パンク・ロッカー出現以前にパンク・ロッカーでいること、あるいは、平和というメッセージに冷笑的な意味を含ませるヒッピーを想像してみよ。それは1960年代のシドニーで、メディアとその偽善性をののしり、全ての偽りを切り崩す音楽を作ったピップ・プラウドのようになることに他ならない。(デヴィッド・ニコルズ、解説文より抜粋)
「地球の反対側のシド・バレット」ともいわれた豪のアウトサイダー・ポエット、ピップ・プラウドの音楽作品を、彼のバイオグラファーであるデヴィッド・ニコルズ教授の監修で編纂したアンソロジー。全曲本邦初登場!
彼は舌がもつれ気味の静かな声をもち、声域はオクターヴの半分にも満たない。(中略)これらの曲で示される幼年期の感性の完全な理解こそ、彼の作品の最も非凡な特徴である」(解説より)……と記述されるプラウドは、豪において誰の前例もなく、当時の業界は扱いあぐね、フォロワーすら成立しなかった点で「先駆者」とも評せられず、前後に隔絶した存在のまさしく「アウトサイダー」。一度耳にすれば脳裏を離れなくなる強烈な個性は、シド・バレットやダニエル・ジョンストンに並ぶものだ。
本作は、60年代に制作された幻の私家版1stアルバム、メジャーで発表したアルバム2作、そして70年代初頭の秘蔵録音から選んだアンソロジーで、マスターテープから起こした音源ソースを元に最新リマスターを施した。また、ニコルズ教授の協力で、作家手書きの草稿をもとに「ピップ語」というべき英詩を世界で初めてテキスト化し掲載(→この英詩だけでも価値大!)。CD版はボーナス3曲追加。