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ピアノ、チェロ、エレキギターというシンプルな編成から、驚くほど豊かな質感を引き出す、〈Posh Isolation〉作品も知られるデンマークのアーティスト、Cæcilie Trier (CTM)、Jakob Littauer、Mads Kristian Frøslevという面々による"TLF Trio"による2ndフルアルバム『Desire』。音数は決して多くないのに、ひとつひとつの音が空間に深く響き、静寂そのものが音楽の一部として機能しているようで、まるで室内楽を現代の視点で再構築したような、新しい視点で組み立て直したような、クラシックともジャズとも異なる独自の音像。サンプリングや反復のモチーフも織り込まれ、ミニマル・ミュージックの構造とレフトフィールドな電子音楽の感覚が自然に溶け合う。即興から生まれた柔らかさと、緻密に設計された構築性が同時に存在し、音楽が呼吸するようにゆっくりと展開していく。様々な音楽の影響がさりげなく交差しながらも、どれにも回収されない独自のバランスを保っている点が魅力的で、静けさの中に潜む微細な動きや、音の余白が生むドラマをじっくり味わえる一枚。

3月中旬再入荷。Fleet Foxes、Tom Zé、David Byrne、Gal Costa、Devendra Banhart、坂本慎太郎といった面々とのコラボレーションも知られる、グラミー賞にノミネートされたブラジル・サンパウロのシンガーソングライター/マルチ奏者で、ロック・トリオ”O Terno”の一員ことTim Bernardes。2017年にリリースされた初のソロ・アルバム『Recomeçar』がアナログ再発。ベルナルデスの卓越したヴォーカル・ワークと、魔法のようなチェンバー・ポップ・サウンドが堪能できる一生モノの名作!
フェルドマン晩年の美学が極限まで研ぎ澄まされた室内楽作品『Piano, Violin, Viola, Cello』。ピアノと弦楽三重奏というシンプルな編成にもかかわらず、音はほとんど動かず、語らず、ただ静かに置かれる。わずかな配置の変化が、時間の流れをゆっくりと歪め、聴くという行為そのものに意識が沈んでいく。音と音のあいだには大きな余白があり、その静寂こそが作品の中心で、反復するようで決して同じには戻らないパターンが、微細な揺らぎを伴って現れては消え、抽象絵画のような静かな迷宮を形づくる。長大でありながら、密度は限りなく薄い。しかしその薄さの中に、フェルドマンが追い求めた無時間性が息づいているよう。何も起きないようでいて、深く吸い込まれる、フェルドマン後期の核心。

3月6日発売。ロサンゼルスを拠点に活動する作曲家、ギタリストのGregory Uhlmannが〈International Anthem〉から発表する、静けさと温度を併せ持つ独自の音世界を描き出したソロ作品『Extra Stars』。これまでのUhlmannは、Small Dayの静謐なアンビエント、Meg DuffyとのDoubles、Dustin WongとのWater Map、Josh JohnsonやSam Wilkesとのチェンバー・ジャズ、SML名義でのトランス・ジャズなど、多彩なプロジェクトを横断してきたが、本作はその探求がひとつの形として結晶した作品と言える。全14曲から成るサウンドは、ギター、シンセ、室内楽的アンサンブル、柔らかな電子処理が重なり合い、星座のように点在するメロディが静かに輝く。打楽器はほとんど使われないのにリズムが前に出ており、また、電子的処理を多用しながらもハーモニーの深さがある。確かな構造性、複雑な音響処理とともに、アンビエントの広がり、ジャズの自由さ、フォークの素朴さ、室内楽の繊細さがひとつの流れとして結びつき、Uhlmannの音楽的アイデンティティを深く美しく映し出している。静かでありながら豊かな色彩を持つ、現代的なアンビエント・ジャズの重要作。

3月6日発売。ロサンゼルスを拠点に活動する作曲家、ギタリストのGregory Uhlmannが〈International Anthem〉から発表する、静けさと温度を併せ持つ独自の音世界を描き出したソロ作品『Extra Stars』。これまでのUhlmannは、Small Dayの静謐なアンビエント、Meg DuffyとのDoubles、Dustin WongとのWater Map、Josh JohnsonやSam Wilkesとのチェンバー・ジャズ、SML名義でのトランス・ジャズなど、多彩なプロジェクトを横断してきたが、本作はその探求がひとつの形として結晶した作品と言える。全14曲から成るサウンドは、ギター、シンセ、室内楽的アンサンブル、柔らかな電子処理が重なり合い、星座のように点在するメロディが静かに輝く。打楽器はほとんど使われないのにリズムが前に出ており、また、電子的処理を多用しながらもハーモニーの深さがある。確かな構造性、複雑な音響処理とともに、アンビエントの広がり、ジャズの自由さ、フォークの素朴さ、室内楽の繊細さがひとつの流れとして結びつき、Uhlmannの音楽的アイデンティティを深く美しく映し出している。静かでありながら豊かな色彩を持つ、現代的なアンビエント・ジャズの重要作。

3月20日発売。シカゴを拠点に活動するWhitney Johnson、Lia Kohl、Macie Stewartの三人が、長年の即興実践と深い聴取の感覚をもとに紡ぎ上げた『BODY SOUND』。音が生まれる瞬間の親密さと、空間が持つ固有の気配をそのまま封じ込めたような作品で、ヴィオラ、チェロ、ヴァイオリン、声は、ただ重なるのではなく、録音された場所の空気、光、温度と結びつきながら、ゆっくりと形を変えていく。スタジオ、教会、フェス会場のパブ。異なる空間で生まれた即興の断片は、アナログテープの物理的な操作によって再び編み直され、時間の層が折り重なるような独特の深みを帯びる。テープは単に質感を与えるためではなく、もうひとつの即興として機能し、音の流れを揺らし、歪め、再配置していく。そこに立ち上がるのは、フォークの素朴さ、ドローンの持続、実験音楽の自由さが自然に溶け合った、どこかの土地に伝わる古い音楽のような気配。深く、静かで、時にざらつき、時に広がり、言葉よりも先に、音と空間と身体がひとつの呼吸で動くような、内側にある静かな場所へとそっと触れる作品になっている。

3月20日発売。シカゴを拠点に活動するWhitney Johnson、Lia Kohl、Macie Stewartの三人が、長年の即興実践と深い聴取の感覚をもとに紡ぎ上げた『BODY SOUND』。音が生まれる瞬間の親密さと、空間が持つ固有の気配をそのまま封じ込めたような作品で、ヴィオラ、チェロ、ヴァイオリン、声は、ただ重なるのではなく、録音された場所の空気、光、温度と結びつきながら、ゆっくりと形を変えていく。スタジオ、教会、フェス会場のパブ。異なる空間で生まれた即興の断片は、アナログテープの物理的な操作によって再び編み直され、時間の層が折り重なるような独特の深みを帯びる。テープは単に質感を与えるためではなく、もうひとつの即興として機能し、音の流れを揺らし、歪め、再配置していく。そこに立ち上がるのは、フォークの素朴さ、ドローンの持続、実験音楽の自由さが自然に溶け合った、どこかの土地に伝わる古い音楽のような気配。深く、静かで、時にざらつき、時に広がり、言葉よりも先に、音と空間と身体がひとつの呼吸で動くような、内側にある静かな場所へとそっと触れる作品になっている。
アメリカ出身の現代音楽作曲家 Catherine Lamb が長年探求してきた音の関係性そのものを聴くという美学が、極めて純粋な形で展開される作品『Curva Triangulus』。長く持続する音、わずかにずれた音程、倍音が重なり合うことで生まれる微細な揺らぎ。そのどれもが、旋律やリズムといった音楽的な動きを超えて、音と音のあいだに生まれる現象そのものを聴かせる。音はほとんど変化しないように見えて、実際には空気の密度が少しずつ変わり、うなりや干渉が静かに脈動する。その変化はあまりに緩やかで、気づいたときにはまったく別の場所に立っているような感覚がある。静けさの中に複雑な色彩が潜み、音が空気と溶け合いながら形を変えていく、Lamb の音楽が持つ透明な濃密さが、極限まで研ぎ澄まされた一枚。

ロサンゼルスの作曲家、マルチ奏者 Brendan Eder が率いるアンサンブルによる、室内楽、アンビエント、ミニマル、フォークロアが柔らかく溶け合った作品。タイトルの通り、ニューイングランドの海辺にある小さなコテージを思わせる、静けさ、温かさ、ノスタルジーがアルバム全体を包んでいる。フルート、クラリネット、バスーンなど木管中心の室内楽編成、素朴で温かいフォークロア的な旋律による懐かしさに、現代的なミニマル感覚がふんわりと漂う。

80年代から活動を続けるスウェーデン・マルメ出身の音楽家、Petter Herbertsson。Testbild!のメンバーとして、また英国ポップ・マエストロLouis Philippeとのコラボレーション・グループThe Ocean Tangoへの参加でも知られる彼のソロ・プロジェクト、Sternpost。インディ・ファンからエクスペリメンタル好きまで幅広いコアなリスナーから高く評価された2023年作『Ulrika』に続く4作目のフル・アルバム『unworld.afterpop』が届きました。
Prefab Sproutのパディ・マクアルーン『I Trawl the Megahertz』、そしてブラジルの作家クラリッセ・リスペクトルの哲学的小説『A Breath of Life』からの影響を反映させたという本作。Brian Wilsonのバロック・ポップやCanterburyシーン、モダン・ジャズなどに傾倒する彼の音楽性が、前作以上に洗練された形で結実しています。Van Dyke Parksなどの60~70年代のアメリカーナ・ポップスやHigh Llamasなどのシネマティックな佇まいを感じさせ、ピアノやメロトロン、ブラシ・ドラム、シロフォン、シンセなどのインストゥルメンタルとハーモナイズされたヴォーカルが丁寧に重ねられた音像は、とてもホームレコーディング作品とは思えない完成度。
近年、ヨーテボリを中心に盛り上がりを見せているLo-Fi/DIYシーンで知られるスウェーデンですが、本作はそうした動きとは一線を画し、より温かく成熟したポップ・オーケストラ作品として響いています。
Kory Reeder が長年探求してきた、静けさ、持続、微細な変化という美学を、Apartment House が繊細に実現した『Homestead』。音はほとんど動かず、語らず、ただ空間にそっと置かれる。そのわずかな揺らぎや間合いが、広い土地に吹く風のようにゆっくりと変化し、静けさそのものが風景のように立ち上がる。Reeder の抑制された書法と Apartment House の透明な演奏が重なり、フェルドマン以降の静謐なミニマリズムと、アメリカの土地が持つ開放感が同時に息づいている。音と空気が溶け合い、静けさの中に豊かな色彩が立ち上がる一枚。

Anthony Moore が長いキャリアの果てにたどり着いた静かで深い到達点『On Beacon Hill』。Slapp Happy や Henry Cow で培ったアートロックの感性を土台にしつつ、室内楽的なフォーク、アヴァンギャルドの緊張感、そして英国的な叙情がひとつの風景として立ち上がる。Keith Rodway 、Amanda Thompsonとのアンサンブルは密やかかつ親密で、弦楽器やピアノ、声の響きが霧の中からゆっくりと姿を現す。その音像はどこか儀式めいていて、静寂と響きのあいだに漂う緊張感が、アルバム全体を独特の気配で包み込む。老練なミュージシャンならではの間の美しさが際立つ、深い思索に満ちた作品。
フォーク・ロックやバロック・ポップの流れにありながら、どこか異質な影を落とすビル・フェイの1970年デビュー作『Bill Fay』。バックにはMike Gibbsのアレンジによる重厚なストリングスやブラスが配され、時にビートルズ『サージェント・ペパーズ』以降のオーケストラルなポップを思わせる華やかさもあるが、ただ、その華やかさの下には、社会の不安や人間存在の儚さを見つめるような詩情が漂い、明るさと陰りがせめぎ合っている。当時、商業的にはほとんど注目されなかったが、、改めて聴くと、ニック・ドレイクやスキュウド・シーン周辺とも通じつつ、もっとダークで孤高な響きを持っている。時代の陽の当たらない片隅で紡がれた、ビル・フェイの静かな祈りと影の交錯する一枚。

ポルティコ・カルテットの創設メンバーであるベーシスト兼作曲家のミロ・フィッツパトリックによるチェンバー・ジャズ・プロジェクト、Vega Trailsのニュー・アルバム『Sierra Tracks』がマンチェスターの現代ジャズ大名門〈Gondwana Records〉よりリリース!サックス奏者、ジョーダン・スマートをフィーチャーしており、マドリードの北西に位置するシエラ・デ・グアダラマ山脈の麓にインスピレーションを得たという言葉通り、今作には映画のような雰囲気が漂っており、山々の広々とした空間を想起させられたり、また時にはチェロ、オーケストラの弦楽器、ヴィブラフォン、ピアノによる精巧なアレンジが自然の素晴らしさに似た印象を感じさせるなど映像的で物語性ある内容。

ベルギーのデュオLinusが、ノルウェーのハルダンゲル・フィドル奏者Nils Økland、ユーフォニウム奏者Niels Van Heertum、パーカッショニストIngar Zachと共に制作した、フォーク、ジャズ、ミニマリズム、室内楽、即興演奏が繊細に融合し、幽玄で詩的な音響世界を描くアルバム『light as never』。バンジョー、フィドル、ユーフォニウム、エレクトロニクスなど多彩な楽器が絡み合い、室内楽的な繊細さと音の間(ま)や沈黙を活かした音楽性が深い余韻を残す。アルバム全体を通して、軽やかさと深みが共存する独特のバランスが保たれており、即興的でありながら構築的、抽象的でありながら感情的な、稀有な音楽体験となっている。静かに語りかけるような音楽が、聴く者の内面に深く響く一枚。

版元完売。室内楽的アプローチを中心に、静謐で詩的な作品をリリースするベルギーを拠点とするインディペンデント・レーベル〈Aspen Edities〉より、スウェーデンの4人の音楽家による即興的なアンサンブル作品『words were coming out our ears』が登場。ピアニストGraden、ドラマーAgnas、そして2人のダブルベース奏者LandinとBromanderというユニークな編成で、ピアノとドラムが繊細なリズムと空間を描き、2本のベースが低音域で豊かな対話を繰り広げる。即興演奏でありながら、構築的な美しさと自由な歌心が共存しており、ジャズ、室内楽、アンビエントの要素が溶け合って音の間や沈黙をいかした瞑想的かつ心地よい現代の音楽になっている。録音はストックホルムの名門アトランティス・スタジオで行われ、音響的にも深みのある仕上がりも魅力的。静かでありながら力強く、詩的に即興的で上質な音楽性がスウェーデンの現代音楽シーンの深さと成熟を感じさせる一枚。限定150部。

デンマークとノルウェー出身の音楽家Ida UrdとIngri Høylandのコラボレーションによる、冬の静寂と内面の温もりをテーマにした、繊細で詩的なアンビエント/ドローン作品『Duvet』がスペインの名門〈Balmat〉からリリース。2023年冬、2人はデンマークの雪に閉ざされた静寂の中でアルバムを制作。言葉なき声とフィールド録音が織りなす、神秘的で包み込むようなサウンドスケープは、ベース、ペダル、テープ処理によるアナログ感と、デジタルの透明感が融合している。雪が降る音、木々が揺れる音、空間の広がりと孤独を感じるドローンと、柔らかい声やハーモニー、懐かしさや手触り感のあるメロディや間。こうした音響要素を交互に配置したり、重ね合わせることで、まるで寒い夜に毛布に包まれるような、夜に寄り添うような作品となっている。

フランス・ブルターニュ地方のケルト・ハープ奏者クリステン・ノゲと英国のサックス奏者ジョン・サーマンによる1998年録音のデュオ・アルバムが〈Souffle Continu Records〉より登場。ブルターニュの伝統音楽と現代音楽を結びつける活動をしていたノゲと、ECMレーベルで知られるような、ジャズとアンビエントの境界を漂うような音楽を作っていたサーマンによる音楽は、伝統音楽、即興、モーダルな“ブルターニュの夜の祭りの音楽”、静けさと実験が交錯する音楽で、まさに唯一無二の響き。伝統曲の断片を引用しつつ、二人のオリジナル曲を中心に構成されており、全体を通して、伝統音楽をキャンバスにしながら、二人が描き出す風景は多彩で詩的。ケルトを超えた自由なインスピレーションに満ちた作品となっている。

フランス・ブルターニュ地方のケルト・ハープ奏者クリステン・ノゲと英国のサックス奏者ジョン・サーマンによる1998年録音のデュオ・アルバムが〈Souffle Continu Records〉より登場。ブルターニュの伝統音楽と現代音楽を結びつける活動をしていたノゲと、ECMレーベルで知られるような、ジャズとアンビエントの境界を漂うような音楽を作っていたサーマンによる音楽は、伝統音楽、即興、モーダルな“ブルターニュの夜の祭りの音楽”、静けさと実験が交錯する音楽で、まさに唯一無二の響き。伝統曲の断片を引用しつつ、二人のオリジナル曲を中心に構成されており、全体を通して、伝統音楽をキャンバスにしながら、二人が描き出す風景は多彩で詩的。ケルトを超えた自由なインスピレーションに満ちた作品となっている。

オーストリア系エチオピア人のハーピストMiriam Adefris、英国サックス奏者Isaac Robertson、パーカッショニストDillon HarrisonによるトリオFlurのデビュー作『Plunge』が〈Latency〉より登場。本作はロンドンの即興シーンに育まれた繊細かつ広がりのある音の対話で、ハープ、サックス、打楽器という独自の編成を通して、フリー・ジャズ、アンビエント・ジャズ、現代音楽の要素が有機的に交錯する、静かに高揚するような一枚。即興と構築されたパートがスムーズに入り混じり、Alice ColtraneやKaija Saariaho、Azimuth、Angel Bat Dawidなどの影響を感じさせる一方で、音の余白や間合いにおいては〈Latency〉レーベルらしい親密さと抽象性が光っている。スピリチュアル・ジャズに、室内楽の繊細さを注ぎ込んだ、祈りにも似た三者の対話!

25年の時を経て輝きを増す、異端のポスト・ロック金字塔!2000年にリリースされたThe Mercury Programによる『From The Vapors of Gasoline』が〈Numero〉より再発。本作は、当時のポスト・ロックの文脈にありながらも、それとは一線を画すサウンドを確立しており、ルイヴィル、シカゴ経由の90年代後半のポスト・ロックの熱が冷めつつあった中、ヴィブラフォンを大胆にフィーチャーし、ギター主体の構造から離れたアプローチで独自の音響世界を切り開いた。ポスト・ハードコア的な緊張感とニューエイジや現代音楽的な静謐さを同居させた構成美が魅力的で、時間の流れに寄り添うような滑らかな展開と、瞬間的に鋭く切り込むような不協和の挿入があり、聴くたびに新しいディテールが浮かび上がる。リズムセクションはあくまで有機的でありながら、構築的でもあり、トリオ編成の限界を超えた広がりを感じさせるアンサンブル。今回の再発のリマスターでは、繊細な音の階層がより明瞭に浮き上がり、当時のプロダクションでは聴き取りにくかったハーモニクスや残響のニュアンスが豊かに表現されている。
オリジナルは2000年にニューヨークの小さなインディーレーベル〈Socialist Records〉からCDで発表されたニューヨークのシンガー・ソングライターNina Nastasiaによるデビュー・アルバム『Dogs』。2004年にTouch and Go Recordsが初のアナログ盤で再発したものが、今回およそ20年ぶりに再プレス!本作は、後年の『The Blackened Air』や『Run to Ruin』のような暗く深い世界観に比べると素朴で若々しく、軽やかな印象のあるアルバムになっている。サウンドもシンプルなものだが、その分ナスタシアの素朴だが深みのある歌声、詩的な歌詞がストレートに響いてくる。エンジニアのSteve Albiniも、「ありのまま」を捉える録音スタイルで臨んでいて、古い楽器の音色や質感がよく伝わってくる。アパートのバスルームでひっそりと演奏しているかのような親密さが漂っていて、魅力的な一枚。
ポルティコ・カルテットの創設メンバーであるベーシスト兼作曲家のミロ・フィッツパトリックによるチェンバー・ジャズ・プロジェクト、Vega Trailsのニュー・アルバム『Sierra Tracks』がマンチェスターの現代ジャズ大名門〈Gondwana Records〉よりリリース!サックス奏者、ジョーダン・スマートをフィーチャーしており、マドリードの北西に位置するシエラ・デ・グアダラマ山脈の麓にインスピレーションを得たという言葉通り、今作には映画のような雰囲気が漂っており、山々の広々とした空間を想起させられたり、また時にはチェロ、オーケストラの弦楽器、ヴィブラフォン、ピアノによる精巧なアレンジが自然の素晴らしさに似た印象を感じさせるなど映像的で物語性ある内容。
