イタリア産ローファイ・フォーク〜スロウコアの異種。ピエモンテを拠点に活動するStefano Murgiaのソロ・プロジェクト、Esse Pi Enneによる2ndアルバム。
英All Night Flightと共同で立ち上げた自主レーベルCentro Di Documentazione Metropolitano Torineseの第一弾としてリリース。
トリノの古びた建物の一室に、簡素な録音機材と拾い集めた写真、タイプライターなどを持ち込んで制作されたという本作。前作にあった内省的な親密さを引き継ぎながら、音の輪郭はよりざらつき、90年代スロウコアやHoodを思わせるギターや鍵盤のフレーズが印象的になっている。そこにポツポツと呟くような歌、断片的な音声、ほつれたドラムマシンのリズム、遠くを通り過ぎる車の音などが重なり、静かに編み上げられる。前作にも増して、ギターやドラム、声といった音楽そのものに存在感を与えているが、唐突に差し込まれる音声や、ターンテーブルのギミック、音の隙間や揺らぎをそのまま残しながら、ひとつひとつの音を丁寧に配置していく作家性によって繊細に紡がれる。生活のすぐそばにある空気と、そこから少し離れたところで鳴る音楽。そのあいだを漂うような感覚が、Esse Pi Enneの音楽には残されている。