シドニー拠点の韓国系ドラマー&即興奏者 Chloe Kim によるソロ・パーカッション作品。本作では Randall Dunn が録音・ミックスを担当しており、Kim のテンポを自在に操る技巧や、トーンの探求が前面に出ている。メロディを演奏するわけではないが、調律されたゴングや擦られたシンバル、バランスの取れたタムなどから、幽かなメロディの輪郭が浮かび上がる。アルバム名や曲名には韓国の民間伝承が反映されており、韓国の「ラットスネーク(豊穣の象徴)」に由来。Kim が生まれる前に母親が見た夢ともリンクし、パーカッションの呼吸や変拍子のリズムにも民俗音楽の影響が息づいている。ジャズやフリー・インプロヴィゼーションに根ざしつつも、個人的で独自性のあるリズム感覚が随所に見られるのも魅力的。演奏は高度に即興的でありながら、韓国民謡的なリズム感覚や豊かな音色の探求が随所に組み込まれた、個性あふれるソロ・ドラム作品!