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2016年に発表後、入手困難でレア化していた中で嬉しいリプレス!Meditationsでもベストセラーな1960年代から活動するエチオピアの女性ピアニスト、Tsege Mariam Gebruの1960年代の秘蔵音源。
Erik Satie, Debussyなどの西洋音楽のエッセンスとエチオピア教会音楽の悠久の歴史が物語る神聖美が邂逅し、アフリカの約束の大地の上にて魂の脈打つ鼓動と瞑想の響きが混ざり合った孤高の音楽であり、女性版Dollar Brandとも言える感動的なモダン・クラシカル。ピアノのみの純粋な音楽性とレトロな音質がたまりません。スピリチュアルな音源がお好きな方は当然マストですが、幅広い音楽ファンへとお薦めしたい果てなき霊性漂うマスターピース。

1840年、スコットランド北西部の孤島セント・キルダにて絶滅した巨大な鳥、オオウミガラスの最後の1羽を殺めてしまった男の末裔、Ewan Macdonaldらによって結成されたアンサンブルGarefowlによるアルバム『Things That Vanish』。絶滅の悲劇と一族の歴史に向き合うべく、セント・キルダの主島ヒータ島の夜間にレコーディングを敢行。風や波の残響、鳥たちの羽音や水中音響、さらには現地の岩石や骨をX線解析しサイン波へ置換した独自のドローン技術を駆使して構築された、極めて深遠な音響ドキュメンタリー。シンセサイザーを一切排除し、ヴィオラ・ダ・ガンバやチェロ、コンサーティーナ、スモールパイプといった伝統楽器と現地採取の環境音響のみで編み上げられ、島に伝わる海鳥の不気味な伝承や魔術的な伝承歌の気配を宿しながら、気高い北の海の自然美と絶滅への悲哀が、アコースティック弦の深い響きと太古の残響となって静かに立ち現れていく。歴史の傷痕と島の記憶をそのまま音として刻んだような、重厚な一枚。
フランス・リヨン近郊を拠点に活動するManon NogierとGuillaume LespinasseによるデュオAdiciatzのデビュー・フルアルバム『Musique Domestique』。パンデミック下の自宅即興から生まれた、南仏のオック語詩や伝統フォークへの敬意と、先鋭的な即興探求が美しく結実したもので、アンプリファイドされた大正琴のハープを思わせる異国的な響きや透き通るヴォーカルに、キーボードや電子音響、繊細なパーカッションが密やかに交錯。サイケデリックなドローンと、素朴で牧歌的な旋律が同居し、交霊会を思わせる濃密な空気感のなかで無国籍で神秘的なアヴァン・フォークロアの新たな領域を切り開いている。

11月中旬再入荷。2026年リプレス!リトアニアの伝統的な民謡を、現代の音響感覚によって新たな世界へと解き放つ、ベルギーを拠点とするアンサンブルMeropeの2021年発表の名作『Salos』。リトアニアの伝統楽器カンクレスを奏でるIndrė Jurgelevičiūtėの幽玄な歌声を中心に、ギター、シンセサイザー、電子音響、バンスリー、チェロ、そして合唱が織りなす、古代と現代、土地の記憶と夢幻的な音響が交差するエクスペリメンタル・フォーク。

エチオピアの作曲家Wesenyeleh Mebrekuが、エチオピア各地に伝わる民謡や子守唄、歴史的な歌を電子キーボードだけで再構築した作品『Resonance of Time』。ローファイなカシオトーンの温かい質感が心地よく、オルガンやピアノのような音色がエチオピア独自のモードと結びつき、独特の浮遊感を生んでいる。リズムマシンの素朴なビートが懐かしさを誘い、メロディはどこか子守唄のように優しく、時に哀愁を帯びる。電子音でありながら人の手触りが強く、民謡の魂が電子回路を通して新たな生命を得たよう。1980年代エチオピアのカセット文化を象徴する名作であり、アンビエント、ローファイ、エチオピア音楽の要素が自然に混ざり合い、素朴さと実験性が同居する唯一無二の音世界。
1973年にフィリップス・エチオピアからリリースされた黄金期エチオピア音楽の秘蔵名盤『Wedding Songs Of Ethiopia』。アムハラ族の伝統的な結婚式の進行に沿って制作された全14曲を収録し、当時の祝宴の熱気と多幸感をそのままスタジオに封じ込めたもので、伝統楽器とモダンなアンサンブルが織りなすエチオピア特有の哀愁を帯びた旋律に乗せ、3人の実力派シンガーがマイクを交わしながら熱烈なコール&レスポンスを展開。絶え間なく打ち鳴らされる激しいクラップと、蜂蜜酒が振る舞われる宴の興奮を捉えた力強いボーカルが、圧倒的なダンサブル・グルーヴを生み出している。婚礼写真が掲載されたインサートや豪華な手刷りジャケットも含め、当時のエチオピアの祝祭文化をそのままパッケージした、貴重なアフロ・フォークロア名盤!
〈Cairo Records〉より、1920〜30年代アパラチア地方のバンジョー弾き語りだけを集めたコンピレーション『As Time Draws Near』が登場。収録されているのは、Clarence Ashley、Dock Walsh、BF Shelton、Samantha Bumgarner、Bascom Lamar Lunsfordなど、アパラチア音楽の初期録音を代表する重要人物ばかり。1924〜1930年の78回転盤から復刻された音源は、ノイズを含んだ質感のまま丁寧にリマスタリングされ、当時の空気や生活の匂いまで伝わるようなリアリティを持っている。ダンス・チューンや軽快なストリング・バンド曲をあえて排し、失恋、孤独、神秘的な出来事、殺人といったアメリカ的バラッドの暗い物語性に焦点を当てている点が特徴的で、語りと歌の境界にある素朴な声、硬質で乾いたバンジョーの響きが、山間の暮らしの厳しさや、語り継がれる物語の重みを静かに浮かび上がらせる。音楽的には極めてミニマルだが、そのシンプルさが逆に、歌い手の息遣い、弦を弾く指の強さなど、現代の録音では得られない特別なものを感じさせる、〈Cairo Records〉ならではの一枚。
東南アジアの光景と異国情操を独自の視点で掬い上げるBodega PopのGary Sullivanによるラオス現地音源の極上コンピレーション『The Remains: Short-Run Regional Releases from the Lao People's Democratic Republic』。ルアンパバーンやビエンチャンのナイトマーケット、カフェ等で掘り起こされた1970年代から2000年代初頭の超小ロット自主制作CDR/CDから音源を厳選したカセット限定作品で、ラオスの象徴である竹製笙ケーンの素朴な響きをはじめ、水牛の角でつくられたリード楽器サナイや儀式用ゴングなど、様々な民族の伝統楽器が紡ぐ力強くもノスタルジックな音像。現地の空気感をそのまま封じ込めたかのような盤面の経年劣化や音飛びすらも美点として抱え込み、学術的な分類を越えて音の質感とリズムに導かれて編み上げた、ラオスの忘れ去られた音楽風景を旅するフォークロア集!

カナダ・トロントを拠点に活動するKevin & Patrick Cahillの兄弟デュオEast of the Valley Bluesによる、アコースティック・ギターという最小限の編成でアメリカン・プリミティヴの精神を現代的に再解釈した一枚『Blood Blood Song』が、お馴染み〈Death Is Not The End〉から登場。Kevinはナイロン弦と時にプリペアド、Patrickはスチール弦を担当し、左右に振り分けられた録音が二人のギターが向かい合い、中央で出会うような立体的な音像を作り出す。音楽は、John FaheyやRobbie Bashoの系譜に連なりながらも、より抽象的で、より映像的。歴史や物語を想起させるタイトルが多く、曲ごとに異なる情景が静かに流れ込んでくる。ナイロン弦のパーカッシヴなアタックと、スチール弦の澄んだ響きが絡み合い、会話するように進むアンサンブルが核。抑制された最小限の動きの中に、深い蠢きを内包するかのような音像は、アメリカン・プリミティヴの深みに潜り込んでいくかのよう。

フィンランドのパーカッショニスト Antti Vauhkonen を中心とするジャズ・コレクティヴ Oiro Pena が、北欧のフォークローレとスピリチュアル・ジャズを静かに融合させた作品『Béke』。スタジオでライヴ録音された本作には、その場で生まれる呼吸や生々しい空気感が刻まれており、フィンランド民謡の素朴な旋律と、霊性を帯びた即興演奏が自然に溶け合っている。「Béke(平和)」というタイトルが示すように、サックスやフルート、ヴィオラ、声が柔らかく重なり合い、音楽は派手さを排しながらも深い祈りのような静けさを湛え、北欧の冷たい空気と温かみを帯びた精神性が同時に漂う独特の世界を描き出す。ミニマルな反復と儀式的な高揚感が共存する北欧スピリチュアル・フォークジャズ。

フィンランドのパーカッショニスト Antti Vauhkonen を中心とするジャズ・コレクティヴ Oiro Pena が、北欧のフォークローレとスピリチュアル・ジャズを静かに融合させた作品『Béke』。スタジオでライヴ録音された本作には、その場で生まれる呼吸や生々しい空気感が刻まれており、フィンランド民謡の素朴な旋律と、霊性を帯びた即興演奏が自然に溶け合っている。「Béke(平和)」というタイトルが示すように、サックスやフルート、ヴィオラ、声が柔らかく重なり合い、音楽は派手さを排しながらも深い祈りのような静けさを湛え、北欧の冷たい空気と温かみを帯びた精神性が同時に漂う独特の世界を描き出す。ミニマルな反復と儀式的な高揚感が共存する北欧スピリチュアル・フォークジャズ。

中東や北アフリカのアラブ圏の、知られざるファンク、ソウル、ジャズを発掘する名門〈Habibi Funk〉が新設したレーベル〈Audible Beauty〉からマレーシア産極上ジャズが登場!マレーシア音楽史の礎を築いた作曲家であり編曲家Alfonso SolianoがRadio Television Malaysia向けに残した幻の録音をまとめたアーカイブ作品『Tiga Trombone』。当時は放送用に数十枚のみ制作されたという希少音源を、家族の正式ライセンスのもとで復刻した充実作。ジャズ、ラテン、マレー伝統音楽が自然に交差する独自のサウンドが魅力で、ホーンセクションは柔らかく、時にラテン的な軽快さを帯び、リズム隊はしなやかなスウィングとトロピカルな温度感を併せ持つ。メロディには土地の空気感が滲み、マレー語の響きやローカルの情緒がジャズのフォーマットの中で立ち上がるような印象。風景がゆっくり変化するようなアレンジが続き、ピアノやホーンのフレーズが柔らかく連なりながら、地域性とジャズの普遍性が美しく重なる。
ナイジェリア人パーカッショニスト、Gasper Lawalが1980年に自主レーベルである〈CAP〉から放った衝撃的デビュー作『Ajomasé』が名門〈Strut〉より遂に正規再発。Stephen StillsやFunkadelic、Vangelisら数々の巨匠と共演し研ぎ澄まされた感覚を、自作楽器や緻密な多重録音で結晶させた唯一無二の作品です。アフロ・リズムの深みと実験性を兼ね備え、当時John Peelらによるラジオ・プレイをきっかけに国際的評価を獲得した歴史的名盤。第四世界的サイケデリア、底流に流れるファンクネス、西アフリカ的霊性と多彩なリズム、エスノ・エクスペリメンタル的前衛精神までもが交錯するジャンル越境の傑作。オリジナル・テープからのリマスタリング仕様。

フランス南部、オクシタニア地方を拠点に活動する女性デュオCocanha による、声とタンバリンを中心にしたミニマルな編成で、オクシタン語のフォークロアを、懐古ではなく、今を生きる表現として再構築したアルバム『Flame Folclòre』。複数声部のポリフォニーが渦を巻き、弦付きタンバリンの深いパルスが身体を揺らす。反復の中で徐々に熱を帯びていく構造は、伝統音楽でありながらミニマルで身体的なトランス感のあるサウンド。プロデュースにはRosalíaやLee Ranaldoを手がけるRaül Refreeが参加し、声の近さや打楽器の生々しさを際立たせた緊張感のある音像を作り上げている。古い旋律と新しいテキストを組み合わせ、フォークロアを組み直す、現行フォークの最前線。
2010年夏、東京・高円寺阿波おどりを久保田麻琴による録音で発売した『ぞめき 壱』。根強い阿波おどりファンだけでなく、ワールド・ミュージック・ファンからクラブ系音楽ファンまで多くの反響を受け大ヒット。「ぞめき」シリーズはこれまで8作のCDをリリースした。
本作は、この「ぞめき」シリーズの番外編。12インチ・シングルとして初のアナログ化。
A面は、1968年に爆誕して以来、半世紀以上に渡って一拍子系の雄として阿波踊り新世代に影響を与え続けた苔作。
鉦の谷幸治連長時代の高円寺での演奏。華やかだがそのストイックな演奏は追随を許さない王者の貫禄だ。街の反響と熱狂する客たちの反応も爆音とともにしっかり録音された。
続いてB面は、去年他界した柳町春雨率いる新町橋よいよい囃子と独特のグルーブで知られる眉月連とが合同セッションしたレアなライブ音源。半世紀の間、桟敷席ではなく広場で、まるでジャマイカのダンスホールのような状態で客たちを踊りの渦に巻き込んできたよいよい囃子。一方最もディープなノリを誇る眉月連のグルーブは、ロックドラムの創始者、Earl Palmerのような躍動感と驚異の正確さだ。
ROLAND R4という録音機、それとハンドマイク、SONY ECM 999 で久保田麻琴により2010年代に録音された。行進する連と動く録音なので、時間と共にバランスが変わっていく面白さが堪能できる。
レトロなカバー写真は、今年3月、新宿オリンパスギャラリーで写真展「ぞめき」を開く気鋭のカメラマン、平良博義の2024年の作品。
■収録楽曲:
Side A
1.苔作(桃園 高円寺)
Side B
1.新町橋よいよい囃子 with 眉月連(新町橋 徳島)
大城美佐子のデビュー曲『片思い』を、Churashima Navigatorのメンバーそれぞれが尊敬と感謝の気持ちを込めてカバー&リミックス。
「片思い」は、2021年に逝去した沖縄民謡唄者・大城美佐子の1962年デビュー曲である。
師匠・知名定繁(知名定男の父)が作詞・曲を手がけ捧げた作品で、大城の代名詞的楽曲。最後まで現役唄者だった大城は、この曲を大事に歌い続け、育ててきた。
それを弟子の堀内加奈子が歌い継いだのが本作だ。堀内を筆頭に、Churashima Navigatorのメンバーは生前大城と縁深く、SINKICHIとNu-dohは、2017年に「片思い」(1962年録音)のリミックスを手がけた仲でもある。
今作は、大城への感謝と尊敬の念を示すべく制作されたという。始まりは、Nu-dohが2024年11月に行われた「大城美佐子 偲ぶ唄会」で堀内が歌う「片思い」を聞き、「今の加奈子の歌を残したい」と構想を練り始めたこと。
2025年11月、那覇でのライブで約6年ぶりにChurashima Navigatorのメンバーが集結したことを機に、制作がスタートした。
A-1は、堀内が歌三線のみで聞かせる「片思い」。行きどころのない恋心が切々と語られる本曲だが、闇雲に感情を込めすぎてもいけない、それでいて“泣き”を滲み出すことが求められる難曲だと痛感する。師匠の歌から学び、独自に鍛錬してきた堀内流の「片思い」に宿る、心の揺れをじっくり聞き込んでほしい。
A-2は、Nu-doh & Harikuyamakuのリミックスに、MARINO(sax)、カナミネケイタロウ (bass)が客演。鼓動のように刻まれるビートと、セッション的な美しい音の重なりが、海の彼方の世界にトリップしたような深遠なる景色を見せてくれる。
B-1は、A-2のトラックをベースにSINKICHIがリミックス、大城の持ち歌「白雲節」にかけて「White cloud Mix」と銘打ったナンバー。どこかエキゾチックな音の響きや、鳥の鳴き声などが心地良いアンビエントな仕上がり。途中、一瞬だが大城と堀内の会話が聞けるのも微笑ましい。
「リミックスでも歌三線をしっかり聞かせることが大前提だった」というNu-dohの言葉が頷ける本作。師匠の思いを歌い継ぐ弟子の表現、新たな解釈の音世界を立ち上らせたリミックスで、大城美佐子が愛した「片思い」という楽曲の普遍的な魅力を堪能したい。
(文/岡部徳枝)
■収録楽曲:
Side A
1. 片思い (堀内加奈子)
2. 片思い Island dub Mix
(Nu-doh & Harikuyamaku feat. カナミネケイタロウ (bass) / MARINO (sax))
Side B
1. 片思い White cloud Mix(SINKICHI)

11月上旬再入荷。中東や北アフリカのアラブ圏の、知られざるファンク、ソウル、ジャズを発掘する名門〈Habibi Funk〉が新設したレーベル〈Audible Beauty〉からマレーシア産極上ジャズが登場!マレーシア音楽史の礎を築いた作曲家であり編曲家Alfonso SolianoがRadio Television Malaysia向けに残した幻の録音をまとめたアーカイブ作品『Tiga Trombone』。当時は放送用に数十枚のみ制作されたという希少音源を、家族の正式ライセンスのもとで復刻した充実作。ジャズ、ラテン、マレー伝統音楽が自然に交差する独自のサウンドが魅力で、ホーンセクションは柔らかく、時にラテン的な軽快さを帯び、リズム隊はしなやかなスウィングとトロピカルな温度感を併せ持つ。メロディには土地の空気感が滲み、マレー語の響きやローカルの情緒がジャズのフォーマットの中で立ち上がるような印象。風景がゆっくり変化するようなアレンジが続き、ピアノやホーンのフレーズが柔らかく連なりながら、地域性とジャズの普遍性が美しく重なる。未発表写真や詳細なライナーノーツを収めたブックレットも付属。

ロサンゼルスの作曲家、マルチ奏者 Brendan Eder が率いるアンサンブルによる、室内楽、アンビエント、ミニマル、フォークロアが柔らかく溶け合った作品。タイトルの通り、ニューイングランドの海辺にある小さなコテージを思わせる、静けさ、温かさ、ノスタルジーがアルバム全体を包んでいる。フルート、クラリネット、バスーンなど木管中心の室内楽編成、素朴で温かいフォークロア的な旋律による懐かしさに、現代的なミニマル感覚がふんわりと漂う。

〈Black Truffle〉より、80代になるスウェーデンのマルチ奏者Christer Bothénが自身の軌跡を辿りながら、伝統楽器ドンソ・ンゴニの深淵な世界を単独で表現した稀有なソロ作品が登場。1970年代からスウェーデンのジャズや即興シーンで活躍してきた彼は、1971年にマリへ渡り、南部ワスル地方で狩猟者のカーストが奏でる神聖なハープ、ドンソ・ンゴニに出会う。伝統的には狩猟者一族にのみ演奏することが許されたこの楽器を、熱心な師匠ブロエマ・ドビアからのマンツーマン指導で習得し、伝統を尊重しつつも自分のスタイルでの演奏許可を得たという。本作は、伝統的なワスルの七つの曲に加え、両者の境界を曖昧にするBothén自身の作曲『La Baraka』を収録。主にペンタトニックの繰り返しに集中しながらも、その中で無限のニュアンスや即興的な息づかいが躍動し、単調に陥ることなく深い聴きごたえを生み出している。特に、楽器に付随する小さなラトルの効果や演奏の微妙な加速・減速が、静かに、しかし鮮やかに音楽の流れを彩っていて、最終曲では長年の弟子でありベーシストのカンサン・トルビョルン・ゼッターベリと、金属スクレイパー奏者マリアンヌ・ンレムボ・リンデンが加わり、独特の響きをさらに深めている。ストックホルムの高音質スタジオで2019年から2023年にかけて録音され、細部まで鮮明に捉えられた音像は、ドンソ・ンゴニのブルブルと震える低音弦の豊かな鳴り響きが強烈に印象に残る。これは約半世紀にわたるBothénの献身的な探求が結実した、精神的とも言える集中の記録で、作品にはマリ滞在時の鮮やかな写真と詳細な解説も添えられ、この深淵な楽器の神秘と魅力を多角的に伝えている。

アヴァン・ポップ・バンドの新鋭carolineのヴァイオリニストMagdalena McLeanと、The UmlautsのAnnabelle Mödlingerによるロンドンの新鋭デュオCurbside Lambsearのデビュー作品『Put Rings On All My Fingers To Weigh Down My Hands』。ウィーンでの出会いからロンドンの先鋭的実験シーンで再開したふたりが、自身の所属バンドとは異なる新たなサウンドを探求、加工されたギターとうねるドラム、電子音響やDAWでの実験的手法を高度に融合させ、ポストロック、スローコア、ノイズ、フォークロアなプログレを自在に解体・再構築。DomeやDisco Inferno、Bark Psychosisといった英国地下実験音響の不屈の系譜を感じさせつつも、クールでアンニュイな歌声がTirzahらにも通じる現代的で優美な感性を添えている。歪みやノイズの濁りをあえて隠さず、多幸感と切なさを交錯させる最前線のサウンド!
グラミー受賞歴を持つSP盤コレクターであり、研究の第一人者Christopher Kingの徹底的な調査のもと、1929年から1931年に録音されたギリシャ・エピロス地方の伝説的クラリネット奏者Kitsos Harisiadisの超希少SP盤音源を極上復刻した『Lament in a Deep Style 1929-1931』。78回転盤から直接リマスターされた音源には、むせび泣くような旋律と神秘的な装飾音、そして独特のピッチベンドが織りなす孤高のクラリネット演律が刻まれている。ギリシャ伝統音楽の骨格を成す端正な器楽表現でありながら、静寂と狂気が交錯するその音響は、現代のミニマル・ミュージックやアンビエントにも通じる異次元の空気感を醸し出している。長らく忘却の彼方にあったアフロ・ユーラシア辺境音響の奇跡的な発掘ドキュメント。ビックス・バイダーベックにも通じる孤高の音楽。

11月上旬再入荷。セネガルとスウェーデンの音楽家が、距離を越えて作り上げてきたプロジェクトWau Wau Collectifの三部作の最終作『Teranga』。2018年にToubab Dialawの村で始まった録音は、WhatsAppを介した音源交換を経て、2021年『Yaral Sa Doom』、2022年『Mariage』へと発展し、今回の最終作は初のヨーロッパ・ツアー中にメンバーが実際に集まりながら仕上げられた。本作には 26名の音楽家が参加し、バラフォン、ンゴニ、カラバス、ヴァイオリン、チェロ、サックス、オムニコードなど、多彩な楽器が柔らかく重なり合う。アフリカの伝統的な響きと、室内楽的な質感、そして控えめな電子処理が自然に混ざり、素朴なメロディと有機的なリズムがゆっくりと広がる音像をつくり出している。古いアフリカン・ギターを思わせる瞬間や、2000年代初期のアフリカン・ポップの軽やかさが顔を覗かせつつ、録音の配置や編集の手つきは現代的で、過去と未来が同じ地平で響くような独自の感触。実際の旅と共同作業を経て、文化の違いを越えて響き合う、〈Sahel Sounds〉らしいクロスカルチュラルな魅力が詰まった一枚。


Meditationsでもベストセラーな1960年代から活動するエチオピアの女性ピアニスト、Tsege Mariam Gebruのナンと秘蔵初出音源がリリース!
Erik Satie, Debussyなどの西洋音楽のエッセンスとエチオピア教会音楽の悠久の歴史が物語る神聖美が邂逅し、アフリカの約束の大地の上にて魂の脈打つ鼓動と瞑想の響きが混ざり合った孤高の音楽であり、女性版Dollar Brandとも言える感動的なモダン・クラシカル。ピアノのみの純粋な音楽性とレトロな音質がたまりません。スピリチュアルな音源がお好きな方は当然マストですが、幅広い音楽ファンへとお薦めしたい果てなき霊性漂うマスターピース。
