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辺境の名門〈Sublime Frequencies〉より、1930年代から50年代にかけてのカンボジアのクメール音楽を集めた78回転盤コンピレーション『Mekong Shellac』。戦争や文化的変容によって大半の原盤が消失し、世界で数枚しか現存が確認されていない極めて希少な78回転盤から奇跡的に修復されたものも含まれており、クメール伝統の弾き語りチャペイや踊り歌ロムヴォン、演劇芸能ラコン・バサック、さらに宮廷音楽ピンピートやマホリ、婚礼歌プレン・カーまで、20世紀前半の多彩な音楽様式を網羅。SP盤特有の歪みやノイズの隙間から立ち上る弦楽器の滋味深い響きと叙情的な歌声が、失われた東南アジアの古き良き音楽空間を鮮烈に描き出す。Adam Fargasonプロデュースのもと、詳細なライナーノーツや貴重なヴィンテージ写真を掲載した豪華16ページブックレットを付属。

フィールドレコーディングのパイオニアLaurent Jeanneauが、カンボジア北東部ラタナキリ州の現地で捉えた儀礼用ゴングのアンサンブル音源『Brao Gongs of Ratanakiri (Cambodia)』が〈Sublime Frequencies〉より登場!フランス植民地時代からクメール・ルージュ政権期、ベトナム軍占領期という過酷な歴史的荒波を乗り越え、現地の先住民族が脈々と継承してきたアニミズム信仰と伝統文化の深淵を刻んだ貴重な録音。大小異なる突起付きゴングとフラットなゴングが複雑にピッチを交錯させ、そこに素朴な竹筒や太鼓の打撃、力強い男女の歌声が重なり合う重層的なサウンド。アニミズムの神聖な儀礼や、祝宴の場で鳴らされた生の演奏は、音と言霊が持つ根源的なエネルギーを放ち、異次元のトランス空間へと引きずり込む。Laurent Jeanneauによる詳細なライナーノーツと貴重な現地の写真を掲載したインサートを付属。限定500部

〈Sublime Frequencies〉より、マダガスカル南西部トゥリアラ周辺で生まれたツァピキ音楽の現在地を描き出す屈指のコンピレーションが登場。70年代から進化し続けるマダガスカル南西部の祝祭音楽を、ぶっ壊れ気味のシンセ入りダンス仕様から、現場そのままのアコースティック・ジャムまで縦横無尽に並べている。歪んだエレキギター、弾丸のようなベース、止まることのない高速ビートに乗って、陶酔感に満ちたヴォーカルが叫ぶ。ツァピキは、葬式、結婚式、割礼といった通過儀礼の場で数日に(!)わたって演奏される音楽で、たばこや自家製のラム酒が回され、牛と人が入り混じる赤土の広場で、電化バンドが夜を徹して演奏し続ける。機材は手作り同然、つぎはぎのアンプや木に吊るしたホーンスピーカーを通じて、音楽は何キロも先まで響き渡る。本作が捉えているのは、都市と地方、電気とアコースティック、海辺と内陸の交流から生まれる混沌とした創造の渦。どんなグローバル音楽市場とも無縁のまま、ただ現場の欲求に突き動かされて生まれる音楽は、激烈で、奔放で、そして唯一無二。まさに生と死を祝うために鳴り響く、マダガスカルの現代的祝祭音楽と呼ぶにふさわしい、土の匂いがするロックと東部アフリカならではのナチュラルなトランスが交差したような音世界!ジャケットも最高でたまりません!!

人気作リプレスです!イランの打楽器奏者Mohammad Reza Mortazaviが生み出した原曲「Swamp」を、ミニマル・テクノの巨匠Ricardo Villalobosが24分超の長尺ミニマルへと再構築した12インチ。ペルシャ伝統打楽器トンバクの超高速ポリリズムと、Villalobos特有のしなやかな低域グルーヴが交差する、文化と身体性が溶け合う異色のコラボレーション。原曲はわずか4分弱のパーカッション曲だが、Villalobosはその粒立ちの強い打撃音を素材に、伸び縮みするような反復や微細な揺らぎを加えながら、じわじわと沈み込むようなミニマルへと拡張。音が少しずつ変質し続ける長尺構造は、グルーブとしての没入感と、実験音楽としての緊張感を同時に生み出している。トンバクの倍音やアタックを電子音のパーツとして再定義するかのような、あまりにも深い音の沼。

Mohammad Reza Mortazaviが長年取り組んできたトンバクやダフなど、ペルシャ打楽器への探究をさらに進めた一作『Nexus』。これまでも驚異的な指使いや独自のリズム構築法で打楽器そのものを再発明したとも評されてきたが、本作では初めて声やエフェクト、電子的処理を取り入れている。電子音は決して表層的な装飾ではなく、楽器の響きやリズムを拡張する役割を果たし、彼の音楽観をより深く掘り下げる方向に作用しており、打楽器ソロのダイナミズムとアンビエント的な没入感、そして声や電子音による精神性がひとつに重なったサウンドとなっている。アメリカの映像作家ジョーダン・ベルソンによるカバーアートとも共鳴する、ミニマル・アンビエント、クラブ的な文脈から出発しながらも、その枠を超え、打楽器の未来形を提示しようとする作品。

中東や北アフリカのアラブ圏の、知られざるファンク、ソウル、ジャズを発掘する名門〈Habibi Funk〉が新設したレーベル〈Audible Beauty〉からマレーシア産極上ジャズが登場!マレーシア音楽史の重要人物、Johari Sallehが1970年代に残した極めて希少な放送用録音をまとめたアーカイブ作品『Jazz Dari Angkasapuri』。〈Habibi Funk〉の姉妹レーベル〈Audible Beauty Records〉による復刻。ジャズのモーダルな深みとマレーシア固有の旋律感が自然に交差する独特の質感。柔らかいトランペットが滑らかに旋律を導き、リズムはしなやかなスウィングからジャズ・ファンク的な躍動まで幅広く展開する。70年代ジャズの熱量とマレーシアの旋律美が心地よく混ざり合い、地域性とジャズの普遍性が美しく重なる音像が際立つ。南国マレーシアのゆるさがなんとも絶妙に漂う。長らくコレクターの間で語られてきた幻の録音を丁寧に掘り起こした、Salah Ragab、Ahmed Malek、Mulatu Astatkeらの地域性を帯びたジャズに繋がる一枚。
ナイジェリア人パーカッショニスト、Gasper Lawalが1980年に自主レーベルである〈CAP〉から放った衝撃的デビュー作『Ajomasé』が名門〈Strut〉より遂に正規再発。Stephen StillsやFunkadelic、Vangelisら数々の巨匠と共演し研ぎ澄まされた感覚を、自作楽器や緻密な多重録音で結晶させた唯一無二の作品です。アフロ・リズムの深みと実験性を兼ね備え、当時John Peelらによるラジオ・プレイをきっかけに国際的評価を獲得した歴史的名盤。第四世界的サイケデリア、底流に流れるファンクネス、西アフリカ的霊性と多彩なリズム、エスノ・エクスペリメンタル的前衛精神までもが交錯するジャンル越境の傑作。オリジナル・テープからのリマスタリング仕様。
テルアビブの音楽シーンで絶大な存在感を放つレトロ・ファンク/エキゾ・グルーヴ・バンド、Sababa 5と中東伝統舞踊・音楽の世界で活躍する日本人ボーカリスト花島ゆりかとのタッグ再びとなる、自作のDIYスタジオで録音されたオリエンタルで魅惑的な7インチ・シングル『Tokyo Midnight』。60〜70年代のアラビアン・フォークやレトロ・ファンク、サーフ・ロックを基調とした生々しいウネりのあるグルーヴに、伝統的なミズラヒ音楽の色彩と情緒あふれる日本語の歌唱が美しく溶け合っている。アップビートで怪しく揺れるファンキーさに、地中海〜中東特有の哀愁が漂う叙情的なメロウさも滲む。極上のオリエンタル・エキゾチカ・トリップ。

中東や北アフリカのアラブ圏の、知られざるファンク、ソウル、ジャズを発掘する名門〈Habibi Funk〉が新設したレーベル〈Audible Beauty〉からマレーシア産極上ジャズが登場!マレーシア音楽史の重要人物、Johari Sallehが1970年代に残した極めて希少な放送用録音をまとめたアーカイブ作品『Jazz Dari Angkasapuri』。〈Habibi Funk〉の姉妹レーベル〈Audible Beauty Records〉による復刻で、遺族公認の正式ライセンス、未発表写真、詳細なライナーノーツを収めた12ページのブックレット付き決定版。ジャズのモーダルな深みとマレーシア固有の旋律感が自然に交差する独特の質感。柔らかいトランペットが滑らかに旋律を導き、リズムはしなやかなスウィングからジャズ・ファンク的な躍動まで幅広く展開する。70年代ジャズの熱量とマレーシアの旋律美が心地よく混ざり合い、地域性とジャズの普遍性が美しく重なる音像が際立つ。南国マレーシアのゆるさがなんとも絶妙に漂う。長らくコレクターの間で語られてきた幻の録音を丁寧に掘り起こした、Salah Ragab、Ahmed Malek、Mulatu Astatkeらの地域性を帯びたジャズに繋がる一枚。

10月下旬再入荷。ポーランドの異色Dj Grzybが率いるアンサンブルによる、東欧山岳地帯のサイケデリアと神秘的なフォークロアが交錯する架空叙事詩『The Return Of Dj Grzyb』。ダブやニューエイジ、イタリアン・コズミック・ディスコの美学を背景に、山脈に語り継がれる異教的神話や異端の精神世界を濃密なストーリーテリングとともに織り上げており、シタールやタンブーラ、タイの伝統管楽器ケーンをはじめとする東西の多彩な生楽器群と、鈍く地を這う重厚で呪術的なミッドテンポ・ビートが巧みに融合。異国情調あふれる旋律と呪術的なトランス感が蠢き、Andrew WeatherallやVladimir Ivkovicの系譜を継ぐ妖艶でレフトフィールドな音響空間を作り上げている。東欧フォークロアの暗香と無国籍なダンス・ミュージックの熱量がひとつに溶け合った、ディープなエスニック音響!

ボリビアはラパス出身の現代音楽作曲家Cergio Prudencioが1980年に創設し、ラテンアメリカ最高峰の過激な音響実験として世界的に評価される先住民楽器実験オーケストラによる、1989年から2014年にかけて書き下ろされた重要作品群を編んだ『Antología 2』。シクやタルカといったアンデス高地の伝統楽器が持つ特殊な発音原理やマイクロトーン、アイマラ民族の伝統的な交互奏法や祈りの儀式構造を、現代音楽の前衛的なコンテンポラリー手法と完全融合。大規模な音塊が押し寄せる圧巻のダイナミズムから、アンデスの静謐な時間観念を思わせる繊細な残響まで、伝統と現代前衛が火花を散らす唯一無二の音響劇を展開。古代の精神性と前衛音響理論が高次元で結実した重要作。作曲家本人による解説テキストも付属した、探求的な逸品!
1978年のイスラム革命前夜、現代へと語り継がれる、革命前のイラン音楽における黄金期である1960年代から70年代のイランにおけるロックンロール、ガレージ、サイケデリック、ポップスシーンを捉えたコンピレーション『Iranian Nuggets』。GoogooshやKourosh Yaghmaeiといったスターから、The RebelsやThe Golden Ringなどの貴重なバンド、マニアックな隠れた名義まで厳選13曲を収録し、各アーティストの解説とともに当時の熱気をパッケージ。ファズの効いたアッパーなガレージ・ギターやチープなオルガン、キャッチーなビートに乗せて、ペルシャ音楽特有のエキゾチックで哀愁を帯びた旋律や情感あふれるヴォーカルが鮮やかに交差。西洋のロックやポップスへの憧憬と自国の音楽的ルーツが融合した唯一無二の生々しいサウンドを収録した刺激的な一枚。
1978年のイスラム革命直前、テヘランの街を包んでいた熱狂と先進的なサウンドの交差点に焦点を当てたペルシャ・ファンク・コンピレーション『Iranian Funk』。GoogooshやKourosh Yaghmaeiといった当時のスターからマニア垂涎のマイナー音源まで厳選10曲を収録し、革命によって歴史の表舞台から姿を消すこととなった黄金期の貴重な音源を網羅。タイトで太いアメリカン・ファンクの躍動的なリズムやヘヴィーなブラス・セクションに、ペルシャ音楽特有のエキゾチックな旋律やコブシ、サイケデリックなギターやシンセサイザーが重厚に交差。西洋への憧憬とオリエンタルな情念が奇跡的な熱量で融合した高密度のグルーヴは、圧倒的な中毒性に満ちている。音楽的価値と歴史的価値を兼ね備えた一枚。
バンコク西岸、トンブリーから現れた新鋭4人組Korlakangによる、〈Guruguru Brain〉からのデビュー・ダブルサイダー 7インチ。タイ伝統音楽の旋律美と、70年代サイケデリックの質感を現行エスノ・グルーヴとして再構築した一枚。A面「Samong Sai」は、タイ民謡特有の哀愁を帯びたメロディがゆったり漂い、アナログ・シンセの淡い残響とギターの柔らかな揺れが重なるサイケ民謡調。B面「Jackfruits」は一転して軽やかで、リズミカルなタイ・サイケ、エスノ・グルーヴ。乾いたギターのカッティングと跳ねるパーカッションが心地よく、伝統旋律の骨格を保ちながら、ダンス寄りのグルーブとトロピカルな色彩が際立つトラック。
当時エチオピア、現エリトリアのアスマラ出身のギタリストで、1970年代初頭に当地のリュート型伝統弦楽器kirarをアンプを通して増幅、重ねてエレキギターを導入することで、伝統音楽へ電化サウンドを導入し、エリトリア音楽のモダン化を決定的に進めたTewolde Redda。〈Philips〉〈Amha〉〈Yared〉といったレーベルから発表されたシングル群に刻まれたその革新的な試みを、重要な10曲でまとめたアーカイブ作『Eritrea’s Guitar Pioneer』。エリトリア初のホーンセクション導入曲や、伝統歌の大胆な再構築、米軍基地Kagnew Stationのラジオ放送から受けたアメリカ音楽の影響など、当時の音楽的変化をそのまま記録している。電化kirarの乾いた音色とエレキギターの太いトーンが重なり、土着性と電気的な刺激が同時に立ち上がる独特の音像。ホーンが加わることで力強い表情が生まれ、手拍子のビートが終盤で倍速になる構造が祝祭的な高揚を生む。深く厚みのあるTewoldeの声は、愛や哀愁を語る歌詞を重心のある語りとして響かせ、伝統とモダンが交差する瞬間を鮮やかに描き出す。未公開写真、歌詞翻訳、詳細ライナーノーツを備えた充実の仕様。
ポートランドのクンビア・コレクティヴOrquestra Pacífico Tropicalによる、曇天のオレゴン海岸での制作合宿から生まれた、伝統的クンビアと米国北西部のサイケが交差する最新作『EL PODER』。キャビンのリビングで録られたセッションの空気感がそのまま残り、11名編成の厚いアンサンブルが、祝祭と陰影の両方を抱えた独特の音像をつくり出している。乾いたパーカッションと、ホーンやギターは湿り気のあるサイケデリックなトーンで反復の輪郭を彩る。メロディは明るさを保ちながら、背景にはどこか影が差し込み、陽気さと静かな緊張が同時に存在する二重構造がアルバム全体に漂っている。伝統的クンビアを軸にしつつ、サルサ、ラテン・サイケ、実験的アンサンブルへと広がる、現代クンビアの最前線。
ロンドンの異彩Flora Yin-Wongと、ワルシャワ、ベルリンを拠点にジャズやインダストリアルを横断するサックス奏者Jerzy Mączyńskiによるコラボ作『The Double』が〈Accidental Meetings〉より10インチで登場!インドネシアからポーランドまで届く口承の魔物、民間伝承を題材に織り上げられた先鋭的エレクトロアコースティック作品。サックスの不穏な息遣いや旋律に、シターやハープ、ケメンチェといった弦楽器の荒々しく切迫した響き、そしてゲスト参加のLaila SakiniやAga Ujmaらによる神秘的なヴォイスやスポークン・ワードが重層的に交錯。風から生まれる魔物や深い森に潜む気配を描き出すかのように、伝統楽器の生々しい残響と現代的な音響処理がせめぎ合い、妖しくも冷ややかなアヴァン・フォークロア空間を構築している。異教的なフォークロアの暗香と、実験音響の緊張感が結晶化した先鋭的な一枚。

旧ユーゴスラビア、セルビアの都市ニシュにて80年代初頭に結成されたAnsambl Mileta Petrovića。アコーディオン主体の伝統的なロマ・ミュージックにシンセサイザーを導入し、伝統を鮮やかにモダン化させた彼らが1986年から1991年にかけて遺した革新的トラックを厳選!バルカン〜ロマ音楽特有の変拍子や情熱的な旋律、リズムの上に、アナログ・シンセサイザーの未来的でサイケデリックなトーンが縦横無尽に交錯。「陽気なロマたち」を意味する作品名の通り、80sエレクトロニクスの浮遊感と肉体的なダンス・グルーヴが狂乱のエネルギーを生み出している。伝統音楽の泥臭さとレトロ・フューチャーな電子音響が見事に融合したコズミック・ジプシー・サウンド。

南米の先住民族のひとつマプチェ族にルーツを持つ音楽家Eli Wewentxuと、リトアニアの伝統弦楽器カンクレス奏者Indrė Jurgelevičiūtėによる、「雨上がりに」を意味するタイトルの通り、湿った空気と静かな生命の気配をそのまま音にしたような、アコースティック・アンビエント作『Después de llover』。2025年夏、Indrėの自宅で行われた即興セッションを軸に、文化も言語も異なる二人が、音だけを頼りに共有できる世界を探る対話として生まれた作品で、カンクレスの澄んだ響き、ヴァイオリンの湿った倍音、そして口琴の素朴な振動が重なり、水滴、霧、草木の光といった雨上がりの細やかな情景が立ち上がる。相手の音に耳を澄ませながらそっと返すような、呼吸のようなやり取りが続く。音楽は完成された構造ではなく、自然の中で音が生まれては消えていくような、静かで有機的な流れ。伝統楽器は新しい表情を見せ、音数は少ないが、ひとつひとつの音が空気を震わせるように響き、静けさの中に確かな生命感が宿る。雨上がりの世界をよりしろとして、世界への祈りをそっと音へと結晶させたような、美しいアコースティック・アンビエント作品。
Mos DefことYasiin Beyが、原点回帰と再生を掲げて放った2009年の代表作『The Ecstatic』。Madlib、Oh No、J Dilla、Georgia Anne Muldrowら錚々たるプロデューサー陣が参加し、多国籍なサンプルと鋭い視点が交差するオルタナティブ・ヒップホップの金字塔。MadlibやOh Noが〈Stones Throw〉で制作したビートを再利用しており、MF DOOMの影響も本人が言及。アフロビート、ラテン、ジャズ、中東音楽など、世界中の音楽が縦横無尽に飛び交うビートを核に、Mos Defのフロウは軽やかで、曲によっては声そのものがパーカッションのように機能し、ビートと一体化していく。短い曲が連続するスケッチ集のような構造で、軽いリバーブ処理や変則的な拍子が多用され、常に新しい景色へ移り変わる。Mos Def が世界を旅するように音を紡いだ、多彩で知的なヒップホップの到達点。
〈Sublime Frequencies〉より、マダガスカル南西部トゥリアラ周辺で生まれたツァピキ音楽の現在地を描き出す屈指のコンピレーションが登場。70年代から進化し続けるマダガスカル南西部の祝祭音楽を、ぶっ壊れ気味のシンセ入りダンス仕様から、現場そのままのアコースティック・ジャムまで縦横無尽に並べている。歪んだエレキギター、弾丸のようなベース、止まることのない高速ビートに乗って、陶酔感に満ちたヴォーカルが叫ぶ。ツァピキは、葬式、結婚式、割礼といった通過儀礼の場で数日に(!)わたって演奏される音楽で、たばこや自家製のラム酒が回され、牛と人が入り混じる赤土の広場で、電化バンドが夜を徹して演奏し続ける。機材は手作り同然、つぎはぎのアンプや木に吊るしたホーンスピーカーを通じて、音楽は何キロも先まで響き渡る。本作が捉えているのは、都市と地方、電気とアコースティック、海辺と内陸の交流から生まれる混沌とした創造の渦。どんなグローバル音楽市場とも無縁のまま、ただ現場の欲求に突き動かされて生まれる音楽は、激烈で、奔放で、そして唯一無二。まさに生と死を祝うために鳴り響く、マダガスカルの現代的祝祭音楽と呼ぶにふさわしい、土の匂いがするロックと東部アフリカならではのナチュラルなトランスが交差したような音世界!ジャケットも最高でたまりません!!
Stephen O'Malleyも購入。坂本龍一とのコラボレーション、「Jiko (時光)」(2020年)でも知られる尺八奏者、工藤煉山による禅心を背景にした伝統本曲の再解釈と即興演奏のうち、長尺のものを収めた作品。神奈川県箱根で収録され、自然音や残響を取り込みながら、尺八の呼吸と空間を最大限に活かした音作り。アルバムタイトル「Noneness」は「無」「空」を意味し、個人的な精神修養と自然との対話の痕跡が刻まれている。クレジットには坂本龍一や鎌倉は円覚寺管長、横田南嶺への謝辞が記されており、また横田南嶺によるコメントも付記されている。エスノ、ジャズ、アンビエントの境界を越え、精神的・文化的な広がりを持つ作品。
Stephen O'Malleyも購入。坂本龍一とのコラボレーション、「Jiko (時光)」(2020年)でも知られる尺八奏者、工藤煉山による禅心を背景にした、短編的な楽曲群を収めた作品。長尺のものが収められた『Noneness』に対して本作収録の各曲は2〜5分程度で、短い中に強い集中力と精神性を込めている。尺八の呼吸音や倍音を活かしつつ、アンビエント的な空間処理を加え、尺八の本来持つ音世界に根ざしながら、現代的な響きも感じられる。クレジットには坂本龍一、原摩利彦、宮崎紗子、国際禅カンファレンス「Zen2.0」への謝辞が記されており、音楽と禅、環境活動、哲学的探求へと結びつく、広がりを持つ作品。

Raja Kirikのメンバーとしても知られるインドネシアの自作楽器奏者Johanes "Mo’ong" Santoso Pribadiと、Scotch Rolexこと石原茂による異色デュオTakkak Takkakのセカンド・アルバム『Abu』。ジョグジャカルタ、リトアニアのシュヴェンチョネレイ、ベルリンという3つの拠点を跨ぎ、二人の精神的・身体的ルーツを融合させて創り上げた、存在しない架空の灰の火山島の音響生態系。ジャワのガムランや自作の木製打楽器、竹笛が放つ生々しく有機的な鳴りと、石原が自身のルーツに向き合い導入した和太鼓。それらが極太のエレクトロニック・キックや攻撃的なビート、さらにはドローン・メタルや歪んだシンセと激しく衝突し、古代の泥臭い儀式性と未来的なメカニズムが不気味に同居するバイオメカニカルな音響世界を生み出している。アジアン・ミニマリズムの神秘的な響きから狂騒のレフトフィールド・ダンスフロアへと変幻自在に姿を変え、アジアとヨーロッパの境界を極彩色のノイズとリズムで塗りつぶす未知の音響体験!
