1970年前後の日本のジャズ・シーンは最高に面白い。ハード・バップの煩悶、ジャズ・ロックの台頭、フリー・ジャズの顕在化。新たな音楽や価値観が次々と生まれ混沌を極め、気鋭のミュージシャンがメーターを振り切る速度で走り抜けた。その姿と熱気を封じ込めたライヴ音源として名高いのが本作『Sensational Jazz ’70 Vol. 1/2』だ。1970年4月30日の渋谷公会堂。稲垣次郎、猪俣猛、石川晶というジャズ・ロック三銃士が揃い踏み、高木元輝や沖至といったフリー・ジャズ・ミュージシャンが遂に表舞台に立ち、宮間利之や日野皓正といった本流を支えるミュージシャンが“その先”へと足を踏み出す。最凶のジャズ・ロック・ライヴ音源とも言われるサウンド・リミテッド「Mustache」を筆頭に、煙が立ち昇るような熱い演奏が並ぶ。 text by 尾川雄介 (UNIVERSOUNDS / DEEP JAZZ REALITY)
トラックリスト: Side A 1. TWILIGHT IN NEMU / 宮間利之とニューハード+日野皓正 2. MOOD / 沖至トリオ
Side B 1. TOKO / 日野皓正クインテット+ジョージ大塚 2. FOUR UNITS / 高木元輝トリオ
Side C 1. BLUE SOUL / 石川晶とカウント・バッファローズ 2. MIRA / 鈴木弘セクステット
Side D 1. SCORE / 稲垣次郎とソウル・メディア 2. MUSTACHE / 猪俣猛とサウンド・リミテッド