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Sun City Girlsのギタリストとして知られるSir Richard Bishopが、前作『Hillbilly Ragas』に続いて提示する最新作『Hillbilly Erotica』。 John Faheyが名付けたアメリカン・プリミティヴの系譜に連なりながら、より野性的で土着的なアメリカ音楽の影を探る、独自の再解釈を施した作品で、アコースティック・ギター1本、オーバーダブなし、ほぼ全曲が即興という極端なシンプルさの中で、文化の断片を縫い合わせるように音を紡いでいく。ヒルビリー、ブルースの素朴な語法を下敷きにしながら、ラーが、中東旋法、独自の野性的なフレーズが入り混じる。本人が語るように、夜の森から抜け出して朝の光が差すような瞬間がある一方で、その光の裏にはすぐ闇が潜んでいる。静けさと緊張が同居する、官能的なギターの風景。
Ramleh/JFKの中心人物として知られるAnthony Di Francoが、自身のソロ名義AXで追求してきたビートレス音響を現代的スケールで再構築『Vulcanalia』。ローマ神話をモチーフにしたタイトル群が示すように、作品全体が古代宗教の儀礼や神殿の空気を帯びた重厚な世界観で統一されている。ギターの歪んだ倍音、フィードバックを巨大な層として積み上げる建造物のようなドローンで、音の圧力そのものが形を持って迫ってくる。自然現象のようなスケールで動く音響は、静けさの瞬間でさえ次の噴出を準備する圧力を孕んでいる。初期AXのローファイな4トラック録音とは異なり、本作はスタジオの空間を最大限に使った巨大な音響彫刻。Rashad Beckerのマスタリングもその深度と重量をさらに際立たせるギター・ドローンの重要作。

シューゲイザーとアンビエントの境界を探るlovesliescrushingの名作デビュー作『Bloweyelashwish』。1992年、12弦ギターと4トラックのカセットMTR、ループペダル、そして深いリヴァーブだけで組み立てられた音響は、きらめきと靄が入り混じる夢のような質感をもっており、スコット・コルテスのギターのディストーションはノイズでありながらも優しく、メリッサ・アルピン・ドゥイムストラの声は言葉を超えた気配として響く。バンドサウンドとしてのビートを放棄し、甘美な轟音とウィスパーヴォイスだけが響き続ける耽美的な世界。今回のリイシューではリマスターに加え、当時の未発表曲5曲を追加。歌詞やポストカードも付属し、作品の内奥により深く沈み込める仕様となっている。轟音のまぶしさではなく、むしろ、目を閉じることを促すようなこの音楽は、単なるシューゲイザーの名盤にとどまらず、私的な夢の記録でありながら、今なお多くのリスナーを包み込む無限の広がりを感じさせる。

Mdou MoctarやLes Filles de Illighadadのバッキング・アーティストを務める、トゥアレグ・ギターの伝道師、ライターであり俳優のAhmoudou Madassaneが演奏を務めた、映画「Zerzura」のOST。静寂を伴うメランコリックなサウンドから、幻想的な怒りを体現したサイケデリックなディストーション・ギターまで、標準的なリズムの概念からかけ離れた、個性的なギターの即興演奏による、サハラ砂漠の神秘の瞑想とも言うべきサウンド。
カリフォルニアを拠点に、神秘主義・超心理学・チベット哲学に傾倒し、オカルト誌の広告を通じて自作の「Psychic Meditation Course」と共にレコードを通信販売していたMaster Wilburn Burchetteの1971年作『Occult Concert』。エフェクトを重ねたギターの持続音や倍音がゆっくりと揺らぎ、儀式めいた空気をまとったサウンドが展開。メロディよりも振動や意識の変容を重視した構造を持つ、アンビエント・ギターによる魔術ともいうべき精神世界と音楽が密接に結びついた世界観。ローファイで私的な質感で、個人的な儀式空間を覗き見るような魅力を持った、1970年代アメリカのオカルト文化とアンビエントの交差点に位置する作品。

アンビエント・ポストロックの名盤として語り継がれる、TristezaのギタリストJimmy LaValleのソロ・プロジェクトThe Album Leafの2001年作2ndアルバムが、〈Numero Group〉より25周年記念盤としてリマスター再発。オリジナルはTristezaのツアーの合間に制作され、繊細なギター、淡いピアノ、柔らかなシンセ、フィールドレコーディング、控えめなパーカッションが溶け合う、内省的な作品。ギターのアルペジオやピアノのモチーフがゆっくりと重なり、環境音がさりげなく混ざり込む、穏やかな高揚を感じさせるアンビエントとポストロックの間を漂うような質感。25周年盤はオリジナルの構成を忠実に再現しつつ、Adam Gnadeによる新規ライナーノーツと未公開写真を追加したアーカイヴ仕様。
Barn Owl の片翼としても知られるJon Porras による『Achlys』。本作は、アンビエントとドローン、実験的ギター・ミュージックの中間にあるような、崩壊や変容をテーマにした非常に音響的な作品で、核となるのはギター。指弾きで書かれたフレーズを録音したあと、モジュラー・シンセやエフェクト・チェーンに通して構造を崩し、曖昧にし、音を重ねていく。旋律は姿を残しつつも、霧や残像のように漂い、はっきりした曲というよりも堆積物や気象のようにたまっていく音のレイヤーになる。サブベースや加工されたノイズが地盤をつくり、その上を断片的なギターや持続音が浮遊する。旋律やリズムに縛られず、音が変化し崩れていく瞬間そのものを聴かせる音作りと、高い山の森で嵐に包まれたときの体験をヒントにしたという、自然体験を抽象化したような音響のパレットにより構成されるこのアルバムは、静かにして強い余韻を残す、一種の気象現象を目にするかのような印象を残す一枚。
RSD2026限定盤!Bunny Leeのクラシック・リディムを土台に、ギタリストCarl Harvey が自由奔放なリードを重ねた1978年のレア・インスト・ダブ名盤『Ecstasy Of Mankind』。リズム録音はDynamic SoundsとJoe Gibbs Studio、ギターのオーバーダブはKing Tubby’s。さらにPrince Jammyがダブ・ミックスを担当し、バックにはSly & Robbie、Jackie Mittoo、Chinna Smithら70年代ジャマイカの最強布陣が集結。ブルースの泣きとジャマイカの土臭さを併せ持つHarveyのギターは、メロディを歌うように響かせながら、ダブの空間に吸い込まれていく浮遊感がたまらない。ギターとダブの快楽性がこれほどまでに鮮やかに表現された作品は稀で、ルーツ・レゲエの精神性と、サイケデリックなギターの浮遊感が混ざりあい、夜のジャマイカの湿度と、宇宙的な広がりが同居する不思議な世界。深いエコーの底に沈み込みながらもどこか解放的な、極上のインスト・ダブ・サイケデリア。

Mdou MoctarやLes Filles de Illighadadのバッキング・アーティストを務める、トゥアレグ・ギターの伝道師、ライターであり俳優のAhmoudou Madassaneが演奏を務めた、映画「Zerzura」のDVD。静寂を伴うメランコリックなサウンドから、幻想的な怒りを体現したサイケデリックなディストーション・ギターまで、標準的なリズムの概念からかけ離れた、個性的なギターの即興演奏による、サハラ砂漠の神秘の瞑想とも言うべきサウンドと映像。

アンビエント・ポストロックの名盤として語り継がれる、TristezaのギタリストJimmy LaValleのソロ・プロジェクトThe Album Leafの2001年作2ndアルバムが、〈Numero Group〉より25周年記念盤としてリマスター再発。オリジナルはTristezaのツアーの合間に制作され、繊細なギター、淡いピアノ、柔らかなシンセ、フィールドレコーディング、控えめなパーカッションが溶け合う、内省的な作品。ギターのアルペジオやピアノのモチーフがゆっくりと重なり、環境音がさりげなく混ざり込む、穏やかな高揚を感じさせるアンビエントとポストロックの間を漂うような質感。25周年盤はオリジナルの構成を忠実に再現しつつ、Adam Gnadeによる新規ライナーノーツと未公開写真を追加したアーカイヴ仕様。

ノスタルジックな深夜の音楽。20世紀前半のギリシャで流行した大衆歌謡であるレベティコの偉人であるGiorgos Katsarosによるスティール弦ギターとヴォーカルによる、時代を超えた魅力を放つ素晴らしい演奏をコンパイルした画期的編集盤が〈Mississippi Records〉と〈Olvido Records〉の共同でリリース。Katsarosの現存する初期の64の録音からリマスタリングされた貴重な10曲をセレクトした一枚。催眠的なメロディーが、親指で弾くベースラインの反復に支えられ、その深く悲しげな声が響き渡っています。
Brian EnoやRobert Fripp、またSonic YouthやMy Bloody Valentineからインスパイアされた音響ドローン・ギター・サウンド!90年代には「最も才能豊かで革新的なギタリストの一人」と称され、そして、Sonic Youthのメンバーたちにも愛されたポルトガルの一大音響作家、Rafael Toralが英国Touchより2001年にリリースしていたフィードバック・ドローンの超傑作。
シューゲイザーとアンビエントの境界を探るlovesliescrushingの名作デビュー作『Bloweyelashwish』。1992年、12弦ギターと4トラックのカセットMTR、ループペダル、そして深いリヴァーブだけで組み立てられた音響は、きらめきと靄が入り混じる夢のような質感をもっており、スコット・コルテスのギターのディストーションはノイズでありながらも優しく、メリッサ・アルピン・ドゥイムストラの声は言葉を超えた気配として響く。バンドサウンドとしてのビートを放棄し、甘美な轟音とウィスパーヴォイスだけが響き続ける耽美的な世界。今回のリイシューではリマスターに加え、当時の未発表曲5曲を追加。歌詞やポストカードも付属し、作品の内奥により深く沈み込める仕様となっている。轟音のまぶしさではなく、むしろ、目を閉じることを促すようなこの音楽は、単なるシューゲイザーの名盤にとどまらず、私的な夢の記録でありながら、今なお多くのリスナーを包み込む無限の広がりを感じさせる。

アフリカ各地のレアグルーヴ/アフロ・ポップの発掘に全力を費やしてきた名ブログ&レーベル〈Awesome Tapes From Africa〉 より新物件。マリ共和国南部マスル地方の伝説的シンガーであり、その孤高の乾いた歌声が印象的なNahawa Doumbiaによる82年の作品『Vol.2』がカセット・リイシュー!〈ATFA〉レーベルの始動を告げる狼煙となった記念碑的作品、『Vol. 3』の再発を以前手掛けていた、象徴的なマリ出身の歌手による広く愛された一枚!1982年にLPとして発表されるも、これまでマリ国外では入手できなかった、マリ共和国において最も永続的な声の一つであるドゥンビアの初期の努力を示す、親密でありながら力強い記録。声とアコースティックギターというシンプルな楽器編成でありつつ、非常に大きな音響的インパクトを秘めた作品。40年にも渡る世界的な称賛を経て、ドゥンビアは、今でもそのパートナーでありギタリストのN’gou Bagayokoと共に世界ツアーを行い、彼女の痛切に訴えるような歌声で人々を魅了しています。

Formant Soundsystemの共同創設者としてロンドン、パリの前衛クラブシーンを支えてきたGrady Steeleによる、夕暮れの窓越しの光が照らし出す、言葉にならない心の揺れをテーマにした、ビートレスのアンビエント作品『Nausea』。I〜VIIの7つの楽章で構成され、霞んだパッド、遠くで鳴るギター、微細なノイズ、そしてフィールド録音が静かに重なり合う。明確なビートは存在しないのに、音の呼吸や揺れがリズムに似た役割を果たし、身体ではなく心の速度で進むようなニュアンスがある。序盤の静謐なアンビエンスから、終盤に向かってノイズが増し、内省からざわめき、そして小さなカタルシスへと向かう構成は、短編映画のような物語性を帯びている。美学を感じる、親密で感傷的な一本

オランダを拠点とするJonny Nashの、前作『Point Of Entry』に続くソロ・アルバム『Once Was Ours Forever』が登場。フォーク、アンビエント・ジャズ、ドリームポップの間をたゆたうように結びつけた、内省的で幻想的な音世界を描いている。前作が昼下がりの穏やかな空気感をまとっていたのに対し、今作は夕暮れ時の淡い光のなかにゆっくりと溶け込んでいくような趣きで、指弾きギターを軸に、ぼんやりとしたメロディや残響の深い歌声、繊細なサウンドレイヤーが重なり合い、儚くも心に残る時間を紡ぎ出している。コズミックなアメリカーナ「Bright Belief」や、シューゲイズ的なギターが重なる「The Way Things Looked」など、多彩な楽曲が収録されており、カナダのサックス奏者Joseph Shabasonや、Maya OngakuのShoei Ikeda、元Kikagaku MoyoのTomo Katsurada、そしてSatomimagaeらがゲスト参加し、各曲に独自の彩りを添えている。牧歌的な風景と深い感情、静けさと重みを同時に感じさせるNashらしいバランス感覚が光る作品。聴く人それぞれが自由に余白を見つけられる、あたたかく控えめな作品。

ポルトガルの電子音楽家 Rafael Toral 待望のニューアルバム『Traveling Light』が〈Drag City〉より登場。前作『Spectral Evolution』でのギターへ回帰しつつ自作エレクトロニクスと融合する試みをさらに推し進めており、本作ではなんとジャズ・スタンダードを題材としている。「Easy Living」「Body and Soul」「My Funny Valentine」「God Bless the Child」など、20世紀前半を代表する6曲が、ギター、ベース、自作エレクトロニクス、改造テルミンを組み合わせた仮想オーケストラのようなサウンドによって、楽曲が幽玄なドローンや電子的な鳥のさえずりのような音へと姿を変えており、旋律や和声によって原曲の影が残りながらも、オルガンのような持続音やテルミンのうねりに包まれて、どこか宗教音楽や初期電子音楽を思わせる響きとなっている。さらに各曲には管楽器奏者が一人ずつゲスト参加し、クラリネット、テナーサックス、フリューゲルホルン、フルートが登場。伝統的なジャズの親しみやすさと、Toralならではの抽象的な音響が重なり合う傑作。

Dennis Taylorによる、1983年に300枚のみ自主制作された幻のソロギター作品『Dayspring』。60〜70年代にガレージロックやジャズ、フォーク・フュージョンで活動していたTaylorが、Leo Kottkeとの出会いをきっかけに10年以上かけて書き溜めた楽曲を、全曲ワンテイクで録音したというストイックな一枚。John Fahey、Leo Kottkeの流れを汲みつつも、より柔らかく、朝の光のように澄んだ音像が印象的で、フィンガーピッキングの美しさと間の感覚が際立ち、それぞれの楽曲は風景を見るようにイメージが広がる。フォークロアな実験精神とニューエイジ的な透明感が自然に溶け合い、アメリカン・プリミティヴとアンビエントの境界を漂う独自の世界観を形成している。
日野浩志郎と中川裕貴によるユニットKAKUHANとのコラボでも知られるポーランドの即興打楽器奏者Adam Golebiewskiと、メルボルン実験音楽シーンの重鎮Dave Brownによるデュオ作。ドラムとギターというシンプルな編成ながら、ノイズ、アンビエント、フリー・インプロヴィゼーションが溶け合う抽象的なサウンド。Golebiewskiのパーカッションは打撃よりも質感を重視し、擦過音や金属的なノイズが空間をざらつかせる一方でBrownのバリトン、テナーギターは旋律を避け、低い唸りや倍音の揺らぎを生み出す。ふたりの音が絡み合うことで、存在しない映画のサウンドトラックのような暗い光の世界が立ち上がる。
ポーランドのギタリスト、Raphael Rogińskiと、セルビアの伝統歌唱を軸に活動するRužičnjak Tajniが共作した、バルカンの深い伝承を思わせる響きと現代音響が交わるエクスペリメンタル・フォーク作品。強靭でストレートなバルカン歌唱が中心にあり、その倍音や揺れが音楽全体の芯をつくる。対照的にロギンスキのギターは、旋律を前に出すのではなく、ドローンや打弦、鋭い単音を組み合わせながら、独自の質感で周囲を支えている。民謡の旋律や宗教歌、オスマン帝国由来の古い歌など、バルカン半島の多層的な音文化を素材にしながら、和声や音の配置は現代音楽的で、伝統と実験が自然に呼応する独自の音響世界を形成。リズムは明確に刻まれず、呼吸や語りの間合いが時間の流れをつくり、聴き手を歌の奥にある風景へと引き込む。

〈Melody As Truth〉主宰として、そしてGaussian Curveのメンバーとしてアンビエント、バレアリックの現在を形作ってきたJonny Nashが、より内省的な領域へと踏み込んだアルバム『Point of Entry』。柔らかなギターのアルペジオと淡いシンセのレイヤーが静かに呼吸し、音が空気そのもののように空間へ溶けていく。バレアリックの開放感と、室内楽のような親密さが同時に漂う。Joseph Shabason のサックスが差し込む瞬間も美しく、アンビエントの透明感に人肌の温度が重なる。Nashの音楽が持つ静けさの深さを純度高く感じられる、静かに内側へ向かうアンビエント・フォーク。
チリのギタリストCristián Alvearの依頼により作曲された、Catherine Lamb初のギター作品『Point/Wave』。環境音をマイクロトーナルな和音へ変換するSecondary Rainbow Synthesizerを用いた電子ドローンと、極めて静謐で均質なタッチのギターによる点描的フレーズが、長い時間軸の中でゆっくりと干渉し合う構造を持ち、音が前へ進むというより空間に滞留し続けるような独特の静けさと緊張感を保ち、倍音同士の微細な揺らぎが耳の奥で共鳴しながら、聴き手そのものを調律するかのように、知覚を変容させる。その音像は、幾何学的でありながらどこか有機的な、静かで強度のある現代音楽作品。
南マダガスカルのツァピキ音楽を牽引してきたギタリストDamilyが、自身のルーツと現在地を最も純度の高い形で提示したアルバム『Fanjiry』。わずか3日間で一気に録音され、ギター1本と Damily自身の声だけで構成された極めてミニマルな作品で、これまでバンドの歌い手に任せていたヴォーカルを初めて自ら務めたことで、音楽が持つ個人的な温度や土地の記憶がより直接的に伝わってくる。反復するギターのフレーズは、リズム、ベース、メロディを同時に担うツァピキ特有の多層性をそのまま体現し、ギター一本であるにも関わらず、素朴なようで聴き込むほどに新たな発見のある深みのあるもの。朴訥として深みのある歌声と絡み合いながら、乾いた大地の空気や儀式の残響を思わせる独特のグルーヴを生み出している。派手な装飾を排したことで、Damilyの音楽の核にある躍動と精神性がむき出しになり、静けさの中に強い生命力が宿る。ツァピキの伝統を未来へとつなぐ、濃密で親密な作品。

南マダガスカルのツァピキ音楽を牽引してきたギタリストDamilyが、自身のルーツと現在地を最も純度の高い形で提示したアルバム『Fanjiry』。わずか3日間で一気に録音され、ギター1本と Damily自身の声だけで構成された極めてミニマルな作品で、これまでバンドの歌い手に任せていたヴォーカルを初めて自ら務めたことで、音楽が持つ個人的な温度や土地の記憶がより直接的に伝わってくる。反復するギターのフレーズは、リズム、ベース、メロディを同時に担うツァピキ特有の多層性をそのまま体現し、ギター一本であるにも関わらず、素朴なようで聴き込むほどに新たな発見のある深みのあるもの。朴訥として深みのある歌声と絡み合いながら、乾いた大地の空気や儀式の残響を思わせる独特のグルーヴを生み出している。派手な装飾を排したことで、Damilyの音楽の核にある躍動と精神性がむき出しになり、静けさの中に強い生命力が宿る。ツァピキの伝統を未来へとつなぐ、濃密で親密な作品。
