つ一枚。朗読や囁き、吐息や静寂までを自在に行き来するVicuñaの詩的ヴォイスに対し、静謐なピアノやシンセサイザー、チェロ、フルート、ギターが即興的かつ有機的に交差。コロンビア伝承音響の深いルーツと現代アヴァンギャルドが高次元で融合し、儀式的で神秘的な音響空間を立ち上げている。精神性と芸術性が全編を貫く充実作。

フィラデルフィアのアンサンブル Sounds of Liberation の中心人物としても知られるヴィブラフォン奏者 Khan Jamal が1974年にリリースしたスピリチュアル・ジャズの名作『Give The Vibes Some』が〈Souffle Continu Records〉より再発!ヴィブラフォンとマリンバによる浮遊感ある響きと、ドラムとトランペットを交えた自由度の高い即興が共存。フランスの音楽家 Jef Gilson が主宰したPalm Recordsのスタジオで録音、Gilsonはヨーロッパのアヴァン・ジャズシーンを牽引した人物であり、その美学が作品にも反映されている。スピリチュアルな雰囲気と、フリージャズ的な開放感を兼ね備えた名盤。

2022年11月、世界的に有名なコラ奏者Ballaké Sissokoと、南アフリカ出身のギタリストDerek Gripperがレコーディングしたセルフ・タイトルのコラボレーション・アルバムが〈Matsuli Music〉からアナログ・プレス。世界的なコラとギターの名手たちが織りなすのは、瞑想的で晴れやかな時間を旅する、空想的で音楽的滋養豊かなインプロヴィゼーション。まさに絶品です。

〈Black Truffle〉より、80代になるスウェーデンのマルチ奏者Christer Bothénが自身の軌跡を辿りながら、伝統楽器ドンソ・ンゴニの深淵な世界を単独で表現した稀有なソロ作品が登場。1970年代からスウェーデンのジャズや即興シーンで活躍してきた彼は、1971年にマリへ渡り、南部ワスル地方で狩猟者のカーストが奏でる神聖なハープ、ドンソ・ンゴニに出会う。伝統的には狩猟者一族にのみ演奏することが許されたこの楽器を、熱心な師匠ブロエマ・ドビアからのマンツーマン指導で習得し、伝統を尊重しつつも自分のスタイルでの演奏許可を得たという。本作は、伝統的なワスルの七つの曲に加え、両者の境界を曖昧にするBothén自身の作曲『La Baraka』を収録。主にペンタトニックの繰り返しに集中しながらも、その中で無限のニュアンスや即興的な息づかいが躍動し、単調に陥ることなく深い聴きごたえを生み出している。特に、楽器に付随する小さなラトルの効果や演奏の微妙な加速・減速が、静かに、しかし鮮やかに音楽の流れを彩っていて、最終曲では長年の弟子でありベーシストのカンサン・トルビョルン・ゼッターベリと、金属スクレイパー奏者マリアンヌ・ンレムボ・リンデンが加わり、独特の響きをさらに深めている。ストックホルムの高音質スタジオで2019年から2023年にかけて録音され、細部まで鮮明に捉えられた音像は、ドンソ・ンゴニのブルブルと震える低音弦の豊かな鳴り響きが強烈に印象に残る。これは約半世紀にわたるBothénの献身的な探求が結実した、精神的とも言える集中の記録で、作品にはマリ滞在時の鮮やかな写真と詳細な解説も添えられ、この深淵な楽器の神秘と魅力を多角的に伝えている。
豪州を代表する稀代の実験音楽家、Oren Ambarchiが、2014年に名門〈Editions Mego〉から発表した傑作『Quixotism』の 10周年記念再発盤が、自身の〈Black Truffle〉より登場!ヨーロッパ、日本、オーストラリア、米国から参加した多数のコラボレーターとレコーディングされた長編作品であり、全体を通じて、ケルン拠点の名作家Thomas Brinkmannによる脈動するダブルタイムの電子パーカッションの基盤の上にその音世界が構築。AMMやThe Scratch Orchestraでの活動も知られる伝説的ピアニストJohn Tilbury、マルチ楽器奏者/作編曲家のEyvind Kang、カナダの女性サウンド・アーティスト、Crys Cole、そして、日本からのU-zhaanに、我らがJim O'Rourkeまで、豪華な面々が結集した、鎮静的でありつつも、確かな熱量とスリリングな魅力に溢れる即興ミニマル大作!Joe Taliaによる新規リマスタリング仕様。

Roman Norfleet率いる流動的でオープンなプロジェクトBe Present Art Groupと、Roman Norfleet、Harlan Silverman、Kennedy VeletteによるMeditationsでも大人気のポートランドの偉大なるブラックミュージック最高の実践者The Cosmic Tones Research Trioによる三部作のカセット作品『The Spiritual-Sonic Research Series』。2022年から2023年にかけて行われたセッションを収録し、ジャズ、スピリチュアル・ミュージック、フリー・インプロヴィゼーションを横断しながら、Pharoah Sanders、Alice Coltrane、Sun Ra という三人のスピリチュアル・ジャズ巨匠の音楽的・精神的遺産に捧げたトリビュート。2022年9月24日、ファラオ・サンダースが逝去したその日に、ポートランドのThe Lumber Roomで録音、事前に用意していた曲を捨て、ニュースを受けた直後に新しい演奏を構築した即興的セッションを記録したカセット1。アリス・コルトレーンの教えと音楽に捧げられたセレモニー的作品で、アリスの弟子であるRadha Botofasinaの声も収録され、霊的教えと音楽的実践が交差するカセット2。Mississippi Recordsで録音されたThe Cosmic Tones Research Trioによる演奏で、サン・ラーの『Cosmic Tones for Mental Therapy』を参照軸としながら、ディジュリドゥ、チェロ、フルートなど異種楽器を交え、音響療法的かつサイケデリックな実験セッションを収録したカセット3と、充実の内容。三部作を通じて、単なる追悼や再解釈にとどまらない、音楽を媒介とした精神性の継承と共同体的な実践としての姿勢が感じられ、録音の場もコンサートホールではなく、ギャラリーや植物園、レコードショップといった開かれた空間であり、そこに居合わせた人々の呼吸や反応までもが音の一部として刻まれている。そうしたドキュメント性も、このシリーズを特別なものにしており、ここで響く音は過去の遺産であると同時に、未来へと開かれており、現代におけるスピリチュアル・ジャズを提示している。

エレクトリック・ギターの音響処理を数十年にわたり探求してきたDavid Tornが、Sunn O)))やThurston Mooreの作品を手がけてきたRandall Dunnを録音、プロデュースに迎えて制作した最新作『now i imagine a place not the same』。ギター、エレクトロニクス、アンプ、空間そのものを素材として扱い、即興と作曲の境界を曖昧にする音楽が全編を貫く。液体のように滑らかな質感でありながら、ざらついた倍音やフィードバックが絶えず形を変え、音が自律的に進化していくような広がりを持つ。Randall Dunnの録音は物理的な存在感を強調し、ギターが空間の中で浮遊したり沈んだりするように聴こえる。ドローンの持続と即興的なフレーズがゆっくり折り重なり、映画音楽で培われた心理的な陰影が抽象的な形で立ち上がる。静けさの中に緊張があり、映像のように風景がゆっくり変化していく感覚が続く。音の粒子一つひとつにまで美意識が行き渡った、深い没入感をもたらす緻密な傑作。
ミニマリズム、ジャズ、クラシック、音響アートを融合させた独自のスタイルが特徴的なスウェーデン出身の作曲家、演奏家、インスタレーションアーティストEllen Arkbroの4枚目のアルバム『Nightclouds』が、ニューヨークを拠点とする〈Blank Forms Editions〉から登場!本作には2023〜2024年に中央ヨーロッパで録音されたソロオルガンによる5つの即興演奏が収められており、これまでの作品よりも一層ロマンティックで内省的な雰囲気を持っている。シンプルでありながら深く響く和音と、彼女ならではの緻密な音の構造を使って、冷徹な美しさの中に感情の幅を見事に表現している。彼女の音楽的進化を象徴する重要な作品であり、聴くものを深い内面の探求へと導く一枚!

ミニマリズム、ジャズ、クラシック、音響アートを融合させた独自のスタイルが特徴的なスウェーデン出身の作曲家、演奏家、インスタレーションアーティストEllen Arkbroの4枚目のアルバム『Nightclouds』が、ニューヨークを拠点とする〈Blank Forms Editions〉から登場!本作には2023〜2024年に中央ヨーロッパで録音されたソロオルガンによる5つの即興演奏が収められており、これまでの作品よりも一層ロマンティックで内省的な雰囲気を持っている。シンプルでありながら深く響く和音と、彼女ならではの緻密な音の構造を使って、冷徹な美しさの中に感情の幅を見事に表現している。彼女の音楽的進化を象徴する重要な作品であり、聴くものを深い内面の探求へと導く一枚!
Albert AylerやSonny Sharrock、John Zornをはじめとして数多のレジェンドと演奏を共にしてきた米国フリー・ジャズ界のパイオニア的名ドラマー/パーカッショニストのMilford Gravesによる1976年録音の激レア作品『Babi』が、オリジナル・マスター・テープからレコードで再発!アフリカ的なパーカッシヴで狂熱的な演奏から、物好きにはたまらないガサゴソと物音チックな音の運び方、ノイズ的にすら聞こえるアヴァンギャルドな展開まで聴きどころたっぷりの一枚。Gérard Rouによる未発表の写真も付属。オリジナルLPカバー・デザイン、仕様。これは必携ですよ!

東京を拠点に活動する声の即興家Ayami SuzukiとギタリストRob Noyesが初めて出会い、わずか1時間ほどの即興セッションで録音されたという奇跡のデュオ作品『Classic Fevers and Chills』。事前に作曲も打ち合わせもせず、Rob Noyes自身が「ギターのチューニングだけ変えて、そのまま録った」と語っているにもかかわらず、7曲それぞれに明確な表情があり、まるで長年のデュオのような呼吸の一致が感じられる。声とアコースティック・ギターだけという最小限の編成ながら、静けさの中に濃密な緊張と温度が宿る。Ayami Suzukiの声は、言葉と息のあいだで、祈りのような響きから、風景の一部のような微細な音まで自在に変化。Rob Noyesのギターはラガ風のフレーズやタコマ系フィンガーピッキングが流れるように展開し、倍音が空間に広がる。録音は極めて生々しく、目の前で演奏しているような距離感の近さと、夢の中の民謡のような不思議な時間の流れが生まれている。
実験音楽家 Galecstasy と、オルタナ界のレジェンド Mike Watt が組んだトリオによる、スリリングな即興演奏を収めたアルバム『Wattzotica』。太くうねるベースを軸に、ノイズ、アンビエント、ジャズが自由に交差し、トリオ編成ならではの広い空間と緊張感が生まれている。2018年、Galecstasy が Mike Watt のラジオ番組に出演したことがきっかけで始動した異色のコラボにも関わらず、ミニットメン以降の Watt の精神性と、Galecstasy のアート的アプローチが自然に溶け合い、ポストロックやシカゴ音響派にも通じる有機的なグルーヴが立ち上がる。限定のグリーン・ヴァイナルという希少性も相まって、音楽作品でありながらアートピースとしての存在感も強い一枚になっている。

ドイツの異才ギタリスト、ハンス・ライヒェルの初期から中期に当たる1973〜1988年のソロ・ギター演奏を体系的にまとめた2枚組アーカイブ『Dalbergia Retusa』。〈Black Truffle〉から Oren Ambarchi の監修でリリースされ、自作ギターや独自の拡張奏法から生まれる、ギターとは思えない倍音、金属的な響き、パーカッシブなアタックが縦横無尽に展開される。フリー・インプロヴィゼーション、実験音楽、音響的探求が交差するそのサウンドは、同時代のギター表現を軽々と飛び越え、今なお新鮮な驚きを与えるもの。ライヒェルが当時住んでいた西ドイツ・ヴッパータールは、ヨーロッパ・フリージャズの重要拠点で、Peter Brötzmann や Peter Kowald らの活動地でもあった。そういった特殊な環境の中で深化した異世界のような音響と、自由即興の精神が詰まった一枚。
