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アイルランドのシンガーソングライターDavid Kittが、2001年の名盤『The Big Romance』を 全曲セルフ再録音し、さらに新曲を加えて再構築した“Kittser’s Version”が2LPで登場。オリジナルの権利問題により再発が難しかった作品を、本人が完全にコントロールできる形で再生させた25周年記念盤。プロデュースは当時と同じKen McHugh。ベッドルーム・フォークとエレクトロニカが溶け合う独特の質感はそのままに、2026年版はよりクリアで空間的なサウンドへアップデート。アコースティックの温度感と、繊細な電子音の粒立ちが共存する、成熟したBig Romanceと言える仕上がりになっている。収録曲はオリジナルの再録10曲に加え、ファン人気の高い「Saturdays」、そして新曲5曲を追加した全14曲構成。青春のきらめきを湛えたメロディに、25年の時間がもたらした深みと静けさが重なり、懐かしさと新しさが同時に立ち上がる特別な音盤。

Danny Scott Laneによる、ジャズ、アンビエント、ニューエイジ、ソフトファンクが穏やかに溶け合った、柔らかく心地よいムードのアルバム『House Of Alice』。本作には、写真家・サウンドアーティストとしての感性が反映され、日常の風景を静かに切り取ったような、親密でシネマティックな空気が漂っている。滑らかなジャズのコード、ゆったりとしたビート、アンビエント的な余白が自然に重なり、リラックスした時間に寄り添うサウンドが魅力的。女性ボーカルを迎えた曲や、タイトル曲「House Of Alice」に象徴されるように、全体を通して温かく洗練された雰囲気が続く。落ち着いたムードの中に、ほんの少しのソウルとロマンが漂う、Danny Scott Lane の魅力が詰まった一枚。

モントリールのデュオLibrary L’Amourが紡ぐ、デリケートで夢見心地のシンセポップ・ロマンス『Premier Caprice』。Yasmine IxeとRichard Ryan Wengerが、3年半にわたる恋愛関係の中で録りためた4曲を収録。柔らかく滲むパッド、揺らぐハーモニー、語りと吐息のあいだを漂うヴォーカルで、官能と夢幻がゆっくりと溶け合っていく。録音からミックスまでWengerが手がけたプライベートな制作体制で、アンビエントとシンセポップの狭間を漂う音像は、80年代ヨーロッパのベッドルーム・ポップを思わせつつ、ノスタルジックな湿度をまとっている。〈STROOM〉の美学にぴたりとはまりながら、モントリールのエレクトロニック・シーンの息遣いも感じさせる、親密で官能的なシンセポップの小さな傑作。

ロサンゼルスを拠点に活動する大人気ベーシストSam Wilkesが新たな一歩踏み出した7インチ『104.3』が登場。本作はベースを封印し、友人Brian Robert Jonesから借りたストラトキャスターを手に、思いつくままに音を重ねていったセッションから生まれた作品で、A面には最初の夜に一発録りしたのはトム・ペティ「Learning to Fly」のループ演奏。その後にベースとコーラスを加えたという。数週間後、ギターを返す前の最後の夜にはフリートウッド・マックの「I Know I’m Not Wrong」を再構築。どちらも作り込むというより、楽器との出会いをそのまま封じ込めたような即興性に満ちている。本人の「ベースでは半分くらいベースじゃない音を探している。だから違う楽器を弾くことがすごく解放的だった」という言葉通り、気負いのない自然体の演奏が心地良い。
