The Beatlesの名曲The Long And Winding RoadやAcross The Universeのアレンジを手掛けたことでも知られる才人Richard Anthony Hewsonによるソロ・プロジェクトRAH Bandによるスペースエイジ・ポップの金字塔『Mystery』が、リリースから40周年を記念して待望のリイシュー。クラシック、ジャズ、ファンク、エレクトロ・ポップを独自の手法で融合させてきた彼のキャリアにおいても、本作は音楽性とチャート・ヒットの両立を見事に果たした重要作。先行シングル「Are You Satisfied?」で披露された進化系ジャズ・ファンク・サウンドもさることながら、特筆すべきは「Clouds Across The Moon」。宇宙を越えた恋愛劇というレトロ・フューチャー的な世界観を、ヴィヴィッドなエレクトロと共に描いたこの楽曲は、1985年のUKチャートで6位を記録し、一躍ポップ史にその名を刻むこととなる。クラシック由来の陶酔感のあるスウィートでスペイシーなストリングス・アレンジに、黒人音楽由来のベース、ソウルフルでメロウな女声ヴォーカルが奇跡的に混ざり合った傑作。チープになりかねないコンセプトと、抜群のメロディとアレンジが出逢った、重厚感はないけれど薄っぺらでもないという、けっこう不思議な魅力が尽きない一曲。その他にも、現在もクラブでプレイされるシンセ・ジャズの名曲「Float」や、Steven Julien aka Funkinevenの『DJ Kicks』にも収録されたサックスが冴える「Out On The Edge」など、全8曲が粒ぞろい。ジャンルの垣根を越えた音作り、そして時代を超えて愛されるポップ感覚は、RAH Bandの本質を最も端的に示す傑作!!