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米国西海岸を拠点に活動する「現代のアウトサイダー・ジャズ」の旗手、サム・ゲンデルとの共作となった『Sam Gendel /Shin Sasakubo』。
Side Aをサム・ゲンデル、Side Bを笹久保伸が演奏し、各面最終曲を共作としたコンセプチュアルな作品で、オリジナル盤は2021年、埼玉県秩父市にある喫茶店"喫茶カルネ"より極僅かリリースされたもの。
今回、喫茶カルネの協力を受け、ゴールドを基調としたミックスカラーヴァイナル仕様に変更、人気イラストレーターますこえり氏によるアートワークをリモデルし、新たな形でリリースします。
Side A
1. Sam Gendel - In The Dunes
2. Sam Gendel - Reeds
3. Sam Gendel - Pensive Frog
4. Sam Gendel - Pipe
5. Sam Gendel_&_Shin Sasakubo - Copyexercise
Side B
1. Shin Sasakubo - Carnet
2. Shin Sasakubo - Opus
3. Shin Sasakubo - Fontainebleau
4. Shin Sasakubo - Human Looper
5. Shin Sasakubo_&_Sam Gendel - Nadja
2018年にその活動を開始、NashpaintsやFrog Of Earth、Odd Nedといった大変カルト的な面々による良好なリリースで徐々に地下人気を高めつつある大変謎めいたアイルランドのレーベルであり、特に22年度始めに発表したDublinのセルフ・タイトルが、Dubient以降の実験的な電子音楽とJon HassellのFourth Worldの異形の邂逅と言うべき大傑作だった〈wherethetimegoes〉からの新着物件!リスボン拠点のアイルランド人プロデューサー、ソングライターであるSean Beingによる同レーベルからの2作目にして、実に3年ぶりのリリースとなった2022年度CDアルバム『FAUX WINDOW』が到着。How To Dress WellやOlan Monk、pigbabyのような、曖昧かつ微妙にオートチューン加工されたボーカル・ハーモニーに、フォーキーなストリングスと崩壊したグルーヴを織り込んだ、柔らかくにじんだスイート的傑作!〈Wah Wah Wino〉や〈No 'Label'〉〈World Music〉などやたらトンがったレーベルの作品も手掛けるカルト的エンジニア、The Bastardによるマスタリング&4面デジパック仕様。〈Posh Isolation〉も必聴!
これまた凄いものが、絶対にお見逃しなく。佐渡をルーツに活動を展開する打楽器集団”鼓童”の運営するレーベルである〈0on ぜろおん-0音〉からは、”鼓童”の一員である打楽器奏者の中込健太と住吉佑太からなるユニット、ケンタタクユウタタクの自作打楽器によるパフォーマンスを収めた3rdアルバムとなるカセット作品が登場。
楽器を使わない多人数アンサンブル作品や、物音系コラージュ作品、即興演奏など全4曲を収録。ケンタタクユウタタクの、また新しいサウンドが詰め込まれた意欲作。
200本限定。ダウンロードコードあり。
全編完全自宅録音による、篠笛だけを使った、住吉佑太初のソロ作品。
ドローン、物音、ミニマル、様々な音楽形態を形取りながら、篠笛の音表現の可能性を追求した1枚。全6曲収録。
本作はアールヴィヴァン(西武)運営のスペースで高橋悠治が企画したイベント「池袋電脳カフェ」のために制作された幻のカセットの復刻である。これは高橋悠治と藤枝守のマック(*1)を用いたコンピューターシステムの共演で、柴田南雄宅で櫻井卓の手により録音。揺るぎない信念のもと、高橋がマックでコントロールしたサンプリング音源と、藤枝がMAXで操作した音響システムとFM音源(*2)が交錯する意味不明の音塊が収録された。当時のパンフレットに高橋が寄せた言葉 「日常のゆらめく時間のなかに暗い電脳空間の半透明な座標軸が陽炎のように見え隠れする」 は、彼がサイバーオカルト的なものに憑かれていた可能性を示し、また、当時の雑誌取材で 「来なかった人も重要。自分はそこにいなかったけれども、何かが起こっていたらしい、と後で知る。そのイメージから全然別のものが出てくる可能性がある」 と語ったのは予言だったのか。理性が基根をなす現代音楽と怪しい電脳オカルト的世界が交錯したのはごく短い期間であり、本作はその<残してはいけなかったかもしれないもの>を記録した裏歴史資料である。 解説は日本の電子音楽の泰斗、川崎弘二。
=注釈=
*1:植物学者の銅金裕司によると当時のマックは「オカルト的な感じ」が漂い、価格は「軽トラ2台分」だった (『エコロジカル・プラントロン』解説より)。
*2:後に『プラントロン』インスタレーションでも使用されるシステム。
西武が情報発信企業としての黄金期だった80s-90s初頭、西武美術館と付属のショップ《アールヴィヴァン》は、現代美術と実験音楽の交差点だった。見たこともないディスクが並び、高橋悠治は水牛楽団を、藤枝守はアメリカ純正調楽派のミニコミ『1/1』を、そしてサウンドアート黎明期の作家たちは変な音のカセットを販売していた。エム・レコードが放つ『「電脳カフェ」のための音楽』はそんなオカルト的空間で行われたオカルト的な音楽。メロディどころか始まりも終わりもない抽象的な電子音は、今ならググれば簡単に調べられる。しかし多少敏感な人たちですらそういう拠り所がない当時は、より興味深く、かつウサン臭い眼差しで接していたはずである。その「見てはならぬものを見た」トラウマが、30年経って新しい何かを生み出しているとすれば、仕掛け人たちにとっては望外の喜びだろう。 (井部治/OMEGA POINT)