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ロンドンを拠点に活動する音楽家 Alexander Tucker によるプロジェクト Microcorps の、ポストインダストリアル・テクノとアコースティック音響の融合をテーマにしたアルバム『Clear Vortex Chamber』が〈Downwards〉から登場。モジュラーシンセとチェロ、ベースギターのサンプルを組み合わせた、電子と木質の境界を探る音響実験とも言うべき一枚。収録曲には、Justin K Broadrick(Godflesh / Jesu)、Regis、日本人音楽家Phew、Elvin Brandhi らが参加し、特に「FEDBCK」や「ZONA」では、インダストリアルなノイズと断片的なヴォーカルが交錯し、空間そのものが揺らぐような感覚を生み出している。Tuckerは、1年分の録音素材を破棄した後、〈Downwards〉の助言を受けて、より明瞭で密度の高い音響構造を目指して再構築し、その結果、巨大なキック、ソナークリック、パルスドローンが交錯する、タイトル通りのクリア・ヴォルテックス・チャンバー、精神的な音響空間が立ち上がった。2020年代の音響芸術らしい意欲作。
絵画、彫刻、音響、映像などを横断する作品で知られる世界的な現代芸術家、Anne Imhofによる、エクスペリメンタルな音響作品『WYWG』が大名門〈PAN〉より登場。本作は、彼女が2001〜03年に録音・撮影した個人的な映像や音声素材をもとに、それらを現在の視点から再編集し、アート作品として再提示したもので、従来の楽曲構造にとらわれない、アンビエント、エレクトロニック、インダストリアル、ポストクラブ的要素を融合し、緊張感と静寂が交錯するサウンドが特徴的。イムホフ自身に加え、イライザ・ダグラスやビリー・ブルシールなども制作に参加し、彼女のパフォーマンス作品で構築される、緊張感と無気力感が入り混じったような世界観を音で再現している。即興性と身体性を重視した録音で、Imhof自身の声やギターも用いられ、パフォーマンスや共同体的な空気と密接に結びついた音響表現となっている。48ページのアート・ブックレットが付属するなど、単なる音楽作品ではなく、彼女のアートを体現する総合的なインスタレーションというべき一作。



人気作リプレスです!昨今の実験音楽界隈を大いに賑わせる、全盛期真っ最中のイタリア人パーカッション奏者であり、Holy TongueやTomagaでの活動も大人気のValentina Magalettiと、リスボンの名門〈Príncipe〉クルーとしても知られるアフリカ系ポルトガル人アーティストNídia による共作が、パリ拠点の先鋭レーベル〈Latency〉より到着。それぞれの特異なビートメイキング・センスを融合させ、現代のダンス・ミュージックに新たな風を吹き込むエキサイティングな一枚!シンコペーションされたドラム・パターン、脈打つマリンバのライン、メロディックなインタールードを通して、多様でありながら普遍的な音楽言語を探求し、ポスト・クラブ/アフロ・エクスペリメンタルの地平を鮮やかに更新するような、近年でも稀有な傑作。名匠Kassian Troyerの手により〈Dubplates & Mastering〉にてマスタリング。


ウクライナのアーティストXTCLVRによる、アンビエント・トラップ×ダブ・テクノの靄がかったヴェイパー感が特徴的なデビュー・アルバム『Blessed Loops』が〈Sferic〉から到着。逃避的な美しさと幻覚的で不安定な音の風景は、キエフでの戦時下、宵闇の中の外出禁止令と砲撃音に囲まれながら制作されたという背景が、そのまま音の質感に刻み込まれているよう。全体を通して、言葉にならない声が霧のように漂い、ビートはくぐもり、テクスチャはぼやけ、感情はにじむ。逃避と現実、パーティの余韻と破壊の残響が同時に鳴っているような感覚で、BSW948、OB3TH、Indyら多彩なゲスト陣も幻影に拍車をかけている。幻想的な逃避と、残酷な現実の記録のはざまに存在する、退廃と美の入り混じる音のドキュメント。
uon / shy / Caveman LSDなど多様な活動でも知られるSpecial Guest DJがここ10年かけて築いてきた、実験的エレクトロニックの地下迷宮。その集大成のような一枚『Our Fantasy Complex』が自身のレーベル〈3XL〉から登場。Special Guest DJはベルリンを拠点にダブ・アンビエントや滲んだクラブ・テクスチャ、ローファイな夢想空間を行き来してきたが、本作は、その入り組んだ美学を凝縮したもので、怒り、官能、夢といった感情のもやを音に転写したような内容。シューゲイズやダブテクノ、D&Bのエッセンスが断片的に浮かびつつも、ジャンルには還元されないまま、呪術的な音響の絡まりとなっている。、Ben Bondy、mu tate、Arad Acidといった盟友たちの手も加わり、奥行きを増したサウンドは、内省とクラブの残骸を曖昧に溶かすような、よりダークで汚れたサイケデリア。
ラトビア/ロンドンを拠点にするmu tate、音響作家のNEXCYIA、そしてExzald S名義で活動するSarah Foulquiereらによる『Labège』が〈Good Morning Tapes〉からヴァイナルで登場。フランス・トゥールーズ郊外の街Labègeでレーベル主導のレジデンスを行い、南仏のゆったりとした時間の流れに身を委ねながら制作された。即興演奏や直感的なサンプリング、家庭的な空間での制作プロセスを通じて、儚くも穏やかな楽曲が綴られている。音響的には、フィールドレコーディングや抽象的なサウンド加工、断片的なリズムが組み合わさり、柔らかく触感的なサウンドスケープが展開。ふわりと漂うような空間の中に、深いサブベースとささやくような声が浮かび上がる。官能的とも言えるアンビエンスと90年代的な感覚が交差する、甘美でエモーショナルなサウンドトリップ。静謐ななかにも現代的なエッジがある一枚。

『Clube da Mariposa Mórbida』は、サンパウロ拠点のDIYアーティストAkira Umedaと、ウガンダはカンパラを拠点とするレーベル〈Nyege Nyege Tapes〉 周辺で活動するMetal Preyersがコラージュ的に作り上げた、異文化横断型のエレクトロ・アコースティック作品。南米のファンク、ノイズ、実験的なシンセ、民族楽器などが錯綜し、現実と仮想、過去と未来、デジタルとアナログの境界が曖昧に。収録曲では、倒錯したブラジル・ファンクや壊れた寺院の鐘、電子的なミュージックボックスなど、さまざまなサウンドが交錯する。二人のコラボは、Metal Preyers側が送った音の断片やコンセプトを、UmedaがGoogle翻訳を駆使しながら解釈し、自らの直感に基づいて印象を音にしていった。Umeda はそれを「粘土細工のような幽霊の成形作業」と語っている。従来の「第4世界音楽(Fourth World)」よりもさらに異次元的な夢幻世界。
今年待望のアナログ化が行われた、23年のアルバム『Suntub』が当店大ヒットを記録している、デンマークの作曲家、プロデューサー、歌手のML Buchによる、こちらも人気なデビュー・アルバム『Skinned』が、IngrateやBoli Group、Minais Bらも作品をリリースしている同国・コペンハーゲンのポスト・クラブ系先鋭レーベル〈Anyines〉より初アナログ化!前作からの壮大なギターワークによるキャッチーなメロディーを別次元へと引き上げた初のフル・アルバム。蛍光液体の如く耳に滑り込むような、固有のポップ・センスと、電子的アプローチ、その魅惑的なボーカルを巧みに溶け合わせつつ、デジタル時代の親密さの現実を表現した、先鋭的かつ至福なアート・ポップ/アンビエント・ポップ・アルバム。

リスボンのミュータント・クドゥロ〜バチーダ・シーンを凝縮したようなDJ Narcisoのソロ作『Diferenciado』が〈Príncipe〉から登場!NarcisoはRS Produções(Nuno Beats、DJ Lima、Farucoxらが所属)のメンバーとしても知られるが、ここではそこから一歩抜け出し、ドリルやデンボウの要素を独自に解体・再構築。ズレたポリリズムや奇妙なテクスチャを駆使して、「ずれた美しさ」の中毒性を引き出している。全体として、ただ奇をてらったのではない、きちんと踊れて、かつ脳内もかき乱されるような逸品で、現行のリスボン地下クラブサウンドの核心を突く、濃厚で刺激的な一作。

EmptysetやMIRA新伝統、Aho Ssan、Rắn Cạp Đuôi、Roly Porterといった世界各地の実に強力な面々による、電子音楽の先端を切り拓く画期的な作品群を送り出し、近年明らかにその最盛期をさらに更新している〈Subtext Recordings〉からの最新作。厚みを増すカイロのアンダーグラウンド・エレクトロニック・シーンの中心を担う存在であり、Lee Gamble主宰の〈UIQ〉やイタリアの尖鋭〈Haunter Records〉、〈Boomkat Editions〉などから傑出した作品を放ってきたエジプトのポスト・クラブ/デコンストラクテッド・クラブ名手、Zuliによる24年作のLP盤が遂に登場。コラボレーターとしてMICHAELBRAILEY、Coby Sey、そして、同じくエジプトの実験的アーティストであるAbdullah Miniawyといった豪華ゲストが参加。アンビエントやトリップホップ、インダストリアル・ミュージック、シンフォニックノイズの境界に火を付けるような、鮮やかであり魂を探求する力強さに満ちた多色反射的なエピックコラージュ作品。

Villaelvin名義でも凄まじい作品を残すウェールズ出身の即興詩人/ビートプロデューサーのElvin Brandhi (INSIN, Yeah You)と、カイロを拠点に活動する尖鋭的作家Nadah El Shazlyによるコラボレーション作品が、Aisha Devi率いるスイスの漆黒のポスト・クラブ聖地〈Danse Noire〉よりアナログ・リリース。醜く、ディストピア的で、死にゆく現実を妥協なく未来的に描写した大陸間デュオ・アルバム!地獄へと抵抗しながら、息を切らした必死の叫び、悲鳴、金切り声が不安定にミックスされ、ボーカルサンプルや環境音、アコースティックサウンドと衝突を繰り返す実験的なノイズ作品!※入荷時よりスリーブ角一箇所にダメージがございます。予めご了承くださいませ。

エクスペリメンタル、クラブ・ミュージックの両リスナー必聴の出来!Micha VoldersとMiet Warlopの2組によって、2023年にバングラデシュのダッカで始動したプロジェクトによるアルバム『ICCHĀ』が〈MUTROPIA〉より登場。7人の現地パフォーマーと共同で制作され、〈Dhaka Art Summit〉のオープニングで初公開された作品。EBMやデコンストラクテッド・クラブ、その他特異かつ様々な音楽を経由したような、アナーキーで鮮やかなサウンド、トラックに耳を奪われる作品でありつつ、フロア・バンガーなビートに満ちた珠玉の一枚。有機的な質感のワン・ショットや象徴的な声の意匠が生物のように蠢くトラッとして形になる様子が素晴らしいです。

マルチ・アーティストのJermay Michael GabrielとプロデューサーのGiovanni Isgròによるデュオ、Plethor Xが半植民地主義抵抗をテーマに作り上げたデビューEP、そして、自己決定の実験である『What U Mean』が伊先鋭レーベル〈OOH-sounds〉よりアナログ・リリース。ジャーメイが子供時代に触れていたハベシャ音楽の伝統に突き動かされたという本作では、エチオピアとエリトリアの一弦楽器マシンコのサンプルを多用。リズム構造の土台となったこれらのサウンドを軸に、シカゴのフットワークやゲットーハウス、南アフリカのGqom、タンザニアのシンゲリといった多様なダンス・ミュージックの要素を遊び心たっぷりに取り入れつつ、アフロ・フューチャリズムの明確なメッセージを示した、実験的クラブ・サウンドが展開されたものとなっています。Giuseppe Ielasiによるマスタリング仕様。限定100部。

Lee Gambleの〈UIQ〉や〈Numbers.〉からのリリース、〈FACT Magazine〉へのミックス寄稿でも知られる英国のレフトフィールドダンスシーンを代表する名アクト、Lanark Artefaxによる最新EP『Metallur EP』がUKアンダーグラウンド・シーン最大の特異点的レーベルとして当店お馴染みの〈AD 93〉よりアナログ・リリース。Amnesia ScannerやAisha Deviなどの作品を思わせる、磨き上げられた漆黒の意匠に身を包んだウェイトレス・ベース・ミュージックの秀逸盤に仕上がっていて、デコンストラクテッド・クラブ/ポスト・クラブ系の入門にもぴったりな一枚。数々のエクスペリメンタル名手を手掛けてきた名技師Matt Coltonによるマスタリング&カッティングとやはりお墨付きです。
UKレフトフィールド・シーンを牽引する鬼才ユニット、Demdike Stare主宰の要所〈DDS〉からは、正体不明のミステリアスなアーティストNZOによるホワイト・レーベル仕様の7インチ・デビューEP盤がアナログ・リリース!レフトフィールド・ブレイクスと言うべき異形の、だが厳しくはない遊戯的なビート、交錯する電子と声の渦。先鋭的なクラブ・サウンドにおけるバンガーなビートは必聴。手製ラベル仕様。限定300部。
〈Modern Love〉や自身らの〈DDS〉などからの傑出した作品群でも知られるマンチェスターの大人気ユニット、Demdike Stareによる最新7インチ・シングル盤が堂々リリース。彼らのトレードマークであるポスト・ダブ・テクノにして、ポスト・Muslimgauzeな暗黒の情景とエロティックな女性ヴォーカルの交錯。今作で切り開かれた新境地は必聴。Rashad Beckerによるマスタリング&カッティングと盤質も万全!限定500部。


もうすぐTammo Hesselinkも新作を出すようで個人的にも楽しみな英国・グラスゴー拠点の先鋭的ダンス・レーベル〈Redstone Press〉がレーベルのショーケース的コンピレーション・アルバム『Feeling Everything, All At Once』をアナログ・リリース。急降下するベースラインとミニマルで強靭なリズムが交差するDansaのポストクラブ尖鋭トラック”Bog”、ざらざらとした質感のヘヴィなキックと異次元空間で唸るベース音がポリリズミックに交差していくHenry Greenleafによる破格のインダストリアル・テクノ"Why Not"など、クラブ向けのトラックのコレクションとしてだけでなく、より受動的なリスニングに適したレフトフィールドな長編作品としても秀逸な楽曲群を全14曲収録。

