実験音楽史における重要な一作であるリチャード・マックスフィールドの1969年作『Electronic Music』が〈PAROLE〉よりリイシュー!フルクサスに参加し、ラ・モンテ・ヤングやデヴィッド・チューダーらと深く関わっていた1960年代初頭に制作された電子音楽/ミュージック・コンクレート作品を収録しており、「Pastoral Symphony」は連続的な電子音によるサウンドスケープで、当時としては革新的な試み。「Bacchanale」では、ジャズや韓国民謡、スポークン・ワード、テリー・ジェニングスのサックスといった異種素材をコラージュ的にミックス。「Piano Concert for David Tudor」は、ピアノの内部奏法に加えてアンプリファイした金属音などが交錯し、アンダーグラウンドな緊張感を持っている。そして「Amazing Grace」では、異なるスピードのテープループを重ねることで、のちのスティーヴ・ライヒやテリー・ライリーを先取りしたようなミニマル的手法を見せている。60年代の電子音楽の可能性を大きく広げ、ミニマリズムや現代音楽の源流にも連なるこの作品は、今なお刺激的な響きを持っている。アナログ盤でこそ際立つヴィンテージ機材や手作業的コラージュの質感がたまりませんね!