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〈Hive Mind〉が、Raïの発祥地として知られるアルジェリア・オランの名門〈Édition Ahlem〉とタッグを組み、伝統と現代電子音が融合を果たした21世紀のガスバ音楽を編纂したコンピレーション『My Heart is Dust Before Him』。ベドウィンの伝統儀式や婚礼で奏でられてきた葦笛ガスバの響きが、地元のカセット文化を経て最新のストリート・サウンドへと進化した、現代アルジェリアの生々しいストリート・ソウルを捉えた全10曲を収録。催眠的な旋律を紡ぐガスバの音色に、荒削りなリズムマシン、うねる重厚なシンセベース、そしてオートチューンを纏ったエモーショナルな歌声が絶妙に交錯。ベドウィン・フォークの古風な詩情を残しながらも、強烈なシンセ・ライのリズムやR&B譲りの低速グルーヴと結びついたサウンドは、異次元の熱量と北アフリカ特有の泥臭いディープネスを放出している。ポップ・ライの影で密かに発展を遂げてきた、現代アルジェリアの生々しくリアルな音楽ドキュメント。

10月中旬再入荷。Shrapknelの一員としても知られるラッパーCurly Castroによる、1970年代前半のアメリカで生まれた、黒人キャストを中心に据えた低予算の娯楽映画群、ブラックスプロイテーション映画の美学を現代のアンダーグラウンド・ラップへと再構築した意欲作『Yaphet』。全編をLocustがプロデュースし、硬質なブーンバップの質感とざらついたサンプリングが同居するビートの上で、Castroの語りは映画のカット割りのように場面を切り替えながら進む。黒人文化史、映画的引用、社会的文脈、そして自身の喪失体験が重なり、言葉の密度が非常に高い。billy woods、PremRock、Fatboi Sharif、Brian Ennalsなど〈Backwoodz Studioz〉周辺のMCが多数参加し、それぞれの声質が作品に群像劇的な奥行きを与えている。荒々しさと知性が共存する、2020年代以降のアンダーグラウンド・ラップの到達点とも言える、映画的な世界観と個人的な痛みが交差する、強度の高い一枚。
Aesop RockとBlockheadがパンデミック期に完成させた『Garbology』のインスト版。長年の協働関係を持つ2人の美学が、ラップを取り除いたことでより鮮明に立ち上がり、Blockheadの乾いたサンプル、タイトなドラム、荒涼とした音の質感がそのまま前面に現れる。サンプルの細かな表情や隙間の使い方が際立ち、都市の片隅の風景を切り取ったような独特のムードが全編を貫く。Aesop Rockが提示した社会が捨てたものから文化を読み解くというガーボロジーの概念とも響き合い、インストとして聴くことでその音響的テーマがより強く感じられる構造になっている。Blockheadの編集センスは、ざらついた質感と奇妙な温度感を同時に保ちながらゆっくり歩くようなBPMのグルーヴをつくり出し、日常のリズムに寄り添うような聴き心地を生む。長年のコラボレーションの蓄積が音の細部に宿り、ビート単体で聴くことで2人の関係性と制作哲学がより深く伝わる、ヒップホップ・インスト作品として非常に味わい深い2LP。
メンフィス出身の異才Wilbert Gavin MaysによるプロジェクトCities Avivが、自身のレーベルを離れ名門〈Black Truffleから〉アルバム『Even Colder Spring』をリリース。10年以上にわたりヒップホップの既成概念を解体してきた彼が、過激なループ処理と変幻自在の語り口、そしてダンテやアンリ・ベルクソンの思想までを散りばめたリリックを交錯させ、極めて個人的で不可解な音響世界を立ち上げた全16曲の意欲作。数秒で途切れるトラックや唐突なフィールド・レコーディング、歪んだノイズの層が予測不能な展開を描くなか、技巧的なラップと意図的にハーモニーから浮遊させた歌唱が不穏な美しさを醸し出す。従来の閉塞感に留まらず、プライベートプレス調のニューエイジなきらめきやClusterを彷彿とさせるクラウトロックの遊び心、ローファイIDMが混交し、ラストは、いくつものサンプリング・ループが幾重にも重なり合ってモヤのように漂う、恍惚とした歪みの雲の中へと消えていく。アンダーグラウンド・ヒップホップと前衛音響のはざま。

Little Simzのベーシストとしても異彩を放つアフロ・ラテン・エレクトロニック・プロデューサー、DJ、Marla Ketherが名門〈Strut Records〉よりリリースする待望のセカンドEP『Luso』。リスボンとブラジリアを行き来しながら制作された本作は、ロックダウン期を経て「ミュージシャンが集うスタジオでの生演奏のエネルギー」に立ち返り、多様なコミュニティとの対話から生まれた躍動感あふれる充実の一枚。生々しく打ち鳴らされるパーカッションとうねるベースラインに、洗練されたエレクトロニクスと多彩な客演陣の歌声が鮮やかに交錯。ブラジルの音楽伝統からブロークンビート、アフロ・ポルトガルのバティーダ、アフロビート、さらにはサンバ・ハウスやジャズの色彩までを自在に織り上げた、多国籍なグローバル・ベース・ミュージックを展開する。UKアンダーグラウンドの鋭い感覚とアフロ・ブラジリアンの豊かな熱量が調和した、強烈な身体性とポジティヴな開放感でに溢れる12インチ。
Dilated Peoplesの中心人物として世界を巡り、Kanye WestやBeastie Boysへのビート提供でも知られるEvidence。そしてSnoop Dogg、Nas、Eminemらを手がけ、ラッパー、DJとしても活動するThe Alchemist。長年の協働関係を持つ2人がStep Brothers名義で完成させた『Lord Steppington』。乾いた質感のサンプル、タイトなドラム、Alchemistらしいストイックなビートが全編を貫き、Evidenceの落ち着いた語り口と緻密なパンチラインがビートの硬さと絶妙に噛み合う。Action Bronson、Roc Marciano、Styles P、Bluなど個性の強いゲスト陣が曲ごとに鮮やかな色を添え、東海岸クラシックの質感を継承しながら現代的なミックスでアップデートされた音像が魅力的。肩の力が抜けたユーモアと、緻密に組み立てられた職人芸が同居する、2人のキャリアと美学が自然に融合した一枚。

アメリカのプロデューサー、ミュージシャン Larrison が1990年代に制作していた未発表音源や初期録音をまとめたアーカイブ作品『Connecters Vol. 1: Original Recordings, 1992–1999』。当時のホームスタジオ録音やカセット音源、初期デモなどが中心で、カセット録音特有のざらつき、部屋鳴りや環境音が混ざる生々しさも含めて Larrison の音楽的ルーツや制作スタイルの変遷をそのまま感じられる内容。シンセのドローン、ミニマルなビートにサンプルの断片的なコラージュ重なり、当時の電子音楽の影響が色濃く漂っている。完成された曲というよりアイデアの原石といった趣で、90年代インディの空気感に満ちた、実験精神と個人的な音の探求が詰まったアーカイブ。リマスタリング済。
アンダーグラウンドヒップホップの雄、billy woodsと、LAのプロデューサーKenny Segalが組んだ、崩れかけたデトロイトのWilliam Livingstone Houseを写したジャケットが象徴的な2019年作『Hiding Places』。woodsのラップは、鋭い言語感覚と、拍からズレる語り口や、急に沈黙が入る瞬間が、精神の落ち着かなさをそのまま音にしたような質感を生み、一方Segalのビートは、ジャズのコード、ロック的な歪み、埃っぽく腐食したような質感を再構築し、退廃した都市の空気をそのまま閉じ込めたよう。日常の裏側へ引きずり込まれるような前半から内面の声が増幅していくような閉塞感が強まる後半まで、Mothermary、Elucid、Self Jupiterらゲスト陣の声の助けも借りて、多層的で不穏な物語が続いていく。現代的で重く、アンダーグラウンドなヒップホップ重要作。
The Pop Group、The Slits、New Age Steppersなどで知られるドラマーBruce Smithを中心に、初期On-U Soundの精鋭が集結したコレクティヴPlaygroup。その唯一作にして、ジャマイカン・ダブを英国流に再解釈し、ポストパンクの硬質さと産業的ノイズ感を混ぜ合わせた1982年の異形ダブ作品『Epic Sound Battles Chapter One』。Crucial Tony、Sean Oliver、Style Scott、Eskimo、Bonjo IといったCreation Rebel、African Head Charge、New Age Steppersの面々が参加し、On-U Soundのスタジオ魔術を背景に制御された混沌が立ち上がる。タイトで鋭く、複雑に絡む、立体的な音像。儀式的な雰囲気と暗いユーモアが全体に漂い、緊張感と遊び心が同居する独特の音像が魅的。Adrian Sherwoodが全面プロデュースの初期On-U Soundの精神を象徴する重要作であり、UKアンダーグラウンドの歴史的アーカイブとしても価値のある再発。
Alternative TVのフロントマンにして、UKパンク黎明期の象徴的な自主制作のミニコミ誌Sniffin’ Glueを創設したMark Perryが、1980年に発表した初ソロ作『Snappy Turns』。ATVの攻撃的なパンク性から距離を置き、より個人的でアートロック、ポストパンク寄りの表現へと踏み出した作品で、Grant Showbizが手がけた曇ったプロダクションが全体の空気を形づくる。Perry自身が多楽器を重ねることで生まれる壊れかけのポップの質感は、ポストパンクの陰影とDIY的な粗さが自然に同居したもの。語りと歌は静かに歪んだ視点を持ち、曲の奥にある不安や皮肉を浮かび上がらせる。特にテープループやヴァイオリンを用いた音像は、Throbbing GristleやPsychic TVの系譜を思わせるもので、Nurse With Woundリストに並んでも違和感のない独特の世界観をつくっている。パンク、アートロック、インダストリアルの影響が交差し、80年代UKアンダーグラウンドの曖昧で不穏な空気をそのまま封じ込めた一枚。
1990年代初頭、ドイツ・ケルンのDIYシーンとウクライナのアンダーグラウンドが思いがけず交差した、その貴重な痕跡をまとめたコンピレーション『Aftermath and Transitions』。舞台となるのは、巨大な廃穀物サイロRhenaniaを拠点に活動したコレクティブSHM1で、ヴィジュアルアーティストのGuido ErfenとエンジニMichael Springerを中心に、主流とは無縁の独立した録音・流通ネットワークを築いていた。1990年、パンク、アヴァンギャルド、民謡的モチーフ、荒々しいグルーヴが混ざり合う、西側ではほとんど知られていなかったウクライナの地下文化の収められた1本のカセットがErfenの元に届いたことをきっかけに、音源の交換や人的交流が始まる。やがてウクライナの音楽家もケルンを訪れ、1994年以降、SpringerのPhantom StudioやRhenaniaのSHMスペースで非公式セッションが重ねられていった。本作は、その1994〜1996年の録音をまとめたもので、ウクライナとケルンのアンダーグラウンドが互いに触発し合い、新しい音の形を模索した4つの異なるセッションを収録している。ポストソ連期の混沌と創造性、ケルンのDIY精神、そして国境を越えた音の交換が生々しく刻まれた、歴史的にも音楽的にも稀有な記録。
スペインの音響作家Marcelo Expósitoが1980年代に制作し、長らく行方不明となっていた未発表音源を復元し『The Lost Tapes』。当時のスペイン・アンダーグラウンドにおけるインダストリアル文化の初期衝動をそのまま伝える重要な内容で、金属的なノイズ、ざらついたテープの質感、断片的な音が生々しく層を成す。静かなテクスチャの中に不穏な倍音が滲み、アンビエントとノイズの境界が曖昧なままゆっくりと変形していく。Expósitoが当時関わっていたカセット文化の文脈とも強く結びつき、Maurizio BianchiやNurse With Wound、スペインのLa Otra Cara de un Jardínらと同じ国際的ネットワークの息遣いが感じられる。80年代の地下文化特有の粗さと自由さがそのまま刻まれた、スペイン実験音楽の系譜を補完する失われたピース。

オハイオ州デイトンの地下ファンク・バンドStone Coal Whiteが残した、1970年代の激レア音源を再発した7インチ。〈Remined Records〉と〈Colemine Records〉の協力による発掘シリーズの一環で、ローカル・ファンク特有の、乾いたドラム、土臭いベース、ワイルドなワウ・ギターが暴れ回る音像は、洗練とは真逆のプリミティヴな魅力に満ちている。Curtis Mayfieldの名曲を、ストリートの勢いで一気に押し切るような高速ファンクへと変換した解釈と、プライベート・プレス特有のローファイ感が漂うオリジナル音源の組み合わせが、デイトンのローカル文化を鮮烈に浮かび上がらせる。70年代の地下ファンクが持つ制御不能なグルーヴを体感できる、濃密な7インチ。

Moodymann率いる〈Mahogani Music〉周辺のアーティストと交流があり、AUX88 との仕事でも知られるデトロイトのプロデューサーSheefy McFlyによる、初のUS外リリース作『Baddies Only』。参加しているボーカリストはすべてデトロイトの女性アーティストで、本人が「デトロイトの女性アーティストへのラブレター」と語る通り、コミュニティの熱量がそのまま刻まれている。フットワーク、エレクトロ、ゲットーテックの要素が交差するスピード感とストリート感の強いクラブトラックが中心で、高速ビートの鋭さに、女性ボーカルの存在感が重なり、曲ごとに強さ、色気、遊び心が立ち上がる。デトロイトの今をそのまま切り取った、コミュニティに深く根ざした音。

90年代にRude FMで活躍したOG海賊ラジオDJであり、East ManやImaginary Forcesといった変名では〈Planet Mu〉や〈Entr'acte〉〈Kyou Records〉などから作品を送り出してきたロンドンを拠点に活動するDJ、電子音楽家のAnthoney J Hartのカルト人気名義Basic Rhythmによる、グライム、テクノ、UKベース、D&B、ドリルまでを横断しながら、8 Bar Technoという自身の思想を提示するフルアルバム。タイトル曲「8 Bar Techno (Re-Mix)」は、直進するキックが突然切り替わる鋭い構造で、グライムの荒削りな質感とピークタイム・テクノの推進力が真正面から衝突する。ゲストMCの存在も本作の大きな魅力で、「Clutch」では Lyrical Strally の荒々しいマイク捌きがトラックの攻撃性をさらに増幅し、「Vibez」ではNyNyのしなやかなハーフステップがアルバムの中に一瞬の柔らかい揺らぎをもたらす。曲ごとにムードは移り変わりながらも、全体はひとつの強度で貫かれており、様々なアンダーグラウンドな要素を強制接続した、攻撃的で妥協のないUKクラブ・サウンドを象徴する2LP。

メルボルンの作曲家であり即興演奏家のAbby Sundbornによる、チェロと声だけで構成された2025年にベルギーでのパフォーマンスを収録したライブ・カセット。クラシック教育を受けながら、DIYアンダーグラウンドで磨かれた直感的なアプローチが特徴の彼女。本作では、チェロの弓のノイズ、息づかい、空間の揺れといった微細な要素がそのまま音楽として立ち上がる。特にハイライトとなる「Shed」では、声とチェロが反復しながら少しずつ変化し、祈りのような、儀式のような没入に至る。感情は抑制されているのに、どこか切実で人間的。The NecksのTony BuckやHTRKのJonnineらとの共演歴を持つ彼女の、最もパーソナルな側面が刻まれた作品は、音が生まれる瞬間そのものを聴かせるような、現代実験音楽の小さな傑作。
1982年、オランダのカセット・レーベル〈Trumpett〉が残した、当時のアンダーグラウンドで録音されたミニマル・ウェイヴ、DIYシンセ、実験電子音楽の核心を収録した伝説的コンピレーション『Colonial Vipers』がついにLP化。収録されているのは、Van Kaye & Ignit、Ende Shneafliet、Nine Circles、Doxa Sinistraなど、オランダのホームテーピング文化を象徴するアーティストたち。安価なシンセやドラムマシンを駆使し、自宅録音ならではの生成りの荒さと創造性がそのまま刻まれている。Jos Smoldersによるリマスタリングで、当時のテープ特有の質感を残しつつも音像がクリアに蘇っているのもポイント。冷たく反復するシンセ、乾いたビート、無機質な声やノイズ。ポストパンクの緊張感と、80年代初頭の手探りの未来感が同居し、今聴いても驚くほどフレッシュ。ミニマルウェイヴ、コールドウェイヴ、DIY電子音楽の源流を知るうえで欠かせない資料性と、純粋な音の魅力が共存した一枚。

南條麻人が最も長く続けたプロジェクトのひとつで、High Rise、Musica Transonic、Toho Sara とは異なる、もう一つのサイケデリック宇宙を示す存在とされる、1990年代東京アンダーグラウンドの深淵、狼の時間。1992年に録音されながら、当時は南條麻人自身のレーベルである〈La Musica〉の限定ハンドメイド・カセットやCD-Rとしてのみ流通した作品が初のヴァイナル化!収録されているのは、当時「Black Tape」用に録られながら未使用だったテイクや初期スタジオデモで、アシッド感の強いギター、重心の低いベース、暴発寸前のドラムが渦を巻き、粗削りで幻覚的なサウンドが生々しく立ち上がる。ローファイな録音質がむしろ魅力となり、地下深くでうごめくようなサイケデリアと即興性がそのまま封じ込められた一枚。南條麻人の音楽世界の未踏領域を照らす重要作!
John T. Gast主宰レーベル〈5 Gate Temple〉から届いた、Sister Marionのミステリアスな7インチ。A面にはBabyfatherのメンバーとしても知られるJames Massiahをフィーチャーし、乾いたスポークンワードとミニマルなビートが絡む、ロンドン深夜の空気をそのまま封じ込めたような1曲を収録。B面には John T. Gast自身によるダブ・ヴァージョンを収録。電脳空間の奥で反響するような、独特の空気感を持つ独特のミックス。UKアンダーグラウンドの現在形を凝縮した1
枚。

John T. Gast のレーベル〈5GT〉が送り出す、Xtereaによる地下ダブ・レイヴの最前線を示す一枚『I’ll Call You Later』。tekno、90s D&B、UK steppers の要素を歪んで湿ったダブ処理でまとめ上げた、粗削りで中毒性の高い作品で、未加工のまま叩きつけられるようなビートと、曇った低音、手触りのあるノイズが渦を巻き、商業性とは無縁の DIY ダンスミュージックが強烈な推進力を生む。全曲を通して汚れたダンスの多面性が展開される地下感のある一枚。

DJ BeBeDeRaによる初の本格的なアンソロジー『Clássico』がリスボンの〈Príncipe〉から登場。2014年から現在までに制作された入手困難なトラックを網羅し、彼の荒削りで肉感的な、アングラ・ダンスミュージック、タラッソ・サウンドが全面的に展開されている。本作では、単発の7インチ、また〈Príncipe〉のコンピ収録などで名を知られてきた彼のプロダクションにようやくまとまったスポットライトが当たる。DJ Marfoxからも絶賛され、Low JackやSimo Cellらもプレイするなど、同時代のクラブ・ミュージックの中でも特に異彩を放つ存在。収録曲はどれも身体に訴えるフリクションと官能的なグルーヴに満ちており、強烈。金属のきしみ音、ガラクタを叩くような打音、摩耗したノイズ、スモーキーでこもった中域の音像、荒削りで生っぽい録音。まるで廃材置き場を舞台に音が鳴っているような質感をまといながら、催眠的な反復でリスナーをどんどん引き込むBeBeDeRaの音は、体感的で荒々しく、それでいてどこか哲学的な、ダンスフロアの異端的快楽。
" dean blunt & Elias Rønnenfelt - lucre LP. Single-sided, 180g vinyl "

