ジャンルを往来するサウンドと真摯なリリックで、ケンドリック・ラマーをはじめゴリラズ、アンダーソン・パーク、アブ・ソウル、ローリン・ヒルら錚々たるアーティストたちを魅了するアーティスト、リトル・シムズ。2019年に発表し、自身のマイルストーンになったマーキュリー賞ノミネート作品の3rdアルバム『GREY Area』から2年を経てリリースされたのが本作『Sometimes I Might Be Introvert』だ。前作では彼女自身にフォーカスした密度の濃いラップを披露していたという印象だが、今回ではさらにその世界観を拡張し、よりスケールの大きなリリックとサウンドを具現化している。家族、恋愛、仕事、そしてそれらの物事の表裏、様々な題材がアルバム全体を通して描き出されており、これまで以上に現代を生きる女性たちに向けたエンパワメント・メッセージが散りばめられている。前作に続き、今回も全楽曲のプロデュースを手がけるのはインフロー。COVID-19によるパンデミック・ライフの中、彼と二人でスタジオに篭りながら作り上げたのが、このアルバムだと言う。インフローが創り上げるタイトでエッジーなビートは前作と変わらずだが、今作は、さらにオーケストラのようなドラマチックなプロダクションへと進化している。キャリア最高傑作を更新する4thアルバムにして圧倒的な傑作がここに完成した。