スウィートなファルセットが魅力的な名シンガーCornell Campbellによる、オリジナルは1983年リリースのルーツ・レゲエの名盤『Fight Against Corruption』。Bunny LeeのプロデュースとKing Tubbyによるダブ・ミックスによる万全の音響の上で、Campbellの甘くソウルフルな歌声は、社会的メッセージとラヴ・ソングを巧みに融合させ、あくまでも甘く心地よいルーツ・レゲエの中で腐敗や欺瞞に対する批判的な視点を「Malicious World」や「Trick In The Book」などの楽曲に込めている。ハードなリズム・セクションとメロディアスなヴォーカルが絶妙に絡み合い、ジャマイカ音楽の成熟した表現力を感じさせる作品となっている。ルーツ・レゲエとラヴァーズ・ロックの境界を行き来しながら、社会への問いかけと個人の感情が交錯する、レゲエの精神性と美しさを感じさせる深みのあるアルバム。