1980年代のEloyが、日本の声明と雅楽、そして電子音響を融合し、「打たれざる音=心の振動」をテーマに構築した大作『Anahata』が世界初の正式出版。天台、真言の僧侶による声明、篳篥、龍笛、笙の雅楽器、Michael Rantaのパーカッション、そしてEloy自身の電子音響がひとつの儀礼空間を形成する、比類なき音響作品。僧侶の声は音の柱として空間に響き、倍音がゆっくりと広がりながら電子音の持続と重なって巨大な音響の呼吸を生む。雅楽器は古代の響きを保ちながらも抽象的な音の色彩として扱われ、電子音の地層に溶け込むことで、伝統と現代が同じ平面で共存する独特の質感が生まれる。宗教音楽でも民族音楽でもない、音そのものが儀礼の役割を担う抽象的な音響儀礼として、Eloyの美学が深く結晶した重要作。