この新作は遊び心を持って横道にそれ、
63分、15曲からなる連続した組曲、
実験的オーディオ劇とも言えるトータルな作品です。
このアルバムを貫く糸はヴェロニク・ヴァンサンのテキストで、
一連の登場人物が話し、歌うモノローグやダイアログを通して
展開する謎めいた哲学的で詩的な物語。
作曲、編曲はマルク・オランデル。
アクサク・マブール独自のスタイルで様々なサブジャンルを内包する作風。
BBC、the RTF、the RAI などの創造的なワークショップから生まれた実験的なラジオ劇、とりわけ話し言葉、楽器や電子音楽、歌、音の研究を組み合わせた
ドイツのHörspiels (ラジオドラマ)へのオマージュを込めた作品でもある。
大衆音楽にインスパイアされた要素を盛り込みつつ、
歌、台詞ースポークン・ダイアログを取り入れた
20世紀前半に冒険的な作曲家たちの舞台作品の控えめな引用も散見される。
当時の作曲家たちは作品を説明する際、
幻想的オペラ、ミーモドラマ、ジングシュピール
といったことばで作品を説明したという。
Alig Fodder ( Family Fodder)、Blaine L. Reininger (Tuxedomoon)、
Audrey Ginestet & Benjamin Glibert (Aquaserge), Lætitia Sadier (Stereolab) といった
過去~現在までアクサク・マブールの歴史に深く関わるミュージシャンたちが多数
「声」の出演をしているアルバムでもある。