恐るべき空想民俗集成『Territorio del eco: Experimentalismos y visiones de lo ancestral en el Perú (1975-1989)』に続き、またしても凄い物件です。祖国南米ペルーの地下ノイズ、インダストリアルや前衛音楽、ミュージック・コンクレートに至るまで、同地のニッチな音楽世界を大いに掘り起こしてきたカルト・レーベル〈Buh Records〉からは、1985年から1991年に及ぶ、南米ペルーの初期地下テクノ~エレクトロニック・ウェイヴというあまりにも未知な音源の数々を一挙紹介した画期的コンピレーション・アルバムが堂々アナログ・リリース。1980年代半ばに首都リマで生まれた様々な地下テクノ・グループやプロジェクトを初めて紹介した実に意欲に満ち溢れた一枚!Disidentes、Paisaje Electrónico、T de Cobreを始めとしたプロジェクトが母国に紹介してきたテクノ・ポップ、EBM、インダストリアル、ミニマル・シンといった当時の最新の音楽たち。リマでパンクが爆発的に流行し、いわゆるRock Subterráneo(アンダーグラウンド・ロック)が登場すると、これらのテクノ・グループはDIY精神を共有し、多くのパンク・コンサートへと出演。自分たちのファンジンまでも作り、母国のために新たな音楽体験のためのスペースを切り拓いてきたという経緯もあります。また、Meine Katze Und IchやEl Sueño de Alí、Paisaje Electrónicoといったプロジェクトは、Rock Subterráneoの創設者の一角である、象徴的なパンク・バンドNarcosisのメンバーが並行して行っていたものでもあるとのこと。本作のタイトルは、1991年にリマで行われたライブ・イベントの名前に由来するものであり、このイベントは、リマのオルタナティヴ・シーンにおける音楽スタイルの多様化を示すテクノ・イベントとしては最も古いものとされています。収録音源のほとんどは、流通量の少ないデモ音源や作家自身のプライヴェート・アーカイブからの未発表曲からコンパイルされたものであり、事実上入手不可能な作品を収めた、ペルーのアンダーグラウンド・ミュージック史へと刻む今年度の金字塔的コンピレーション作品です。当時の貴重な情報やヴィジュアル・ドキュメントの数々が付属。限定300部。