これは凄い...フィリピン山岳地帯の隔離された場所に暮らす民族。彼らの音楽を身も心も削りながら採取したDavid Blair Stifflerによる88年音源が遂にLPになって登場です!
Folkways Recordsで数々の作品を手掛けた音楽収集/民族研究家、David Blair Stifflerによる名仕事。場所はフィリピン北部ルソン島のアウロラ州と、ヌエヴァ・エシハ。フィリピンではイスラム教徒"モロ"がキリスト系からの抑圧に耐えきれず、70年から独立闘争を掲げて過激な活動を開始。この録音当時もその激下に置かれていた頃で、録音した音源もその過激派に没収され、ここに収録されているのはその必至に逃げ延びた際に残ったカセットからの音源との事です...
しかしそこに残っていた音源はどれも素晴らしく、自然的で素朴。生活に根付いた音や、部族のコーラスの味わいは音楽の普遍的な喜びや楽しみ、力強さを再認識させてくれます。音源採取の秘話を除いてもこの有機的な愛情溢れる音を聴けばただただ虜にさせられてしまいます。当時Folkwaysから出版されるはずだったものですが今にして漸く日の目を見る事になりました...Numeroの丁寧な資料写真も見物。