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スペイン生まれ・ベルリン拠点のプロデューサーで、多様な要素を統合するユニークな音楽性と、音楽を媒介にした思考や社会的問いを織り込んだマルチメディア・アーティストでもあるSilvia Jiménez AlvarezことJASSSの3作目『Eager Buyers』が、自身の新レーベル〈AWOS〉ファースト・リリースとして登場!資本主義の幻影とその崩壊を内面から見つめるような、憂いと緊張を孕んだアンチ・ノスタルジアの音世界で、ノイズやブレイクビーツ、ダーク・アンビエントやプリペアド・ピアノ、ベースギターの鈍い重低音に自らのボーカルが絡み、幻のようにジャンルをまたぐ感触はポスト・パンクやトリップホップを想起させながらも、どこにも属さない浮遊感をまとっている。フィールド録音も交えたこの作品は、過去の残響が染みついた場所の記憶までも呼び起こし、不安と焦燥を静かに燃やす、退廃と優美が交差する現代の鎮魂歌のようなアルバム。

ロンドンのパーカッショニスト、作曲家Valentina Magalettiと、大阪の実験電子音楽家YPYがタッグを組んだコラボ作『Kansai Bruises』が名門〈AD 93〉より登場!ヨーロッパの前衛打楽器と日本のミニマル電子音楽が交わり、全8曲、関西地域の古い伝統と現代的な都市風景がぶつかる場所を舞台に、旅人のような視点からその土地の曖昧で変化し続ける雰囲気を立体的で空間的な打楽器と、の繊細な電子音で描いている。冒頭の「One Hour Visa」、一時的な滞在や通過点の感覚からスタートし、「Kansai Bruises」では、フィールド録音と加工された打楽器が重なり、まるで都市をさまよう映画のようなサウンドスケープに。「Float」は繊細な電子音とポリリズムの絡み合いで、無重力のような浮遊感を描き出す。異なる文化圏の音楽家が出会い、互いの領域を超えた場所で生まれたこの作品は、単なるフュージョンではなく、衝突しながらも共鳴する、2人の違いがそのまま音楽の面白さになっているような一枚。
サンフランシスコ発、ロサンゼルスを拠点に活動する、ポップを愛しつつ、壊しながら再構築するベッドルーム・サイエンティストとも言うべきオルタナ・ポップユニットHarry the Nightgownの5年ぶりの新作『Ugh』は、ハイパーポップ、電子音響、アヴァン・ポップを溶かし込んだ、過去最大のスケールを誇る一枚。一見キュートで軽やか、でもどこか引っかかる感情の断片が刺さってくる感覚、ハイパーポップ的な過剰さやスピード感と、チルでメロウな瞬間が共存している。Björk、fka twigs、Oneohtrix Point Never、Tirzah、Vegynといったアーティストからの影響を受けつつも、Harry the Nightgownらしいユーモアと実験精神が貫かれており、クセのあるサウンドにひとたびハマると、遊び心と奇妙で愛おしい歪みがリスナーを不思議な没入空間へと引き込んでいくかのよう。

Tetsu Inoueや坂本龍一、Pauline Oliverosらとのコラボで知られるStephen Vitiello、FUGAZIのBrendan Canty、Herbie Hancockとも仕事していたHahn Roweによる、アンビエントや実験音楽の枠を超え、クラウトロック、ポストパンク、ダブ、グルーヴ重視のアンサンブルまでを飲み込んだ予測不能なアルバム。Vitielloは今作ではローズピアノやギター、モジュラーを駆使しスケッチを作成し、そこにCantyがドラムやピアノ、Roweがヴァイオリンや12弦ギターを重ねるという、即興と構築が交差するプロセスで制作しており、動的かつ即興的な2023年作『First』の流れを汲みつつ、より肉体的なグルーヴと構成力を伴っている。さらに、Animal CollectiveのGeologistがハーディ・ガーディで参加するなど、偶然の出会いが音楽に新たな風景をもたらしている。同レーベル作品のなかでも最も動的かつダイナミズムに富んだ内容で、第4世界的霊性、現代ジャズのエネルギー、クラウトロック、ポスト・ロック、アート・ロックなどが交錯する、ジャンルを超越したフリーフォームな傑作。深く、鋭く、鮮やかに響く音の錬金術のようです。

Judee Sillをはじめ、Milton Nascimentoなど多様な音楽ジャンルからのカバーも収録。ジャズ・トリオ、Ingaのリーダーとしても知られ、サイケデリックやアウトサイダー、メディテーティヴと評される自由でユニークなサウンドを営んできたLAのサックス奏者のSam Gendelと、同地のベーシストSam Wilkesのコラボレーションよる2024年のデュオ・アルバム第3弾『The Doober』が〈Leaving Records〉からアナログ・リリース!当店ベストセラー、大成功を収めた『Music for Saxofone & Bass Guitar』(2018年)と『Music for Saxofone & Bass Guitar More Songs』(2021年)に続く3枚目がd年越しに登場!メロディーやアレンジの完成度、自由度へと焦点を当てた内容となっている本作では、楽器編成、サウンド、レパートリーの具体的なバリエーションを記録。今回はGendelがCメロディ・サックス、WilkesがフェンダーPベースを担当した内容で、選りすぐりの素材とオリジナル曲のアレンジを収めています。

今作もぶっちぎりに良い!吉村弘を解体再構築したトラックも。Flying Lotus主宰の〈Brainfeeder〉からの作品も知られる奇才であり、”Modern New Age”(現代のニューエイジ)というヴィジョンを掲げ、2010年代以降のシーンを牽引した新時代のニューエイジャー、Matthewdavidによる最新作が自身の率いる〈Leaving Records〉から登場!CFCFなどのネオ・ラウンジ・ブレイクスを想起させるニューエイジ以降の安寧とクラブ・ミュージックの熱狂が同居する、異端のモダン・ミュージック。限定200部、100%リサイクル可能なヴァイナルプレスで、収益はすべてガザ救済に寄付されます。



The Jaffa KidことDaniel Pringleによる最新作は、UK電子音楽の多彩な伝統を継承しながら、知的で実験的、周辺領域を自在に行き来する強力な一枚。不思議な浮遊感と奇妙さがあり、テクノやエレクトロを変に、でも美しく再構成したジャンル横断型のスタイルは、µ-Ziq、Aphex Twin、Plaid、Luke Slater、Jegaらの系譜に連なるスタイルながら、どのトラックにもTJKならではのメロディセンスと、サイケデリックな響きの感覚が詰まっている。膨大なリリースを誇るTJKだが、今回のLPではその幅広いスタイルを整理し、IDM、D&B、レイヴ、アンビエント、実験的エレクトロまで、ジャンルの枠を縫うように展開。クラブと部屋、スピーカーと脳内、どちらでも深く刺さる、現代的で多面的なUKエレクトロニカの決定打。「ブレインダンスとは、島国UKの奇妙な現代フォークである」という言葉を体現するようなアルバム。
そのノイジーでシュール、そして徹底してオリジナルなアプローチゆえに、長年にわたり誤解されてきた異物のような作品、ガーディアン誌『Spotifyで最も奇妙な101枚のレコード』にも選出された、The Shadow Ringの1997年作『Hold Onto I.D.』が〈Blank Forms Editions〉より初ヴァイナル化。Graham Lambkinのどもるようなスポークン・ワードと、Tim Gossによる不穏なラジオフォニック系の電子音が絡む本作は、サウンドは、ブリティッシュ・ロックの歪んだ解釈からさらに距離を取り、アコースティック楽器はまるで崩れかけの民俗音楽の断片のように使われ、ギターは音を支える柱というより詩の背景ノイズになっていく。リリックは、海辺の眠たい町フォークストンの日常と退屈を病的に綴った小話のようで、文化的な虚無、くすんだじっとりした風景、図書館に埋もれた空想と記憶の断片。そのすべてがカセットテープ的DIY美学に落とし込まれた異形のローファイ・サイケデリア。ハイカルチャーとローカルチャーが混濁したような唯一無二の作風は、派手さも即効性もないが、タイムレスな魅力を放ち続ける作品。

Laila Sakiniも参加!〈Vanity Records〉にも名を連ねたジャパニーズ・テクノ先駆者・白石隆之らの名ユニット= Tristan Discoの音源集にもリミックスで参加。90年代後半から00年代前半に活動し、近年発表された未発表アルバムがカルト人気を集めていたスウェーデンのユニットCivilistjävel!による〈FELT〉からの 4 枚目のリリースとなる作品『Brödföda』がアナログで登場。氷河の様な凍てつくテクスチャーと広々としたサウンドスケープを携えた、アトモスフェリックな深海系ダブテクノ・サウンドを軸に、ELDON、Withdrawnらが参加した激渋なインダストリアル・ヒップホップ"Ⅷ"の様な曲までとにかく絶品です!名匠Noel Summervilleがマスタリング仕様。

アゼルバイジャンやマルティニークなどの神秘的な音楽からスイスの地下音楽、フランスの電化ライまで、各地の辺境音楽を掘り起こすだけでなく、Altin GunやDerya Yıldırım & Grup Şimşekなど現代の突出した才能も紹介してきたスイスの名門〈Bongo Joe〉から新物件!Rustem Quliyevの先駆的な作品を紹介した最初のコンピレーション作品『Azerbaijani Gitara』の成功に続き、アゼルバイジャンの知られざるギタリスト、Rəhman Məmmədliを紹介した編集盤『Azerbaijani Gitara volume 2』がアナログ・リリース。音楽的実験と革新の豊かな伝統に根ざしたアゼルバイジャン・ギターラ文化。アゼルバイジャンのミュージシャンや作曲家たちが、土着の伝統と世界的な影響を融合させる手段として採用した特異なエレキギター・サウンドを堪能できる絶品サイケ盤!

Psychic TVやThrobbing Gristleでの活動も知られるPeter 'Sleazy' ChristophersonとJohn Balanceが率いたカルト・インダストリアル/エレクトロニック・ユニット、Coil。そのメンバーDrew McDowallが単独で録音した粗いデモ・テープを、バンドメイトのJohn BalanceとPeter Christophersonが完成させた、最小限のポスト・プロダクションで録音された4編のドローンを収めた傑作『Time Machines』が〈Dais Records〉よりアナログ再発。チベットやその他の宗教の儀式音楽からインスピレーションされ、音楽に没入して瞑想したり、トランス状態になることを目的とした、まさに時間を溶かすような深遠で幻覚的な長編ドローンの史上に残る傑作アルバム。

〈Genome6.66Mbp〉や〈Unseelie〉といったDeconstructed Club系の名門に作品を残し、ポスト・クラブ以降のアンビエントへのアプローチを内面的方面へと深めてきた、ニューヨーク拠点の名手”7038634357”。前作も当店ロングセラーを記録した同氏による最新作が〈Blank Forms Editions〉から登場!水面の夢、遠くの蜃気楼。00年代アンビエント・トランスやY2K以降のIDM美学を継承しつつ、現代的なレイヤー感覚で再構築されたエモーショナル・エレクトロニクス。透過するシンセ、反復するメロディ、霞んだドラム。どこまでも遠く、けれどどこか懐かしい。水にまつわる記憶が響きあう、デジタル時代のメランコリックなドリフトといえる逸品。

日本と世界の音楽を土着的な視点からクロスオーバーしてきた日本屈指のインディペンデント・レーベル<Crosspoint>主宰。独自のワールドビーツ・サウンドを確立する東京出身のプロデューサー/DJのJ.A.K.A.M.が2023年にCDリリースした名作アルバムが豪華仕様でアナログ化!
コロナが始まった2020年、インド、ケララ州で録音された密林の環境音と、
2023年に今も自爆テロが起こる混沌とした荒地パキスタンのカラチ、ラホール、ペシャワールで録音された伝統楽器を、エレクトロニクスとコラージュし、作り上げた近未来アジア音楽は、アラブ、アフリカまでもが不思議と溶け合い、アスファルトの上に生きながらも、元来の土の匂いを感じさせる唯一無二の作品に!
しっかりとモダンなダンス/クラブミュージックの様相を取りながらも、
そのビートの上で鳴り響く、現代では失われつつある伝統楽器の音色が、
リスナーをイマ、ココでは無い、失われていた記憶のどこかへと誘うことでしょう。
Modern Traditionalというテーマで制作された新たなワールド、サイケデリックミュージックの指針となるであろうこの金字塔的作品は音質にこだわり、2枚組という仕様にすることで、ディープリスナーからDJまで、そのダイナミックかつ繊細な音の渦を楽しめることでしょう!
Texts for Album Release
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1980年代の初めから終わりにかけて姿を現した新しい美を纏ったダンス・ミュージックは、世界を覆っていく運命の下にあった。それは冷戦の果てのときの裡にテクノロジーと遭遇し、うねりと共にそれまでの世界の聴き方と奏で方から離れていった。1990年代の半ばに東京のシーンに彗星の如く相剋するリズムをもって顕れたJUZU a.k.a. MOOCHYことJ.A.K.A.M.は、そのことをこの国で最も顕著に体現してきたアーティストではないだろうか。まだ多くがその音色を知らぬテクノロジー、インストゥルメント、リズム、テクスチャー、すなわち、彼の軌跡とこの作品にあるよう、新しい美の構造は必ず見慣れる風景を見出し、新しい現実を構築する。2024年にこのアルバムがリリースされたことを見逃してはならないと思う。
荏開津広(ライター)

ウクライナのアーティストXTCLVRによる、アンビエント・トラップ×ダブ・テクノの靄がかったヴェイパー感が特徴的なデビュー・アルバム『Blessed Loops』が〈Sferic〉から到着。逃避的な美しさと幻覚的で不安定な音の風景は、キエフでの戦時下、宵闇の中の外出禁止令と砲撃音に囲まれながら制作されたという背景が、そのまま音の質感に刻み込まれているよう。全体を通して、言葉にならない声が霧のように漂い、ビートはくぐもり、テクスチャはぼやけ、感情はにじむ。逃避と現実、パーティの余韻と破壊の残響が同時に鳴っているような感覚で、BSW948、OB3TH、Indyら多彩なゲスト陣も幻影に拍車をかけている。幻想的な逃避と、残酷な現実の記録のはざまに存在する、退廃と美の入り混じる音のドキュメント。
uon / shy / Caveman LSDなど多様な活動でも知られるSpecial Guest DJがここ10年かけて築いてきた、実験的エレクトロニックの地下迷宮。その集大成のような一枚『Our Fantasy Complex』が自身のレーベル〈3XL〉から登場。Special Guest DJはベルリンを拠点にダブ・アンビエントや滲んだクラブ・テクスチャ、ローファイな夢想空間を行き来してきたが、本作は、その入り組んだ美学を凝縮したもので、怒り、官能、夢といった感情のもやを音に転写したような内容。シューゲイズやダブテクノ、D&Bのエッセンスが断片的に浮かびつつも、ジャンルには還元されないまま、呪術的な音響の絡まりとなっている。、Ben Bondy、mu tate、Arad Acidといった盟友たちの手も加わり、奥行きを増したサウンドは、内省とクラブの残骸を曖昧に溶かすような、よりダークで汚れたサイケデリア。
Lucy DuncombeとFeronia Wennborgによる、人工音声ツールを駆使して4年かけて作られた、ヴァーチャル合唱シンフォニーとも言うべき作品『Joy, Oh I Missed You』が〈Warm Winters Ltd.〉より登場。詩的なサウンドと、機械の故障じみた奇妙さが入り混じった音像は、音声合成やAIボイス解析などの技術を使い倒し、あえて人間の声を完全に模倣せず、失敗やひずみに耳を澄ますアプローチで、。フランソワ・デュフレーヌやオノ・ヨーコ、Phewらの声の実験を、現代のツールでアップデートしたような内容とも言える。Duncombeの奇怪な電子声と、Wennborgの硬質なサウンド処理が絶妙に絡み合い、どこからが人間の声でどこからがデジタルの模倣か判別がつかない。時には機械の故障のように、時には祈りのように、ピッチがずれ、破裂し、ため息のような断片が折り重なって、異形のコーラスが立ち上がる。タイトルどおり、喜びと喪失の間で揺れるような感情の振幅をもった作品で、コンセプトは実験的だが、音楽としての美しさや感情的な深みもしっかりとしており、聴き応えある充実作。

グラス・ビームスやクルアンビン好き必聴!!今回新たに〈Ninja Tune〉傘下のレーベル〈Technicolour〉との契約が発表されたユーフは、ロンドンを拠点とする4人編成のインストバンドであり、近年、東洋と西洋を掛け合わせた摩訶不思議な音楽で人気を博すグラス・ビームスを輩出した〈Ninja Tune〉の今の方向性の一つを示すように、世界各地の音楽からの影響を融合した唯一無二のサウンドで熱い注目を集めている。
5曲で構成される『Alma’s Cove』は、日常のストレスから解放され、自然や物事とのつながり、そして共鳴の感覚を通じて、リスナーを瞑想的な音の旅へと誘うサウンドスケープである。バンドは「『Alma’s Cove』は、ストレスのない夢のようなトロピカルな空間で、心が満たされ、今この瞬間を感じられる場所。自分のペースで楽しめる静かな楽園だ」とコメントしている。「このEPを制作するうえでの主な目的は、私たちのロンドンでの生活−−ストレス、不安、圧倒される日々−−とは真逆の空間を作り出すことだった。自然とのつながりを取り戻し、“今”を楽しむための夢の国なんだ」。
オーガニックな質感、きらめくような音のディテール、サイケデリックなリズムが豊かに織り込まれたタイトルトラックはリスナーを『Alma’s Cove』の穏やかな世界へと誘う。自然の中を歩きながら、その音や景色を感じ取り、その美しさに身を委ねているような体験がそこにはある。
ユーフ|Yuuf
世界各地の音楽的影響を融合するという音楽理念のもとで活動するユーフ。メンバーそれぞれの出身地も、スイス、デンマーク、フランス、イギリスと異なる。そのサウンドはクラシックなスペインギター、アメリカーナのサウンドスケープ、そしてスタジオジブリのサウンドトラックからもインスピレーションを受けている。2024年の夏にデビューEP『In The Sun』をリリースし、Spotifyだけで150万回以上のストリーミング再生を記録。BBC 6Music、KEXP、KRCWなどのメディアからも注目を集めている。EPと同時に公開された『The Sun』のライブ・セッション映像は、YouTubeで180万回再生を超えるヒットとなっている。

人気作家claire rousayとGretchen Korsmoの共作による『quilted lament』がスロバキアのレーベル〈mappa〉より登場。まどろむような夢と、現実の曖昧な感覚が溶け合うような、繊細で私的な音楽。ポラロイド写真のように色褪せたメロディと、生活の断片を拾ったフィールド録音が交錯し、まるで誰かの家の窓越しに世界を覗き見しているような、静かで親密な時間が流れる。制作はふたりが別々の場所で重ねた音源のやりとりによって行われたが、そのサウンドは驚くほど自然で、互いの感情や音楽的感性が直感的に溶け合っている。どちらの手による音なのか判別がつかないほどに、ふたりのサウンドは縫い合わされ、静かな連続性を持った小さな交響曲のように響く。かすかに揺れるピアノ、囁くようなボーカル、洗濯機の音、通りすがりの会話、誰かが桃を食べる音など、多国籍の都市や家庭で収録された環境音。日常のかけらが繊細にレイヤーされ、どこにもない風景を形作っている。感情の深さを根底に持ちながらも、不思議と穏やかで、安らいでおり、内省と親密さに包まれた、現代の実験的DIY音楽におけるささやかな宝石のような一作。
