8月21日発売予定。(数量限定/片面エッチング加工/日本語帯付き/解説書封入)ほぼ無名ながらフジロック・フェスティバル2025への出演で日本のオーディエンスにも強烈な印象を残したニューヨーク拠点の4人組、YHWH Nailgun(ヤハウェ・ネイルガン)が、名門〈4AD〉移籍第1弾作品となるアルバム『Magazine』をリリース。
YHWH Nailgun(ヤハウェ・ネイルガン)は、ザック・ボルゾーン(vo)、サム・ピカード(ds)を中心に2020年に結成。その後、サグイヴ・ローゼンストック(g)、ジャック・トビアス(key)が加わり現在の4人体制となった。
彼らの音楽はしばしばノイズ、パンク、フリージャズ、インダストリアル、エクスペリメンタルといった言葉で語られる。しかし、そのいずれのジャンルにも完全には属さない。激しくぶつかり合うリズム、切り裂くようなギター、異様な存在感を放つシンセサイザー、そして獣の咆哮にも祈りにも聴こえるザック・ボルゾーンのヴォーカル。YHWH Nailgun(ヤハウェ・ネイルガン)はジャンルを横断するバンドというよりも、むしろ音楽を定義しようとするあらゆる試みそのものを拒絶する存在として注目を集めてきた。
2025年に発表されたデビュー・アルバム『45 Pounds』は、その圧倒的な緊張感と破壊力によって各国メディアから高い評価を獲得。ニューヨーク・アンダーグラウンド・シーンにおける最重要新世代のひとつとして認識されるきっかけとなった。そして今回、コクトー・ツインズ、ピクシーズ、ボン・イヴェール、ビッグ・シーフらを擁してきた〈4AD〉への加入によって、その活動は新たな局面を迎えることになる。
『Magazine』は全10曲ながら収録時間わずか11分という異例の作品だ。しかし、この11分という長さは単なる実験的なアイデアではない。アルバムはオープニング曲「Ghost of Love」のフェードインから始まり、まるでどこかで鳴り続けている音の断片を偶然切り取ったかのような感覚を生み出す。バンドは本作を、始まりと終わりが存在する従来のアルバムというよりも、終わりなく続く音楽世界の一部分として捉えている。
そのサウンドは前作以上に研ぎ澄まされている。サム・ピカードによる無駄を削ぎ落としたドラム、サグイヴ・ローゼンストックの剥き出しのプロダクション、空襲警報を思わせるジャック・トビアスのシンセサイザー。そして何より印象的なのは、これまでリヴァーブやディレイの奥に隠されていたザック・ボルゾーンのヴォーカルが、かつてないほど明瞭に前面へ押し出されていることだ。
血、蛇、神、悪魔といった宗教的かつ象徴的なイメージに満ちたリリックは、これまで以上に鮮烈な存在感を放つ。YHWHというバンド名自体、ヘブライ語における神の固有名に由来しており、その神秘的な世界観は『Magazine』においてさらに深く掘り下げられている。
YHWH Nailgunは、自らの音楽を何かへの反発やカウンターとして捉えてはいない。流行への迎合も拒絶もせず、ただ直感と即興から生まれる一瞬の閃きを追い求める。彼らが築こうとしているのはジャンルではなく、自律したひとつの世界そのものだ。『Magazine』は、その独自の創造世界をさらに先鋭化させた作品として、多くのリスナーに衝撃を与えることになるだろう。