1940年代から活動し、名コンボ、ダブル・ビーツの結成や、モカンボ・セッションの主宰などを通じ、日本のモダン・ジャズ・シーンの礎を築いた沢田駿吾。押しも押されもせぬ名ギタリストだが、自身のリーダー作は意外と少ない。なかでも<ビクター日本のジャズ>シリーズにおける本作『Formation』は、沢田の意欲作にして代表作との呼び声も高い作品である。幕開けはウェイン・ショーター作「Footprints」。凛としていて端正なのだが、そのクールな佇まいのなかにそこはかとない朴訥さも滲み、なんとも味わい深い。そして、炸裂感と疾走感のある「Formation」や、ジャズロック的アプローチの「Unlucky Guy」などをはさみ、終曲に再びショーター作の「Chief Crazy Horse」を置いている。多彩でいて全体のトーンには統一感があり、アルバムとしての完成度はすこぶる高い。日本における<新主流派>の姿を捉えた、特別な1枚だ。 text by 尾川雄介 (UNIVERSOUNDS / DEEP JAZZ REALITY)