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グリーンランド、ヨーロッパ、中東を旅する匿名の音響錬金術師Jaanによる、地理的・文化的断片を音響に編み込んだエクスペリメンタル・アンビエント作品『Baghali』。環境音や道端の録音、古いシンセ、壊れたテープ、フルート、ギター、パーカッションが交錯。中東の打楽器が突然ローファイなテープの歪みに溶け込み、次の瞬間には雪原のような静寂に変わる。環境音、民族楽器、ノイズが同時に鳴っており、音の密度は高いが、構造の密度は低く、全体としては静かで余白の多く、どこか錯覚めいた印象を残す。Brian Enoが砂嵐の中で壊れたテープレコーダーと夢を持って歩いているような音とも評される、記憶、神話、風景が音の中で溶け合う音響的漂流。場所と時間を超えた音の断片が、聴く者の内面に静かに語りかける。

チリ系アメリカ人アーティスト Nicolás Jaar が2015年に発表したアルバムで、1969年、アルメニアのセルゲイ・パラジャーノフ監督の名作映画『ざくろの色』に触発された「非公式サウンドトラック」として制作された作品『Pomegranates』。『ざくろの色』の映像美に触発され、アンビエント、ピアノ、フィールドレコーディング、ノイズをコラージュし、奇妙で物憂げな質感と映像に宿るシュルレアリスム的な空気を音で表現。メランコリックで断片的な楽曲群が連なり、映像と音楽の境界を溶かすよう。『ざくろの色』の芸術性と現代電子音楽が結びついた記憶に残る一枚。
徹底したアヒンサーを提唱実践、「ノイズ」の枠を超越したオルタナティヴな表現を試み続けるジャパノイズ伝説、Merzbowこと秋田昌美による、オリジナルは1983年に自身のレーベル〈ZSF Produkt〉からリリースの、その後再発されるも長らく入手困難となっていた初期重要作が、〈Old Europa Cafe〉よりカセット再発。日常の物音や加工されたギター、声などを素材にして構成された、純粋なノイズというよりも、インダストリアル、トライバル、コラージュ的な要素が強く、リズムやビートが際立つビートテープのような印象も感じられる荒々しくも緻密な作品。アートワークも当時の雰囲気を再現しつつ、現代的な仕上がりとなっており、音質もリマスタリング済。限定199本の貴重な一本。

オーストリアのバンドRadianの中心人物である打楽器奏者、音楽家Martin Brandlmayrによるソロアルバム『Interstitial Spaces』。本作では彼の特徴である緻密で非定型なリズム、グリッチ・ノイズ、そして静謐な音響デザインが融合。自身の演奏に加え、フィールド録音やテレビ広告、演奏準備のざわめきなど、何気ない音を精密に編集し、聴覚の感度を研ぎ澄ます。その音響構成は、音楽と非音楽の境界を曖昧にしながら、聴く者に聴くことそのものへの意識を促し、何も起きていないように見える瞬間に潜むドラマを、音の配置と沈黙の間で巧みに描き出している。打楽器奏者としての精密なタイム感と、サウンドアーティストとしての空間的な感性が交錯することで、聴覚的な映画ともいうべきリスニング体験をもたらしている。現代音楽、サウンドアート、映画音響の要素が交錯する、静けさの中に深いドラマを秘めた作品。

フランス出身、現在はベルギーのブリュッセルを拠点に活動する電子音楽家Roméo Poirierによる録音現場でこぼれ落ちた断片を拾い上げ、別の生命を吹き込んだサウンド・コラージュ集。エンジニアの指示や雑談、マイクチェック、テイク前の息遣いなど、本来なら切り捨てられるはずの音を、素材として積み重ねていく。本作では千を超える断片を組み合わせることで、14の小さな音世界を構築しており、古いシェラック盤から浮かび上がる声と、YouTubeから掬い取ったデジタルのかけらが、時間や文脈を越えて交錯する。そうして生まれるのは、演奏の前段階そのものを物語に変えてしまう、不思議にシネマティックで親密な音のスケッチ。偶然の積み重ねを芸術に変換してしまうポワリエらしい一枚。

ベルリンの音響職人ヤン・イェリネックと、コペンハーゲン拠点の作曲家マッズ・エミル・ニールセンが、お互いの楽曲をリミックスし合った7インチ作品。もともとは2019年、チャリティ・コンピ『CRXSSINGS』に収録されたデジタル音源だったが、アナログ化にあたってニールセンのグラフィック・スコアも同梱され、改めてその完成度が際立つこととなっている。イェリネックはニールセンの「Framework 10」を、原曲の2分から7分へと大幅に引き延ばし、初期電子音楽の幻覚めいた揺らぎの中に、きしむサイン波の唸りやくぐもった金管音を散りばめて再構築。一方ニールセンは、イェリネックによる「Zwischen」のコラージュ(マルセル・デュシャンのインタビュー音声から言葉と単語の間の「沈黙」だけを抽出した実験作)に、ホワイトノイズやモジュラーのうねりを加え、静寂に潜む緊張感をより際立たせている。

claire rousayによる、アンビエントとインディー・ロックの感性が融合した、詩的かつ親密な音響作品『a little death』。本作は『a heavenly touch』『a softer focus』に続く三部作の最終章で、フィールド録音、ピアノ、ラップ・スティール、アコースティック・ギター、ストリングス、木管楽器などを用いた音と生活の境界を探るclaire自身のソロ活動の本質を示している。また、メロディやコード進行に、親密で内省的なソングライティングの感覚が垣間見えるのも印象的。m sage、Andrew Weathers、Mari Mauriceなど多彩なゲストも迎えた、claire rousayが築いてきた音と感情の詩学の集大成であり、静けさの中に宿る深い情感と想像力を呼び起こす傑作。

フィンランドを拠点にブックデザイナーとして活動するジョン・ハバードが、1989年に自主レーベルStrength Through Joyより限定50部で発表した伝説的プロジェクトVogelscheiß Und Seine Verrückten Krötenの唯一音源を初復刻。1988年のヨーロッパ旅行でスティーヴン・ステイプルトンに会い、その後アーヘンを訪れクリストフ・ヒーマン、アンドレアス・マーティン兄弟と共に行なった謎多きセッションの記録がここに解禁。
小杉武久やPierre Henry、Come Organisationのタイトル等も手掛けてきたJos Smoldersがリマスタリングを担当。
CD版にはLP版とは異なるクラフト紙のジャケットを使用。色合いや質感が異なります。限定200部。

フィンランドを拠点にブックデザイナーとして活動するジョン・ハバードが、1989年に自主レーベルStrength Through Joyより限定50部で発表した伝説的プロジェクトVogelscheiß Und Seine Verrückten Krötenの唯一音源を初復刻。1988年のヨーロッパ旅行でスティーヴン・ステイプルトンに会い、その後アーヘンを訪れクリストフ・ヒーマン、アンドレアス・マーティン兄弟と共に行なった謎多きセッションの記録がここに解禁。
小杉武久やPierre Henry、Come Organisationのタイトル等も手掛けてきたJos Smoldersがリマスタリングを担当。
LP版はDLコード、インサート付。限定300部。
ジャップロック・サンプラーにも掲載!日本版AktualaもしくはThird Ear Band。”Nurse With Wound List”掲載でもお馴染みの国産カルト・サイケ大名盤『Debon』を残しているBrast Burnと同一のバンドである、日本版クラウトロックの秘宝=Karuna Khyalによる74年のカルト的な傑作がアナログ再発。トライバルなリズム、電子サンプル、反復、ヘヴィな民族的サウンドに重点を置いた本作は、あらゆる種類の楽器を折衷的にプレイした、催眠的かつ野生的でワイヤードな仕上がりの憑依音楽に仕上がっています。
メールアートのネットワークで中心的な役割を果たしたアーティスト、Sue Fishbeinによる1980年代初頭のサンフランシスコで制作された貴重なサウンド・コラージュ作品『Wildlife & it's Results』が、カウンターカルチャーの偉人たちによる録音資料を、味わい深いカセットで紹介する地下レーベル〈Counter Culture Chronicles〉より登場。彼女はメールアートと同様に音を通信の媒体と見なし、環境音、断片的な声、都会の喧騒といった、見つけた音(Found Sound)を切り貼りし、遊び心と皮肉を込めた音のパッチワークを構築。アナログ機材やテープ操作による物理的な音響処理による実験的な電子音響で、このカセットは、形式や著作権といった概念に挑むテープ時代の実験精神を体現しており、その騒々しくも内省的な響きは、メディアが飽和する現代社会への先見的なコメントとして響く。パッケージは紙製ボックス仕様で、アート性とDIY精神が感じられる、物理メディアへのこだわりを持たせた仕様でのリリースとなっている。

オブスキュアな電子音楽を発信し続ける名レーベルUnseen Worldより渾身の発掘音源。Morton Subotnickに学び、中京大学にて教授を務めるアメリカ人作曲家、サンプリング~カットアップ・コラージュの名手Carl Stoneの初期音源集が登場。本作は、70-80年代からの6つの未発表曲と、92年にNew Albionより発表された作品「Mom’s」より抜粋の”Shing Kee" の7曲による構成。矢野顕子が歌うシューベルトの”菩提樹”をサンプリングした"Shing Kee”(1986)は持続音に対する大いなるアンビエンスの美意識が感じられ、Seth GrahamやKara-Lis Coverdaleもビックリ仰天の時代性を超越した立体電子音響、“Shibucho”(1984)や“Dong Il Jang”(1982)もサンプリングの手法にカットアップが試みられた意欲作。マスタリングは我らがRashad Beckerが担当。溶解する現代建築の如く異形のサウンドスケープを遺憾なく発揮したアヴァンギャルド・エレクトロニクス大作。今聴いても全く古びる感触がありません。DJのネタからニューエイジ~アンビエント・ドローン好きの方まで幅広くお薦めです。ゲートフォールド仕様&ブックレット&DLコード限定のトラックも付属。

環境音楽の重要人物、広瀬豊のまさかの新作『Voices』が〈WRWTFWW〉より登場。80年代の名盤『Nova』で知られる彼が、ここにきて届けたのは往年の静謐なサウンドスケープとはまったく別の景色と言えるもので、フィールド録音、ざらついたサンプル、ガタついたリズムマシン、そしてサイケなシンセが入り乱れる、混沌としたコラージュ作品となっている。幕開けを飾る12分超の「Library」は、その象徴で、都市の雑踏、映画の断片、即興的な声、ラジオのノイズ、ジャズのフレーズ、ビートの残骸が次々と交錯し、音の奔流に呑み込まれる。単なる音楽というより、まるで意識の中をそのまま垂れ流したよう。また、アルバムの要所には「The Other Side」シリーズと題されたバレアリックな実験的なテクノが挿入され、奇妙な環境音との交差が軽妙なバランスを生んでいる。さらに「Uprising」では呪術的なIDM、「Mixture」では鳥の声や雑談を絡めながらブリットルなビートとアシッド・シンセを展開。過去の沈静的な作風を知るリスナーほど驚かされる本作は、『Nova』や『TRACE』で再評価された広瀬豊の現在地が刻まれた一枚。環境音楽の先駆者が、いま再びラディカルな実験精神を前面に打ち出した充実作。

(数量限定/ブラック&ブラウン・ヨーク・ヴァイナル/ソノシート特典付)スキルフルなターンテーブリストとして、さらには真の実験精神を持ったプロデューサーとしてその名を知らしめる鬼才、Kid Koalaによる、狂気的なサウンド・コラージュ名作が〈Ninja Tune〉からソノシート特典付きの豪華仕様で25周年記念リイシュー!
Eric SanことKid Koalaは、職人技とも言えるターンテーブル捌きと、奔放なユーモアを融合させることで、他に類を見ない独自の世界観を築き上げた真の音楽的探究者だ。ターンテーブルを楽器として用い、オリジナルのサウンドやミックス、リズムを生み出すアートフォーム、すなわちターンテーブリズムに全身全霊を捧げた彼は、本作を全編ターンテーブルで演奏し、手作業でレコードをカットしながら8トラック・レコーダーにその音を刻み込んだ。
その結果として生まれたのは、Kid Koalaのねじれた、そして輝かしい精神世界を駆け巡る、風変わりで歓びに満ちた音の冒険である。まるで歌うかのようなスクラッチ・サウンド、奇妙な実験性と快楽性を併せ持つ切り刻まれたサウンドがアルバムを通して飛び出し続ける名作。

環境音楽の重要人物、広瀬豊のまさかの新作『Voices』が〈WRWTFWW〉より登場。80年代の名盤『Nova』で知られる彼が、ここにきて届けたのは往年の静謐なサウンドスケープとはまったく別の景色と言えるもので、フィールド録音、ざらついたサンプル、ガタついたリズムマシン、そしてサイケなシンセが入り乱れる、混沌としたコラージュ作品となっている。幕開けを飾る12分超の「Library」は、その象徴で、都市の雑踏、映画の断片、即興的な声、ラジオのノイズ、ジャズのフレーズ、ビートの残骸が次々と交錯し、音の奔流に呑み込まれる。単なる音楽というより、まるで意識の中をそのまま垂れ流したよう。また、アルバムの要所には「The Other Side」シリーズと題されたバレアリックな実験的なテクノが挿入され、奇妙な環境音との交差が軽妙なバランスを生んでいる。さらに「Uprising」では呪術的なIDM、「Mixture」では鳥の声や雑談を絡めながらブリットルなビートとアシッド・シンセを展開。過去の沈静的な作風を知るリスナーほど驚かされる本作は、『Nova』や『TRACE』で再評価された広瀬豊の現在地が刻まれた一枚。環境音楽の先駆者が、いま再びラディカルな実験精神を前面に打ち出した充実作。
ニューヨークのアンダーグラウンドMC Sensationalと、ブラジル出身のプロデューサーBruno Tonisiによる、奇妙で幻想的な音のやりとりを記録した作品『Sensational Conversations』が、サンパウロ拠点のオブスキュア系発掘レーベル〈Lugar Alto〉より登場。2人は実際に対面したことはなく、Brunoが憧れの存在だったSensationalにコンタクトを取ったことで、このプロジェクトが始まった。ただしこれは普通のコラボではなく、まるで壊れかけたラジオを通して交信しているような、ノイズまじりの「符号」のような音楽。アルバムはヒップホップを土台にしているが、その形を大胆に解体。GRMがNYのロフトで汚れ仕事を始めたようなサウンドデザインで、ぼやけた声、壊れたビート、不安定なリズムの中に、ふとした瞬間に感情がにじみ出る。その不安定さや歪みにこそリアルな手触りがある一枚!

激激高内容です。未体験の実験音楽マニアの方は是非!スウェーデンのカルトレーベル〈Discreet Music〉傘下の〈I Dischi Del Barone〉や〈Students Of Decay〉といった実験系のレーベルからも作品を発表してきた、豪州の作家Mark BarrageによるプロジェクトBlue Chemise。2017年に限定105部のプライベートリリース作品として発表されていたデビューLPであり、現在大変入手困難となっている非常に人気の高いアルバム『Influence On Dusk』が、ベルギーの〈B.A.A.D.M.〉よりアナログ再発。荘厳で神秘的なアトモスフェリック・ドローン/アンビエント・サウンドから、時には不気味なサウンドコラージュ/エレクトロアコースティックでのシュールな世界観まで、独特の音楽的サイクルを形成した、極めてミステリアスで魅惑的な逸品。Christophe Albertijn によるリマスター サウンドと最新のアートワークを起用。限定300部。

クラシック音楽から音楽を学び始めた氏が、非西洋音楽や即興ジャズ、世界中の民族音楽やポップスへと惹かれていったそのリサーチの過程を存分に味わえる一枚!Seth GrahamやKara-Lis Coverdaleといった現行のアーティストの感性にも連なる幻想ニューエイジ大曲"Banteay Srey"、"Sonali"、ジョン・ハッセルの第四世界の目覚めを感じる霊性トライバル・アンビエント"Woo Lae Oak"、一種のグリッチ的なミニマル・ループが独特の余韻を残していく"Mae Yao"といった、アンビエント~ニューエイジ・リスナーにも大推薦の長曲四篇を収録。肩肘張らずにゆったり聴ける味わい深い一作ですよ。

星野源、突然段ボール、Ogre You Asshole、坂本慎太郎など、アンダーグラウンドやコンテンポラリーといった枠を超えて、名だたるアクトたちを支えてきた現代の日本が誇る名SSW=石橋英子と、シーンの枠組みを越えて多大なリスペクトを浴びてきた我らがジム・オルークとの5作目の共作が〈Drag City〉より登場!本作は、2023年のフランス、スイス、イタリア、アイルランドを回った欧州ツアーでの即興ライブ録音を素材にしたサウンド・コラージュ。各地の演奏から響きや音の関係性を拾い集め、コンピューター生成音、フルート、ハーモニカなどが交錯する動的な音世界を作り上げている。二人は事前に打ち合わせをせず、それぞれ準備した音素材を持ち寄って現場で即興的に対話し、日ごとに異なる演奏を展開。ライブ中に録音した素材もその場で再利用するなど、旅の途中で生まれる偶然や状況の変化がそのまま音楽に反映された。『Pareidolia』では、ツアーの様々な瞬間をリミックスし、たとえばパリのジム・オルークの音とダブリンの石橋英子の音を重ねるような形で、理想的な記憶を描いている。無作為に見える音の流れにも、どこか意味や構造を感じ取ってしまう──そんな「Pareidolia(錯視)」的な感覚をテーマに、聴く人それぞれが自由に解釈できるような、柔らかくも謎めいた電子音響作品。

『Clube da Mariposa Mórbida』は、サンパウロ拠点のDIYアーティストAkira Umedaと、ウガンダはカンパラを拠点とするレーベル〈Nyege Nyege Tapes〉 周辺で活動するMetal Preyersがコラージュ的に作り上げた、異文化横断型のエレクトロ・アコースティック作品。南米のファンク、ノイズ、実験的なシンセ、民族楽器などが錯綜し、現実と仮想、過去と未来、デジタルとアナログの境界が曖昧に。収録曲では、倒錯したブラジル・ファンクや壊れた寺院の鐘、電子的なミュージックボックスなど、さまざまなサウンドが交錯する。二人のコラボは、Metal Preyers側が送った音の断片やコンセプトを、UmedaがGoogle翻訳を駆使しながら解釈し、自らの直感に基づいて印象を音にしていった。Umeda はそれを「粘土細工のような幽霊の成形作業」と語っている。従来の「第4世界音楽(Fourth World)」よりもさらに異次元的な夢幻世界。
パレルモ拠点のプロデューサーEmiliano Pennisiによる90年代後半〜2000年代半ばの未発表音源を発掘した作品『Primitive Maxi Trial』がウガンダの首都カンパラを拠点とする、世界各地のオルタナティブなエレクトロニック・ミュージックやエクスペリメンタル系を自由に追求するレーベル〈Heat Crimes〉より登場。彼が関わるアンダーグラウンド・コレクティブ「Paradigma」の文脈から現れた本作は、単なる回顧録ではなく、まるで埃をかぶった幽霊のような“ポスト・デジタル以前”の遺物として響く。楽曲群は、VST黎明期のチープな質感、MPC 1000のザラついたビート、雑誌の付録CD-ROMから抜き出したようなサンプルが混在する、“サルベージされたポップカルチャー”の断片のような質感を持つ。IDM、ノイズ混じりのテクノ、無意味なアンビエント、レイヴ——あらゆるジャンルが雑然とした記憶のコラージュのように出現し、アウトサイダー・アート的でもある。記録よりも儀式のように鳴らされる、閉塞感と自由が同居する奇妙に私的でシュールな音楽。懐古ではなく、ある時代の空気そのものに触れるような一作。

2008年にSpencer Clarkの〈Pacific City〉からカセットでリリースされていた幻の音源が、長い時を経てようやく再発。Spencer ClarkとJames Ferraroによるスプリット作で、それぞれが別名義や多様なプロジェクトで活動していた、創造性が爆発していた時期の貴重な記録。A面はFerraroによる「Angel Snake」名義。木質の打楽器と、歪んだキーボードのレイヤーが朧げに絡み合い、ノイズに包まれた夢のようなサウンドスケープ。B面はClarkの「Monopoly Child Star Searchers」名義。霞がかったパーカッションと煌めくシンセが織りなす、彼らしい浮遊感たっぷりの音の旅。

至上の傑作『Loop-Finding-Jazz-Records』でもお馴染み、ミニマルな電子音楽を数多く輩出するドイツの重鎮プロデューサーJan Jelinekによる最新アルバム『Social Engineering』が自身の〈Faitiche〉よりアナログ・リリース。インターネットのダークサイドを探求した本作では、合成音声を使用して、フィッシングメールの朗読と歌という奇抜なコンセプトに挑戦。アンビエントとサウンド・コラージュからなる不吉なエッジが詰め込まれた魅惑的なレコードに仕上がっています!Rashad Beckerによるマスタリングとバックアップも万全!

西洋から遠く離れ、アフリカ、インド、中近東と各大陸を渡り歩き、リズムを手にし、伝統と土着の音楽を学んで渡った音楽仙人。イタリアの国営放送〈RAI〉やラジオ局〈Radio Popolare〉などにも携わったレジェンド=Roberto Musci。〈Music From Memory〉などからの編集盤や再発盤で2010年代に世界的な再評価を浴びたこの偉人による、「旅、民族、神秘主義」というテーマのもと作り上げられたトライバル・アンビエント/サウンド・コラージュの破格の傑作盤が〈Soave〉から登場。ヒンズー教の僧院 (アシュラム) でマントラを聞き、仏教哲学を学びながら過ごす時間の深い意味の探求から、宇宙探査、月や火星への人類の居住まで、イスラムの神秘主義宗教であるスーフィズムが新世界の発見に同行することを想像しながら、人類がどのように生き、新世界に何をもたらすのかを想像する、ムスチ氏の崇高なヴィジョンが秘められた作品です。
