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サックス、フルート奏者Chip Wickhamによる、前作『Cloud 10』に続く、スピリチュアル・ジャズの流れをより柔らかく、内省的に展開した全4曲を収録した12インチEP『Love & Life』が〈Gondwana Records〉より登場。柔らかいメロディがゆっくりと立ち上がり、サックスのスモーキーな質感と穏やかな高揚感。生楽器の質感をそのまま前面に出したアンサンブルは、Yusef LateefやRoland Kirkの系譜を感じさせつつ、現代UKジャズらしい洗練も宿している。難解さはなく、フルートのラインは親しみやすく耳に残り、短編映画のように静かな展開が続く構成で、オーガニックで温度のあるジャズが素直な形で表れた一枚。
シドニー拠点の韓国系ドラマー&即興奏者 Chloe Kim によるソロ・パーカッション作品。本作では Randall Dunn が録音・ミックスを担当しており、Kim のテンポを自在に操る技巧や、トーンの探求が前面に出ている。メロディを演奏するわけではないが、調律されたゴングや擦られたシンバル、バランスの取れたタムなどから、幽かなメロディの輪郭が浮かび上がる。アルバム名や曲名には韓国の民間伝承が反映されており、韓国の「ラットスネーク(豊穣の象徴)」に由来。Kim が生まれる前に母親が見た夢ともリンクし、パーカッションの呼吸や変拍子のリズムにも民俗音楽の影響が息づいている。ジャズやフリー・インプロヴィゼーションに根ざしつつも、個人的で独自性のあるリズム感覚が随所に見られるのも魅力的。演奏は高度に即興的でありながら、韓国民謡的なリズム感覚や豊かな音色の探求が随所に組み込まれた、個性あふれるソロ・ドラム作品!
Adam KloppによるプロジェクトChoir Boyによる2016年リリースのデビュー・アルバム『Passive With Desire』が待望の復刻!モルモン教の聖歌隊として過ごした幼少期とDIYパンク・シーンに身を投じた青春時代、そして宗教からの離脱という異色の背景を持つ彼が、信仰と葛藤、失意と情熱をロマンティックなサウンドへと結実させた記念碑的作品。自室でのスケッチから始まった楽曲群にフルバンドの演奏と繊細なストリングス、トランペット、ノスタルジックなサンプリング音源を重ね合わせ、きらびやかで甘美な音響空間を構築。1980年代のシンセ・ノワールやニュー・ウェイヴを彷彿とさせるドリーミーなエレクトロニック・ポップの上で、彼の劇的で美しく切ないボーカルが圧倒的な存在感を放つ。洗練された抒情性と美しい歌世界に胸を打たれる名作。
Rhythm & Sound屈指の禅定ダブ「Mango Drive」を収録した12"が2025年リプレス!この沼にズブズブと沈降する感じと浮遊感を存分に堪能できるのはやはりアナログしか無いでしょう。後に「See Mi Yah」で共演することになるChosen Brothersの音源も収録。マスターピース!
![Chris Corsano - The Key (Became the Important Thing [and Then Just Faded Away]) (LP)](http://meditations.jp/cdn/shop/files/a4027503411_10_{width}x.jpg?v=1722156156)
Nels ClineやThurston Moore、Okkyung Leeらとのコラボレーションも知られるアメリカの実験的パーカッショニスト、Chris Corsanoによる完全ソロ最新作がUSインディ系名門レーベル〈Drag City〉よりアナログ・リリース。自身がギターとドラムを担当し、即興的にハード・ロックとポスト・パンクの交差地点を探るような、ワイルドでサイケデリックかつ肉体的なインプロ作品に仕上がっています!
南アフリカ生まれのピアニストで作曲家のChris McGregorが結成した豪快なビッグバンドによる72年の激レアなセカンド・アルバム『BROTHERHOOD』が〈Klimt〉よりアナログ・リイシュー。1960年代初頭に南アフリカで人種混合のジャズコンボであり、Dudu PukwanaやJohnny Dyani、Louis Moholo、Tete Mbambisaといった錚々たるメンツが参加した”Blue Notes”を結成していた同氏は、1964年頃になると自国での活動が困難となり渡欧。1966年にロンドンに落ち着いてからは、同地の新興アヴァンギャルド・ジャズ・コミュニティの多くの人々と交流を深める事に。本作には、Marc Charig、Gery Wind、Louis Moholoら英/南ア双方の人脈が参加。ブリティッシュ・ジャズの英気を取り込んだ傑作アフロ・フリー・ジャズ・アルバムとして決して無視する事の出来ない一枚です。

重く黒くうねりまくるファズギターがもう最高で、この時代のサイケ特有の気怠いボーカルや、一音一音楔を打ち込むような重さ/またファンク要素も持つドラムが一体となり、肉体から熱気が沸いてくるような強烈さがあって素晴らしい。辺境サイケ好きは勿論のこと、同レーベルから出たザンビアン神Witch、Flower Travellin' BandやShinki Chenもの、またBlack Sabbathやストーナー・ロック好きまでお勧めです。

〈Black Truffle〉より、80代になるスウェーデンのマルチ奏者Christer Bothénが自身の軌跡を辿りながら、伝統楽器ドンソ・ンゴニの深淵な世界を単独で表現した稀有なソロ作品が登場。1970年代からスウェーデンのジャズや即興シーンで活躍してきた彼は、1971年にマリへ渡り、南部ワスル地方で狩猟者のカーストが奏でる神聖なハープ、ドンソ・ンゴニに出会う。伝統的には狩猟者一族にのみ演奏することが許されたこの楽器を、熱心な師匠ブロエマ・ドビアからのマンツーマン指導で習得し、伝統を尊重しつつも自分のスタイルでの演奏許可を得たという。本作は、伝統的なワスルの七つの曲に加え、両者の境界を曖昧にするBothén自身の作曲『La Baraka』を収録。主にペンタトニックの繰り返しに集中しながらも、その中で無限のニュアンスや即興的な息づかいが躍動し、単調に陥ることなく深い聴きごたえを生み出している。特に、楽器に付随する小さなラトルの効果や演奏の微妙な加速・減速が、静かに、しかし鮮やかに音楽の流れを彩っていて、最終曲では長年の弟子でありベーシストのカンサン・トルビョルン・ゼッターベリと、金属スクレイパー奏者マリアンヌ・ンレムボ・リンデンが加わり、独特の響きをさらに深めている。ストックホルムの高音質スタジオで2019年から2023年にかけて録音され、細部まで鮮明に捉えられた音像は、ドンソ・ンゴニのブルブルと震える低音弦の豊かな鳴り響きが強烈に印象に残る。これは約半世紀にわたるBothénの献身的な探求が結実した、精神的とも言える集中の記録で、作品にはマリ滞在時の鮮やかな写真と詳細な解説も添えられ、この深淵な楽器の神秘と魅力を多角的に伝えている。

スウェーデンの80年代アフロ・フュージョン金字塔『Trancedance』で知られる伝説的多楽器奏者Christer Bothénと、Oren Ambarchi、Johan Berthling、Andreas Werliinの3人からなるGhostedのメンバーがタッグを組んだ強力なドリーム・クァルテット作品『Serpentine』。スウェーデンの森の中に建つスタジオにて録音された本作は、長年共演を重ねてきた名手たちならではの密密な対話と、即興的な即応性から生まれた濃密なアンサンブルを刻み込んでいる。重厚なアップライト・ベースのオスティナートと微細に変容し続けるドラムスがヒプノティックなグルーヴを紡ぎ出し、そこにレスリー・キャビネットを通したギターがオルガンのような残響と複雑なポリリズムを重ねていく。深遠なリズムの循環のなかで両者のフレーズが交わり、Bothénの低音ベース・クラリネットや、50年の探求を誇る西アフリカの竪琴ドンソ・ンゴニのモーダルな旋律が静かに響く。初期ECMの澄み渡る叙情美から、初期Amon Düül IIを彷彿とさせる生々しいフリーフォーム・サイケデリアまでを一気に駆け抜ける、ジャズ、アヴァンギャルド、サイケの境界を鮮やかに解体してみせるかのような好内容。


Herrmann + Kleineとしての活動や、黄金期の〈City Centre Offices〉からのリリースでも知られる、ドイツのプロデューサー Christian Kleine が自身のアーカイヴから発掘した未発表音源集の第2弾。収録されているのは1998〜2001年の間に作られた楽曲で、サウンドは彼らしい温かみのあるメロディと柔らかい質感のエレクトロニカが中心となっている。細やかなビートに、浮遊感あるシンセやギターのフレーズが絡むスタイルで、90年代末〜2000年代初頭のエレクトロニカや IDM の黄金期を思わせる内容。優しい旋律と淡いノスタルジーが漂い、実験性よりも親しみやすさが前に出た作風はまさに90年代末〜00年代初頭の空気をそのまま閉じ込めたアーカイヴ。しかし、単なる懐古ではなく、当時のフレッシュな感覚がそのまま響いているのが面白く、いま聴くことで逆に新鮮にも感じられる一枚。

ノルウェーの作曲家、ピアニストのChristian Wallumrødが率いるアンサンブルによる、北欧室内楽、ジャズ、現代音楽の境界に位置する独自の音世界『Non Sonett』。本作はWallumrødが近年取り組んできたダンス作品のための楽曲や、過去のプロジェクトで生まれた素材を再構築したもので、2024年にノルウェー国立オペラで上演されたダンス作品『Sonett Idiot』のための楽曲が複数収録されており、動きや余白といった舞台芸術的な感覚が音楽の中に息づいている。ピアノ、ハーモニウム、チェロ、トランペット、サックスなど少数の楽器が呼吸するように間合いを取りながら進む室内楽的アンサンブルで、音数は極端に少ないのに、空間の奥行きや温度が豊かに感じられ、まるで音が空気に触れて形を変えていくような繊細な感触がある。北欧の木の質感や空気の揺らぎを感じる温かい音色と現代音楽の抽象性が自然に共存した、静けさの中に豊かな表情が宿る、北欧室内楽ジャズの最前線。

ドイツのサウンドアーティスト Christina Kubisch が、電磁波・共鳴・周波数の調律をテーマに制作した作品『TUNING』。彼女の代表的手法である電磁誘導ヘッドフォンを使い、都市空間や電子機器が発する、人間が普段気づかない隠れた音の世界を採取し、それを音楽的な構造へと再編成している。電車の架線、照明、ATM、セキュリティゲートなどの電磁音は、ノイズではなく、ゆっくりと変化するドローンとして調律され、静けさの中に緊張と美しさが同居する独特の音空間を生み出す。フィールドレコーディング、ミニマル、音響芸術の境界を超えて、都市の裏側に潜むもうひとつの音の層を可視化するような一枚。

静寂の奥に潜む、もうひとつの世界へと導く崇高な音の儀式。ギリシャ系アメリカ人の音楽家、映像作家であり、Meditationsでも静かで深い支持を集める John Also Bennettと長年の深い芸術的パートナーシップを持つChristina Vantzouが、〈INA-GRM〉の委嘱を受け、2023〜2025年にかけて丹念に紡いだ、霊的エレクトロアコースティックの大作『The Reintegration of the Ear』。フルートやチェロ、ダブルベース、声。John Also Bennett、Oliver Coates、Roman Hiele、Irene Kurkaらが呼吸と共鳴に導かれながら織り上げる音は、形式を超え、再統合されていく意識に寄り添うように、直観と微細な気配が流れを決め、有機的に移ろい続ける。時間は直線ではなく、折れ曲がり、漂いながら、電子音、フィールドレコーディング、アコースティックの残響が溶け合い、言葉の手前にある領域へと聴き手を静かに誘う。その響きは静かで、深く、意識の底に沈む水脈のような、内なる世界の神秘をたたえている。旅先でふと出会う、どこか異なる世界へと繋がる現実の裂け目のような、神秘を受け入れた繊細かつ霊的な音世界。Eva L’Hoestによる、ギリシャ的象徴が漂う超現実的なイメージをあしらったアートワークも、Vantzouの音の霊性と共鳴し、作品の神秘性を際立たせている。300部限定。


オリジナル盤は10万円越えの高値を付ける骨董的鬼レア盤!〈Notes On A Journey〉からの再発盤が高騰していた中嬉しい再リイシュー。この機会をお見逃しなく!伝説的リズムボックスである「ドンカマ」を駆使した知られざるAORシンガー、Chuck Senrickが1977年に自主リリースした幻のアルバム『Dreamin'』。〈P-Vine〉から国内盤CDも出ていた本作が〈Numero Group〉より2023年度久々のヴァイナル再発!70年代後半のミネアポリスのラウンジとTravis Scott x Diorのファッションショーの両方へと捧げられたような、珠玉のメロウAOR/アンビエント・フォーク・アルバム!
大城美佐子のデビュー曲『片思い』を、Churashima Navigatorのメンバーそれぞれが尊敬と感謝の気持ちを込めてカバー&リミックス。
「片思い」は、2021年に逝去した沖縄民謡唄者・大城美佐子の1962年デビュー曲である。
師匠・知名定繁(知名定男の父)が作詞・曲を手がけ捧げた作品で、大城の代名詞的楽曲。最後まで現役唄者だった大城は、この曲を大事に歌い続け、育ててきた。
それを弟子の堀内加奈子が歌い継いだのが本作だ。堀内を筆頭に、Churashima Navigatorのメンバーは生前大城と縁深く、SINKICHIとNu-dohは、2017年に「片思い」(1962年録音)のリミックスを手がけた仲でもある。
今作は、大城への感謝と尊敬の念を示すべく制作されたという。始まりは、Nu-dohが2024年11月に行われた「大城美佐子 偲ぶ唄会」で堀内が歌う「片思い」を聞き、「今の加奈子の歌を残したい」と構想を練り始めたこと。
2025年11月、那覇でのライブで約6年ぶりにChurashima Navigatorのメンバーが集結したことを機に、制作がスタートした。
A-1は、堀内が歌三線のみで聞かせる「片思い」。行きどころのない恋心が切々と語られる本曲だが、闇雲に感情を込めすぎてもいけない、それでいて“泣き”を滲み出すことが求められる難曲だと痛感する。師匠の歌から学び、独自に鍛錬してきた堀内流の「片思い」に宿る、心の揺れをじっくり聞き込んでほしい。
A-2は、Nu-doh & Harikuyamakuのリミックスに、MARINO(sax)、カナミネケイタロウ (bass)が客演。鼓動のように刻まれるビートと、セッション的な美しい音の重なりが、海の彼方の世界にトリップしたような深遠なる景色を見せてくれる。
B-1は、A-2のトラックをベースにSINKICHIがリミックス、大城の持ち歌「白雲節」にかけて「White cloud Mix」と銘打ったナンバー。どこかエキゾチックな音の響きや、鳥の鳴き声などが心地良いアンビエントな仕上がり。途中、一瞬だが大城と堀内の会話が聞けるのも微笑ましい。
「リミックスでも歌三線をしっかり聞かせることが大前提だった」というNu-dohの言葉が頷ける本作。師匠の思いを歌い継ぐ弟子の表現、新たな解釈の音世界を立ち上らせたリミックスで、大城美佐子が愛した「片思い」という楽曲の普遍的な魅力を堪能したい。
(文/岡部徳枝)
■収録楽曲:
Side A
1. 片思い (堀内加奈子)
2. 片思い Island dub Mix
(Nu-doh & Harikuyamaku feat. カナミネケイタロウ (bass) / MARINO (sax))
Side B
1. 片思い White cloud Mix(SINKICHI)
