1969年の結成以来、ジャズとロックの融合を標榜していたソウル・メディア。その路線が次なるステップへと進んだのが1973年録音の本作『イン・ザ・グルーヴ』だ。ジャズのシャープさを前面に出し、ロックを溶かし込みエッジを立て、ファンクを注入し力感と弾力を滲ませる。ジャズ・ロック、ジャズ・ファンク、フュージョンといった既存のジャンルでは括りきれない、強靭でいて洗練されたひたすらに“カッコイイ音楽”を生み出したのである。稲垣次郎が当時注目していたというザ・クルセイダーズへの返答とも評される本作。狙いは的中。ソウル・メディアは本作で“洗練されたブラック・フィーリング”を獲得し、最終到達地点である『ファンキー・スタッフ』へと向かうのである。 Text by 尾川雄介(UNIVERSOUND/DEEP JAZZ REALITY)