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11月6日発売。現代実験電子音楽シーンを牽引するJules NégrierとMaria W Hornによる、深遠なスプリット『An Iris Crackled Like Eyelids / All Solids Melt Into Aether』。片面では、感情を反映したような旋律の揺らぎと、不規則な音響のねじれへと緻密に変化するミステリアスな電子音響空間を展開。もう片面では、限界まで追い込まれたパイプオルガンの風圧が生む温かくも不安定な和音と、極冷で緻密なコンピュータ音響がぶつかり合い、多層的なドローンと重厚なハーモニーを創出している。Stephen O’Malleyが手掛けるアートワークも象徴するように、音の歪みと形成、そして崩壊のプロセスを美しく突き詰めたダークで重厚な一枚。
現代の音楽における形式からは大きく逸脱したループの作用にも注力したという本作。安らぎと悲愴のヒスノイズの絶妙な隙間にあって、冷涼なサウンドが幾重にも連なっては過ぎ去り、アンビエントともクラシックとも取れない屈折した何かが出来上がる、不可解な音楽です。彼のアルバムの中で最も象徴的な作品の一つではないでしょうか。

オーストラリアのMark GomesによるプロジェクトBlue Chemiseによる、静謐で実験的な新作『Mothers of All』。家庭的な断片や身近な素材から別の領域を立ち上げる独自のアプローチをさらに推し進め、古いサロン音楽の影がゆっくりと揺れるように、ストリングスや鍵盤の残響、遠くの声のようなノイズが、時間の層をまたぐように配置される。個人的な記憶と匿名性が同居する静かな音世界は、完璧に整ったアンビエントではなく、音の端がほつれたり、色がわずかに変化したりする生きている音響ともいうべきもの。The Caretakerや Gas、Elodieなどの記憶の音楽に連なる系譜にありながら、どこか私的で親密な温もりを残した独自の世界観を結実させている。かすかな残響の隙間から失われた時間がそっと顔を覗かせるような、美しい音楽。
アムステルダムの環境音響コレクティヴWanderwelleが、名門〈Important Records〉より発表した海洋環境3部作の完結編『Ghosts Beneath The Brine』。乱獲や海水温上昇に直面する海洋生態系の危機と海洋神話の記憶をテーマに掲げ、長期間海水に漬けて意図的に腐食させたシンバルを核にして創り上げられたもので、そこから生まれる暗く脆く不安定な金属倍音を弓で引き出し、チェロやボウド・ギター、重厚なシンセサイザーやフィールド・レコーディングと融合。まるで深海へ沈んでいくかのように静けさと揺らぎが広がり、環境への哀悼と神話的な影が交錯する幽玄なダーク・アンビエント/ドローン空間を編み出している。重厚なコンセプトの深遠な作品。
Jim O’Rourke と Loren Connors による即興ギター・デュオ作『Two Nice Catholic Boys』。1997年の欧州ツアーで録音された演奏を O’Rourke が後年編集し、〈Family Vineyard〉から2009年に発表したもので、静寂と残響を活かしたブルースから、ノイズを孕んだフィードバックまで、ふたりの音がぶつかり合うのではなく、緊張と余白のバランスで空間を描く即興演奏。実験的ギターの対話と呼べる内容は、ギターの音色そのものを探求するかのよう。
Armand Hammer(with Elucid)の片翼として知られるbilly woodsが久々に放つソロ・アルバム『GOLLIWOG』。現代アメリカの黒人経験を、暗く歪んだ夢のような音像で描いた怪作で、プロデューサー陣にはEl-P(Run The Jewels / Company Flow)、Shabaka Hutchings(Sons of Kemet / The Comet Is Coming)、The Alchemist、Kenny Segal、DJ Haram、Ant(Atmosphere)、Conductor Williamsなど、ヒップホップとジャズ、アンダーグラウンドと実験音楽を横断する重鎮たちが勢ぞろい。その多彩な布陣が織りなすのは、不穏でサイケデリック、そして異様に鮮明な悪夢のような音世界。「英語そのものが暴力だ」と言い放つwoodsのリリックは相変わらず鋭く、皮肉と哲学が交差する。全体を通して現実という感覚そのものがぐらつく構成になっており、単なる社会批評ではなく、現代における意識そのものをテーマとしているよう。billy woods流のダーク・アメリカーナとも言うべき一枚。

〈Kashual Plastik〉や〈Osàre! Editions〉などの先鋭的レーベルからのリリースでも知られるInkasso & MLによる、名門〈Stroom〉からのデビュー作品『Fashion Recession』。即興セッションから立ち現れた不条理な戯曲をはじめ、濃密な夜の気配とサイバーで退廃的な幻想世界を描き出したミステリアスな一作だ。湿り気を帯びたダークなシンセサイザーと鈍いグルーヴ、そして呟くようなヴォイスやポエトリー・リーディングが絶妙に交錯。ポスト・インダストリアル、トリップホップ、ノワール映画の劇伴音楽が融合したような音像は、歴史的実験音楽から現代のレフトフィールド/アヴァン・ポップの潮流までを繋ぐ深遠な美学を感じさせる。偏執的な音響センスとコールドな詩情が横溢する、深夜に最適な極上のレフトフィールド作品!

Psychic TVやThrobbing Gristleでの活動も知られるPeter 'Sleazy' ChristophersonとJohn Balanceが率いたカルト・インダストリアル/エレクトロニック・ユニット、Coil。そのメンバーDrew McDowallが単独で録音した粗いデモ・テープを、バンドメイトのJohn BalanceとPeter Christophersonが完成させた、最小限のポスト・プロダクションで録音された4編のドローンを収めた傑作『Time Machines』が〈Dais Records〉よりアナログ再発。チベットやその他の宗教の儀式音楽からインスピレーションされ、音楽に没入して瞑想したり、トランス状態になることを目的とした、まさに時間を溶かすような深遠で幻覚的な長編ドローンの史上に残る傑作アルバム。

Armand Hammer(with Elucid)の片翼として知られるbilly woodsが久々に放つソロ・アルバム『GOLLIWOG』。現代アメリカの黒人経験を、暗く歪んだ夢のような音像で描いた怪作で、プロデューサー陣にはEl-P(Run The Jewels / Company Flow)、Shabaka Hutchings(Sons of Kemet / The Comet Is Coming)、The Alchemist、Kenny Segal、DJ Haram、Ant(Atmosphere)、Conductor Williamsなど、ヒップホップとジャズ、アンダーグラウンドと実験音楽を横断する重鎮たちが勢ぞろい。その多彩な布陣が織りなすのは、不穏でサイケデリック、そして異様に鮮明な悪夢のような音世界。「英語そのものが暴力だ」と言い放つwoodsのリリックは相変わらず鋭く、皮肉と哲学が交差する。全体を通して現実という感覚そのものがぐらつく構成になっており、単なる社会批評ではなく、現代における意識そのものをテーマとしているよう。billy woods流のダーク・アメリカーナとも言うべき一枚。

1975年に結成され、パンク・ムーブメントの果たせなかった約束を完全に達成し、支配体制側を揺るがす手段としてエクストリーム・カルチャーを探求した、音楽、文化、芸術に対する計り知れない影響を及ぼした英国インダストリアル伝説Throbbing Gristle。長らく廃盤となっていた傑作『TGCD1』が〈Mute〉から初めてアナログ化!1986年に〈Mute〉のレーベル〈The Grey Area〉から最初にリリースされた本作は、1979年に彼らの〈Industrial Records Studio〉でTEAC 8トラックを使用して録音された42分のスタジオ録音で構成されたもの。ダークで荒々しいドローンサウンドを収めた初のCD作品のLP化。メンバー全員によるオリジナルのスリーブ・ノートが収録されており、TGの独立系レコード・レーベル〈Industrial Records〉の背後にあるストーリーと精神が明らかなものとなります。同時に再発された『The Third Mind Movements』(こちらも入荷してます)とセットで是非!
Push For Nightによる、前作の重い暗さから一歩だけ外へ踏み出し、わずかな光を取り込んだ新作『That Porous Line』。その変化を決定づけたのが、長年の音の盟友David Daniellの参加。彼がもたらした有機的な美しさが、PFNの音をよりメロディックで自発的な方向へと再配置している。ギター、ベース、鍵盤、パーカッションを指で触れるリアルタイム演奏へ回帰したことで、加工の重さが少し軽くなり、音の中に柔らかい揺れや不完全な瞬間がそのまま息づく。とはいえ、PFNの核であるコラージュ的でちらつくエレクトロ・アコースティックの質感は健在で、薄暗い空間の中で幽霊のような音が動き、影が形を変えながら漂う独特の世界観が続いている。有機的な美しさとリアルタイム演奏の揺れを取り込みながら、独特の暗がりとコラージュ的質感を新たな角度で響かせた作品。

アイルランドの伝統音楽の常識を覆すダーク・フォーク・バンド、Lankumのフロントマンであり、その卓越した音楽的探求心とアイルランドの呪われた歴史、伝承を受け継ぐIan Lynchによるソロ・プロジェクトOne Leg One Eyeによる、前作『…And Take The Black Worm With Me』で提示した、アイルランド神話の深層を掘り起こすドローン・フォークを、さらに強烈な形で押し広げた2ndアルバム『CRONE』。本作は、アイルランド神話に登場する主権の女神をテーマに制作され、怒り、狂気、美しさが同居する儀式的で呪術的な音世界が展開。重く濁ったドローンの層に、語り・祈り・呪文のような声が絡みつき、伝統的なフォークの枠を完全に逸脱した、神話の深層へ潜る音楽として成立している。ゲストにはアイルランド演劇界の重鎮Olwen Fouéréが参加。老いた女神の化身のような圧倒的な声が、作品全体に霊的な緊張感を与えている。
Psychic TVやThrobbing Gristleでの活動も知られるPeter 'Sleazy' ChristophersonとJohn Balanceが率いたカルト・インダストリアル/エレクトロニック・ユニット、Coil。そのメンバーDrew McDowallが単独で録音した粗いデモ・テープを、バンドメイトのJohn BalanceとPeter Christophersonが完成させた、最小限のポスト・プロダクションで録音された4編のドローンを収めた傑作『Time Machines』が〈Dais Records〉よりアナログ再発。チベットやその他の宗教の儀式音楽からインスピレーションされ、音楽に没入して瞑想したり、トランス状態になることを目的とした、まさに時間を溶かすような深遠で幻覚的な長編ドローンの史上に残る傑作アルバム。
UKボーンマスのプロデューサーOverlookが、別名義Lucid Dreamsによる、ポスト・パンク、トリップホップ、アンビエント、ドローンを横断する世界観を、2LPというスケールで丁寧に構築したフルアルバム『Mesmerism』。薄暗い部屋に差し込む光のようなアンビエントの揺らぎと、トリップホップの湿度、ポスト・パンクの冷たさが同居する独特の空気。音の配置が非常に繊細で、一音一音が場面転換のように機能しているのが印象的。OverlookのルーツであるD&Bの影は前面には出ないものの、曲によっては奥底に硬質なリズムの名残が潜み、微かな躍動を与えている。現実と幻想の境界を歩くようなダーク・サウンドスケープがアルバム全体を貫く、David Lynch的な映像世界を想起させる一枚。

〈Kankyo Records〉にもモダン・アンビエントの結晶的作品を残す実験音響作家──Yama Yuki主宰のもと、Marginal ConsortやEast Bionic Symphoniaでの活動も知られる前衛音楽家、多田正美や前衛劇団〈パパ・タラフマラ〉で音楽を指揮した環境音楽の名手・菅谷昌弘といった作家の貴重なカセットフォーマットの新譜まで手掛けてきた、現行国内最高峰の音響系カセット・レーベル〈ato.archives〉のタイトルが一挙到着!1975年に小杉武久に師事し、伝説的即興音楽グループEast Bionic Symphoniaに参加。現在はMarginal Consortのメンバーとしても活動、実験音楽、ジャズ、ロック、インド古典音楽、さらに観世流能楽の謡を演奏するTomonao Koshikawaによる、ato.archivesからのデビュー作『Footprint』に続く、2作目のソロ作品。カセットテープというフォーマットの柔らかい質感と、彼の繊細な音響処理が重なり、宇宙空間の広がりと微細な光の粒子が漂うようなサウンド。50年にわたる探究の成果。

カナダの作曲家Matthew PattonによるプロジェクトThose Who Walk Away による、亡き友人 Jóhann Jóhannsson への深い哀悼を込めたポスト・クラシカル作品『Afterlife Requiem』。ポストクラシカルの巨匠Jóhann Jóhannssonのハードドライブに残されていた未完成の録音断片を素材として使用、その残響を中心に、アイスランドの Ghost Orchestra とウィニペグの Possible Orchestra、2つの弦楽五重奏団も参加し、新たな構造を編み上げている。ドローン、エレクトロアコースティック、フィールド録音、沈黙に近い音が重層的に配置され、音が現れては消え、弦の残響が霧のように漂う。深い静寂と低域のうねりが共存する幽玄な音世界は、レクイエムでありながら、どこか祈りのような温度を持っている。
Culvert Dub Sessions待望のヴァイナル第二弾!Napalm Deathの一員として知られ、のちにScornやLullでインダストリアル/ダブの深層を切り拓いてきた鬼才、Mick Harris。その最新アルバムが、米国インダストリアル/ロウ・テクノの一大拠点〈L.I.E.S.〉よりアナログ・リリース。ベースの重低域とざらついたテクスチャーが、深海へ潜航するような音響世界を描き出す全8曲を収録。ディレイとリヴァーブが彫刻のように反復され、ダブの減衰とノイズの質感が折り重なりながら、陰影に満ちた空間を構築。光なき領域を探るような本作は、まさにインダストリアル・ダブの極北を体現する重厚な一枚です。
アイルランドの伝統音楽の常識を覆すダーク・フォーク・バンド、Lankumのフロントマンであり、その卓越した音楽的探求心とアイルランドの呪われた歴史、伝承を受け継ぐIan Lynchによるソロ・プロジェクトOne Leg One Eyeによる、前作『…And Take The Black Worm With Me』で提示した、アイルランド神話の深層を掘り起こすドローン・フォークを、さらに強烈な形で押し広げた2ndアルバム『CRONE』。本作は、アイルランド神話に登場する主権の女神をテーマに制作され、怒り、狂気、美しさが同居する儀式的で呪術的な音世界が展開。重く濁ったドローンの層に、語り・祈り・呪文のような声が絡みつき、伝統的なフォークの枠を完全に逸脱した、神話の深層へ潜る音楽として成立している。ゲストにはアイルランド演劇界の重鎮Olwen Fouéréが参加。老いた女神の化身のような圧倒的な声が、作品全体に霊的な緊張感を与えている。

イランのテヘランを拠点とする作曲家Siavash Aminiが2014年に発表した代表作『Till Human Voices Wake Us』が、〈Umor Rex〉によるリマスターを経て限定150枚の初アナログ化。T.S.エリオットの詩を核に据え、アルバム全体がこの詩の持つ内省、孤独、現実への目覚めというテーマを音像化したもので、ギターの残響、冷たいシンセ、深いドローンが重なり合う詩的なダーク・アンビエンスの名品。静寂と緊張がゆっくりと入れ替わる10の楽章は、Aminiが単なるアンビエント・アーティストではなく、音で叙事詩を書く作家であることを示している。テヘランの憂鬱と、エリオットが描いた『人間の声が私たちを目覚めさせるまで』という時間の止まったような終わりなき内省の風景。
待望の2026年リプレス!漆黒のダーク・アンビエント紳士、The Caretakerによる、Radioheadのドキュメンタリー政策でも知られる映画監督、Grant Geeが2012年に製作した映画「Patience (After Sebald)」のサウンドトラックが再発です!
本作では、彼の十八番であるボールルーム・ミュージックではなく、シューベルトによるピアノと歌のみの連作歌曲集「冬の旅」(1827年)のSPレコード(しかも1927年のものというのは偶然か)をサンプルとし、録音をマニュピレート。ドイツの小説家、W. G. Sebaldをテーマにした映画のサントラというだけあって、かつてなく内省的で、喪に服すかの如し悲痛な響きが綴られる。いつにも増して激しいヒスノイズも寄り添ってさらに重みを増しています。アンビエント・クラシカルというには消化不良なこの感じは、Robert Haighの昔の作品に近いのではないでしょうか。Dubplates & Masteringでのマスタリング&カッティング。限定500枚。
まさにDeathprod meets Tod Dockstader!大人気ディープ・テクノ・ユニット、Primal Codeの1/2としても知られるイタリア人エレクトロニック・ミュージック・プロデューサー、Davide Perroneによるプロジェクト”Pianeti Sintetici”(「合成惑星」) が、現代のダブ・テクノ/アンビエントの頂点に佇む聖地〈Astral Industries〉から『Space Opera』と題したアルバムをアナログ・リリース。音を通して語られる未来の合成世界の創造をテーマとした2部構成の作品となった本作は、果てのない宇宙探査の旅の様子を物語る、銀河間の雰囲気を織り込んだ壮大な音のタペストリー的な内容のスペース/ダーク・アンビエント盤に仕上げられています。
ニューエイジ・リバイバル以降のダブ/アンビエント聖地〈Astral Industries〉から最新物件が到着!レーベルの常連であるSamuel van Dijk (Multicast Dynamics)とウクライナのアーティスト、Yevgen Chebotarenkoによるデュオ、Ear to Earによる、豊かな音のディテールと喚起的なジェスチャーに満ちたデビュー・アルバム『AI-36: Live Recordings』がアナログで登場!一連のライブ・レコーディング・セッションから生まれた4部構成のアルバムであり、サウンドスケープ・ミュージックの著しくダークな領域を探求した凄まじい内容の一枚!オーガニックな音のテクスチャーと実験的な緊迫感を巧みに融合させたフィルレコ/ダークアンビエント破格の傑作。
ソ連時代からの電子音楽、映画音楽の巨匠、Edward Artemievが、タルコフスキーの名作映画『Зеркало(Mirror)』(1975年)と『Сталкер(Stalker)』(1979年)の音楽を再録音したアルバム!タルコフスキー映画2作品の音楽の再録+新曲"Dedication to Andrey Tarkovsky"を収録した珠玉のネオ・クラシカル・アンビエント作品。リマスタリング、新規アートワークを採用したアルテミエフ自身による公式ライセンスのLP。

1980年代初頭のパンクバンドThe Freezeから発展した、スコットランド出身のアーティスト、CinderによるソロプロジェクトCindytalkの3rdアルバム『The Wind Is Strong - A Sparrow Dances, Piercing Holes in Our Sky』は、イギリス人監督イヴァン・アンウィンの実験映画のサウンドトラックとして制作されており、フィールドレコーディング、物悲しいピアノの小品、そして不穏な金属音が交錯する、Cinder自身が「ambi-dustrial」と表現した独特のサウンドパレットが特徴的。長らく入手困難だった本作は、Cindytalkのディスコグラフィーの中でも、最も捉えどころがなく、冒険的な作品の一つで、ミュジーク・コンクレート、心に響く夢想、荒涼とした美しさが融合しており、映像がなくても、夕暮れの森や薄暗い廊下といった、映画的な情景を思い起こる。Cinder自身は「Cindytalkの脱線」と注記していたものの、歌を中心としたポストパンクから大胆に逸脱し、未知の領域へと足を踏み入れた、キャリアを俯瞰する上で重要な作品。
