SPITTLE MADE IN JAPAN
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6月中旬再入荷。大友良英率いるGround Zeroが1995年に発表した、サンプリング文化と即興演奏を極限までぶつけ合ったコラージュ作品の金字塔。京劇を素材にしたハイナー・ゲッベルス&アルフレッド・ヒース「Peking-Oper」を素材として、ターンテーブル、自作ギター、雑多な音響サンプル、そして当時の気鋭メンバーによる騒然とした生演奏を、大友が切れ味鋭く編集。伝統音楽とノイズ、即興と構築が同じ強度で衝突し、数秒単位で風景が変わるめまぐるしい音世界は、コラージュとインプロがノイジーかつスリリングに混ざり合う、90年代アヴァンギャルドの象徴。針音や無音を大胆に扱うトラックもあり、後年へとつながる静寂の感覚も垣間見える。日本語・外国語の断片が飛び交い、意味と無意味が同時に立ち上がるアナーキーな編集は、当時流行した脱構築の精神そのもので、知的なパンクとしての大友良英が最も尖っていた時期の記録でもある。30年近く経った今でも時代の産物ではなく、むしろ現在にあってことより鋭く響く強度を持った名盤。
オリジナルは1981年にリリースされた、女性だけのバンドで、妥協のない異端の存在として知られ、当時の日本のアンダーグラウンド・シーンの中でも突出した個性を放っていた水玉消防団の伝説的デビュー作『A Maiden's Prayer DA-DA-DA! 』が〈SPITTLE MADE IN JAPAN〉より再発。アヴァンギャルドなポストパンク、演劇的要素、実験性が渾然一体となった、“もうひとつの日本”を体現する鮮烈なアルバムで、フレッド・フリスもライヴを観て神楽と天鼓という対照的な二人のボーカルの絡みが特に印象的だったと語っている。カオティックで尖った音楽性を持ちながら、メンバー同士の呼吸や空気感に独特の親密さがあり、単なるノイズや過激表現を超えた、共同体としての美学と緊張感が共存するサウンド。パフォーマンス的な要素も強く、音楽というより“事件”に近いインパクトを持っていたバンドの当時の熱量を閉じ込めた貴重な記録
水玉消防団の1985年作、セカンド・アルバム『A Skyfull of Red Petals』が〈SPITTLE MADE IN JAPAN〉から再発。本作も、前作に引き続き鋭く挑発的で、強烈で、唯一無二で、何ものにも媚びない。このバンドが「自然現象のような存在」であることを強く印象付ける一枚。実験音楽の巨匠フレッド・フリスが惚れ込み、ミックスを手がけている。ヴォーカルの神楽と天鼓、まったく異なる声とスタイルがせめぎ合いながらも調和していく様は、まるで即興演劇のような迫力で、演奏も歌も「うまさ」ではなく「勢い」と「意志」で押し切っている。そのぶん演奏の空気感や緊張感が濃く、混沌の中に一種のユーモアや祝祭性があって、それがミズタマ消防団の真骨頂でもある。ジャンルでいえば、ポストパンク/アヴァンギャルド/ノーウェイヴあたりを軸としつつ、単なるカテゴライズではすくいきれない、“表現としての音楽”がここにある。日本のアンダーグラウンドが世界のアヴァンシーンとリンクしていた稀有な瞬間の記録。
博多で結成された6人編成のあけぼの印は、ニューウェイヴの尖った質感とファンク/ジャズの自由なノリをかけ合わせ、そこにポップの瞬発力を注ぎ込むという独自のスタイルを確立していた。彼らが東京に拠点を移してから放った代表作にして、80年代後半の日本アンダーグラウンドの熱気を凝縮した一枚『Paradise Mambo』が〈Spittle Made In Japan〉より再発。〈DIW〉レーベルからのリリースという点も象徴的で、当時の先鋭的なシーンの真っ只中に位置づけられていたことが分かる作品で、音の印象としては、カクカクとしたリズムと跳ねるベースラインが全体を牽引し、そこに遊び心たっぷりのメロディや大胆なアレンジが重なる。曲ごとにジャズ的な即興感覚やニューウェイヴ的な鋭さが現れつつも、決して難解にはならず、キャッチーさと実験性のバランスを絶妙に保っているのが大きな魅力。ジャンルの枠を越えて自由に音楽を発明しか彼らの音楽は、今聴いてもまったく古びず、新鮮な響きに満ちている。
6月中旬再入荷。元Gasenetaの山崎春美を中心に、80年代初頭の東京アンダーグラウンドで活動した流動的パフォーマンス・コレクティブTacoの活動と美学を再提示するアーカイブ的リリース『The Alternative Counter Organization』。Tacoの活動は、楽曲というよりもその場で起きる衝突・混乱・衝動が中心にあり、ポストパンク、ノーウェイヴ、即興、パフォーマンスアートが渾然一体となった事件の記録というべきもの。固定メンバーを持たず、ライブごとに編成が変わるゲリラ的な活動スタイルがそのまま音に刻まれており、演奏の境界線が曖昧なまま、衝突と混乱が次々と立ち上がる。粗削りなギター、緊張感のあるリズム、突然割り込む声やノイズ、そのすべてが即興的でありながら、どこか鋭い編集感覚に貫かれているのがTacoの魅力。山崎春美の語りや叫びが混沌を束ね、意味と無意味が同時に立ち上がる。80年代東京のアンダーグラウンドが持っていた危険な若さとエネルギーが、今聴いても生々しく響く一枚。
フリクションのドラマー、チコ・ヒゲによる、オリジナルは1985年リリースのソロ名義セカンド作『Trap』。サウンドはまさにノーウェイヴ直系で、鋭角的なギター、捻じれたサックス、暴走するリズムが絡み合い、混沌の中に奇妙な統一感を生んでいる。ニューヨークのDNAやマーズあたりを思わせつつも、どこか湿った空気感や独特の転がらないビート感覚はやはり日本的。フリクションでのドラミングを土台にしつつ、より過激で自由度の高いアプローチが試みられており、全体を通して強烈な推進力とヒプノティックなグルーヴが支配していて、実験性と身体性が同時に走っている。ジャズ的な即興のニュアンスも垣間見える一方で、パンクの粗暴さとノイズの美学が前面に出ており、制御されたカオスとでも呼ぶべきサウンドを形成している。80年代日本のノーウェイヴを象徴する重要作にして、チコ・ヒゲの革新性を刻み込んだ孤高の一枚。
80年代初頭、日本アンダーグラウンドの唯一無二の残像のような一枚、Daisuck & Prostituteによる『Dance Till You Die』。「踊り尽くせ」という命令と警告が同時に響く、妥協のないポストパンクのエネルギーが詰まったサウンドは、ニューヨークのNo Waveを思わせる尖ったギター、ノイジーで異物感のあるテクスチャー、ざらついたヴォーカルに支えられつつ、どこか儀式めいたグルーヴを持っているのが特徴的で、無秩序なようでいて、身体を突き動かす強烈なリズムがあり、ダンスフロアでも異様に機能してしまう。その一方で、聴き心地は決して容易ではなく、鋭利な音の断片が次々と突き刺さってくる。当時は商業的な動きとはまったく無縁で、伝説の地下音源というべきその異様な存在感や妥協のなさは、時代を超えてなお鮮烈に響く。日本のポストパンクが世界的な爆発の只中でどう独自の形をとったのかを物語る重要なドキュメント。
パンクの衝動を文学の鋭さで昇華させた90年代日本ロックの隠れた金字塔!邦楽史を代表するパンクの枠を超えた伝説、現在は町田康として武蔵野大学文学部教授でもあり小説家として著名な町田町蔵が1992年にリリースした『Harafuri』。INU解散から11年後に生まれたこの作品は、80年代初頭のパンク直撃の勢いとはまた違い、文学的な成熟と毒気を帯びた歌詞を、北澤組の重厚かつモダンなバンドサウンドに乗せたもの。INU『メシ喰うな!』の頃から町田はすでに「詩人がロックをやっている」ような存在だったが、『Harafuri』ではその言葉の鋭さや比喩の豊かさがさらに深まり、社会風刺や日常の不条理をえぐるような表現が際立っている。北澤組のサウンドはハードでタイト、当時のオルタナティヴ・ロックやポストパンクの感触もあり、町田の言葉を受け止める強度を持っていた。今回は初の公式リイシューで、音源のリマスターはもちろん、歌詞の英訳も丁寧にやり直されており、町田のユーモアと皮肉を含んだ言葉遊びを国際的なリスナーにも開く試みになっている。
