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〈Sublime Frequencies〉より、マダガスカル南西部トゥリアラ周辺で生まれたツァピキ音楽の現在地を描き出す屈指のコンピレーションが登場。70年代から進化し続けるマダガスカル南西部の祝祭音楽を、ぶっ壊れ気味のシンセ入りダンス仕様から、現場そのままのアコースティック・ジャムまで縦横無尽に並べている。歪んだエレキギター、弾丸のようなベース、止まることのない高速ビートに乗って、陶酔感に満ちたヴォーカルが叫ぶ。ツァピキは、葬式、結婚式、割礼といった通過儀礼の場で数日に(!)わたって演奏される音楽で、たばこや自家製のラム酒が回され、牛と人が入り混じる赤土の広場で、電化バンドが夜を徹して演奏し続ける。機材は手作り同然、つぎはぎのアンプや木に吊るしたホーンスピーカーを通じて、音楽は何キロも先まで響き渡る。本作が捉えているのは、都市と地方、電気とアコースティック、海辺と内陸の交流から生まれる混沌とした創造の渦。どんなグローバル音楽市場とも無縁のまま、ただ現場の欲求に突き動かされて生まれる音楽は、激烈で、奔放で、そして唯一無二。まさに生と死を祝うために鳴り響く、マダガスカルの現代的祝祭音楽と呼ぶにふさわしい、土の匂いがするロックと東部アフリカならではのナチュラルなトランスが交差したような音世界!ジャケットも最高でたまりません!!

Mohammad Reza Mortazaviが長年取り組んできたトンバクやダフなど、ペルシャ打楽器への探究をさらに進めた一作『Nexus』。これまでも驚異的な指使いや独自のリズム構築法で打楽器そのものを再発明したとも評されてきたが、本作では初めて声やエフェクト、電子的処理を取り入れている。電子音は決して表層的な装飾ではなく、楽器の響きやリズムを拡張する役割を果たし、彼の音楽観をより深く掘り下げる方向に作用しており、打楽器ソロのダイナミズムとアンビエント的な没入感、そして声や電子音による精神性がひとつに重なったサウンドとなっている。アメリカの映像作家ジョーダン・ベルソンによるカバーアートとも共鳴する、ミニマル・アンビエント、クラブ的な文脈から出発しながらも、その枠を超え、打楽器の未来形を提示しようとする作品。

2021年初回プレスが即プレミア化した待望の再プレス。ヒプノティックで官能的なエスノ・ニューエイジを収録したガブリエル・ロスと彼女のバンド、ザ・ミラーズによる30年の軌跡。
2025年版新プレスでは、新たなラッカーカットによる高音質化を実現し、全4ページの新ライナーノーツを追加収録。ガブリエル・ロスの背景物語、5Rhythmsの思想、そしてロスのパートナーでミラーズのプロデューサーだった故Robert Ansellへの追悼を含むより深い文脈で再構築された決定版。
ババトゥンデ・オラトゥンジ、マイルス・デイヴィス、ファラオ・サンダース、パティ・スミス等のバックを務めた凄腕ミュージシャン達が多数参加し、合計数千枚以上のCDを売り上げているにも関わらず、ガブリエル・ロス&ザ・ミラーズの音楽は彼等のネットワークの外にはあまり知られていない。ダンス・ワークショップのサウンド・トラックとしてライヴの即興演奏から産まれた彼等の音楽はそもそも音楽業界からの賞賛を求める性質では無かったのだ。
実験的心理学からサイケデリック・カウンター・カルチャーを通じてガブエル・ロスは70年代後半に彼女独自で「ファイヴ・リズム」というムーヴメント瞑想の理論を確立。古代シャーマンやギリシア神話の時代から伝わる「エクスタティック・ダンス」の概念とその方法論を現代に蘇らせ、現在は世界50カ国、400人以上の公認講師を持つ国際的なワークショップへと成長させた。ここで使われる音楽はババトゥンデ・オラトゥンジのバンドで長年メンバーを務めたドラマー数名による即興演奏が主体となり、ネイティヴ・アメリカンのシャーマン音楽からアフロ・ブラジリアンのカンドンブレ、ヨルバ信仰に至るまで幅広いルーツ音楽のリズムを下地に、その場で雇われたNYが誇る数々の凄腕音楽家達彼女のダンスからインスピレーションを受けた即興演奏をレコーディングして行った。
「私達のレコーディングではプロデューサーであるガブリエルや私からはそれぞれのミュージシャンに対してこういう風に演奏してくれと指示した事は一度も無かった。」ガブリエル・ロスの夫で元凄腕弁護士だったロバート・アンセルは30年以上の歴史を振り返りこう語る。「たまにガブリエルが”山の上に立ってる時に風が吹いてくる感じ!”と言った抽象的なアイデアを提案する事はあっても実質的な演奏に関して口出しをする事は無かった。だから結果的に私達の音楽は私やガブリエルの音楽的ヴィジョンでは無く参加した全てのミュージシャンによる集合的ヴィジョンなんだ」ダンスという根本的なテーマを元に繰り広げられたレコーディングは出所不明のフュージョンとなり、中東を思わせるメロディがあったり、ディジュリドゥからトーキング・ドラムなどの西アフリカの楽器まで世界中の様々な民族楽器がフィーチャーされ、スピリチュアル・ジャズ、クラウト・ロック、エレクトロニック・アンビエント等、様々なジャンルが万華鏡の様にオーガニックなリズムの上に繰り広げられる。80年代半ば、まだニュー・エイジ音楽がシンセサイザーや自然の環境音だけで成り立っていた当時、彼等のドラムを主体としたアンビエント音楽はどこからも敬遠され、最終的にロバートは自らのレーベルを発足し作品を発表。ガブリエル・ロスのカリスマ性やファイヴ・リズムの普及もあり、民族楽器や打楽器を多様するエスノ・ニューエイジ音楽の先駆けとなった。
彼等の合計66曲に及ぶ広大なカタログの中からコンパイラーであるポル・ヴァルズは「出来る限り彼等の色んな音楽的側面や感情を集めた」という。感情的なものからエソテリック、スピリチュアル、メランコリック、ヒプノティック、ダーク、またはそれらの要素が複雑に絡み合った楽曲群を収録。アートワークはロンドン在住人気女性DJのドナ・リークによる力作。

タイ東北部イサーンの伝統音楽モーラムを軸に、ファンク、ロック、ポストパンク、アジアからインド洋圏のリズムを大胆に取り込んだ、バンドの進化形を示すサード・アルバム『Araya Lam』。イサーンの伝統楽器、ポーンラン(木琴)、ピ(笛)、ソー(弦楽器) などを積極的に導入、伝統旋律の魅力を保ちながら、現代的なアンサンブルへと再構築している。生演奏ブレイクビーツ的なグルーヴや、ドラッギーなファンク感も随所に登場し、伝統音楽の素朴さと、クラブミュージック的な反復グルーヴが共存している。モーラムの土の匂いと、都会的なビートが同時に漂う、サイケデリックでトランシー、だけど温かいアルバム。モーラムの根源性と現代的なグルーヴ、サイケデリックな実験精神が結晶した、The Paradise Bangkok Molam International Band の到達点とも言える作品。

イタリアとインドネシアを結ぶコラボレーションから生まれた、スンダ地方の伝統音楽とヨーロッパの実験的アプローチが交差する独特の音世界『Duori』。2017年にインドネシアはバンドンで出会い、以降長期的にコラボレーションを継続イタリアのプロデューサーHeithとバンドンのデュオTarawangsawelasは、インドネシアとヨーロッパを行き来しながら制作を進め、ポータブルレコーダーや古いハードドライブなど、旅の途中で見つかったデバイスに音が記録されていった。現地の伝統芸能Reakを目の当たりにし、大きな影響を受けたという彼らの音楽は、スンダの弦楽器タラワンの響きと、電子音やパーカッションが自然に溶け合い、その儀式が持つトランス状態や集団的な熱狂の構造を、現代的な音響工作によって再構築しようとするかのようで、異世界的な反復やサイケデリックなムードが立ち上がる。異なる文化背景を持つアーティスト同士が、数年の歳月をかけて音を交換し、旅を共有することでしか生まれ得ない、ある種曼荼羅的な奥深さを持った一枚。

〈Sublime Frequencies〉より、マダガスカル南西部トゥリアラ周辺で生まれたツァピキ音楽の現在地を描き出す屈指のコンピレーションが登場。70年代から進化し続けるマダガスカル南西部の祝祭音楽を、ぶっ壊れ気味のシンセ入りダンス仕様から、現場そのままのアコースティック・ジャムまで縦横無尽に並べている。歪んだエレキギター、弾丸のようなベース、止まることのない高速ビートに乗って、陶酔感に満ちたヴォーカルが叫ぶ。ツァピキは、葬式、結婚式、割礼といった通過儀礼の場で数日に(!)わたって演奏される音楽で、たばこや自家製のラム酒が回され、牛と人が入り混じる赤土の広場で、電化バンドが夜を徹して演奏し続ける。機材は手作り同然、つぎはぎのアンプや木に吊るしたホーンスピーカーを通じて、音楽は何キロも先まで響き渡る。本作が捉えているのは、都市と地方、電気とアコースティック、海辺と内陸の交流から生まれる混沌とした創造の渦。どんなグローバル音楽市場とも無縁のまま、ただ現場の欲求に突き動かされて生まれる音楽は、激烈で、奔放で、そして唯一無二。まさに生と死を祝うために鳴り響く、マダガスカルの現代的祝祭音楽と呼ぶにふさわしい、土の匂いがするロックと東部アフリカならではのナチュラルなトランスが交差したような音世界!ジャケットも最高でたまりません!!
ナイジェリア人パーカッショニスト、Gasper Lawalが1980年に自主レーベルである〈CAP〉から放った衝撃的デビュー作『Ajomasé』が名門〈Strut〉より遂に正規再発。Stephen StillsやFunkadelic、Vangelisら数々の巨匠と共演し研ぎ澄まされた感覚を、自作楽器や緻密な多重録音で結晶させた唯一無二の作品です。アフロ・リズムの深みと実験性を兼ね備え、当時John Peelらによるラジオ・プレイをきっかけに国際的評価を獲得した歴史的名盤。第四世界的サイケデリア、底流に流れるファンクネス、西アフリカ的霊性と多彩なリズム、エスノ・エクスペリメンタル的前衛精神までもが交錯するジャンル越境の傑作。オリジナル・テープからのリマスタリング仕様。
Stephen O'Malleyも購入。坂本龍一とのコラボレーション、「Jiko (時光)」(2020年)でも知られる尺八奏者、工藤煉山による禅心を背景にした伝統本曲の再解釈と即興演奏のうち、長尺のものを収めた作品。神奈川県箱根で収録され、自然音や残響を取り込みながら、尺八の呼吸と空間を最大限に活かした音作り。アルバムタイトル「Noneness」は「無」「空」を意味し、個人的な精神修養と自然との対話の痕跡が刻まれている。クレジットには坂本龍一や鎌倉は円覚寺管長、横田南嶺への謝辞が記されており、また横田南嶺によるコメントも付記されている。エスノ、ジャズ、アンビエントの境界を越え、精神的・文化的な広がりを持つ作品。
Stephen O'Malleyも購入。坂本龍一とのコラボレーション、「Jiko (時光)」(2020年)でも知られる尺八奏者、工藤煉山による禅心を背景にした、短編的な楽曲群を収めた作品。長尺のものが収められた『Noneness』に対して本作収録の各曲は2〜5分程度で、短い中に強い集中力と精神性を込めている。尺八の呼吸音や倍音を活かしつつ、アンビエント的な空間処理を加え、尺八の本来持つ音世界に根ざしながら、現代的な響きも感じられる。クレジットには坂本龍一、原摩利彦、宮崎紗子、国際禅カンファレンス「Zen2.0」への謝辞が記されており、音楽と禅、環境活動、哲学的探求へと結びつく、広がりを持つ作品。
シンガーソングライターのM. Ward、Giant SandのHowe Gelb、アイルランドのマルチ・インストゥルメンタリストMcKowskiによるコラボレーション・プロジェクトのデビュー・アルバム『Geckøs』。友人の結婚式での偶然のセッションをきっかけに、そのままアリゾナ州ツーソンでのレコーディングに発展。帰国後もそれぞれの拠点でアイデアをやり取りしながら制作を継続し、最終的にアイルランド、ロンドン、ブリストルのスタジオで録音を重ね、プロデューサーのJohn Parishによるミキシングでアルバムとして完成した。音楽的には、アメリカ南西部のダスティなアメリカーナを基盤に、スペイン音楽に由来する装飾的なギター、ケルト音楽風のたゆたうようなメロディやモーダルな響きが重ね合わされている。穏やかでドリーミーな質感を保ちながらも、即興的なやり取りから生まれる予測不能な展開が随所に顔を出し、三者それぞれの個性が交差する国境を超えた魅力が漂う。叙情的な歌声と緻密で繊細なアコースティック楽器の響きが溶け合う、フォーク、アメリカーナ、ヨーロッパの民俗的な要素を横断するアルバムとなっている。
RSD2026限定盤!Public Image Ltd.脱退後、独自のダブ/ポストパンク路線を切り開いたJah Wobbleの初期ソロ期をまとめたアーカイブ作品。1983〜1986年に自身の〈LAGO Records〉から発表した12インチ音源を中心に構成された、Wobbleサウンドの原点を一望できる重要コンピ。深く沈み込むベースラインを軸に、エコー、パーカッション、シンセが浮遊するダブの構築美。そこにポストパンクの硬質なビート感と、中東〜アジアの旋律を思わせる民族的なフレーズが交差し、都市と砂漠が同居するような独特のサウンドを生み出している。後のInvaders of the Heart名義へとつながるグローバル・ビート、ダブ・フュージョンの萌芽がすでに明確で、12インチ文化特有のロングミックスやバージョン違いも多く、じわじわと変化していく反復の醍醐味が味わえる一枚。

UKブラッドフォードのダブ・パイオニアThe Rootsmanによる、自身のカタログから重要曲を再構成したEP『Roots Return』。90年代から続く彼の越境ダブの精神を、現代的な音響でアップデートした濃密な12インチ。パキスタンの宗教音楽やケルト民謡の影響を含む、スピリチュアルでサイケデリックなダブで、パーカッションの多層的なうねりも混ざり合い、地理も文化も横断する辺境ダブの進化形が立ち上がる。Celtarabiaを迎えた「Dub Of The Spirits」は民族楽器の響きが深い残響へ沈み込み、The DisciplesのRussが参加した「Loka Samasta Dub」はよりルーツ寄りの重心の低いダブへと導く。Miles J Paralysisによるリミックスも収録し、オリジナルのスピリチュアリティを保ちながら、よりサイケデリックで身体的な解釈へと拡張。全体を通して、The Rootsmanの長いキャリアが持つ辺境性×霊性×ステッパーズの強度が鮮やかに感じられる一枚。

本書は、フラメンコの最深部カンテ・ホンドの起源が、パキスタン・シンド地方の音楽にあるという、著者であるAziz Balouch独自の理論を提示した1955年の著作。 Balouchはシンド地方のイスラム神秘主義と奉納歌の文化の中で育ち、1930年代にジブラルタルへ渡り、スペイン南部でカンテ・ホンドに魅了された。その自身の人生の軌跡をもとに、両地域の音楽的・精神的共鳴を探る内容で、研究書というより、個人的体験と直感的な観察に基づく音楽的回想録としての性格が強い。フラメンコの深い歌に宿る嘆きや祈りと、シンド地方の奉納歌に流れるスーフィー的精神性が、国境を越えてつながるというBalouchの洞察は、現代のワールドミュージックを見る目にも通じる先駆的なもの。今回の復刻版には、音・感覚・イスラム研究を専門とする人類学者Stefan Williamson Faによる新序文を収録し、作品の歴史的背景と意義を現代的に読み解く手がかりが加えられている。

静寂と祈りの音。エチオピアの伝統的な宗教音楽である、アムハラ族の典礼歌唱と大型の堅琴ベゲナによる深い霊性を湛えた音楽を集めたコンピレーション『The World Is But a Place of Survival』。ベゲナは、ダビデの竪琴とも呼ばれる10本の弦を持つ大型の弦楽器で、神への祈りや信仰、死、救済といったテーマを静かに語るような音楽に用いられる。このアルバムでは、Alemu Aga、Sosena Gebre Eyesus、Tafese Tesfaye、Yetemwork Mulat、Abiy Seyoum、Akalu Yossefらによる演奏が収録されており、ウィスパーボイスと低音のベゲナが交錯する、静謐で瞑想的な音世界が展開される。本録音はベゲナ音楽を本格的に記録した数少ない音源のひとつであり、まるで教会の奥で密やかに歌われる祈りのような響きが、聴く者の心に深く染み入る一枚。2002〜2005年に民族音楽学者Stéphanie Weisserによってアディスアベバで録音、スイスのVDE-Galloのライセンスのもと、〈Death Is Not The End〉より再構成、再発。

オーストリアのダブ・デュオSmalltowndubzが、〈Basscomesaveme〉から放つ強力12インチ『Never Get Burned / Sitar Dub』。A面にはエチオピアン・ルーツのシンガーFikir Amlakを迎え、祈りのようにまっすぐな声と重量級ステッパーズが融合した、スピリチュアルなルーツ・アンセムを収録。深く沈むベースと硬質なキックが生む推進力は、サウンドシステムでの鳴りを強く意識したもの。一方B面はシタール奏者Lance Humeをフィーチャーし、東洋的な旋律がディレイとリバーブの海に溶け込むラーガ・ステッパーズともいうべきもの。ミスティックな響きとステッパーズの強度が交差し、瞑想的でトランス感のある独自の世界観を作り上げている。どちらの面もダブ・バージョンをセットで収録。ルーツの霊性とエスニックな深度を1枚に凝縮した、キラー・ステッパーズ。

声とヴィオラを中心に、ペルシャ古典音楽・ガムラン・ミニマリズムなど多様な要素を融合した、Jessika Kenney & Eyvind Kangによる深淵で霊的なサウンドコラボレーション第2弾『The Face of the Earth』。Kenney の透明で祈りのような声は、言語を超えた響きとして空間に漂い、Kang のヴィオラやセタールはその周囲にゆっくりと揺らぐドローンを描き出す。ペルシャ詩のテキストやジャワ音楽の影響が随所に感じられながらも、全体としてはジャンルを超えた抽象的な音響作品として成立しており、静謐でスピリチュアルな実験音楽の魅力が凝縮された一枚。

Antonio Infantino e i Tarantolati di Tricarico による、南イタリア・バジリカータ地方に根づく伝統儀礼や民間信仰を、現代へと蘇らせたアルバム『Follie Del Divino Spirito Santo』。Infantino は詩人・音楽家・文化研究者として知られ、本作では古い農村文化に残るトランス的な儀礼音楽を掘り起こし、ロックや実験音楽の感覚と結びつけて独自の民俗アヴァンギャルドを築いた。タランテラの反復するビート、素朴で力強いパーカッション、呪術的な集団の掛け声、祈りにも似た詠唱が渦を巻き、祝祭と陶酔のあいだを行き来するような音世界が広がる。電気的な加工や派手なアレンジはほとんどなく、むしろ土の匂いがするような生々しい音の質感が前面に出ているのが印象的。伝統音楽の再現ではなく、土地の精神性そのものを汲み取り、再構成するようなアプローチで、宗教的な熱気、共同体のエネルギー、そして「神聖な狂気」というタイトルが示すテーマが一貫して流れている。民俗音楽・実験音楽・スピリチュアルなリズム文化の交点に立つ作品。
Antonio Infantino e i Tarantolati di Tricarico による、南イタリア・バジリカータ地方に根づく伝統儀礼や民間信仰を、現代へと蘇らせたアルバム『Follie Del Divino Spirito Santo』。Infantino は詩人・音楽家・文化研究者として知られ、本作では古い農村文化に残るトランス的な儀礼音楽を掘り起こし、ロックや実験音楽の感覚と結びつけて独自の民俗アヴァンギャルドを築いた。タランテラの反復するビート、素朴で力強いパーカッション、呪術的な集団の掛け声、祈りにも似た詠唱が渦を巻き、祝祭と陶酔のあいだを行き来するような音世界が広がる。電気的な加工や派手なアレンジはほとんどなく、むしろ土の匂いがするような生々しい音の質感が前面に出ているのが印象的。伝統音楽の再現ではなく、土地の精神性そのものを汲み取り、再構成するようなアプローチで、宗教的な熱気、共同体のエネルギー、そして「神聖な狂気」というタイトルが示すテーマが一貫して流れている。民俗音楽・実験音楽・スピリチュアルなリズム文化の交点に立つ作品。
国籍も背景も異なるMola Sylla(声/伝統弦楽器)、Oscar Jan Hoogland(クラヴィコード)、Frank Rosaly(ドラム)という異色のトリオによる、伝統と実験の境界を越えて作り上げたジャンル不定形のインプロヴィゼーション作品『Mother Tongue』。セネガルのグリオ音楽、アムステルダムの実験的インプロ、シカゴ系フリージャズのドラミング、ノイズ的なアプローチが衝突しながらも有機的に融合。牧歌的な声と弦、クラヴィコードの奇妙な響き、フリージャズ的ドラムが絡み合い、世界のどこにもない新しい民族音楽のような響きは、緊張感がありながらもどこか祝祭的。

エチオ・ジャズの創始者、ムラトゥ・アスタトゥケが約10年ぶりに発表したスタジオ・アルバム『Mulatu Plays Mulatu』が〈Strut Records〉より登場。60〜70年代にエチオピア音楽の歴史を塗り替えた自身の代表曲を、熟練のUKバンドやアディス・アベバのジャズ・ヴィレッジに集う現地ミュージシャンと共に新たなアレンジで再演した一枚。西洋ジャズの洗練されたアンサンブルに、エチオピア伝統楽器クラール、マセンコ、ワシント、ケベロ、ベゲナの響きを重ね、豊かな質感と複雑なリズム、自由な即興で名曲たちをアップデート。ムラトゥが長年追い求めてきた「エチオ・ジャズを世界に伝える」という夢の集大成であり、近代的な音楽理論やジャズ教育を受けたわけではないけれど、古くから口承や地域の慣習の中で培われてきた伝統的なエチオピア音楽の中で独自に音楽理論や演奏法、作曲技法を基礎付けた、「エチオピアの無名の音楽科学者たち」への敬意も込めた作品。ロサンゼルスのカルロス・ニーニョ、キブロム・ビルハネら現代アーティストも参加し、伝統と現代性、エチオピアと西洋が深い次元で融合されている。巨匠!

すでにローカル・シーンではライブパフォーマンスで注目を集め、BBC Radio 6 Music で取り上げられるなど、国際的な関心も高まるLa Choomaのデビュー作が〈Batov Records〉から登場。本作では、モロッコのグナワやコロンビアのクンビア、エチオ・ジャズ、ジャマイカのダブ、アフロビートといった土地に根ざしたリズムや音色を、サイケデリックなシンセやコズミック・ジャズと融合。土着的で伝統的な音楽を、ただのワールド・ミュージック寄せ集めとするのではなく、それぞれの音楽に宿るスピリチュアルな力を抽出して、現代的なグルーヴへと昇華させている。「Magic Plant」や「Huachuma」に漂う幻覚的なトランス感覚、「High Grow」の不穏なダブとエチオ・ジャズの交錯、「Cozumel」でのカワーラ・フルートの祈りのような旋律。どの楽曲も、フィジカルでありつつ、意識を拡張させるもので、『Local Spirits』というタイトルどおり、土地に根ざした精霊が現代に再び立ち現れるかのような印象を受ける一枚。
Natural Information SocietyとBitchin Bajasという、ドローンへの深い理解と霊的な探究心を持つグループ同士による2015年の共作『Automaginary』。音楽的には、アフロ・グルーヴ、クラウトロック、自由な即興的なジャズ、サイケデリック、アンビエント、4つ打ちのビート、ミニマリズムなど、ありとあらゆる要素が曖昧に融合したサウンドで、グナワ音楽に使われる3弦のリュート「ギンブリ」のミニマルなパターンと、Bitchin Bajasが得意とするアナログ・シンセやヴィンテージ機材によるサイケなレイヤーが混ざり合っている。ミニマル・ミュージックの没入性とジャズ由来の自由さが共存しており、Natural Information SocietyとBitchin Bajasという、2つの部族が出会い、未来の儀式をやってみせたような、ひたすら時間が溶けていくような一枚。
フィンランドの地下ジャズ、実験音楽シーンから登場した4人組フリージャズ・バンド Phardah によるデビューアルバム『Humans and Beings』。長尺のスピリチュアル・フリージャズ×サイケデリックな即興演奏を軸に、サックス、ギター、ダブルベース、ドラムに加え、モロッコの伝統弦楽器ギンブリが加わることで、北欧の冷たい空気と土着的な霊性が同時に漂う独特の音世界が立ち上がる。A面・B面ともに20分前後のロングトラックで構成され、静かな導入から徐々に熱を帯び、霊性を帯びた即興演奏と、ギターのサイケデリックな音像が自然に混ざり合う。生々しいスタジオ録音がその場の呼吸まで捉え、北欧の暗闇の中で燃える儀式のような、北欧フリージャズの新たな地平を示す一枚になっている。
