10年代以降のUKエレクトロニック/インディー・シーンでもっとも重要なアクトとして活躍を続けてきたドム・メイカーとカイ・カンポスの2人から成るマウント・キンビー。かつてジェイムス・ブレイクもライブ・メンバーとして在籍し、エレクトロニック・ミュージック・シーンにおいて、中心的な役割を果たしてきた彼らが、それぞれのメンバーが手がけた作品を収録した2枚組の最新アルバム『MK 3.5: Die Cuts | City Planning』を〈Warp〉よりリリース。
本作は、マウント・キンビーの美学の二面性が表現されている。ドムが手がけた『Die Cuts』はカラフルなメロディーが主体となっており、様々なコラボレーターを招き入れたことで多様なスタイルを楽しめる作品となっている。
ヒップホップ、R&B、エレクトロニック、ポップの間を行き来するこの作品は、作り込まれたソングライティングと、繊細かつレフトフィールドなタッチが融合しており、ジェイムス・ブレイク、スロウタイ、ダニー・ブラウン、レジー、ウィキ他、豪華ゲストが参加している。
一方で、カイが手がけた『City Planning』は、ディープで私的な美的探求の産物である。
ワイルドで、繊細で、ループするサウンドが収められたこの作品は、アヴァンギャルドな要素を巧みで洗練されたアウトプットで表現している。
洗練されたビートとアルペジオとは対称的に、奇妙で強烈な個性を感じるサウンドも散りばめられており、それがアルバム全体を暖かく魅力的な作品に仕立て上げている。両者は、そのコントラストによって互いに補完し合っており、それがマウント・キンビー独自のサウンドを生み出しているということが改めて体感できる。