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Roman Norfleet率いる流動的でオープンなプロジェクトBe Present Art Groupと、Roman Norfleet、Harlan Silverman、Kennedy VeletteによるMeditationsでも大人気のポートランドの偉大なるブラックミュージック最高の実践者The Cosmic Tones Research Trioによる三部作のカセット作品『The Spiritual-Sonic Research Series』。2022年から2023年にかけて行われたセッションを収録し、ジャズ、スピリチュアル・ミュージック、フリー・インプロヴィゼーションを横断しながら、Pharoah Sanders、Alice Coltrane、Sun Ra という三人のスピリチュアル・ジャズ巨匠の音楽的・精神的遺産に捧げたトリビュート。2022年9月24日、ファラオ・サンダースが逝去したその日に、ポートランドのThe Lumber Roomで録音、事前に用意していた曲を捨て、ニュースを受けた直後に新しい演奏を構築した即興的セッションを記録したカセット1。アリス・コルトレーンの教えと音楽に捧げられたセレモニー的作品で、アリスの弟子であるRadha Botofasinaの声も収録され、霊的教えと音楽的実践が交差するカセット2。Mississippi Recordsで録音されたThe Cosmic Tones Research Trioによる演奏で、サン・ラーの『Cosmic Tones for Mental Therapy』を参照軸としながら、ディジュリドゥ、チェロ、フルートなど異種楽器を交え、音響療法的かつサイケデリックな実験セッションを収録したカセット3と、充実の内容。三部作を通じて、単なる追悼や再解釈にとどまらない、音楽を媒介とした精神性の継承と共同体的な実践としての姿勢が感じられ、録音の場もコンサートホールではなく、ギャラリーや植物園、レコードショップといった開かれた空間であり、そこに居合わせた人々の呼吸や反応までもが音の一部として刻まれている。そうしたドキュメント性も、このシリーズを特別なものにしており、ここで響く音は過去の遺産であると同時に、未来へと開かれており、現代におけるスピリチュアル・ジャズを提示している。

Sun Raが1988年に自身の〈El Saturn〉レーベルから発表した最後のアルバムで、ニューヨークのKnitting Factoryでの3夜連続ライブを収録した作品『Hidden Fire Volumes 1 & 2』。極少数のみ流通し、手書きラベルや本人制作のアートワークなどで知られる幻の音源が、このたび〈Strut Records〉から正式にリイシュー!音楽的には80年代の他作品とは一線を画しており、ヤマハDX7シンセサイザーのみを操って暗く不協和な領域を切り開き、3艇のヴァイオリンを含む重厚な弦楽編成や、60年代初期以来目立った登場のなかったスペース・ボーカリストArt Jenkinsが参加。デューク・エリントンを想起させるリフから、死の支配を語る説教、強烈なインプロビゼーションや混沌としたサウンドスケープが展開し、ブルース曲も歪んだ電化アレンジに変貌していて、全編が生々しく不安定で圧倒的な音世界を描く。静かな曲にも不穏さと美しさに満ち、宇宙的歓喜よりも未知への扉を開くことに焦点を当てたような晩年の創造力が刻まれている。オリジナル音源からのリマスター、新たなライナーノーツ、復刻アートワークを伴い、Sun Ra最後の創作期を捉えた決定的ドキュメントとなっている。

テネシー出身、まだ20代前半ながらChris Corsano、Bill Orcutt、William Parker、Matthew Shippらとの共演でも注目を集めるフリージャズ・サックス奏者Zoh Ambaのソロ作『Sun』が〈Smalltown Supersound〉から登場。本作は、Ambaのスピリチュアルな側面と即興演奏の爆発力が共存する作品で、ピアノのLex Korten、ベースのCaroline Morton、ドラムのMiguel Marcel RussellからなるSun Quartetとともに録音された。Amba自身はヒンドゥー教の信仰者であり、本作を創造主と亡きPeter Brötzmannに捧げている。これまでの怒涛のフリージャズ作品群と比べてややテンポを落としつつも、彼女特有の熱量はそのまま。ピアノとサックスを同時に操るライブパフォーマンスでも知られる彼女だが、本作収録の「Champa Flower」ではギターも披露。ラストの長尺トラック「In Heart」では、内面の情動をKortenの鋭いピアノとぶつけ合いながら、音に刻み込んでいく。情熱と静謐が交差する祈りの即興組曲のような一枚。

2017年9月にリリースされたIrreversible Entanglementsのセルフ・タイトル・デビューアルバムが〈International Anthem〉創立11周年記念リイシュー・シリーズとして、新しい帯と未公開写真、そしてベーシストLuke Stewartによる新しい解説を収録して、めでたくも再発。本作は詩人のCamae Ayewa(Moor Mother)、ベーシストLuke Stewart、サックスのKeir Neuringer、トランペットのAquiles Navarro、ドラムのTcheser Holmesという5人が初めて一緒に演奏した音源で、即興のフリージャズに詩の朗読が重なる強烈な作品で、彼らが初めて出会った「Musicians Against Police Brutality」というイベントがきっかけとなって生まれた。このバンドは、フリージャズの原点である「ブラック解放のための音楽」という精神を受け継ぎつつ、伝統を敬いながらも新しい未来を見据えた挑戦的なサウンドを作り出している。1960年代の東海岸のフリージャズの流れを汲み、Amiri BarakaやThe New York Art Quartetの影響も感じられる音楽性は、発売から10年経ち、ジャズ界やコミュニティに大きな影響を与え続けている。
John Coltraneの妻であり、Flying Lotusの叔母、そして、インド音楽からヒンドゥー哲学まで実践し、真理の探求者であったAlice Coltrane(1937–2007)。亡き夫の残した大きな遺産を乗り越えるべく録音したデビュー・アルバム『A Monastic Trio』へと続き、デビューから1年後、夫の死から2年後にあたる1969年半ばにレコーディングした2枚目のリーダー作『Huntington Ashram Monastery』がアナログ復刻。本作では、アリス・コルトレーンがピアノとハープを演奏し、ベースではロン・カーター、パーカッションではラシッド・アリという豪華面々がバックを担当。音楽的には、以前よりも少しリラックスした雰囲気となり、演奏は程よい密度で緩やかなものへと変化しています。冒頭のタイトル曲はその良い例で、カーターが深いグルーヴを作り、アリがすべてをフレームに収め、コルトレーンはハープで驚くほど軽快に演奏。スピリチュアルかつ東洋思想かつ大変素晴らしいトリオ作!
ジョン・コルトレーンの命脈へと連なるスピリチュアル・ジャズの生ける伝説Pharaoh Sandersが69年に〈Impulse!〉から発表した傑作『Jewels Of Thought』がヴァイナル再発。スピリチュアル・ジャズファンのみならず、ニューエイジ~アンビエント系のリスナーにも大推薦。
ジョン・コルトレーンやサン・ラーの命脈へと連なるスピリチュアル・ジャズの伝説にして2022年に惜しくもこの世を去った巨匠Pharoah Sanders。ジョン・コルトレーンとの有名な共演以前の1964年9月10日に録音されたアルバムにして、この象徴的なテナーサックス奏者による〈ESP-Disk'〉からリリースされた大傑作デビュー作品。
スイスのジュネーブで活動するジャズ ・ オーケストラ、Orchestre Tout Puissant Marcel Duchampが 6 枚目となるアルバム 『Ventre Unique』を<BONGO JOE>からリリース!パリ郊外のStudio Midiliveで10日間かけて録音されたこのアルバムには、12人の国際色豊かなミュージシャンが参加しており、シンプルなループを基調としたベルソレの作曲と、マリンバ、ホーン、ストリングス、ギターなどの複雑なアレンジのバランスが取れた、美しく有機的なサウンドが生まれた。彼らのサウンドはアフリカ音楽の伝統と前衛芸術家マルセル・デュシャンへのオマージュであり、フォーク、クラウトロック、ポストパンク、アフリカン・リズムをシームレスに融合させたまさにカテゴライズ不可能な異彩を放つ音楽性!

Dorothy AshbyとArve Henriksen、Jon HassellとHildur Guðnadóttirを繋ぐ、愛の不安、調和、不確実性を描く旅。電子音楽家でチェロ奏者のAsma Maroof、ベルリンのクラブ・シーンの中心地〈PAN〉に傑作を残すPatrick Belaga、サックス奏者、理論家、音楽家のTapiwa Svosveによる要注目コラボ・アルバム『The Sport of Love』がアナウンス。現代のロマンスの言語、競争、矛盾について考察をテーマに作り上げた作品であり、第四世界を通過したフリー・インプロヴィゼーション/アンビエント・ジャズと荒涼としたアンビエント・ドローンが溶け合うフリーフォームで破格な一枚!
オーネット・コールマンが1972年に発表したアルバム『Science Fiction』が〈ENDLESS HAPPINESS〉より再発。本作は彼の創造的再出発とされる重要作で、チャーリー・ヘイデン、ビリー・ヒギンズとエド・ブラックウェルとの共演により、伝統的なサウンドと未来のサウンドを融合させた異世界的でエネルギッシュな作品になっている。スペーシーで長尺の旋律やリズムを基調に、インド人シンガーのアーシャ・プスリが参加した2曲は別の宇宙のポップスとでもいったような仕上がり。アラブのダブルリード楽器“ミュゼット”が登場する「Rock the Clock」など、実験性に富んだ内容。
Albert Aylerの1970年作『Music Is the Healing Force of the Universe』が〈Endless Happiness〉より登場!本作は、彼のキャリア終盤にあたる異色の作品であり、タイトルの通り音楽が宇宙的な癒しの力であるという壮大なテーマを掲げたスピリチュアル・ジャズの極点とも言える内容になっている。フリー・ジャズを軸にしながらも、エレクトリック・ギターやブルース、ゴスペル、ポエトリー・リーディングといった多様な要素が大胆に導入されており、Aylerの実験精神が発揮されている。特に印象的なのは、彼のパートナーであるMary Maria Parksのヴォーカルや詩の朗読で、全体に神秘的な宗教性や祈りの感覚が漂っている。Sun RaやPharoah Sandersなどと並ぶ宇宙的スピリチュアル・ジャズとも共鳴する、混沌と祈りが交錯するこの作品は、Aylerの死の直前に発表されたこともあり、彼の遺言のようなアルバムとしても聴こえてくる一枚。
破壊と創造的対話。孤独と絶望を経た魂の歌声。1967年から69年にかけて、アヴァンギャルド・ジャズの革新者Albert Aylerは名門〈Impulse! Records〉に一連のアルバムを録音。1967年にリリースされたこのアルバム『In Greenwich Village』は、アイラーにとって同レーベルからの最初のLPとなった作品であり、間違いなくこのレーベルでのベストと言える内容に仕上げられています。
NYフリージャズ・シーンのスーパーグループNew York Contemporary Fiveの66年作『Consequences』が再発!New York Contemporary Five はヨーロッパから移住してきたジョン・チカイを軸に結成されたアーチー・シェップ、ドン・チェリー、ジョン・チカイらを中心メンバーとするグループで、活動期間こそ短かったものの1960年代初頭のNYフリージャズ・シーンに大きな影響を残した。本作は、その活動の集大成のひとつであり、ビル・ディクソンやオーネット・コールマン、モンクらの影響を色濃く受けた楽曲を収録している。ビル・ディクソンによる「Trio」やモンクの「Crepuscule with Nellie」の素晴らしいカバーも収録。フリージャズの黎明期を捉えた記録として、また、メンバーそれぞれの後の活躍を予感させる作品として、現在でも高い価値を持つ一枚。

フランスの伝説的フリージャズ・ピアニスト、François Tusquesが1970年代に結成したIntercommunal Free Dance Music Orchestraは、その名の通り様々な地域、コミュニティの文化を取り入れた独自の音楽を探求してきたが、テュスク自身がよく知るブルターニュ地方の伝統音楽に挑戦したアルバム『Après La Marée Noire - Vers Une Musique Bretonne Nouvelle』が〈Souffle Continu Records〉より登場!バグパイプやボンバルドといったブルターニュの伝統楽器が、ジャンルを超越したフリージャズと合流し、そこにサミュエル・アテバやキリクスらによるパーカッションが加わることで、どこか霊的で土着的なサイケデリック・ダンス・ミュージックに変貌。バルカンやアフリカの音楽、ブルースやワルツ、スウィングまでを巻き込んだ、混沌としたアンサンブルが展開されているが、とはいえ、ここで鳴っているのはあくまで「ブルターニュから生まれる新しい音楽」。テュスクの自由な精神と土地への愛情が形になった、境界を越えた祝祭の音楽と言うべき一枚!
フランスの伝説的フリージャズ・ピアニスト、François Tusquesが1970年代に結成したIntercommunal Free Dance Music Orchestraは、その名の通り様々な地域、コミュニティの文化を取り入れた独自の音楽を探求してきたが、テュスク自身がよく知るブルターニュ地方の伝統音楽に挑戦したアルバム『Après La Marée Noire - Vers Une Musique Bretonne Nouvelle』が〈Souffle Continu Records〉よりCDでも登場!バグパイプやボンバルドといったブルターニュの伝統楽器が、ジャンルを超越したフリージャズと合流し、そこにサミュエル・アテバやキリクスらによるパーカッションが加わることで、どこか霊的で土着的なサイケデリック・ダンス・ミュージックに変貌。バルカンやアフリカの音楽、ブルースやワルツ、スウィングまでを巻き込んだ、混沌としたアンサンブルが展開されているが、とはいえ、ここで鳴っているのはあくまで「ブルターニュから生まれる新しい音楽」。テュスクの自由な精神と土地への愛情が形になった、境界を越えた祝祭の音楽と言うべき一枚!
本作は1970年、ビクター<日本のジャズ>シリーズの1枚としてリリースされた。「われわれは日本人なんだから、日本人にしか出来ない奴をつくらなきゃならないと思う」。この時期の宮沢 昭の言葉である。宮沢が日本人にしかできない作品をつくろうとしたとき、自身の原点=生まれ育った故郷をモチーフに選ぶのは必然だったろう。長野県の松本市で生まれ、ましてや釣りに親しんだ宮沢にとって「木曽」「浅間」「白馬」「飛騨」はまさに原風景である。森山威男の怒涛のドラム、荒川康男の豊潤なベース、佐藤允彦の零れるようなピアノ、そして、情感をそのまま音塊にしたような宮沢のサックス。生まれ育った土地に対する郷愁や賛美、また大自然に対する憧憬や畏敬。宮沢は自身の根源見つめ、思いとイメージを真摯に丹念に音楽に織り込んでゆく。宮沢が到達したひとつの極み。それが本作『木曽』である。
text by 尾川雄介 (UNIVERSOUNDS / DEEP JAZZ REALITY)
トラックリスト:
Side A
1. 木曽
2. 浅間
Side B
1. 白馬
2. 飛騨
Amiri Barakaの詩である「It's Nation Time」からインスパイアされた大傑作が復刻!Evan ParkerやKen Vandermark、Pauline OliverosのDeep Listening Bandなど数々の名プレイヤー達と演奏してきたフロリダ出身のマルチ・ジャズ・プレイヤー、Joe McPhee(ジョー・マクフィー)の1971年代表作が、世界各地の多様な形のアヴァンギャルドや歴史的音源を現代へと提示する孤高のレーベル、Superior Viaductから堂々再発リリース!Mike Kull (piano)、Tyrone Crabb (bass)、Bruce Thompson (percussion)、Ernest Bostic (percussion)らが参加した歴史的ファースト・アルバム。ニューヨーク・ポキプシーのクリエイティヴなジャズ・シーンの名場面を切り取った、ラフでファンキーなスピリチュアル・グルーヴ、そして、パンキッシュなインプロヴィゼーション・サウンドは50年近く経った今聴いても新鮮に聞こえます。デビュー作にして既に孤高の領域へと達した一枚。両面印刷のインサートに貴重な写真と新たなライナーノーツが付属。

40年以上に渡って活動を続けるNYロフト・シーン重鎮フリー・ジャズ・ドラマー/作曲家であり、Thurston MooreやLee Ranaldo、Jim O’rourkeなどSonic Youthの面々ともそれぞれコラボレーションしてきたWilliam HookerがDavid S. Ware (tenor saxophone)、Alan Braufman (alto saxophone)らと共に、1977年1月14日にニューヨーク・ジャズ・ミュージアム行ったライヴ録音が半世紀近くの時を経て〈Valley of Search〉より初めてのリリース!!このアルバムは、新たな道を模索したり、バンドリーダーとしてデビューしたりと、それぞれのミュージシャンのキャリアにおいて極めて重要な時期に録音されたもので、ニューヨーク・シティのフリー・ジャズの最も純粋な、ダイナミックで生々しい瞬間が収められている。ジャズ史の重要な一部とも言える不朽の遺産!

オーネット・コールマンが1961年に録音した7作目のアルバムであり、彼のカルテット名義としては2作目となる『Ornette!』が〈PLAYTIME RECORDS〉よりリイシュー!本作は、メロディの革新と自由即興という彼の音楽の核心を結びつける作品で、特にメロディの革新に重点を置きながらも、独自の即興性を取り入れている。また、本作はドン・チェリー(ポケット・トランペット)、エド・ブラックウェル(ドラム)、スコット・ラファロ(ベース)との卓越したアンサンブルによって支えられており、特にラファロのアルバムの冒頭を飾る「W.R.U.」終盤のダイナミックなソロを筆頭に、冒険的で大胆なベース・ワークはさすがの一言!発表当初は他の代表作ほど注目されなかったが、次第に評価が高まり、現在では、コールマンの芸術的進化を示す重要な作品として、カルト的な人気を誇るアルバムとなっている。

1983年5月27日、東京・増上寺ホールで、1960年代から日本のフリージャズ界を牽引してきたドラマー富樫雅彦とギタリスト高柳昌行が共演し、録音した前衛的即興の極めてユニークなセット『Pulsation』が、セキトオ・シゲオやCosmos Factory、Piero Umilianiなどのエッセンシャルな作品を掘り起こしてきた〈Holy Basil Records〉より史上初アナログ再発。激レアなオリジナル盤は〈キング・レコード〉傘下の本邦の名門ジャズ・レーベル〈Paddle Wheel〉より1983年にリリースされていた希少作品。純粋な音と空間をテーマに、静寂を多用し、刻々と変化するダイナミクスと神秘的な音楽的論理で展開されていく珠玉の傑作!
