1976年に日本のみでリリースされた、Marion Brownの70年代の探求を象徴する知られざる名盤。ブラウンは60年代フリージャズ以降、より構造的でリズムを軸にした音楽へと移行しており、アフロ・カリビアン的なポリリズム、ファンクの切れ味、レゲエの揺れが、曲ごとに異なる地層のように積み重なる。アルトは、旋律を吹くというより、リズムの上を滑りながら物語を紡ぐような語りのニュアンスが強く、ギターやベースはグルーヴを前に押し出すのではなく、リズムの層に陰影を与える役割を担う。全体として、黒人音楽のリズム的遺産を抽象化し、ブラウン独自の構造としてのリズムへと昇華。鋭いアルト、豊かなポリリズム、そして集団即興の熱量が交わり、ジャズの枠を越えたコミュニティの音楽として響く一枚。