マリの伝説的ギタリスト、アリ・ファルカ・トゥーレによる5thアルバム『Ali Toure Dit "Farka"』が、〈Sonafric〉により公式リイシューされたもの。長いあいだ再発されてこなかった初期音源群のうちの1枚で、当時の空気をそのまま閉じ込めたようなオリジナル・ジャケットとラベルを忠実に再現。リマスタリングも丁寧に施され、当時の録音が鮮やかに蘇る。本作では、アリ・ファルカ・トゥーレの音楽がより洗練され、ブルースの語法と西アフリカの伝統音楽とのハイブリッドが明瞭に感じられる。ギター・プレイは流麗かつ反復的で、デルタ・ブルースを通過したアフリカン・リズムとしての独自性が際立っており、声はより表情豊かになり、物語を語るようなグリオ的な語り口が深みを増している。この頃のアリは、まだ世界的には無名に近かったが、地元マリではすでに高く評価されており、その特別な時期の、土着性と普遍性のはざまにある強烈な個性を感じられる名盤。