マリの伝説的ギタリスト、アリ・ファルカ・トゥーレによる1976年作『Ali Toure Farka』が〈Sonafric〉よりついに正規リイシュー。これまで再発されたことのなかった初期音源群のうちの1枚で、当時の空気をそのまま閉じ込めたようなオリジナル・ジャケットとラベルを忠実に再現。音源は新たに丁寧なリマスタリングが施され、オリジナル盤にあった音質上の問題も解消。アリの響き豊かなギターと祈るような歌声をこれまでになく鮮明に捉えている。このアルバムでは、アリが敬愛していたジョン・リー・フッカーのようなデルタ・ブルースの感触と、マリの伝統音楽の流儀が自然に溶け合っており、リズムや旋律は西アフリカ的ながらも、メロウで粘りのあるギター・フレーズにはブルース的なうねりが宿っている。単なるアフリカのブルースには収まりきらない、アリ独自のミニマルな反復と深い精神性に貫かれた音楽。