フランス電子音響の総本山〈INA-GRM〉による9枚組ボックス『9 Trajectoires』。本作は、〈INA-GRM〉とはほぼ無縁ながらも電子音楽探求に勤しんできた世界各地の50~60年代生まれのマイナー電子音楽家9名を集めた決定的アーカイブ。Ludger Brümmer、Philippe Leroux、Diego Losa、Åke Parmerud、Elzbieta Sikoraなどが〈INA-GRM〉のスタジオで探求した音の発明の歴史を一望できる内容。各ディスクは作曲家ごとに独立した音響世界を形成し、ミュージック・コンクレートからデジタル処理まで、音そのものが語るアクースマティックの美学が鮮烈に刻まれている。粗削りな90年代の質感から、高解像度な空間処理が可能になった近年の作品まで、電子音響の技術進化を耳で体験できる構成。100 ページのブックレットには作家プロフィールや詳細なライナーノーツも収録した充実の内容。