1971年に公開された映画『3000キロの罠』。田宮二郎製作/主演、福田純監督による本作は、「鹿児島から北海道へ、日本を縦に裂いて突っ走るスポーツカー」のキャッチフレーズ通り、全編で三菱ギャランGTOが駆けるサスペンス・アクション。アメリカン・ニューシネマの傑作『バニシング・ポイント』と比較されることも多いロードムービーである。音楽を手掛けたのは名匠・前田憲男。華麗にコーナリングするピアノ、颯爽と駆け抜けるヴィブラフォン、力強く疾駆するベース、ギアを上げてゆくドラム。躍動と静寂、執念と欲望、歓喜と悲哀。スリリングな演奏と美しい旋律が、映画の魅力を最大限に引き出す。サウンドトラックとしてはもちろん、1971年当時の“日本のジャズ”としても尋常ならざるクオリティである。これほどの演奏。正確なパーソネルが判明していないのが残念だが、かねてから猪俣猛率いるサウンド・リミテッド(もしくはザ・サード)の関連が囁かれている。 text by 尾川雄介 (UNIVERSOUNDS / DEEP JAZZ REALITY)
トラックリスト: Side A 1. ハイウェイの影~第一の疑惑 2. 待っていた女~第一の罠 3. ハイウェイの影~メイン・テーマ 4. 謎の女~罠!? 5. 待っていた女~メイン・テーマ 6. ハイウェイの影~罠への挑戦
Side B 1. 幸薄の女~奈美子の追憶 2. 謎の女~メイン・テーマ 3. ハイウェイの影~敵を求めて 4. 幸薄の女~メイン・テーマ 5. 待っていた女~ヴァリエーション 6. ハイウェイの影~悲しい結末