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第72回毎日映画コンクール 音楽賞・監督賞受賞作品!
「劇中の音楽だけを並べて繋いでみると70分、本編の三分の一を占めていた。更なる再構成を経て音に凝縮された『バンコクナイツ』。桃源郷への扉は、このサントラによって完全に開かれる!」(空族)
『バンコクナイツ』のみが到達できたあの世界がサントラに圧縮されぶちまけられる。EDM〜トラップ/ヒップホップから60sロック、そして70sタイ音楽クラシックまで全28トラックをエディット無しの完全版で構成。Young-G(スティルイチミヤ)、DJ Kenseiらのトラック、山崎巌率いるバビロン・バンド、心動かされるあのルークトゥン名曲「田舎はいいね」のオリジナル・ヴァージョン、劇中で強烈な印象を与える得度式のクン・ナリンズ・エレクトリック・ピン・バンドの演奏、Tondo Tribeのラップ、アンカナーン・クンチャイ演じる占い師サイのモーラム、カラワンのスラチャイ演じるプーミサック亡霊の語り、豊田勇三、そしてエンディング「イサーン・ラム・プルーン」等々全て収録。エム・レコード初のサントラ・リリースにもなる記念すべき作品です。装丁はMMM(スティルイチミヤ/スタジオ石)。
+全曲関係者による解説コメント付き
+対訳歌詞掲載
+通常ジュエルケース/ブックレット封入
Tracks:
1.「Pai Tuktuk Dwai」DJ Pai Dwai
2.「Pai Massage Dwai」Young-G (stillichimiya/おみゆきCHANNEL)
3.「金の匂い」Suri Yamuhi & The Babylon Band
4.「You've Left Me Alone」Suri Yamuhi & The Babylon Band
5.「Porra」XXXSSS Tokyo
6.「ソムタムだけ」オーンウマー・シンシリ
7.「田舎はいいね」ルンペット・レームシン
8. イサーン・ラジオ
9.「パイプよパイプよ」ダオ・バンドン
10.「Burn! Burn! Burn!~Surfin' Dien Bien Phu」Suri Yamuhi & The Babylon Band
11.「君を買い戻す」バーンノンカーイ・バンド
12.「Samet Love」DJ Pai Dwai
13.「憎っくきモーターサイ」クワンター・ファーサワーン
14.「夜の臭気~チット・プーミサックの詩より~」スラチャイ・ジャンティマトン
15.「Saramanda」DJ Pai Dwai
16.「タマリンドの葉(モーラム)」アンカナーン・クンチャイ
17.「バーン・スワイロン」クン・ナリンズ・エレクトリック・ピン・バンド
18.「Khane Whistle Reprise (JRP Tondo mix)」DJ Kensei feat. Tondo Tribe
19.「Vang Vieng Bank (Change Yen to Lao) OST mix」DJ Kensei
20.「シェンクワンの娘」Thong Boonma(歌)、Le Boonma(ケーン)
21.「Get Em」XLII
22.「Paun's House」Suri Yamuhi & The Babylon Band
23.「Xanadu」Young-G (stillichimiya/おみゆきCHANNEL)
24.「Kanom Party」Young-G (stillichimiya/おみゆきCHANNEL)
25.「Song of an Angel」Suri Yamuhi & The Babylon Band
26.「インの語り」スベンジャ・ポンコン
27.「イサーン・ラム・プルーン」アンカナーン・クンチャイ
28.「満月(アッサニー・ポンラチャン)」豊田勇造、山村剛

タイ好きなら身を乗り出してしまう題名「ラム・プルーン ソンテウ愛好会」は、70年代~80年代で最も優れたメジャー興業モーラムのひとりだったチャバープライ・ナームワイとモーラム女王、バーンイェン・ラーケンのデュオというそれ自体キラーな組み合わせの希少録音で更に未CD化。今回が初の再発となる。本作は、常に<音楽面>の面白さを追求した発明家的プロデューサー、スリン・パークシリ先生が80年代初頭、自身のティッソー・ラム・プルーン楽団で行った一連の録音セッションのハイライトのひとつであり、ラム・プルーンものの特上品だ(その他のキラー曲はごっそりコンピレーションに収録)。ベースギターがブンブンうなるこのティッソー・ラム・プルーン楽団のエレクトリック・トラックに、チャバープライとバーンイェンのマイクを奪い合うようなモーラム・バトルが展開するチューン。「タクシー!タクシー!」とタクシー運ちゃんを容赦なく煽るモーラム姐さん達のこの熱いラムを一発かければディスコは爆発することだろう。
VINYL用マスターとカッティングはベルリンD&Mスタジオの古参エンジニア( レゲエ関係のスペシャリスト) のグッドジョブで音質保証。
+ 二つ折りスリーブ封入
+ スリン・パークシリ先生のゴム判押印
+ 日本語・英語訳詩掲載
彼女が支持されたのは見た目の可愛いさ派手さだけでは決してなく、歌の良し悪しが第一だった時代にデビューし、伝説的モーラム歌手の間で芸をもまれ、歌の巧さでも人々を魅了した才色兼備の歌手だったからだ。それもそのはず、モーラムの古典的な徒弟制下で学んだバーンイェンの歌唱力は折り紙付き。今や国を代表する歌手の一人である(日本のタイ・フェス出演経験もあり)。
今回は彼女が最も猛威を振るった70 年代の革新的モーラム&ルークトゥン作品をコンパイルし、ド派手でアップな曲からしっとり歌い込む渋い曲までバランス良く配分。バーンイェンの生来の才能である歌の巧さに焦点を当てた「聴き込める」ベスト盤だ。選曲・解説・装丁はもちろんSoi48!
魅力的なひびきをもつ「インディアン・ジャズ(もしくはインドジャズ)」は、60年代において欧米に出現したが、実のところ、西洋ジャズのアンサンブルに楽器としてシタールを加えただけのものがほとんど。つまり、少しインドっぽい響きのする、エスニックな香りのするモダン・ジャズの域を出なかった。
しかし!それを吹き飛ばすとんでもない作品があった!ここに紹介するT.K. ラマムーシーの1969年発表のアルバム『ファビュラス・ノーツ&ビーツ・オブ・ジ・インディアン・カルナーティック・ジャズ』は、南インドの古典音楽であるカルナーティック音楽の厳格な音楽形式をそのまま用いつつ、インドの音楽が果たしてジャズになるのか?と問うた前例のない実験作品。西洋楽器とインドの打楽器・弦楽器を混合し、全員インド人で演奏した(楽器を手に床に座ってジャズを演奏している風景を想像してほしい!)その成果は唯一無比、形容し難い独特のものであり、新しい音楽ジャンルすら要求できそうな怪作となっていた。
ザキール・フセインやL. シャンカールらが登場し、インド人によるジャズへのアプローチが世間の注目を浴びるのはこの試みのずっと後のこと。本作はインド以外でほとんど誰も知らなかった「インド人によるインドのジャズ」探求の源流で、異なる音楽が折衷・融合し、奇怪で突拍子もないが異様なクールさを兼ね備えたこの器楽曲は、カルナーティック音楽に聞こえるかと思えばジャズにも聞こえ、変幻自在のマジックのようだ。また、種々の音階(スケール)の使用で、モーダル・ジャズにもなり不意にエチオピアン・ジャズのようにも響くこの摩訶不思議さ!
T.K. ラマムーシーは南インド出身、1922年生まれで、もともとカルナーティック音楽のヴァイオリン奏者だったが、後に南インドの映画音楽の作曲家として大成。60年代よりM.S. ヴィシュワナータンと作家コンビを組み、80年代までチェンナイを拠点に実に700以上もの映画音楽を手がけた大作家である。本アルバムは作曲家である彼の腕試しの意味が強く、上向音形、下降音形、音階、ターラ(時間・拍の概念)といったラーガの厳格なシステムを守り、その上でジャズに出来るか挑戦している点で驚異的。音楽的にも聴き込むほどに深くなる作品だ。これほど南インドの映画界で活躍した彼だが、ソロ名義のアルバムはこれより他になく(?)、その意味でも非常に貴重な音源である。
「悲しみのない世界 (You Ishihara Mix) 」のMV制作をきっかけに交流が始まった坂本慎太郎とVIDEOTAPEMUSICの初の連名単独リリース。坂本とVIDEOTAPEMUSICの世界観が溶け込んで2017年邦楽ポップスのターゲットになりえる音楽に昇華した。A面「夢で見た町」はファンにはおなじみの中村楓子をヴォーカルにフィーチャーし、中盤からダブ接続するレゲエのディスコ・ミックスのような体裁の麻薬的長尺曲。B面には「バンコクの夜」「ディスコ・バンコク」と題したエキゾでエレクトロなインスト・チューン、そして「夢で見た町」のインスト・ヴァージョンを入れた全4曲入りEP。装丁:坂本慎太郎。
UK/ロンドンからDub界にとんでもない新星が現れた!!エレクトロ・ファンクのプロデューサー Lord Tuskのレゲエ・ダブ名義Sons of Simeon!キラーすぎるデビュー作ついにリリース!
Riddim Changoからの10枚目のレコードリリースは、UK/ロンドン拠点のプロデューサーLord Tuskのレゲエ・ダブ名義Sons of Simeonのデビューシングルとなる10インチ・レコードが登場!Funkin EvenのApronレーベルやJohn RustのLevelsレーベルでのハウステクノ寄りのリリースや、USのレジェンドMCであるMos Defとのアルバム制作、Sun Runners名義でVaporwave寄りのアルバムの発表など多方面で活躍するLord Tuskは大のサウンドシステムファンとしても知られている。幅広い音楽性を生かしたLord TuskならではのキラーなDub/StepperをDMZ等との仕事で知られているTransitionスタジオでマスタリング。サウンドシステムの鳴りは安定保証!
米アトランタ生まれのTRAPビートは世界の共通言語となってレプリカを生み続け、アジアも例に漏れず多数のアクトが現れては消え、韓国、タイ、インドネシアといった国々のラッパーが注目されて久しい昨今。「YOUTUBE再生○○万回!」「インスタグラムフォロワー○○万人!」そんな惹句が飛び交い、ラッパーはソーシャルメディアを駆使し一発のバズからマネタイズを目論む仁義もへったくれもない中、ひたすら自分のローカルを力強く表明しオリジナルなHIP HOPを作り出し続けているのがJUU4Eだ。
若い才能が次々現れるタイにおいてOGとしてリスペクトを受け、独自の立ち位置を確立しているラッパー、JUU4E。前作『New Luk Thung』(2019)では、stillichimiya/OMKのYoung-Gプロデュースの元、タイの雑食ゲットー歌謡、ルークトゥンをHIP HOPと折衷し最新のHIPHOPであると同時に最新のルークトゥンでもあるという傑作を作り上げた。同作はタイ国内でも権威あるRIN (Rap is Now)の年間ベストにノミネートされるなど、内外に衝撃を与えたが、この『New Luk Thung』リリース時、実はすでに本作「馬鹿世界」の制作は始まっていた。
本作は全てJUU4Eのセルフ・プロデュース。タイ日英語を織り交ぜたリリックと、伸縮自在なフロー、前作より重心が低くダビーに煮詰められたトラックは、HIP HOP/TRAPを咀嚼し、完全に自分のものとした前作同様だが、特筆すべきは強く<アジア>をレペゼンしている意思が感じられる点だ。マレーシア音楽の影響を受けたタイ南部の舞踊芸能ロン・ゲン、日本民謡、そしてJUU4Eが幼い頃から慣れ親しんできたテレサ・テンの曲を引用しているが、JUU4Eの内部に取り込まれ出てきたそれらは、かつてワールドミュージックが持っていた見せかけのグローバルやエキゾチシズム、また現在のアジアのHIP HOPに悪気なく横行するセルフ・オリエンタリズムを軽々と一刀両断している。
もしあなたがアジアのHIP HOP熱いよね~とネットに氾濫する情報をかじって本作に触れたならば幸運。「馬鹿な世界」に真っ向から挑むリリックと、圧倒的な自由さでぶちかまされるサウンドに叩きのめされて是非とも馬鹿になって欲しい。

ワールドミュージック・ファン、辺境系レアグルーヴDJがもっともリリースを望んでいたイサーン(タイ東北部)のルークトゥン歌手、ダオ・バンドンのベスト盤!今やダンスミュージックとして全世界のコレクターの注目を浴びるタイ音楽。野太いビートにキラーなブレイク、そして独特の声と節回しが特徴のダオ・バンドンの音楽は、一度聞いたら耳にべっとりくっ付いて中毒になる魅力を放っていた。しかし70年代のイサーンで何が歌われていたのか?何故ダオ・バンドンがヒットしたのか?その魅力は謎に包まれたままだった。今回ダオ・バンドン先生に直接取材&イサーン語とタイ語が混じった全曲を対訳し、驚愕の事実が白日の下に!レゲエ顔負けのガ○ジャ・チューンからセッ○スについて歌った曲、まるでブルースの世界の恋愛ソング……などなど、のどかなイサーンの笑えて泣ける原風景が解き明かされる。
80年代にはハニー・シーイサーン、チンタラー・プンラープなどワールドミュージックでお馴染みの歌手をプロデュースしていたダオ先生。今も絶大な人気を誇るルークトゥンというジャンルの現在に至るまでのルーツが詰まったアルバムです。これを聴かずしてタイ歌謡はありえない!
なお、本作では全歌詞をタイ日英の三か国語で掲載。解説は日本語・英語掲載し、タイの固有名詞の注釈も完備!今後のワールド系リリースの指標になるであろう気合い仕様!
彼はタイ東北部イサーン出身、タイのポップス制作者の旗印となる最先端(変態)キラーを度々送り出した発明家的なプロデューサーであり、タイ音楽を一人でグイグイ発展させてきた偉人。売ることより変わったことをしたい生粋のレコード・マンであり、確かな批評眼でタイ音楽の隆盛を見てきた生ける音楽ライブラリーでもある。
今回はスリン先生が手掛けた沢山のルークトゥン曲からまことの<スリンらしさ>を主張する無節操ごちゃ混ぜ12曲を選抜。その結果、プレーン・プロムデーンやワイポット・ペットスパンらラオス系大物歌手を起用したこれぞ王道ルークトゥン!というラオス系賛歌から、Juu『New Luk Thung』でもサンプリングされたカワオ・シアントーンのガンジャ・チューンとカヴァー曲のオリジ版、ボリウッド・チューンや、「ソーラン節」続編や坂本九の曲(??)など和物ファンにはたまらない日本の民謡・歌謡のカヴァー、怪しげでやたらにエキゾなインディアン・ルークトゥン、盟友サマイ・オーンウォンと組んだタイ・ファンクのプロトタイプ、超DOPEなレー(*2)やラムウォン(*3)というルークトゥン娯楽総合カタログとなった。
「ニュー」な「ルークトゥン」を高らかに謳うJuu & G. Jee『New Luk Thung』をルークトゥン<最新型>とするなら、このスリン・パークシリの仕事集はルークトゥン<クラシック>の音源集。これをチェックすればルークトゥンが何なのか姿を現しついでに『New Luk Thung』が別の輝きを放つことでしょう。
今回も全て訳詞付き。解説はもちろんSoi48。
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*注釈
1)ルークトゥン:“田舎の子”、“田舎者の歌”の意を持つ音楽ジャンル。1960年代半ばに確立し、現在はタイのナショナル・ミュージックとして継承される歌謡音楽。歌詞を特に重視する。特定の音楽形式がないため雑食性が高い。
2)レー:仏教教典が僧侶の説法を経て歌謡化したタイ独自のジャンル。制限された音節で即興的に歌っていく話芸で高い技量を必要とするためレーができる歌手はリスペクトされる。
3)ラムウォン:国威掲揚のためタイ政府が1940年代に制定した創作民謡の性格の強い音楽。日本の盆踊りのような輪踊りが特徴で労働者階級で流行した。タイ民謡のメロディーを西洋音楽風に改編したものと、踊れる音楽ならジャンルを問わず何でもラムウォンと呼んで踊ったもの、2つの意味・用法がある。
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選曲・解説:Soi48
マスタリング:倉谷拓人(Ruv Bytes)
装丁デザイン:高木紳介(Soi48)
CD版:通常ジュエルケース/28頁ブックレット封入
日本語・英語ライナー/完全訳詩掲載
TRACKS:
01. ブッパー・サーイチョン「恋を風に乗せて届ける」
02. スミット・サッチャテープ「愛への飢え」
03. カワオ・シアントーン「新居のシミュレーション」
04. バンチョップ・チャローンポーン「これ以上しゃべらないで」
05. リアム・ダーラーノーイ「ドキドキする」
06. カワオ・シアントーン「大麻竹」
07. ブッパー・サーイチョン「歩いて見せる」
08. ダンチャーイ・ソンタヤー「死にたい」
09. ダム・ダーンスパン「熟した恋」
10. プルーン・プロムデーン「メコン川の子に口説く」
11. スマリー・セーンソット「桜があなたを待っている」
12. ワイポット・ペットスパン「田んぼ沿いのラム」
日本全土に無数にある「盆踊り」、俚謡山脈 x エム・レコードが考えるその最深部且つ理想形のひとつがコレだ。ジャーマン・ロックを思わせる跳ねない太鼓と鉦のハンマー・ビート、圧倒的な音量で一斉に吹き鳴らされる笛、それらが徹底して反復するミニマル・ダンス・ミュージックの極地!そのあまりにもストイックで鋭角的な音像は、電気を使わずに奏でられる「農村のインダストリアル・ミュージック」「畑の中のリッチー・ホウティン」とでも呼びたくなる。これが埼玉県北部に今も残る「境石投げ踊り」だ。当地ではこの古い形を残す唄と踊りを観光化することなく、盆の営みとして現在に至るまで続けている。
今回我々は昭和58年に埼玉県民俗文化センターが制作したレコード『埼玉の盆踊り』に収められた同曲をリマスターし、更に平成29年現在の保存会による最新ヴァージョンをSUGAI KENのレコーディング/ミキシングで収録した。石仏も思わず踊り出す、日本のダンス・クラシックを皆さまの耳でお確かめください。装丁は『弓神楽』に引き続き高木紳介(Soi48)。
アルゼンチン音楽ファンには説明不要のマルチ・インストゥルメンタリスト作家、エミリオ・アロがこの10年で発表したソロ作『Panorámico』(2007)と『Estrambótico』(2012)は、音響派以降の新世代がフォルクローレ・リバイバルの影響下に制作した完全なスタジオ作品だった。しかし、ここにきてシーンのキーマンがあえてバンドを結成したのは極めて重要。南米のワニの名をもじったこの怪しいバンド名<カイマン族>のデビュー・アルバムとなる本作は、架空の部族の奏でる音楽を空想した、あるはずの無い秘境に流れる音楽というコンセプト。カリンバを改造したカリンバフォン(名前も最高!)というアロの自作楽器を中核に据え、ゆったりした波動でメローかつ幻想的に、徹底してミニマルに演奏されるバンド・グルーヴにはかなりの催眠性と中毒性がある。アルゼンチン音楽ファンだけに独占されるのはもったいない、ハイラマズやVIDEOTAPEMUSICのファンも絶対にハマること間違いなしのユル~いエキゾ幻想音楽!
映画『サウダーヂ』から空族映画に深く携わっている盟友・スタッフであり、日本のヒップホップに新風を吹き込み、幅広い層から熱い支持を受けるラップグループ、stillichimiya(スティルイチミヤ)は、イサーンの生んだ大スター、ダオ・バンドンの一世一代の名曲「水牛に乗る人」というルークトゥン・イサーンの<大ネタ>使い。ラップでのカヴァー・ヴァージョンともとれそうな、日本音楽が最もイサーンに近づいた記念すべき曲だ。真っ向からイサーン音楽と組み合ったこのチューンをCOMPUMA(松永耕一)がリミックスし、一体どこの何の音楽なのかよくわからない新音楽に仕立て直した。日本のクラブミュージック/電子音楽リスナーも目が離せない。
米アトランタ生まれのTRAPビートは世界の共通言語となってレプリカを生み続け、アジアも例に漏れず多数のアクトが現れては消え、韓国、タイ、インドネシアといった国々のラッパーが注目されて久しい昨今。「YOUTUBE再生○○万回!」「インスタグラムフォロワー○○万人!」そんな惹句が飛び交い、ラッパーはソーシャルメディアを駆使し一発のバズからマネタイズを目論む仁義もへったくれもない中、ひたすら自分のローカルを力強く表明しオリジナルなHIP HOPを作り出し続けているのがJUU4Eだ。
若い才能が次々現れるタイにおいてOGとしてリスペクトを受け、独自の立ち位置を確立しているラッパー、JUU4E。前作『New Luk Thung』(2019)では、stillichimiya/OMKのYoung-Gプロデュースの元、タイの雑食ゲットー歌謡、ルークトゥンをHIP HOPと折衷し最新のHIPHOPであると同時に最新のルークトゥンでもあるという傑作を作り上げた。同作はタイ国内でも権威あるRIN (Rap is Now)の年間ベストにノミネートされるなど、内外に衝撃を与えたが、この『New Luk Thung』リリース時、実はすでに本作「馬鹿世界」の制作は始まっていた。
本作は全てJUU4Eのセルフ・プロデュース。タイ日英語を織り交ぜたリリックと、伸縮自在なフロー、前作より重心が低くダビーに煮詰められたトラックは、HIP HOP/TRAPを咀嚼し、完全に自分のものとした前作同様だが、特筆すべきは強く<アジア>をレペゼンしている意思が感じられる点だ。マレーシア音楽の影響を受けたタイ南部の舞踊芸能ロン・ゲン、日本民謡、そしてJUU4Eが幼い頃から慣れ親しんできたテレサ・テンの曲を引用しているが、JUU4Eの内部に取り込まれ出てきたそれらは、かつてワールドミュージックが持っていた見せかけのグローバルやエキゾチシズム、また現在のアジアのHIP HOPに悪気なく横行するセルフ・オリエンタリズムを軽々と一刀両断している。
もしあなたがアジアのHIP HOP熱いよね~とネットに氾濫する情報をかじって本作に触れたならば幸運。「馬鹿な世界」に真っ向から挑むリリックと、圧倒的な自由さでぶちかまされるサウンドに叩きのめされて是非とも馬鹿になって欲しい。
アルゼンチンのマルチ・インストゥルメンタリスト作家、エミリオ・アロが「架空の部族の奏でる音楽を空想する」というコンセプトで結成した5人編成のバンド、クラン・カイマン。デビュー作『Clan Caimán』(2018)は、ハイラマズ、VIDEOTAPEMUSIC、トータス、トミー・ゲレロ、マーティン・デニー好きなどに幅広く聞かれるアルバムだった。注目の2作目である本作『Asoma (英語でRises)』でもカリンバを改造したアロの創作楽器<カリンバフォン>がアンサンブルの要となって地域不明のエスニシティーを匂わせるが、高いミュージシャンシップを持つアルゼンチンの演奏者達をして前作以上に抑制を課した編曲と演奏には<故意の退化>という方向での進化(深化)が聞き取れる。「ヴォーカルもシンバルもファンファーレもありません」とアロ自身が説明するように、8つの楽曲には気を引く派手な編曲や和声進行上のクライマックスを捨て去った上でのメトロエスニシティー感覚が、その演奏の音場には怪しい生暖かさと催眠性が充満する。高湿度の空気を封じ込めた装丁デザインは今回もSebastian DuranとIan Kornfeld。
今回我々は昭和58年に埼玉県民俗文化センターが制作したレコード『埼玉の盆踊り』に収められた同曲をリマスターし、更に平成29年現在の保存会による最新ヴァージョンをSUGAI KENのレコーディング/ミキシングで収録した。石仏も思わず踊り出す、日本のダンス・クラシックを皆さまの耳でお確かめください。装丁は『弓神楽』に引き続き高木紳介(Soi48)。
ワールドミュージック・ファン、辺境系レアグルーヴDJがもっともリリースを望んでいたイサーン(タイ東北部)のルークトゥン歌手、ダオ・バンドンのベスト盤!今やダンスミュージックとして全世界のコレクターの注目を浴びるタイ音楽。野太いビートにキラーなブレイク、そして独特の声と節回しが特徴のダオ・バンドンの音楽は、一度聞いたら耳にべっとりくっ付いて中毒になる魅力を放っていた。しかし70年代のイサーンで何が歌われていたのか?何故ダオ・バンドンがヒットしたのか?その魅力は謎に包まれたままだった。今回ダオ・バンドン先生に直接取材&イサーン語とタイ語が混じった全曲を対訳し、驚愕の事実が白日の下に!レゲエ顔負けのガ○ジャ・チューンからセッ○スについて歌った曲、まるでブルースの世界の恋愛ソング……などなど、のどかなイサーンの笑えて泣ける原風景が解き明かされる。
80年代にはハニー・シーイサーン、チンタラー・プンラープなどワールドミュージックでお馴染みの歌手をプロデュースしていたダオ先生。今も絶大な人気を誇るルークトゥンというジャンルの現在に至るまでのルーツが詰まったアルバムです。これを聴かずしてタイ歌謡はありえない!
なお、本作では全歌詞をタイ日英の三か国語で掲載。解説は日本語・英語掲載し、タイの固有名詞の注釈も完備!今後のワールド系リリースの指標になるであろう気合い仕様!
