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〈Ultraääni Records〉より、DJ Vera Righteousによるルーツレゲエ、ダブのミックステープ。本作はタイトル通り、A面がLOVE、B面がWARという明確なテーマで構成、A面には、ラヴァーズロックやスウィートなルーツを中心に、柔らかいメロディとソウルフルな歌声が続き、Sugar MinottやJennifer Laraのような温かい質感の楽曲が滑らかにつながる。一方で B面では、Horace AndyやYami Boloなど、社会性やスピリチュアル性の強いルーツ、ダブが並び、重いベースラインと深いエコーが聴かれる。甘く肉感的な「LOVE」と、シリアスでスピリチュアルな「WAR」という、レゲエ、ダブカルチャーが持つ二面性を対照的に配置しながらも一本の物語として流れる構成力が光る。レーベルのカタログの中でも特に人気が高く、初出時は即完売した幻の一本として知られる、小さくも濃密なミックステープ。
徹底したアヒンサーを提唱実践、「ノイズ」の枠を超越したオルタナティヴな表現を試み続けるジャパノイズ伝説、Merzbowこと秋田昌美による新作カセット。2026年イタリア公演の為に発表された記念リリースで、限定199本ナンバリング入り。
アンナ・バターズ(ベース)、ジェレマイア・チウ(シンセサイザー)、ジョシュ・ジョンソン(サックス)、ブッカー・スタードラム(ドラム)、グレゴリー・ユールマン(ギター)によるロサンゼルス拠点のクインテット、SMLが最新作『Spontaneous Music Live』をリリース!
本作は、編集されていない即興演奏による長尺の2曲で構成されており、2025年12月にロサンゼルスの会場Zebulonで行われたバンドの3夜にわたるレジデンシー公演中にライブ録音されたものである。これは、バンドのセカンドアルバム『HOW YOU BEEN』のリリースからわずか数週間後のセッションだった。録音とミックスは、ジェフ・パーカー・ETAカルテットの美しいライブ記録でも知られるエンジニア/“魔術師”ブライス・ゴンザレスによって、ステレオ・アナログテープにライブで収められている。
『HOW YOU BEEN』と2024年のデビュー作『SMALL MEDIUM LARGE』(いずれも大幅にエディットされ、ポストプロダクションが施されている)を通じて、SMLは緻密に構築されたサウンドで評価を確立してきた。そこではメディアとしての“編集”そのものが前面に出ており、最も美味しい断片が選び抜かれ、編集されることで作品が構築されている。
しかし、これら2枚のアルバムの元となった素材はすべてライブ録音であり、長く、荒々しいグルーヴを持ってうねりながら展開する即興演奏だった。さらに重要なのは、バンドのこれまでのすべての公演が、その精神に基づいた完全な即興で行われているという点である。
この二重性は、彼らの思想的な近親者とも言えるアーティストたちにも見られる。たとえば、カンの『Live in Paris 1973』における長大で奔放な演奏と、同年のよりコンパクトな『Future Days』。あるいはマイルス・デイヴィスの『Dark Magus』におけるスピード感あるファンクの混沌と、『On The Corner』や『Big Fun』に見られる徹底的に解体された構築性などがその例である。
『Spontaneous Music Live』は、こうしたキュレーション的な視点を取り払い、編集プロセスの幕を引き剥がす作品である。そこに残るのは、ロサンゼルスという土地において、その瞬間に存在し、集合的に即興演奏を行うバンドのサイケデリックなリアリズムである。完全にその場にいる状態で、発見の瞬間を掘り出していく音楽だ。そこでは音の一つ一つが、将来のSMLの楽曲になりうる断片として、集合的な混沌と統制のあいだに星のように散りばめられている。

8月14日発売。LAアンダーグラウンドを長年支えてきたラッパーOpen Mike Eagleと、billy woodsやR.A.P. Ferreira作品で知られるプロデューサーKenny Segal。20年来の盟友である二人が、ついに完成させた完全な共同フルアルバム『DOOMED!: Rap Songs About A Relationship That Ends In Every Possible Universe』。Mikeの私生活で起きた長期的関係の破局をきっかけに制作。ジャズの断片、ソウルのメロウな気配、壊れたシンセ、乾いたドラムが変幻自在に混ざり合う、曲ごとに別の世界線へ飛ばされるような、圧倒的にユニークSegalのビートに、一方のMike は、ぼそっとした語り口、鋭い観察、ユーモアと痛みの混ざったラインで、日記とスタンダップコメディの中間のようなラップを展開。重いテーマを扱いながらも、どこか軽やかで、笑えるのに刺さるという彼の真骨頂が詰まっている。ゲストにはHemlock Ernst、billy woods、Gothic Tropicらが参加。それぞれが異なる宇宙のキャラクターのように登場し、アルバムのマルチバース的世界観をさらに広げている。

8月下旬再入荷。コロンビアのアーティストEzmeraldaによる、ラテンアメリカのアンビエント感覚と北欧のレーベル〈Blundar〉の電子音響美学が交差するカセット作品『Untitled』。伝統的クンビアのリズムを直接引用するのではなく、その空気だけを抽象化して音のテクスチャに溶かし込むスタイルで、音は水彩画のように境界が曖昧で、柔らかく発光するシンセの奥で細かな粒子が漂う。反復は機械的ではなく、手触りのあるループとして響き、時間がゆっくり折り重なるような感覚を生む。ラテン的な温度感は控えめながら、色彩や湿度感として作品全体に残り、アンビエントの静けさと人間的な温度が自然に共存している。風景としての電子音ともいうべきもので、静かに広がるテクスチャが心地よい一本。

〈Jahtari〉の中心人物Disruptが、レーベルのゲーム音楽的ルーツとダブの美学を61分にまとめ上げたミックステープ『Secret Level mixtape』。particle.fmのラジオ番組 Secret Level用に制作されたミックスをベースに、未発表デモ、Game Boyリワーク、ライブ用のダビーな素材、そしてJahtariのクラシック曲を再編集した内容で、レーベルの裏側を覗くような構成。ピコピコした電子音やメロディが、深いエコーやテープディレイと重なり、レトロゲームの世界観がダブ処理によって拡張されていくような音像。軽やかなチップチューン的リズムと、Jahtariらしい重心の低いベースが自然に共存し、ノスタルジーとクラブ感が同時に立ち上がる。フェーダーやエコーなど、ライブ的な手触りがミックス全体を動かし、ゲーム音楽の記憶をダブで再構築するJahtari の美学がストレートに表れている。8bitとダブのハイブリッドを濃厚に体験できる、レーベルの魅力を凝縮したミックステープ。

鍵盤奏者/プロデューサーMarco Beneventoによる、ジャズを軸にしながら、イタリア映画音楽、レゲエのローエンド、サイケポップ、ドリームポップまでを軽やかに横断するシネマティック・ジャズアルバム『Glera』が〈Big Crown Records〉より登場。3年にわたり書き溜めた個人的なスケッチを発展させた作品で、スタジオを楽器として扱うというプロデューサー的視点がより明確に結実しており、曲ごとに異なる場面が立ち上がる映画的構成が魅力的。ホーン、ハープ、環境音、声の断片が緻密にレイヤーされ、音の質感そのものが物語を運んでいく。祝祭感と哀愁が交互に押し寄せる情緒の振れ幅、ジャズの即興性とソウル/レゲエの重心の低いグルーヴの共存。Beneventoのキャリアの中でも最もカラフルで、ジャズ、ソウル、ビートミュージック、サイケの境界を越えて楽しめる注目作。

植物の成長や生態系の営みをテーマにしたシリーズ『Music To Watch Seeds Grow By』の第9作目にPatricia Wolfが登場。2024年夏にロッキーマウンテン生物研究所で行われたアーティスト・イン・レジデンスを起点に、植物生態学者との共同調査やフィールド録音を取り入れながら、植物の生命プロセスを音で描いたコンセプト作。柔らかいシンセの層がゆっくり広がり、風や土の湿り気を思わせる微細なフィールド録音が静かに寄り添う。音の成長が聴こえるような構造で、ひとつのモチーフが少しずつ膨らみ、新しい層が自然に加わる。静けさの中に有機的な動きがあり、植物の生命を音で観察するような、静かで有機的なアンビエント作。B面には、現地で録音したフィールド録音に加え、インスピレーション源となった生態学者Paul CaraDonna博士によるガイド付きメディテーションを収録し、自然の営みに耳を澄ませる。

東京拠点のプロデューサーRGLが、自身の音楽性のもう一つの側面を提示したカセット作品『Untitled』。ローファイ・ハウスやアナログ質感のダンス・トラックで知られる彼だが、本作ではビートのあるトラックと抽象的なアンビエント、ドローン が同じ地平で並ぶ。全8曲は、アナログ的なざらつきや微細なノイズが空気の中に漂うような、質感そのものを聴かせる構造が中心。ビートのある曲では、ローファイ・ハウスの温度感を保ちながらも輪郭が柔らかく、深夜の街を歩くような静かなグルーヴが続く。一方で「IV〜VI」ではビートが消え、音の粒子がゆっくりと浮遊する。都市の夜、遠くのネオンの光、そんな情景が自然と浮かぶような、RGLの質感への鋭い感覚を味わえる一本。

ポストハードコア・バンドthe north endのメンバーとしても知られる、東京を拠点に活動するアーティストFeLidによる、ギターの偶発性とアンビエント、ダブの音響処理を組み合わせたソロ名義2作目となるカセット作品『Magic Hour』。即興的に鳴らされるギターのフレーズが柔らかく揺れ、夕暮れの光がゆっくり変化していくような色彩感を帯びて進む。アンビエントの静けさ、ダブの空間処理、そして、細やかな編集による透明感が重なり、都市の片隅で立ち止まったときにふと立ち現れる、どこでもない世界を思わせる音像が広がる。

ラッパー、プロデューサーのIDKことJason Millsによる最新ミックスLP『Even The Devil Smiles』。自身の過去の収監経験や、早期釈放という人生の転機を背景に、生存・変容・裏切り・精神的葛藤・回復を描くもので、ハードなビートと内省的なリリックを融合。MadlibやNo I.D.といった大物プロデューサーとのコラボで、クラシックなヒップホップの質感と現代的なサウンドを併せ持っている。IDKが自身の過去と精神的葛藤を真正面から描いた個人的で内省的なヒップホップ作品。

異形の語り口で知られるFatboi Sharifと、掴みどころのない、漂うようなサウンドメイキングのChild Actorが初タッグを組んだ、ラップという形式を越えて心理の迷宮を描くようなアルバムが〈Backwoodz Studioz/Rhymesayers Entertainment〉から登場。Sharifのラップはリズムよりも声の質感や比喩の連鎖に重心があり、寓話・悪夢・断片的な記憶が混ざり合う独特の語り。Child Actorのプロダクションは硬質なビートではなく、アンビエント、インダストリアル、シネマティックな要素が溶け合う水面のように揺れ続ける音像で、Sharifの声を包み込みながら、曲ごとに異なる心理空間を描き出す。2026年アンダーグラウンド・ヒップホップの最前線。

billy woods とのデュオArmand Hammerで知られるNYCアンダーグラウンドのラッパー ELUCID と、スイスのプロデューサー Sebb Bash がタッグを組んだコラボアルバム『I Guess U Had To Be There』が〈Backwoodz Studioz/Rhymesayers Entertainment〉よりリリース!ざらついた質感のビートは、1980年代末のブームバップの影を残しながらも、ジャズやサイケデリア、スピリチュアルなムードが混ざり合い、過去の音にも未来の音にも聴こえる時間軸がねじれたような独特の空気をまとっている。その上を ELUCID の声は呪術的な低音で響き、精神世界、歴史、個人神話を行き来する抽象的なリリックが、音の隙間に深く沈み込んでいく。ELUCID の精神世界と Sebb Bash の異形ビートが完全に融合した、二人の職人が頂点で交わった時にだけ生まれる作品。billy woods、Shabaka Hutchings、Estee Nack、Breeze Brewin などアンダーグラウンドからジャズの重要人物も参加。

Roman Norfleet率いる流動的でオープンなプロジェクトBe Present Art Groupと、Roman Norfleet、Harlan Silverman、Kennedy VeletteによるMeditationsでも大人気のポートランドの偉大なるブラックミュージック最高の実践者The Cosmic Tones Research Trioによる三部作のカセット作品『The Spiritual-Sonic Research Series』にVol.2が登場。2023〜2025年に行われた3つの公演が収録され、アフロ・スピリチュアル音楽の現在形をそのまま封じ込めた内容。ジャズ、ゴスペル、即興、儀礼的パーカッションがゆっくりと重なり、サックスや鍵盤が長い呼吸で空間を支えながら、声による祈りやコール&レスポンスが場の空気を変えていく。ときに荒々しい打楽器や、ときに柔らかいハーモニーには、精神的なテーマを扱うライブならではの場の変化が音として記録されている。Angel Bat Dawidが参加した公演も収録した、今回も充実の3本組!

フランスのビートメイカー、プロデューサーとして、アジアの古い歌謡曲をサンプリングした『Chinoiseries』シリーズから、80sシンセ・ファンクへのオマージュ『Long Distance』まで、世界中のディガーを唸らせてきた Onra。彼が、自身の代名詞であるモダン・ブギー路線をさらに洗練させた最新作『After Dark』。80sブギー、ファンク、R&Bのエッセンスを、現代的なビート感覚と都会的なメロウネスで再構築した、アーバン・ナイト・ミュージックの決定版。跳ねるシンセベース、煌めくコード、軽やかなドラムマシン。Onraが長年磨き上げてきた夜のブギーの美学が、散りばめられたメロウ・トラックでより柔らかく、よりシルキーに表現されている。一方で、ビートメイカーとしてのルーツも健在で、サンプル感覚やタイトなリズム構築が、インスト・ヒップホップとしての強度も保っている。都会的で静かな高揚感に浸る、完成度の高いモダン・ブギー作品。
Bob Marley、Peter Tosh、Bunny Wailerのトリオ時代にLee “Scratch” Perryと組んで制作された初期レゲエの重要作『Soul Rebels』。Perryのプロダクションはホーンを排し、ギター、ベース、ドラム、オルガンだけで構成された乾いた音像。後のルーツレゲエよりも荒削りで、夜の静けさを感じさせるミニマルなリズムが全編を支配している。後年の名曲へつながるテーマ性がすでに濃厚で、Marleyのソングライティングが芽吹く瞬間がそのまま刻まれている。トリオ時代のコーラス・ワークも魅力で、素朴な民謡的温度感とストリートの荒々しさが自然に同居。Wailersが国際的なステージへ踏み出す前夜の核そのものとも言える荒削りで幽玄な初期レゲエの名作。

ブラジルのサウンドシステム文化におけるカリンボス=スタンプとヴィニェタ=イントロと呼ばれる、曲の前に鳴る派手な音響演出だけを集めた、前代未聞のミックステープが登場。GG Albuquerqueが1980年代から2025年までの素材を横断し、Akira Umedaがミックスとしてまとめ上げた本作は、バイレファンキのストリート精神をそのまま音にした強烈なアーカイブ。内容は、曲の前に鳴る爆発音、DJドロップ、広告、煽り、スター・ウォーズの引用、ピッチの狂った声、音楽の断片などがノンストップで連打される30分のコラージュ。常にクライマックスが続くような構造で、巨大なストリートパーティーの断片を高速で切り貼りしたような聴感。1980年代のローファイな素材と、2020年代SNS時代の過剰な音響が同じテンションで並び、ブラジルのファンク文化40年分の記憶が圧縮されたような濃度。ユーモア、勢い、地域性、悪ノリ、猥雑さ。バイレファンキの音の言語がそのまま詰め込まれている。

インドネシア・スラバヤ発のトリオThee Marloesが、Meditationsでもお馴染みの前作『Perak』から2年ぶりの待望の2ndアルバムをリリース。アルバムは全14曲で構成され、英語曲とインドネシア語曲が自然に混ざり合う。バンド自身が「過去2年間の旅路を描いた作品」と語るように、よりパーソナルで成熟した表現が際立つ内容で、60〜70年代ソウルの温かい質感をベースにしながら、乾いたギター、タイトなドラム、柔らかな鍵盤が重なり、都会の夜と南国の風が同居するようなメロウなムードを生み出している。Natassyaの甘く柔らかな歌声はさらに深みを増し、ホーンやコーラスを加えたアレンジが楽曲に豊かな奥行きを与える。世界的に注目を集めるThee Marloesによる、より広がりのあるサウンドと深くインドネシア的な感性をまとった、甘く、メロウで、どこか異国の風が吹くソウル・アルバム。
Hieroglyphicsの中心人物Del The Funky Homosapienが1997年にカセットとCDのみで発表、流通した幻の3rdアルバム『Future Development』が初のアナログ2LP化。本作は、メジャーを離れたDelが 完全DIY精神で制作した過渡期の重要作。哲学的で内省的なラップ、煙たいローファイ・ビート、ジャジーなサンプル、そしてHieroglyphicsらしい複雑なライム構造が全編に息づく。派手さよりも思索と観察に重心を置いたスタイルで、90年代西海岸アンダーグラウンドの空気を濃厚にまとった一枚。当時の西海岸を席巻していたG-Funkの煌びやかさとは対照的に、ジャズ・サンプルのループと、Delの独特なフロウが淡々と、かつ緻密に絡み合う、知性とユーモアが同居するアルバム。30年近い時を経た、知性派ラッパーの最も純粋な思索録。

ディープ・リスニングのために開かれた、幻視的サウンド・メディテーション。Flying Lotus主宰の〈Brainfeeder〉からの作品も知られる奇才であり、”Modern New Age”(現代のニューエイジ)というヴィジョンを掲げ、2010年代以降のシーンを牽引した新時代のニューエイジャー、Matthewdavidによる2016年発表の名作『Trust the Guide and Glide』が、100部限定でカセット再発!
シンセサイザー、フルート、ハープ、水音、微分音的な響きが溶け合い、夢と覚醒の境界をたゆたうような音響空間を創出。Dublabでの即興演奏を起点に生まれた楽曲群は、電子音楽と精神的探求が自然に結びついた稀有な作品として結実。プロデューサーであり盟友でもあるCarlos Niñoが本作を「Heart Music」と表現したその言葉通り、ここには技巧や様式を超えた純粋な祈りのような響きがあり、癒し、変容、発見、そして無条件の愛。Matthewdavidが見つめる内なる宇宙は、静かに聴き手の意識にも作用していきます。ニューエイジ、アンビエント、スピリチュアル・ジャズ以降の感性、そしてLeaving Records周辺のコズミックな想像力が交差する一枚。アートワークはヴィジョナリーアートで著名な、Gilbert Williamsによるもの。

リスボンの名門クラブLux Fragilにて行われた、Lena WillikensとElena Colombiの4時間B2Bセットの一部を切り取ったライブ録音カセット『Live at Lux Fragil, 2026』。二人はともに、実験電子音楽、EBM、ポストパンク、インダストリアルを自在に横断するDJとして知られ、本作はその美学が交差する貴重なドキュメント。鋭いテクスチャーのトラックから、クラブの熱を上げるドライビングなビートまで、緊張と解放を繰り返す流れが非常にスリリングだ。B2Bならではの会話するような選曲が続き、音の切り替わりが鋭いのに、全体の流れは驚くほど滑らか。また、二人が得意とする余白の使い方が随所に現れ、静けさをあえて残すことで次のビートの強度が際立つ。その場にいた人だけが知る空気を物理メディアに封じ込めたような特別感がある一本。

2023年のセルフタイトル作が幅広い注目を集めたフィラデルフィアのSSW、Greg Mendezが、その勢いを受けてさらに深く内面へと潜るフルアルバム『Beauty Land』。本作は、窓のない自宅スタジオで一人きりでテープ録音されたもので、そのためか、音のすべてが手触りのあるローファイ質感で、まるで目の前でつぶやかれているような深みのある親密さが全編を貫いている。重いテーマを扱い、短い曲の中に、人生の痛みと救いの断片がそのまま封じ込めている。ローファイSSWの素朴さに、ドリームポップが淡くにじむ独特の質感で、トイピアノやキーボードのかすかな揺らぎ、かすかに震える歌声が、夢と現実の境界を歩くような静かな非現実感を生んでいる。短い楽曲が連なる、まるで短編集を読むような構成も魅力的。USインディの現在地を象徴する一枚として、ジャンルを越えて支持されそうな一枚。

ヒューストンのScrewed Up ClickやUGKに象徴されるスクリュー文化と、Coilに代表されるヨーロッパの実験音響を独自に接続してきたアーティスト、プロデューサーRabitが、自身のレーベルから発表したカセット作品『Stranger in a Strange Land』。ピッチを落としたような粘性のあるビートがゆっくりと沈み込み、ヒューストンの夜の湿度をそのまま閉じ込めたような質感が漂う。音数は極端に少なく、乾いたスネア、ざらついたノイズ、遠くで揺れるシンセの残響が、広い空間に点描のように配置されている。その空白が音楽の一部として機能し、静けさの中に緊張感が走る。「最小限の構成だが、大音量での再生を要求する作品」とも評される、音の密度と空白を極めて緻密かつ大胆に扱った意欲作。

Alexis Le-TanとJoakimによるデュオFull Circleが、過去10年間に手がけてきたリミックスをまとめた集大成的作品 『Full Circle Remixes』。Vox Populi!、Tapan、10LEC6、Die Orangenなど、ジャンルも地域も異なるアーティストの楽曲リミックスが10曲収録。彼らが一貫して追求してきた美学が強く反映されており、テンポは急がず、じわじわと熱を帯びていくスローモーション・トランス。丸みのあるキックと太いベースが、深夜のフロアをゆっくりと回転させるような重心の低いグルーヴを生み出す。〈Good Morning Tapes〉からのリリースなど、カルト的な人気を築いてきたFull Circleの活動の裏側を一望できる総括的なリミックス集。
