遺稿「親鸞」、いま甦る――
戦前戦中を代表する哲学者・三木清(一八九七〜一九四五)。治安維持法違反容疑で拘留され、獄中死した彼の未完の論稿が、「親鸞」である。
長らく読者に違和感を与えてきた絶筆を、思索の流れがたどれるよう整理・翻刻し、執筆に至る背景を物語るエッセイ2本を併録。
さらに、若き日の構想をふまえつつ、戦後をも見据えた三木による〈新たな哲学〉構築の試みとして「親鸞」を捉え直す解説と、複雑な未定稿の構造を紐解く解題も付す。
稀代の哲学者・三木清最後の思索を掘り起こし、異彩を放つ親鸞論の真価に迫った決定版!
■目 次■
解説 三木清「親鸞」にいたる道程とその構造(岩田文昭)
親鸞 本文
親鸞 断片
幼き者の為に
我が青春
解 題(岩田文昭)
編者あとがき
判型・ページ数 文庫・248ページ
岩田 文昭
1958年愛知県名古屋市に生まれる。1990年京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。京都大学博士(文学)。専門は宗教学・宗教哲学。大阪教育大学講師、助教授、教授を経て、現在同大学名誉教授。著書に、『フランス・スピリチュアリスムの宗教哲学』(創文社)、『近代仏教と青年──近角常観とその時代』(岩波書店)、『浄土思想』(中央公論新社)などがある。