1969〜1989年にオランダおよびスリナムで録音されたインドネシア系ディアスポラの音楽を体系的にまとめた初のアーカイブ書籍。著者はオランダのアーティスト、リサーチャーのMichiel Sekanで、ソウル、ファンク、レゲエ、ポップなど多彩なジャンルを横断しながら、移民コミュニティがどのように独自の音楽文化を築き、レコードという形で残してきたのかを、62枚の稀少盤とともに丁寧に記録している。大手レーベルの歴史からこぼれ落ちた自主制作盤やローカル・プレスが中心で、当時のコミュニティの空気感や、移民としての経験が滲む歌詞世界が生々しく伝わってくる。ブラックミュージックの影響を受けながらも、インドネシアの旋律感や歌心が自然に溶け込むディアスポラならではの雑食性を持った音楽をまとめた、音楽史・移民史・レコード文化が交差する、重要な資料。