交通事故に遭い入院したことがきっかけでお見舞いに友人が持ってきたハープのレコードを身動きが取れないベッドの上で聴いた。その時ステレオの片方のチャンネルのみで再生され、さらに小音だったため周りの環境音と同時に音楽を聴き、その体験から新しいアイデアが生まれ1975年に自ら設立した〈Obscure label〉からリリースされたのが本作。〈Virgin EMI Records〉から180G重量盤&リマスター仕様で再発リリース。傑作『Another Green World』で、イーノはポップ・ミュージックの構造とサウンドから、より静的なインストゥルメンタル・モデルへと移行し始めました。これはエリック・サティの影響も受けており、『Another Green World』のわずか1ヵ月後に録音された本作は、後にアンビエント・ミュージックとして知られるようになった作品に初めて本格的に取り組んだものである。Robert Frippとのコラボレーションからも強く影響を受けており『No Pussyfooting』(1973年)や『Evening Star』(1975年)と同じ2台のオープンリール式テープレコーダーを使って、イーノはシンプルなパーツを重ね合わせ、決して変化することなく、異なるパーツの追加や減衰によって常に進化していく美しい音楽を生み出しました。また、前出の2作のコラボレーションアルバムではノイズや不協和音の要素がありましたが、ここではすべての音が穏やかで落ち着いたものになっている。後半はパッヘルベルの「カノン」を大胆に解体し、イーノ色に摩訶不思議に再構築されている。環境の中に無意識に溶け込む音楽が世に浸透していくきっかけとなった画期的で影響力のあるアンビエント・ミュージックの歴史的大傑作!!