オリジナルは1978年に〈High Note〉よりリリースされたThe Revolutionariesの代表作のひとつ『Dub Expression』。録音はデューク・リードの甥であり、後に数々の名作を手がけることになる名エンジニア、エロル・ブラウンが担当。舞台はトレジャー・アイル・スタジオで、マーシャ・グリフィス、ジョン・ホルト、デニス・ブラウンらの楽曲をベースに、ダブ仕様に再構築したものが収められている。屋台骨を支えるのは、スライ・ダンバーの鋭いドラミングで、揺るぎないビートに導かれ、70年代末のジャマイカの緊張感と高揚感がそのまま刻み込まれている。本作が歌い手ではなくバンド名義で出されたのは、プロデューサーのソニア・ポッティンジャーの判断によるもので、個々のシンガーを超えて、チャンネル・ワンのハウス・バンドとして黄金期のサウンドを象徴していたバンドそのものが前面に打ち出されている。その結果、生み出されたものは重量感あふれる、濁りのないダブの真髄。ダブというジャンルの中でも屈指の完成度を誇る一枚となっている。