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ドイツの電子音楽デュオYOUによる1983年作『Time Code』。ベルリン・スクールの流れを汲みつつ、Tangerine DreamやKraftwerkに通じるアナログシンセの質感を前面に押し出した、80年代初期プログレッシヴ・エレクトロニックの隠れ名盤。シーケンサーが刻むミニマルな反復と、メロディックなシンセラインが交差し、当時の未来感をそのまま閉じ込めたような音像。MemorymoogやProphet-5などクラシックなアナログ機材を駆使し、冷たさと温度が同居する独特のテクスチャを形成。デジタル以前の太さと粗さが、現代の耳にはむしろ新鮮に響く。

1986年から現代まで実に長きにわたって活動している日本の双子ユニットであり、Gigi Masin、Jonny Nashと共にGaussian Curveでも活躍してきたYoung Marcoによって再発見された大人気アクトSatoshi & Makoto。彼らが6年ぶりに届ける待望の新作『Cafe Mirage』。本作は、架空のカフェをテーマにした静かでシネマティックな電子音楽作品で、ハードウェア・シンセを手弾きする親密な音楽性はそのままに、より広がりのある音像へと進化。柔らかなシンセの質感、控えめなジャズのニュアンスと穏やかなグルーブ、淡い光のようなアンビエントのレイヤーが重なり、まるで店内を歩き回るように場面が移り変わる。トラック集というよりいつでも訪れることのできる心安らぐ場所のような作品。

電子音楽の異端児Bruce Haackによる、68年から69年にかけて制作、1970年リリースのカルト名盤『The Electric Lucifer』。Moogシンセ、自作電子楽器、初期ヴォコーダーを駆使し、天国と地獄の戦いを描きつつ、愛の力が人類とルシファーさえも救うという奇妙で美しいテーマを掲げる、電子音楽とサイケデリックを融合させた唯一無二の世界観。鋭いMoogの電子音、手作り楽器のノイズ、ロック的ドラムが万華鏡のように混ざり合い、曲によってはナレーションやヴォコーダー声が入り乱れる 電気オペラ的世界観が展開。攻撃的な電子音と優しいメロディが同居するサウンドは、50年以上前の作品とは思えないほどの未来感を放っている。60年代末のシンセサイザー・ミュージック黄金期に生み落とされた重要作にして、今なお新鮮な異形のポップ・アルバム。
アウトサイダー風味抜群のボコーダーによるプロト・ハウス・サウンド。エレクトロニック・ミュージックの先駆者と言うべき偉人、Bruce Haack!未発表音源の数々を含む、ブルース・ハークの貴重な音源をコンパイル。本作は、彼のビジネスパートナー、Ted Pandelによって発見された213ものリール・テープに収録されていた未発表音源の編集盤で、1960年代から1970年代にかけて活躍した氏の素朴でポップなシンセ・サウンドやボコーダーなどによる時代を越えたミステリアスさを届ける奇妙で愛らしいトラックの数々を収録したユニークな一枚。電子サイケからモンド、ライブラリー・ミュージック辺りのキーワードに引っかかる方も必携ですよ!
Meditationsでもお馴染み、ギリシャ・アテネを拠点に活動する音楽家John Also Bennettによる、ゲームにおけるセーブルームという独特の空間をテーマに作られた『Music for Save Rooms 1 & 2』。サンフランシスコ北部の元軍用納屋に1週間滞在し、孤独な環境で延々とループを作り続けた体験が作曲の核になっており、フルートやシンセサイザーを中心とした無限にループしながら微細に変化し続ける音楽には、静止しているようで常に揺らぎ続ける独特の時間感覚が漂う。音の密度は薄いが、空間の奥行きは深く、収録曲であるゼルダの伝説の再構成曲やシンセサイザーによるArvo Pärtの「Spiegel im Spiegel」が示すように、ゲーム音楽と現代音楽の静謐なミニマリズムが自然に溶け合っている。孤独な静けさと柔らかな光が同居する心のセーブルームのような音空間。
